The Creature (5)
文字数 1,204文字
ヤツは、この機体の右足に、ヤツの足に装着されている杭打ち機のようなモノで、複数の穴を空けていた。
その穴の1つが制御信号を送る為のケーブルをブチ抜いたのだろう。
続いて、ヤツは、この機体の背後に移動……。一瞬、反応が遅れてしまい……。
『左膝に損傷。左足の膝から下に、電力の供給と制御信号の送信が出来ません』
どうやら……ヤツは、左膝の関節に
続いて、ヤツの乗っていた
ガンッ‼ ガンッ‼ ガンッ‼ ガンッ‼
何だ、この音は?
人間サイズの
俺は、この機体にしがみ付いているであろうヤツを振り落そうとするが……機体が動かない。
「どうなってる?」
『脚部に損傷が有る状態で、そのような動きをすれば、機体が転倒する可能性が大です』
そ……そんな馬鹿な……。
やがて、後部カメラの映像に、
ヤツに銃口を向けようとしても……脚が損傷しているので、機体の向きを変える事さえままならない。
そして……
どうやら……ヤツは、
『想定外の外力を検知しました。転倒の虞れが有る為、弊機からの緊急脱出を推奨します』
はぁっ?
「待て……いくら何でも、人間用のバイクが、この機体を引き摺り倒せる訳が……」
『弊機は脚部損傷により、バランスを取る事が出来ません。この状態では、わずかな外力でも重大な影響が有ります』
ふざけんな、ふざけんな、ふざけんな……。
コックピットのハッチの開閉機能は、まだ何とか動いていた。
俺は、あわてて、コックピットから飛び降り……。
「いててて……」
結構な高さだが……何とか受け身は取れた。
だが、次の瞬間……何者かが、俺の顔に装着していたヘッドマウント・ディスプレイと防毒マスクを手荒に取り外した。
「ようやく、御目にかかれたな」
目の前に居たのは……
「ああ、そうだ……この街では、明日からハロウィンのイベントの予定だそうだ。この騷ぎじゃ開催は無理だろうがな」
「ふざけんな……。俺は『本当の関東』の育ちなんでな……。そんなモノ……富士の噴火より前の……子供の頃にしか経験してねぇよ」
「そうか……じゃあ、ハロウィンのお菓子だ。十年ぶりのハロウィンを、心ゆくまで堪能してくれ」
そう言って、ヤツは……何かのスプレーを俺の顔に浴せ……やがて……俺の意識は……。