◆ 忘備録(十九) 八月六日(水) 4 

文字数 505文字


 
 夜、風呂屋を探して塩尻の町を歩き回った。
 教えてもらった風呂屋が改装中で休業、駅前の派出所に訊ねに行ったが不在。

 ボンヤリと観光地図を見ていたら岡本さんとユーコがWCから出て来た。
 ここの水で身体の ドーランを洗い流したそうだ。

 ぼくは。くじけずに風呂屋を探し歩いた。
 歩いた末、諦めかけて戻ろうとした時、呑み屋から出て来たおじさんに場所を訊いた。
 酔っているのであやふやで、煙突が見えるからの一点張りだ。

 再び探し歩くが判らず、またもや諦めかけた時に、第六感がヒラメキ発見したのだ。
 この執念!

  入浴料、190円。洗髪料、40円。
 東京ではいくら髪の毛を伸ばしていても、洗髪料は取られなかったのに。

 十時過ぎにスリーピングシーツに入ったのだが、寝付かれず岡本さんに、ウィスキーの「純」を飲ませて欲しいと声をかけた。

 子どもがいたずらしてフタを開けていたので、全て流れてしまったと怒っていた。
 仕方がないので、横たわった。

三奈にハガキを書く。
 密かに軒を走る夜。
 まぼろしの町からの
 風の便り
 あなたの新しい季節が始まる。
 誕生日おめでとう。
 秋葉神社境内にて記す。


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