◆ 忘備録(二十三) 八月七日(木) 4 

文字数 341文字


 公衆電話を見つけてぼくが喫茶「イオ」に電話をした。
 華やかな女性が出たので、「信州を巡業しているどんどろです」と告げると、
「はーい、連絡を待ってたわ」
 そう言って、誰かを呼ぶ声が届いた。
「中岡です」
 落ち着いた女性の声。
 どんどろの公演は、直接観ていないけど、噂を聞いて探していたと言った。
「松本に着いたら、ぜひ店に寄って欲しい」
 深志神社の宮司さんとは知り会いだから、公演が出来るように話を通しておくとのことだった。
 信じられない話だ。

 電話の内容を岡本さんとユーコに伝える。
「運が向いて来たな」
 岡本さんはニンマリとしたが、ユーコは何故か喜んでいない。
 ぼくが考えるには、探していたのが女性だからだろう。

 中華料理店があったので、三人でラーメン・ライスに餃子を足して食べた。


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