第46話
文字数 892文字
「駐車券下さい」
「まだ、無料ですよ?」
銀行警備員さんは答えてくれた。
「あっ!あの人見て思い出したわっ!」
銀行員女性さんは僕を笑顔で見ていた。嫌な予感しかなくて、俯いた。もう一人の銀行員女性さんの近くへ笑顔で駆け寄っていた。
「双子の妹がなぁ~?女の人。って思たらな?男の人でなぁ?あの人とやったらヤレるわぁ~。言うてな?したことも無いのにな?ウフフッ。
そんなにいい人やったらな?おねーちゃんより背が高かったら、おねーちゃん貰うわぁ~。言うたらな?めちゃ怒っててな。可愛いな?ってしたらな?
あのバス乗ってたんやったらな?おねーちゃんの居る銀行来やはるかもしれんからな?って言うからな?見掛けたら、言うといたげるわぁ~って。伝えときましたっ。ウフフッ」
頷きながら、話しを聞いている銀行員女性さんがたじたじしながら。ちょっとちょっと。こっちを見てくれている。
「ご本人ですか?」
銀行警備員さんはボソッと伝えてくれた。
「・・・。えぇ。まぁ・・・。駐車券下さい・・・」
「そういう事であれば、どうぞ」
「いやぁ~。今日。エイプリルフールやんっ。本当ですよっ。キャハハッ。本当も本当っ。ちゃんと妹に伝えといたって。言うときますー」
「フフフッ。ありがとうございます・・・」
双子の女子高生。「これで、私の彼氏ぃ~」って。言いだしているのかと思ってしまうのも。従妹達が、幼い頃のそれと同じで・・・。問うてみると「そんな事ないですっ。ウフフッ」って。まったく。いいんだけどね?いいんだけどさ?
「心配なんですよね?」
「大丈夫だと思いますよ?僕の同い年とかでも、『今日はいっぱい掛けるやん~』みたいなのの。今では、良いお母さんになってたりしますので」
「そういうもんですかねぇ~?」
「そういうもんじゃないですか?」
「彼女ではないですっ」
「フフフッ。可愛いので、困っているとは思いませんでしたけどね?」
店を出る男性とアルバイトさん。俯き加減で恥ずかしそう。
「毎年の事ですっ」
「キャハハッ。楽しみが増しますっ」
店員さんと僕
「キャハハッ」
「先は分かりませんけどね」
「はよ。しぃーさっ」
「ないなぁ~」
店員さんと僕
「キャハハッ」