第31話

文字数 990文字



扉が少し空いて目が六つ。
「んおぉ」

鋭いわけでも無くて。珍しいのを見ている目の輝き。女の子たちは声を揃えた。
「見た目はウサギですがっ。中身はヒヨコですっ♪」
「・・・お帰り下さい。フフフッ」

それぞれに笑顔。可愛らしさもそれぞれだ。
「ウフフッ」

パタン扉が閉まった。
「和んだので。良しとする」

「フフフッ」
和んだ僕を眺める店員さん。何もないよりは良いか。

「初恋を実らせて。結婚しますっ」
えーっと。何人目だったっけ?今の彼氏さん・・・。あぁ。未成年の声を拾って来たんだろう事。理解した。

「フフッ。何歳?」
「高校二年生ですっ」

「キャハハッ」
店員さんと僕は顔を見合わせた。

「止めといた方が良いよ?」
「浮気したらしばくっ」

「・・・困りましたねぇ~?」
「浮気したらしばくっ」

「・・・。もしかしてさぁ?ジムとかに電話してる?」
「キャハハッ。困りましたねぇ~?」

「やばーっ」
「ガチっ。まじで。ガチっ。キャハハッ」
マジかよー。絶対。会ったことあるじゃん。

「会ったことあるの?」
「何でも知ってるよっ」

「・・・。半分ストーカーかな?ってなってたけど。ガチのストーカーかよ。・・・。僕の個人情報について」
「可愛いので良しとするっ!!」

「キャハハッ」
店員さんと僕は顔を見合わせ。

「まじで。それなぁ~?」
「キャハハッ」

「本当の事。知ったらぁ~嫌われちゃうかなぁ~ってなってなぁ~?」
「キャハハッ」

「僕に知る権利を主張します」
「まだ早ぃ~」

「キャハハッ」


「今日は当たりの日やなぁ~?」
マダムが嬉しそうにニヤニヤ伝えてくれる。
「ありがとうございます」

「何時もいいひんからなぁ~?」
苦笑いをかえしている途中に店員さんが笑いを必死に堪えているのが視界に入る。居るといえば居るんだけどね・・・。店員さんが急に睨んできた・・・。

「ちょっと。コンビニに行ってくるよ」
どうせ。マスターんちでしょ?みたいな。慣れた。嫌そうな。顔をしてくれる。コンビニと偽って。



「・・・。マスターさぁ?」
遮るようにマスター

「知ってんやぞっ?はよ帰れっ!」
「ハハッ」

「お前なぁ?店員さんがなぁ?どんだけ頑張ってると思てんねんっ?」
「んー。僕が居ない時は、好き放題で楽しいのかなぁ~?って」

「それはなぁ?・・・あってる」
「キャハハッ」
マスターと僕は顔を見合わせながら笑った。



結局はね。僕のような年代は。若い女性からの防波堤。でのご利用者だからね?うんうん。

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