第48話
文字数 1,129文字
「おかえりっ!」
小さいのが公園で伝えてくれた。思わず笑顔になってしまって、散歩する。うんうん。って相槌を返した。背中を向けて屈んで、近くの石に触れている。
「キスしたげようと、思ったんやけどな?」
思わず、「アハハハッ」となって、「無茶言うたらあかんわー」と、伝えるべきなんだろうけど。小さいのの。背中が嫌そうで。
「ありがとうっ」
「女性を見る目無い。って言うか。人。見る目無いですよ?自覚あります?」
電話を掛けてきて、伝える事かと・・・。後輩からの助言。
「・・・。あ、あるよ。人を見る目はあるよ。・・・女性は・・・すまん。としか伝えようがないけど・・・」
離婚した僕には、自身が未だになくて。
「僕が管理しますっ」
頼もしい。大きな声で。
「・・・そ?それは。どうだろう?いやいやっ。それはどうだろう?」
「管理しますっ」
「・・・色々、すまんかった・・・」
僕が悪かった訳ではないんだけどな・・・。腑に落ちないけど・・・。言い切られてしまうと・・・そうかもな・・・。見送るけど・・・ヘラヘラ。
「こんばんは、元気?」
「・・・」
アルバイトさんは俯き加減で、不機嫌そう。
「んー。そうだな。小麦と水があって始めてパンになるでしょ?水と言ってもね?塩水だけどね?実際はね?パンは必要だよね?」
「・・・」
アルバイトさんは「むぅ」っという顔で僕を見た。
「いやいやっ。君が望んでいなくても変わりはないんだ。だってね?僕はパンを作りたいんだよ?これはね?僕の我が侭ではないんだよ?自然な事だよ?」
「・・・」
アルバイトさんは今日は、ノーメイクで・・・気合が入らないのも分からないでもない状況。
「・・・短く伝えよう。君みが必要です」
真っ赤になってくれたアルバイトさん。ありがとうございます。となって。実際に望まれていないのは、僕の方で。それでいて嬉しくなった。
アルバイトさんは時間になると、ササッと切り上げ。だよねぇ~。ってなりながら。店員さんが後から来てくれて、色々こなしてくれる。
「ほな、また明日っ!」
・・・ちょいちょい、キャラ違うよね?店員さんね・・・。ってなってると。アルバイトさんが戻ってきてくれて・・・イヤホンしてスマホゲーム。・・・Wifi目的か・・・。いいけど。先日、来てくれた女性客二人組が来てくれた。
「言うても、にぃ~だけやけどな?ウフフッ」
「・・・」
恥ずかしそうに、一人は俯いていた。
「生着替えやで?」
「キャハハッ」
上着を椅子に掛ける女性と、笑ってしまったと俯きなおす女性。オーダーをお伺いした。会話に混ざるわけでもなく。カウンター越しに眺めて見送る。ビールサーバータンクの清掃。
「・・・」
「お疲れさまでした」
アルバイトさんが、すぅんごい睨みつけて、再び帰っていった・・・。