第15話:徳久先生の遺産相続の確認

文字数 1,522文字

 翌日、沼津商工会議所に出ると副会頭の武田さんに呼ばれて部屋に入ると徳久会頭がなくなったので、自動的に、私が、会頭になると告げた。その話を早速、会報に書いて関係者に送ると語った。峯崎悦郎が、徳久先生が生前、遺言書を残すと言っていたので、その遺言書を武田さんの見ている前で開けて、確認にしていただきたいと話した。

 そこで、後日の休みの日に来ていただけますかと聞くと了解してくれた。武田さんが、もう一つ、徳久会頭への退職金を経理が計算中だが、それを誰に渡したら良いかと聞かれ、それは聞いてませんというと遺言書に書いてあるかもしれないから急いで持ってきてくれないかと言われ峯崎悦郎が預かっている遺品全て持ってくると言い、部屋を出て行った。

 家に戻り30分足らずで、副会頭室に入った。そこで武田さんが、じゃー遺品を空けると言い、バッグ、大きな封筒の中身を机の上に出した。その中に封筒の封に実印を押してある遺書が見つかった。武田さんが空けるよと言って封を開き文面を黙読した。それには、この封書を見られている時は、私、徳久徳間は、既にこの世にいない。

 多くの人に世話になった事を思い出すと書いてあった、残念ながら親戚親族には、いろんな面で、恵まれず、最終的には、天涯孤独の身になった。しかし、縁は異なもの、あるとき、愛想の良い若者に会って、彼の素朴さ、従順さに、ひかれていった。その人の名は、峯崎悦郎。自分の息子のように思えてならない。

 そして、彼に、俺の跡を取ってもらおうと思うようになった。そこで、本題に入るが、私こと徳久徳間の預金、名義のもの全てを峯崎悦郎に相続させる事にいたします。遺産について多額の税金がかかる場合は、税控除の方法を税理士、弁護士などに聞いて上手にやって下さい。なお、土地、建物は一切所有しておらず、全て賃貸です。

 また、病院、埋葬、お寺への費用一切も峯崎悦郎君に処理して欲しいと書いてあった。
「最後に、峯崎悦郎君、本当にお世話になって、ありがとう」
「末永く、美人のステファニーと長生きして下さいと書いてあった」
「黙読して、遠くの空を見ながら、峯崎は、徳久先生との出会いからの場面をまるで映画を見てるように、頭に浮かび上がってきて耐えきれなくなり大粒の涙を流した」

「武田さんが、徳久先生全財産の全てを相続すると言う事がわかったと告げた」
「その遺書に武田さんが日時を書いて確認したと書き武田さんの実印を押した」
「峯崎君もハンコを押せば確認した事になると言った」
「2,3通コピーを取ると良いと告げた」

 その後、徳久さんの退職金も計算中だが、それは君に、渡す事になると言い、計算の詳細は数日中にわかると話した。病院、葬儀の費用の領収書、明細書もあるねと聞くので、ありますと答えた。それらが税控除になるはずなので取って置く様にと言われた。そして、いろいろ、お世話になって、ありがとうございますと武田さんに深々と頭を下げた。

 すると、君は、本当に素晴らしい男だと言い、徳久先生が、可愛がったのが良くわかると笑いながら言った。そして、その晩、家に帰り、妻のステファニーに詳細を話すと徳久さんは、出世して偉くなった反面、家族には恵まれなかったのねとつぶやいた。うちは違うわよ、峯崎悦郎は、奥さんにも子供にも恵まれ、幸せなのよと笑い、キスした。

「これからの長い人生、楽しんで行きましょうねと言った」
「徳久さんの事を思い出し、最後、肉親も友人も誰1人見舞いに来ないかったのね」
「何て可哀想な人なのでしょうと、言い、涙を流した」
 その後、峯崎悦郎は、武田さんに言われたように、沼津商工会議所で徳久先生に世話になっていた富沢税理士に相続の相談に行った。
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