百瀬 キヅナ (3)
文字数 1,011文字
「本当に何とか成るんですか、これ?」
モニタの映像を見ながら、私は、そう聞いた。
「この船の設計データは既に入手してる。管理システムに手が入っていなければ……それ程、難しくは無い筈だ」
小太りの中年男は、そう説明した。
続いてドローンから一本の「触手」が延び……サーバールーム内の有線LANのHUBに、その「触手」の先端が差し込まれる。
そして、昔の映画のハッキングのシーンのように、画面に次々と文字入力型のターミナルが開き……。
数分後……。
「監視カメラの映像はダミーに差し替えた。ガスを撒き散らしてくれ」
私の操っているネズミや野良猫、他の呪術者が操っている猿、そして、8足歩行型ドローンが船内に持ち込んだ小型ガスボンベから催眠ガスが噴射され……。
「爆弾解除班、突入して下さい」
「本当に……巧く行ってますね……」
「まぁね……」
流石に、爆弾の解除は手間取っているようだ。
十数分後……。
『爆弾は上下二重構造。下が船底をブチ抜く為の指向性爆弾。上がドラム缶の中身をブチ撒ける為の普通の爆弾』
船内に潜入したメンバーから連絡が入る。
どうやら、船内に核廃棄物をブチ撒けた上で、船を沈める事で、海を汚染する、と云う仕組みらしい。
「解除には、どれ位かかりそう?」
『まぁ……1時間ってとこかな?』
「あとは……?」
「爆弾の解除待ちだね」
あまりにもあっけない終り……だと思っていた。……その時は……。
だが、数十分後、爆弾の解除が、まだ7〜8割しか終っていない時点で、とんでもない無線通信が入ってきた。
『こちら「
『こちら、爆弾解除チーム。爆弾のカウントダウンが始まった。あと一五分後に爆発する模様』
「えっ?」
「……えっと、プランB開始……」
『こちら爆弾解除チーム。撤退を開始……いや、プランB開始まで一〇分待ってくれ』
「へっ?」
『俺達が失敗したら、手順通りプランB。俺達が成功したら……凍らせるのは下じゃない……上だ』
「上?」
『爆弾8つを全部引っくり返す。船に穴は空くだろうが……船底じゃなくて、上だ。その穴を凍らせた海水で塞げば……外に漏れる放射能は最小限で済む筈だ』
「
「凍らせる? 今、凍らせる、って言いました? 何を凍らせるんですか?」
「ええっと……そりゃ……海……と言うか海水を……」