高木 瀾(らん) (3)
文字数 694文字
「余剰エネルギー放出準備。出力最大。胸部・脚部前面。放出」
「鎧」の制御AIに命令。
「うげっ⁉」
私は放出された余剰エネルギーを利用して久米と距離を取る。
「
私は関口に音声無線で連絡。
続いて……「チタニウム・タイガー」の底部から炎が吹き出る。
本来は、障害物を飛び越えたり、急加速をする為のロケット燃料だ。
底部と後部に各3回分。ただし、今回は、底部の3回分を1度で使い切った。
「チタニウム・タイガー」は宙に浮き後退。
「『ガジくん』来てくれ」
私は、制御AI搭載の
「て……てめぇ……」
体毛は焼け落ちてはいたが……まだ……死んではいない……。
私は、久米の鳩尾に蹴りを入れる。
「ぐへっ……」
「防御特性を自在に変えられる鎧」と言うべきヤツの体毛は失われている……。
だが、蹴り一発では倒れてくれない。
ヤツの右手の爪が延びる。
その右手が振り降され……。
私は久米の右手に飛び付き、全身の力を使って肘関節を
「うがあああっ‼」
だが、ヤツは、私の体ごと自分の右手を近くの建物に叩き付ける。
プレハブの建物の安物らしい壁は、あっさり陥没。
と同時に、ヤツの右腕の肘関節を外す事に成功。
再び久米の絶叫。
しかし、それは、肘関節が外れた苦痛によるものでは無かった。
久米の胸から……何本もの矢が生えていた。
その