第40話
文字数 816文字
「この辺りも、似たようなもんですよ?」
「そっかー。知らなくはないけど」
青年は俯きながら。その先を飲み込むしか選択肢はないようで。
「そう言えばさ?寒梅観に行った?神社の」
「アハハハッ。見てないですね?そろそろ時期なんで。見たいですけどね?」
「そっか。まぁね?夢には見るよ?僕もね?」
青年の店も大変そうで。嘘ならいいんだけど・・・。
パンツスーツとマスクがグレーの女性はバス停に急いでいた。思いの外、早く着いたようで。時間を持て余していたのを眺めながら。昨日のは・・・。兄妹とで作戦会議したな?って。
あの時。カウンターに向ってお腹を抱えながら笑っていた僕は仕返ししてやろうと決めた。いや、ホント。マジで。ニヤニヤした。何故だか・・・紅の雨。
夏の花火。白いイヤフォンをスマホから伸ばしてアルバイトさんは観てた。「誰それ?」って聞いて欲しそうなのを分かって聞かないでいた。「フフフッ」ってなって。カウンターに向って歩いていた。
バックヤードに戻ると面白くなさそうなアルバイトさんはマスクをしていない。今日も可愛いねっ♪ってのぞき込むと嬉しそうに。これ以上は見せないって笑顔のまま。マスクを素早くした。出掛けようかな?アハハハッ。
「カルボナーラ食べようと思ってさ。でも無いから・・・。ペペロンチーノを間に挟んだら、いいかなぁーって?思うんだけど・・・」
僕は恥ずかしそうに。マスターに伝えた。
「うちにペペロンチーノはありませんっ!!」
「キャハハッ」
マスターと僕は一緒に笑っていた。
「そうだな?何にしようかな?」
「ちがうん頼めや?」
「えっ?いいの?ちがうの?・・・ト、トマトスライスで・・・」
「ええよ」
店内をゆっくり見渡してから小声で
「い、いんですかっ?」
「フフフッ」
マスターと僕がニヤニヤしていると・・・・。
「他のは分かるんやけどな?トマトスライスて・・・」
マスターはニヤニヤしながら、教えないよ?顔で嬉しそう。同じ顔になっている自身にも気付いた。