第27話

文字数 2,009文字



「お待たせしました」
「あの女優さんが好きだと聞いて、私が来ました」

「ハハッ。あ、ありがとうございます。似てます・・・ね?」
「小さいのが売りですっ!!」
確かに・・・サイズ小さめ・・・。

「私のタイプではないですっ!!」
「それはそれは。申し訳ございません」

「レモネェード下さい」
「ありがとうございます。アハハハッ」

何を伝えたいのか?僕には理解出来ないが。女性は楽しそうで。まぁ。楽しいからいいか。となる。サイズ小さいのを除けば似ているっていうか。あぁ。系統的にね?って雰囲気で。モデル体型。

しかし・・・誰から聞いて此処へ来てくれたのか・・・。何かの罰ゲーム?しかし。いや・・・。良いんだけどさ?付き添いのもう一人の女性。小柄で色白。華奢な感じで。

終始俯き加減で顔真っ赤な感じ?・・・何も頼まない。いやいや。良いんだけど・・・。近いって。いいから座っててな距離感で。意味不明だけど。まぁいいっか。これはこれで。

「なんだ。両想いなんじゃん」
元カノの娘さん。何故だか嬉しそうに。来てくれた。
「フフッ。大切さは変わりないのでね?どちらもね?」

「ウフフッ」
嬉しそうにしてくれた。連れの女の子も何故だか笑顔。拗ねたり、怒ってみたり。笑顔になってみたりと。わざと魅せにきてくれたんだろうと。微笑ましく。

ちゃんと笑顔で可愛いから大丈夫だよ?伝えると、そうでしょ?って返ってくる。隙あれば隙あり???ニヒヒ。

バックヤードにピアス。忘れ物?一瞬。しかしながら。思い当る節。あの子か・・・。まったく。店にピアスだけ・・・。メッセージを送った。

「寂しくないようにっ!!」

・・・キュン死する。だろ?これ?顔を見せろっ!!

「うんうん。好き。うんうん」
棒読みで答える。

「本気ですっ!!本当に。しばくっ!!」
「・・・。本気の奴ね?しばくってか。ボディーブロォーだよ?それ?僕を怒らせたいのか?」
スマホをテーブルに置いて、本気なわけないじゃん。な賢者モードに。結局、お店に取りに戻ってきてくれて。

「・・・。ちゃんと。怒ってください・・・」
モジモジ。恥ずかしそうにする店員さんに。僕は無表情のまま完敗した。MPが削られる感ってこれか・・・。

「そういうのさ?なんだかね?・・・そうだな。分りやすく伝えると。素手で心臓を直接握り潰されているような。そういうの求めてないんだ。かといって。

お花畑の蝶々が舞っていて。みたいなのも。何だかね?僕じゃないなぁ~ってさ?なるんだけどね?」
店員さんは、話しを聞かないで帰っていっていた・・・。やっぱり。ないな。って自覚する。マスターんちに行こう。うんうん。

ぶっきらぼうに。そして雑に扉の開閉音。
「小千種さんって。いますかぁ~?」

うわぁ~。って。マスターに目線を送った。「嫌だ」って伝えた。マスターはサディスティックな目線をしていたが、応えはしなかった。安堵した。すると女性は「ニヒヒ」って顔で。

お店に居るお客さん一人一人に聞いて回った。常連客さんは、僕が嫌がっているのを理解していないんじゃない?って。面白くなさそうな顔の女性客さん。残る僕の所へ来た。

何故だかニヤニヤしながら。
「私を無茶苦茶にして下さいっ!!」

「キャハハッ」
マスターと僕は笑った。とっても、やばいなこの子。

「お噺だけならいいけどね?」
独身だとこういうのあるんだなぁ~って。お噺するだけ、お噺して。満足げに帰っていった。

「無いですねぇ~」
「うん。そうやろうと思ってたわ。最初から」

「キャハハッ」
マスターと僕は笑った。

水を差すように。
「あの人、けーへんようにならはるわぁ~?ウフフッ」
マスターの奥さん。

「そういう事じゃないじゃん」
居ずらくなった僕は帰ることにした。

「なんなんですかっ!!」
ニコニコしながら。いやいや、此方からは何も無いのだけれど・・・。

「そうだな・・・。可愛いと思いますよ?」
若い女性はどや顔。何だか。モデルポーズ繰り広げてますが・・・。追い詰められてる感が…圧がスゴイなぁ・・・。もしかして・・・。な。もしかしての質問をするのも、負けた気がするので。通り過ぎた。誰かと勘違いしているのかな?


「世の中。シンプルやからな?」
「そ、そうですか・・・」
昨日の今日で。シンプル・・・。シンプルってなんだろう?ってなりながら。

「言う~てもな?お前な?ちゃんとな?相手を思う気持ちで持ってな?真っすぐ向き合ったらな?ええねんって。ほんまに」

「な、なるほど」
そうなんですけどね・・・。お蕎麦屋さんを10店舗経営しているって聞いたんだけど・・・。僕の周りは何だか。何だか。何ですよ。

「自粛。分るよ?お前もな?自粛せんでええねんて。言いたい事。言えや?せやろ?」

「・・・せやな」
「そういう事じゃないねんて。無理に関西弁使わんでええねんて」

「は、はい」
「それやって」
話しが長そうなので・・・・。もういいかなって。酔っぱらってるから・・・順繰り。そういう感じです。

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