第205話 心の暗闇●「強制退院」

文字数 4,172文字

 1972年10月28日。東京ガイヤンツ対宝塚ブレイブの日本シリーズ第五戦。荒井に同行してスターズの田村投手を観に行った時に、むしろブレイブのアンダースロー安達投手を自分のピッチングのお手本に考えていた里中繁雄は外野席から観戦していた。ガイヤンツの先発はサウスポーの高岡一三。里中は、このシリーズで第三戦に唯一、ガイヤンツ打線を抑えている安達を中二日で先発させてくると読んだが、その読みは外れてブレイブはベテランの麦田を先発させてきた。
 技巧派の安達とは対照的に麦田は、ごつい身体とスタミナで投げ抜く力のピッチャーだ。「どうも俺の目指す投手像とはかけ離れていて、あまり参考にならん」と思ってみていた。ただし一昨日、三勝を挙げ日本一に王手をかけたガイヤンツが、このまま優勝を決めてしまうと日本シリーズは終わってしまう。「麦田さんには悪いがガイヤンツ打線に打ち込まれたら、もう後がないブレイブは安達さんを出すんじゃないか」などと勝手なことを考えていた。
 二回に一点先制したものの、里中の思惑通り三回の表に麦田は、つかまった。三番司馬の同点ソロホームランに続いて四番長岡の逆転ソロホームランが飛び出す。敵地、西宮球場でもガイヤンツのファンは多い。晴れ舞台で二大スーパースターの連続ホームランが見れて大喜びである。ここで西監督はピッチャー交代。里中は「安達さん!」と思ったが、切り札安達は、まだ出さない。
 五番の末吉が四球。お世辞にも強打者と呼べない白江、林の連続ホームランが飛び出して、一気に五点を取った。「まぁ、これでガイヤンツの八連覇は決定だな」と思った。少し気楽に日本シリーズ最終戦の観戦と決め込んだ。冷静になったせいか?里中はガイヤンツ二軍投手陣が陣取った外野席後方の立ち見席に桃園新聞の山井がいるのに気が着いた。「やれやれ、この西宮くんだりまで追いかけてくるとは、この執念だけは尊敬できるな」と思った。
 里中にとって嬉しかったのは8-3と一方的なスコアになりながらもブレイブの西監督は九回表ガイヤンツの攻撃にエース安達を出してくれたことだった。「負けるにしても日本シリーズの大舞台で、あまりみっともない負け方はできん!」という西監督の執念が感じられた。その執念が乗り移ったように安達投手は司馬、長岡、末吉のクリーンナップを三者凡退に討ち取った。里中の思った通り「シンカーを打たれたら、シンカーでやっつけろ」という強気のピッチングであった。
 世間は「東京ガイヤンツ。奇跡の八連覇」に浮かれムードだが、球団内部は契約更改も含め、なかなか慌しくなる。里中はイースタンで七勝五敗十救援。計十七試合の勝ちゲームに関わったピッチャーとして来シーズンから一軍入りを約束された。朱美との挙式は「来シーズン終了後にして欲しい」と事務職員に釘を刺された。
 丸の内の球団事務所前で長岡ヘッドコーチと鉢合わせした。里中は「一軍入りの辞令をうけまいした。来年はよろしくお願いします」と挨拶をすると、長岡は悔しそうに
 「ふん。お前はいいな。わしは来年は二軍監督に逆戻りだよ。一軍ヘッドは黒岩だ。全く、もうやってられんよ。江口だよ!全く、あの疫病神のお陰で…」
 と長岡が言いかけたところで里中は唇に人差し指を立て「しっ」という仕草をした。長岡の耳元で「桃園新聞の山井一派が俺を尾行しています。たぶん例の件だと…」と言うと長岡も真剣な顔になり「よし。分った」と里中を首脳陣専用の談話室に入れた。「どんな敏腕記者でも、この部屋までは入って来れない」と得意そうに言った。
 「さて里中選手。桃園の山井なんだが、あいつどこまで掴んでるんだ?」
 「俺が声を掛けられたのが任天堂大学病院の前でした。江口敏ではなく二宮光という偽名を使って入院していることはバレてないと思います。ですが不安なのは江口が青雲大付属高校にいる頃、野球部に女子マネージャーがいたんですが、その子が任天堂大学医学部の二年生になってまして、どうも江口の入院に気がついているみたいなんです」
 「え!そんな偶然があるのか?女だてらに医学部とは…」
 「内川亜紀という子ですが、内川が実習で大学病院に行った時に江口の入院に気がついて翌日には見舞いに行ったそうです。その内川だけが球団外部で二宮が江口だということを知っている人間になる訳です」
 「医学部の学生か…これは病院側の人間とも言えるが、外部とも言える。その後、里中や大西、淡谷は任天堂大学病院に行ったのか?」
 「俺は高校時代にも山井達に尾行されて嫌な思いしてますから、一度も行ってないですよ。淡谷は一軍。大西にしてもイースタンも優勝目前で忙しかったですから、見舞いに行ってはいないと思います」
 「全く…江口敏が、これほど疫病神になってしまうとは…わしも考えていなかったよ。今度の人事にしても江口の退院後のことを考えて黒岩さんより、わしが二軍監督をやった方がいいという河村監督の考えだ。河村さんは何としてもノイローゼなど、なかったことにしようと考えておる。もちろん、わしもだがね。ともかく江口は寮に戻す。秋季は軽い練習だけ、させておく」
 ガイヤンツ首脳陣の対応は素早かった。その日のうちに江口は寮に戻っていた。しばらくの病院生活で、一時期の肥満体型は痩せさせられて以前の体つきに戻っていた。寮で若手選手同士が食事をしたり談笑する分には病気は回復しているように見えた。ただ誰に聞いても「少しぼんやりしている感じがする」という印象を持った。
 そして迎えた11月22日。東京ガイヤンツ二軍選手は一軍よりも一足先に練習納めを行い。その晩は納会となった。寮の食堂に黒岩二軍監督。中川ピッチングコーチら二軍コーチ陣も集められ、エビフライ、刺身、牛肉のステーキ等が盛られた普段より豪華な夕飯が振舞われた。中川が
 「本当ならガイヤンツは二十二歳まで酒とタバコは許可していないが、今シーズンは一軍も二軍も優勝した。成人している選手に関してはビールぐらいは飲んでもいいぞ」
 と飲酒を許可した。寮にいる選手でも大学出身やノンプロ出身は、すでに酒の味を覚えている。二十二歳以下でも隠れて飲んでいる者もいる。中川自身が酒好きなせいか「ははん。こいつは隠れて酒飲んでいるな」と思っても罰金は取らず黙認していた。堅物の長尾と違い、酒豪揃いの海洋モータースで監督の経験もある黒岩は酒豪でもある。
 「だが明日は後楽園球場でファン感謝祭がある。河村監督の話によると紅白戦は主力選手中心で行くから、来シーズン一軍の辞令が出ているメンバーは、ほどほどにしておけよ。他の者も、ファンと一緒に二人三脚競争や綱引きなどもある。それから、里中選手。君は芝山、真田、土屋と一緒にガイヤンツ俊足ナンバーワンを決める300メートル競走に選ばれておる。あまり、みっともない走りを見せると一軍入りも取り消しだ。自重しておけよ」
 里中は乾杯のビール一杯目を飲み干すと、しぶしぶジュースに切り替えた。隣にいた江口が笑いながら
 「里中君はお酒にも強いんだね。僕なんか、これっぽっちで頭がふらふらしちゃうよ」
 と話しかけてきた。見るとコップから二センチぐらいしか飲んでいない。高卒で、そのまま入団した選手で酒が飲めないのは江口だけではない。逆にビールをグイグイ飲めたりすると「お前は隠れて飲んでいるんだろう」と冷やかされる。
 「いや…俺は一年、ノンプロをやったからな。野球選手と言ってもノンプロはサラリーマンだから、どうしても酒は飲むようになるよ。ドラフトの前に一度は止めたけどね」
 中川は上機嫌で江口のコップにビールを注いだ。
 「まぁ、いろいろあったけど退院おめでとう!江口!まだ二年目じゃないか!くよくよするなよ。一軍で活躍するピッチャーだって一年目、二年目は苦しい。三年目にプロの実力がついてくるものだ。お前は真面目過ぎる。寮でも優等生だ。あの司馬君だって、堀本君だって、何度も門限破りをして寮長のゲンコツをもらってるんだ。プロ野球選手だからって野球だけやってる訳じゃない。遊ぶ時は遊ぶ。そして真剣に野球もやる。そういうバランスも大事なんだ」
 「コーチ…がんばります。来年は頑張ります」
 コップ二杯のビールでフラフラになった江口は半分眠りかかったような顔になりながら「頑張ります」と繰り返す。里中は内心、不安になった。「退院後の江口は一見、普通に練習をこなしているように見える。だが、たしかにいつも、どこかぼんやりとしているのは確かだ。ランニングでもキャッチボールでも、どこかタイミングが遅れる。病院は何か強い薬を飲ませていて、そこに酒を飲んだから、とんでもなく酔っ払っているんじゃないか?」と勘繰った。
 同室の館山が里中の肩を指で突いた。
 「よう。里中。中川さんは出来上がっちゃってるが…俺達は、ぼちぼち部屋に戻った方がいいんじゃないか?お互い、来シーズンは一軍入りと言われるから明日の公開紅白戦でリリーフってことも考えられるぜ。そこで崩れて一軍昇格を取り消し!なんてことになったら、泣いても泣ききれないじゃないか?」
 「うん。館山さん。俺も、そう思う。野手は分らんがピッチャーはショートイニングで投げさせられそうだ。それに俺は300メートル競走もあるしな」
 「そっちの方は手を抜けよ!下手に芝山さんや真田さんより早かったりすると、来シーズンで外野手に転向ってことにもなりかねんぜ。だがなぁ。お前はいいよ。実力が認められれば代走、守備固めでも一軍に定着できる。俺は打撃と走塁は、からっきし駄目だからな」
 「あぁ…。だが芝山さん、真田さんは、まだ若い。ライトの末吉さんも強肩だし足が遅い訳じゃない。ガイヤンツの外野三人は動かんよ。それにしても江口の酔っ払い方が危なっかしい。あいつも部屋で寝かせた方がいいんじゃないか?」
 「ああやって中川コーチが飲ませてるんだから問題ないだろう。今年の江口の体たらくじゃ明日は場内整備ぐらいしか用事はないから、お前が心配する問題じゃないだろう」
 等と話しながら里中は館山と食堂を出た。黒岩の周りには野手陣が集まっている。里中と館山が部屋に戻ろうとしているのを見ると「いい心がけだ」と声を掛けた。
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登場人物紹介

里中繁雄●本稿の主人公。野球選手と思えない痩身に芸能人も顔負けの美少年。サイドスローの技巧派投手。性格はルックスに反して強気で負けず嫌い。投手兼任外野手として活躍した後にノンプロ全丸大に入団。

江口敏●もう一人の主人公。ノンプロ野球選手だった父親に英才教育を受けた剛球左腕投手。童顔に逞しい身体を持つが闘争心はあまりなく、気は弱い。三年生の夏の甲子園で優勝投手となり、ドラフト一位で名門東京ガイヤンツに入団。

田山三太郎●里中のピッチャーとしての才能を見出した天才キャッチャー。打撃も凄まじくプロ野球のスカウトに注目されている。甲子園大会の通算本塁打記録も作り、ドラフト一位でパリーグの福岡クリッパースに入団。

岩城正●田山とは中学時代からチームメイトだった巨体の持ち主。三振かホームランという大雑把な選手だが怪力かつ敏捷さもあり、プロレス界が注目する逸材との噂はある。三年時にはキャプテンも勤め、そのリーダーシップは評価された。ドラフトでは江口の外れ一位ではあるがパリーグ近畿リンクスに入団。

馬場一真●田山、岩城と三羽烏と呼ばれた好打好守好走のセカンド。田山、岩城ほどのパワーはないがスピードと技術は最高。変わり者である。実は東京ガイヤンツから入団交渉を受けていたが野球の道は高校までと決めており、帝国芸術大学に進学する。

矢吹太●中学時代は将来オリンピック選手として期待された柔道の猛者でありながら、地元の不良や街のチンピラに慕われる奇妙な不良少年。江口の才能を認めキャッチャーへ転身する。高校時代は事実上のチームリーダーを務め、キャプテンとしてチームをまとめた。プロ入りは拒否。

朱美●矢吹の不良仲間で少女売春をやっている。根はマジメ人間で肉体を汚しつつも気持ちは美しい。江口に惚れられながら、自身は里中に惹かれていく。彼らとの交流を通して自分を変えるため、名古屋のデパートに勤める。

土井●里中ら一年生の時の三年生の主将。高校ナンバーワンのキャッチャーであり、女生徒に人気の男前であったが、田山にポジションを奪われ里中に女性人気を奪われる気の毒な先輩。しかし潔く後輩を立てる姿に人望を集めた。織田監督辞任後に新監督に就任。

織田●里中ら野球部の監督。かなりいい加減な人物だが選手の力量を見極める鋭い視点や実践形式でチームを育てる采配など有能な指導者。甲子園で優勝させてチームを去る。その後、江口の父親との縁で江口らの監督に就任。

天野●江口ら野球部の顧問。優秀な数学教師で弱小チームといえども独自の数学理論で一回戦ぐらいは勝たせる手腕を持つ。

小宮●江口ら一年生の時の三年生で主将。江口の入学で控え投手兼任外野手に転身するが江口らの理解者。

岡部●三年生の捕手で副主将。江口の実力を発揮させるために中学時代の後輩でもある矢吹を野球部に引き込んだ。

新山●静岡工業高校のエース。左腕の本格派として江口と比較される。英才教育を受けお坊ちゃんの江口に対して韓国籍による差別や貧乏に耐え抜いた。定時制から全日制への転入で年齢は里中、江口らより一つ上であり、江口に対してライバル心を燃やす。外国人枠で逸早く東京ガイヤンツに入団したが、怪我に悩まされている。

谷口●土井キャプテン引退後の新キャプテン。ともかく真面目で常識的な高校生。里中らが一年生の時には7番レフトで地味ながらチームを支えた。

青木●小宮引退後の新キャプテン。江口らが一年生の時には一番一塁手として出場。少し気が弱いが野球は大好き。学業の成績もいい。

ヨーコ●名古屋繁華街の組織の女の子。朱美の留守を守る。江口の相手をしたことがきっかけで江口の相談役となる。朱美が売春組織を辞めてデパートに就職したことに触発され、料理人の道を目指す。

夏美●中学時代から高校へと続く岩城の恋人。女子ソフトボール部の実力者。中学時代の里中を知っており、田山や岩城に、その才能を伝えた。甲子園球場周辺で朱美と知り合い友人になる。

黒沢秀●江口、矢吹の一学年下の新入生。抜群の運動神経と野球経験を持ちつつ、学科成績も優秀。レギュラーに抜擢される。

滝一馬●黒沢と一緒に好成績を収めた新入生。投手経験もあり江口に次ぐ青雲の投手になる。

内川亜紀●中学時代から矢吹のクラスメイト。不良少年の矢吹を嫌って避けてきたが、野球にのめりこみ無口になっていく矢吹の姿に惹かれていく。

浜圭一●里中と勝負するために明訓野球部に入ってきた新入生。右のオーバースローで速球派。生意気な性格は、そのままだが里中と並ぶ二枚看板投手に成長する。

池田●浜とは対照的に真面目で純情な新入生。田山を尊敬して入部。小学生に間違えられる小さな体だがキャッチャーとしての技術は高い。

八木●プロ野球界とアマチュア野球界を取り持つフィクサー。怪しげな人物だが常に選手のことを考えている温かい人物。

大田黒●ロシア系とのハーフであるため殿下と呼ばれる森沢高校のエース。実力は疑問視されながらもプロ入りを果たす。

二本松●里中達が三年生の時に入部してきた新入部員。不細工な顔と不恰好な体格だが投手としても打者としても素晴らしい才能を持つ。田山、岩城、馬場の中学時代の後輩であり、先輩達を高校まで追いかけてきた。

加藤弘●愛徳高校野球部員。不良学校の悪だが野球だけは真剣にやる。高校時代は由良明訓に敗れるが、その時の活躍で全丸大のノンプロチームに入団。左投げ左打ちの一塁手。

中間透●加藤と同じ愛徳高校野球部員。加藤よりも明るい性格だが相当の不良でもあった。甲子園では由良明訓に敗れたものの加藤と一緒に全丸大に入団。右投げ右打ちの三塁手。

高山志朗●全丸大のエース。里中よりも二歳年上で一年生の時の夏の甲子園では対戦はないものの出場していた。剛速球の持ち主だが四球で自滅する敗戦が多く、プロからの打診はあっても入団拒否をし続けている。後に里中に触発されて宝塚ブレイブに入団する。

湯川勝●江口らがプロ一年目で苦闘する71年。栃木県の柵新学院の進学クラスに突然現れた怪物ピッチャー。アマ、プロ球界を引っ掻き回す裏主人公。

湯本武●高校時代は甲子園出場を決めながら不祥事による出場停止。大学では四年時に監督との大喧嘩で退部。里中の入団拒否の代替でロビンスに入団。悲劇のピッチャーと呼ばれているが、明るく柄の悪いインテリヤクザ。

河村監督●東京ガイヤンツ九連覇を成し遂げる大監督。当初、痩身の里中を疎んじていたが、徐々に、その闘志と技術を認めていく。選手とは、あまり話をせずに腹心の報告によって対応する。管理野球の申し子。

長尾●ガイヤンツの二軍監督、一軍ヘッドコーチ、一軍投手コーチと人事異動の多い河村の腹心。無愛想で口うるさい人物のため選手には嫌われている。江口敏を死に至らしめた一因は自分にあると自責しており、里中に期待をかける。

黒岩●ガイヤンツ二軍監督、一軍ヘッドコーチ、一軍守備走塁コーチ。もともとガイヤンツOBだが一時期は広島の海洋モータースの監督を務めた。長尾とは正反対の親分肌の人物で選手から好かれているが、采配には疑問が残る。投手として入団させた人材を野手に転向させたがる傾向がある。

藤井●ガイヤンツ一軍投手コーチ、二軍監督。現役時代はガンジーと呼ばれる痩身のエース。そのため似たタイプの里中に目を掛けている。褒め殺しで投手を乗せる性格は選手に人望があるが、それ故、河村や長岡に疎まれてガイヤンツを退団する。

中川●ガイヤンツ二軍投手コーチ、現役選手よりも若いため若手選手の兄貴分のような存在。河村からも信頼を受けており、人事異動の多い組織の中で定位置をキープしている。

牧場●現役時代は中京ドアーズの内野手。英語が堪能でメジャーリーグの文献を研究しているため河村の声でガイヤンツのヘッドコーチに就任。一時期は守備走塁コーチに降格したが、その堅実な作戦は常勝軍団の頭脳と判断され、再びヘッドコーチに戻る。

長岡●六大学野球から鳴り物入りでガイヤンツ入りしたスーパースター。河村の勇退後の監督に内定しており、現役晩年は衰えを見せながらも最後の最後まで燃える男の真骨頂を見せる。

司馬●元甲子園優勝投手だがガイヤンツ入団と同時に打者へ転向。当初は伸び悩んだが、荒井打撃コーチの指導により一本足打法を開眼させ世界的なホームラン打者になる。長岡より五歳年下ということもあり、九連覇末期に、その打撃技術は円熟に達する。

堀本●紳士的なガイヤンツの選手の中で、あえて悪太郎という不良キャラクターを演じるエース。プライドと強気のピッチングが魅力。

高岡一三●堀本が右投手のエースなら、こちらは左のエース。性格も、どちらかというと陰気な真面目人間。堀本とは不仲なふりをしているが裏では大の仲良し。気が弱いのが弱点。

林●ガイヤンツ黄金時代のキャッチャー。陰険でケチ、投手はもちろん選手からは嫌われているが河村には絶対的な信頼されている。巧みなインサイドワークとポーズとしての弱気で相手を騙す。グラウンドの司令塔。

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