◆ 忘備録(十七) 八月六日(水) 2 

文字数 692文字


 町を巡りPR活動をする。

 ラジカセの音量を最大限にしてアピールする。

 区長さんの家へ挨拶に行く。
 あまり関心が無いようだ。

 ユーコが岡本さんによく尽くしている。
 その感じが貴衣さんに似ていると言ったら
「似てるんじゃなくて、俺が何もしないからああなっているんじゃないか」
 とのこと。
 なるほどと思う。

 ユーコとは岡本さんを介してしか話が出来ていない。
 会話が成立しないのだ。

 ユーコがぼくに心を開かないのは、ぼくの中に貴衣さんの気持ちを考えてる部分があるからだろう。

 しかし、この極貧巡業旅の中で、一番贅沢なのは岡本さんだということでユーコと話が一致した。
 タバコはバカスカ吸うし、毎晩お酒を欲しがる。
 メシは人一倍食べるというような話になった。
 この辺りの日常レベルのことを、ユーコは許すことが出来るが、ぼくはなんだかなーと思ってしまう。
 特に岡本さんが意識的にユーコに甘えている部分に苛立たしさを感じる。

 ユーコ「私は苦にはなんとか耐えちゃうもん」

「ぼくは最終的には貴衣さんの味方だ」
 と言ってしまった。

 岡本さんになりふり構わず付いて来ることができるのは、女性しかいないのではないか。
 どんどろに男性が残らない。今後の課題だ。

 理論より肉体を通してしか訴えられない脆弱さがある。

 子どもたちに、少し気を許しすぎたみたいだ。
 人形は触りまくるし、荷物の中も勝手に開けている。
 小学三年生の女の子(塩原びわちゃん)に、髪の毛を伸ばしているからか「おかま」と呼ばれた。
 岡本さんは「ハゲチョビン」で、ユーコは「美人」
 しっかりしているが少しヒス気味の子。

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