第26話:大震災の初動記録2

文字数 1,423文字

 通報内容は、多い順に家屋倒壊、生き埋め、ガス漏れ、火災の順で、初期段階では火災通報は少なかった。管制室ではFAXが転倒しOA機器が転落。ガス臭が漂ってきたため職員4人が庁内のパトロールに走った。5時46分、地震発生と同時に事前規定「警防規則第119条・震度5以上の地震発生時には非常召集をする」により甲号非常招集が発令された。

 念のため全職員に対して招集の伝達が行なわれた。地震発生時、全職員の23%に当たる305人の職員が消防局・消防署等で勤務しており地震発生2時間後の参集率は全職員の約50%である。5時間後には90%以上の職員が参集。地震発生時間が早朝であったため殆どの職員は自宅で就寝中だった。電話が不通の地域も多かったため半数を超える職員は自発的に参集した。

 地震発生後1時間以内には、70%以上の職員が非常招集の電話連絡を受けている。5時52分、生田消防署ではガレージ西側に現場指揮所と応急救護所「6時」を開設、市民対応に当たる。5時53分、長田管内、川西通り付近で火災発生。現場に向かった小隊長から、すぐに第二出動の要請が入る。これが地震発生後1件目の火災覚知「火災を確認」である。

 管制室では長田管内の建物火災へ第二出動の指令を行おうと操作中であったが、他にも兵庫・須磨・灘などから火災通報が数件入ってきた為、同時多発火災であると判断。そのためそれぞれの所轄「消防署毎」で対応させる方針をとった。また各消防署別の被害状況をホワイトボード2枚で掲示する準備を行なった。

 119番で受信した内容を各消防署の消防係長に内線で伝えようとするも繋がりにくかったため指令電話で各消防署へ連絡した。その間にも各消防署には、火災や救助を求める駆け込み通報が殺到した。しかし全部隊が出動しているため情報通信勤務員は市民に対し理解が得られるよう懸命に現在の状況の説明に当たった。

 消防力をはるかに超える災害発生件数に対して、現状の施設及び人員を活用し、対応するしかなす術はなかった。火災は地震発生直後に少なくとも市内58箇所で同時多発的に発生している。監視テレビが地震の影響で使用不能になったため、小型カメラを持った職員2人が市役所1号館24階へ向かった。

 灘方面に炎・煙が5つ、中央区に1つ、長田方面は火災による黒煙で雲が発生した様な状況であり無数の炎を確認と連絡が入る。長田区では火災旋風が確認されたと言う情報。6時25分、消防局長が北須磨出張所を出発し消防局へ向かう。道中、須磨区・長田区・兵庫区での炎上火災、阪神高速道路の倒壊、交通センター、そごう神戸店、市役所等の建物損壊状況を把握する。

 6時40分、警防部長が管制室に到着。神戸市災害対策本部の設置について総務局に確認する。垂水消防署の消防隊一隊を長田管内へ命令出動。6時50分、警防部長を中心に本部指揮所を管制室内に開設。市長が管制室に来て、災害状況の報告を受理。被害の拡大防止に全力を注ぐように指示する。7時00分、神戸市災害対策本部を市役所1号館1階に設置。7時10分、消防局長が本部指揮所に到着。

「火災24件発生、うち炎上中が19件、その他災害108件」の災害状況」
「火災の早期鎮圧に全力を注ぐ部隊運用と同時多発災害のため管轄区域の災害は、基本的に各消防署で対応する基本方針を報告し承認を受けた」
「副本部長、警防部長から県に対し被害状況の報告を行なおうとするが集中して繋がらず」
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