第44話

文字数 1,066文字




「名札は?」
「忘れてしまって~。あるにはあって。あると思うんだけど」
「ちゃんと名札を付けて下さいっ」
恥ずかしいっていうか・・・。「えぇーっ」って顔した。

「虐めてんのか?」
お客さんは店員さんにニヤニヤしながら。

「お母さんって思ってくれはるかなぁ~?おもてな?」
大丈夫だよって。店員さんに「もぅ」って顔。あぁ。此れも、お母さんに向けてみたいになってるじゃん。恥ずかしくなった。

「ありがとうございます」

あぁ。声が大きいお客さんが来た。女性は嫌がっている。どうしたものか・・・。悪い人ではないんだけどね。

「いらっしゃいませ」
「よいしょおーっ!!」
分かりますけどね・・・。

「ありがとうございます」
「あれー?無いんか?」

「そうですね・・・。申し訳ございません」
「お前は遅いねんっ!」

「申し訳ございません」
「これでええわっ!」
「ありがとうございます」

「帰るわっ」
「またのお越しお待ちしています」

「なんちゅーたんやっ!」
「また。来て下さい」
笑顔を返した。せやろ顔で嬉しそう。フフフッ。もうちょっと小さめの方がいいんじゃないかな?って伝えようかな?

「よいしょおーっ!!」
って帰り際、お客さんは叫んでた。

「どっちも無いですっ!!」
不機嫌そうな顔で入って来たアルバイトさん。
「お、おぅ」
脈略のない言葉に「えっ?」ってなった。

「俺より、他の男と長く話すなよ?」
いやいやっ。君が女性で僕が男性でしょ・・・。上に顔真っ赤だしね・・・。言って貰いたいのかな?でも、返事は要らないですっって感じで離れていく店員さん・・・。「んっ⁈」何で知ってんの?あれっ?誰から聞いたのそれ?観てたのかな?電車の中。

「レジの前にな?来たらお会計やろっ!何で。サッと来いひんねんっ!」
やべーな?ってバックヤードから覗き込む。

アルバイトさんは「ウフフッ」って、すぅんごい。笑顔なんですけど・・・。見ているのに気付いたようで。笑顔のまま。此方へダッシュ。・・・もぅ。意味が分からない。「お客さん。知らないっ」って感じで。

いやいやいやぁ~。こっち来んなって・・・。バックヤードから観切れる位置に。大丈夫かな?って気になって見てみると。・・・前屈して振り向き笑顔・・・。そうだね。あのモデルさんみたいにね?なりたかったんだね?うんうん。・・・。いやいやいやぁ~。

「申し訳ございません」
「お前やったら、ええんやけどな?」
「申し訳ございません」

お店を出ていくお客さん。アルバイトさんとすれ違い際で
「これで、ええんやろ?」

笑顔をお客さんに無言で返すアルバイトさん・・・。僕に掛けてどうする・・・。
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