〇一一  下諏訪・青年会館 3

文字数 246文字


 静かに始まる。
 せっかく客が入ったのに、その写真が一枚もない。
 客を撮影していないのは、ぼくにカメラを向ける勇気がなかったからだ。





 人形と人。
 人形を操る人間の存在を黒子として消していた黒子。
 見えないものとしてしか意識していなかった黒子の肉体が、突如として出現するだけで衝撃なのだ。

 



 人と人形。
 それは、恐怖でもある。
 子どもは泣き出し、席を立った女性もいた。





 ひとかたち。
 座長は「ヒトガタ」といった。





 彷徨うのは……。
 演じるモノか観るモノか。





  どちらもなのか。
  ひとかたち。



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