関口 陽(ひなた) (1)
文字数 890文字
しかし、それで説明が付くのも確かだ。
ただし、「この世は3分前に神様が適当に作り出しました。ついさっき生み出したばかりの全人類に高度な文明と『この世は昔から存在している』と云う錯覚を与えた上で」理論でも、この世の全ては説明が付くだろう、と云う意味で……。
あの与太話が本当かは今考えても仕方ない。「理屈はどうなってるか判んないが、そもそも、あの『鎧』やそれと同じ原理で動いてる『敵』に何が出来て、何が出来ないか?」を考えた方が有益だろう。
私達は、この「島」の3大幹線道路ではなく、脇道を使って、「島」に上陸した「国防戦機・特号機」とやらと、「九段」の自警団「英霊顕彰会」が激突するであろう地点に向っていた。
この「島」の4つの地区を繋ぐ円周道路である通称「昭和通り」上の「九段」地区と「有楽町」地区の境界へ。
強化服「
バイクが3台、トラック1台、4輪バギーが1台。
メンバーは、私、「
「おい、この経路だと一時的に『九段』に入ってしまうぞ」
「マズいか……やっぱり……」
「『やっぱり』って事は知ってたかの……?」
「ああ……」
「九段」地区の周囲には、ある程度以上の「気」量を持つ者が侵入した事を検知する結界が張られている。
「『九段』の自警団も、それどころじゃない事を期待するしか無いか……」
だが、私達が、まだ、ギリギリで「九段」地区に入っていない内に……。
『そちらの
私より若い女の子より無線通信。
何故か眼鏡のアイコンが表示され、その下には「Kurume Supporter 04」と云う文字が表示される。
そして次の瞬間……。
「お……おい……これ……」
「マズいな……こりゃ……」
ヘッドマウント・ディスプレイには無数の光点が表示されていた。
「……今日1日で、あれだけの騷ぎが続いた以上、最初から警戒状態か……」