第13話

文字数 1,801文字

城門を潜り、本殿に向かうと現代作家さんの作品展示。日本画が先に目に入って来て。美人画・・・?作品の近くに、どことな~く。似ている女性。四季をテーマに、四つの作品を眺めて、感情の異なる表情のモデル女性。んー。やっぱ似てるな。ってなりながらも直接、近くに居る女性を見ずに考えていた。合計十二点・・・。一つだけ、気になって深く眺める。他のと見比べても、この作品だけ・・・。首元の肌色がはみ出している・・・。何故、展示しているのか・・・。首をかしげる。ちょっと待てよ・・・。この絵を眺めている僕事、作品になっているんじゃないか?イメージする。僕が首を傾げながら、この美人画を眺めている僕を後ろから見たら・・・。近くにいる女性を振り向いて見た。笑顔で。

「私の好きな人が来ましたぁ~」
その女性は恥ずかしそうにしてから、走っていった。アハハハッ。あってたんだな。考えてたので。

「何か気に入りましたか?まだ、売れてませんが?」
「フフフッ。そうですか。あの四季をテーマにした作品は、あぁ。そういう時は、こういう顔する方なんですね?と思いました。ニヒヒ。見たくなるでしょうね?好きでしょうからね?買う人は」

「こちらの絵は、どうですか?フフフッ」
「アハハハッ。色気がすごいですね。面白いと思います。ありがとうございます」
お辞儀をして茶碗の方へ向かった。

「この茶碗はな?もうちょっと暗い照明にした方が良いんだよ。茶室の明るさで眺めて一番良い色味に釉薬が調整されているんだからな?」
如何にも大御所の茶道具屋さんが販売員さんに伝えていた。黒楽・赤楽・志野・高麗・織部が並んでいた。大御所みたいに見えたお爺さんのお話が続く。目の前の茶碗を眺めていると。

「よろしかったら手に取って、ご覧になって下さい」
「ありがとうございます」
横並びに居た男性が女性販売員さんに声をかけて貰っていた。あぁ。いいんだ。触れても。最初から見直すことにした。両手で優しく手に取って展示台から高く上げずに眺めている男性。
初心者かな?茶道している方かな?僕は片手で見込に指を入れ高台を眺めた。その後、肌をくるっとして、展示台に戻して見込を眺める。を一つづつ進めた。

徐々に大御所みたいな方に近寄っていった。途中、織部があったので、表と裏を逆さまに。ニヒヒ。となりながら。

大御所に近寄ると販売員さんに何かをボソッと伝えられたようで。俯きながら去っていった。

そろそろ気づくかな?と思って、サッと振り向くと。女性販売員さんは慌てて表と裏を直しに行った。織部の茶碗。僕は前を向いて、大御所みたいな方のお話を聞いていた販売員さんと一緒に笑った。

竹細工のエリアに来ると知っている会社名だけど・・・。古美術も扱っているのは知らなかったなぁ。眺めて進むと・・・。陰に隠れていた山ほどの竹細工が・・・。う、売れてないのかな?竹雲斎さんのとかじゃないと・・・。心配になってきて、販売員さんを眺めると・・・。俯いている方しかいない。触れないでおこう。う、うん。

銀箔の屏風絵が・・・でかっ!販売員さんに会釈してから、眺めていると中国人夫婦があらわれ、販売員さんにお客さん来たよ?ニヒヒ。ってした。作品の説明を始める販売員さん。売れるといいねって。次を見ることにした。

縄のアート。テレビで見たことあるけど・・・え、エロイな・・・実物。恥ずかしくなってきて。直ぐに次に向かった。けど。もう一回、見とこうと思ってチラ見した。チラ見も、結構、エロイな。となった。

絵画や造形作品が多くなってきた所。
「あいつ、見たことあるぞ。フフフッ」
ぇっ?有名な道具屋さん来てるのかな?って見ると目が合って・・・ニヤニヤしてる・・・。んー?ってなって。呑み屋さんであったかな?いやぁ~。天神さんかな・・・。市・・・?結局、誰?ってなりながら、エリアから出ようと。

「名乗りもせんとなぁー?」
「すいません・・・」
会釈して次に向かった。

「気に入る作品はありますか?」
販売員さんに話し掛けて貰った。ニヒヒ。となって。販売員さんの後ろにある作品をまじまじと眺めて他は見ないで伝えた。

「そちらの絵が・・・良いと思います・・・」
販売員さんの後ろの作品に手を伸ばした。

「そちらは既にっ売れていますっ!」
「でしょうね?キャハハッ」

「宜しければ、うちの画廊に来て下さい」
「ありがとうございます」
名刺を貰って深々とお辞儀をして外に出た。
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