◆ 忘備録(七十六) 八月二十一日(木) 4

文字数 189文字


 朝、岡本さんに「今日で東京へ戻ります」と宣言した。
「そうか」
 そう応えた岡本さんの次の言葉を待ったが、何も言わなかった。

 ぼくは、ウエストバックから、貴衣さんに預かって来た郵便通帳と印鑑、、手紙と赤ちゃんの写真、それに喫茶『イオ』やスナック『仏陀』の電話番号をメモしたものの全てを渡した。

 もう嫌だった。
 逃げ出したかった。

 最後の最後に、こんなことになるとは思わなかった。

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