第30話
文字数 2,206文字
「死」と向き合う。と比例して「他の女に手を出すな」僕には無縁の要素。独身だからね。僕は。自然と理解してください。っていうのにも。何だかね?
「私より妹は背が高いです」
「そうですか」
無表情で返した。しかし、誰のお姉さんなんだろう?ってなりながら。常連さんからオーダーが入った。時折、耳に入る。誰かさんのお姉さん。
「結局、自分自身で伝えんとあかんのよ・・・。それでなぁ~・・・」
恐らく祖母くらいの年の差。一緒に来てくれてた。ニコニコしながら、その女性のお話し。いや、妹への愚痴なんだろうね。聞いていた。
「心。ここにあらずやな?フフフッ」
常連さんはその様を見て伝えてくれた。
「申し訳ございません」
そりゃね?それ誰だよ?ってなりながら。僕もまだまだだ未熟だな。容姿は良いお姉さん。彼氏ができないで・・・。って悩む要素もなさそう。スタイルも良い。何処かで会ったんだろう妹さんの存在に。店を知っている時点で。誰かの知り合いかな?ってなりながらも。とは言え。似てる子。だよなぁ~・・・。えぇ~?誰?
「ちゃんと見つけて。とかなぁ~?」
お姉さんの言葉が気になる。・・・未成年じゃないよな~。まさかなぁ~。それはそれで怖いけどね。そう言えば・・・。ジムで毎回。伝えられるんだよな。
「他の女性に手を出さないように見張ってて。って連絡が来るんですよ~」
「そ、そうですか・・・」
あの子だったら良いけどな。はあるものの。「誰」は鮮明にならない。恥ずかしがり屋さんなのかな?直接聞いてみようか?あの子に。本当だったら半分ストーカーだけどね。
「何時も以上に、ふわっとしてて。ヤバいんやけど?」
「・・・あぁ。うん・・・。ジムに通っているんだけど・・・」
「えっ?筋肉自慢したくて?ぼぉーっとしてんの?うわっ!きもっ!」
「・・・しばく」
どうやら。店員さんではない。だよな。彼氏いるからね。・・・母親じゃないだろうな・・・それだったら笑えないな。
「・・・ちょっと電話して来るから。お願い致します」
「・・・手短に」
バックヤードに向かう。
「お母さんさ?ジムに電話してる?」
「何で、そんな事しなあかんの?」
「だよな・・・」
「何で?」
「いや、いいよ。じゃあ」
うんざりした表情で戻ってくる僕に
「陰気臭さ。マックスやんっ!!」
元気な声と裏腹な僕の表情を描写してくれる。素直でいいね。って思いながら。
「・・・いつも通りじゃん」
「分ってたんやなぁ~。フフフッ。偉いっ」
はい。無視無視。
「あのなぁ~?男の人ってなぁ~?最終的にはお母さんみたいな人が落ち着くって言うやん?どうなん?」
この流れで。これはキツイ。
「多いと思いますけどね?」
「あんたに聞いてんのっ!!」
「僕には関係ないですね」
「妹になぁ~?お姉ちゃんの方が年近いからって取ろうとしたら殺すって言われてるんですよぉ~?」
「そ、そうですか・・・」
誰々?って聞けば良かったんだろうけど・・・。面倒くさい。無い方が多いのだから。その次に面倒くさいが合わさってくる。
「可愛いならいいでしょうけどね?」
「フフフッ。伝えときますよ?喜ぶわぁ~」
ん~?となって常連さん?ってなって知り合いの店に電話する。
「そうなんですよ。見た目はモデル体型のお姉さんで。妹さんがぁ~って言われましてね?」
「似たような人はいるからなぁ~?そっちもそうやろうけどなx~?」
「ですよねぇ~?深入りはしないですけど。ややこしいので」
「せやな」
行きつけのマスターはそう言って。電話を切った。蓋を開けると。近くからのお店の営業だったそうで。何のことはない。猫は入っていないんだ。まったく。怖い。怖い。
「ちゃんと見つけてね?ウフフッ」
帰っていった。ハハッ。手の込んだ営業。嫌いじゃないけど。こういうの。そういったお店に行かない僕は。ジムに連絡してきた子って別だよね?それじゃあね?となって。誰?が深まる。いやいや、ちゃんと彼女なり、嫁なりになってくっるんであればね?良いんだけど。ジムに通っている人達まで知っていて。
「めちゃくちゃガチやぞっ?あの子」って伝えられてもなぁ。だ、誰っ!!ってなりながら。こっちも実際は居ないんじゃないか?ってなりながらも。期待してしまう自身の気持ちに。面倒くさいな。居ないんだろうけども。って折り合いを付けた。
「好きな人になぁ?して欲しいランキングあってなぁ~?」
「まぁ。あるだろうね?」
「母親いいひんのになぁ~?好きな男性に『お母さんは優しい?』とか言わせてなぁ~?ウフフッ。それでなぁ~?私が凹みながらなぁ~?『いいひんねんて』みたいに伝えてなぁ~?『ごめんて』って言わせたぃ~」
「あ、あぁ・・・。」
「それでなぁ~?『好き』って言わせたいん」
「・・・。そっか。結局はね?」
「それでなぁ~?他にはなぁ~?・・・。」
店員さんがニヤニヤ笑っているのに気が付いた。苦笑いを店員さんに返しながら。
「好きやろぉ~?」
店員さんの変なテンションが?アクセルが?全開だ。
「まじで。しばく」
「無理せんでええねんて。ウフフッ」
うなだれる僕を楽しんでいるようで。
「また。連絡するわぁ~?」
「ウフフッ。待ってるわぁ~」
僕の方を見ながら
「貴方のタイプでは無いですっ!!ウフフッ」
「フフフッ。また来てください」
扉の閉まる音がして。店員さんは僕を睨みながら。
「好きやろぉ~?ウフフッ」
「まぁね」
「優しぃ~やろぉ?」
こういうのは、無視します。って仕事に戻る。