高木 瀾(らん)
文字数 880文字
レナから再び電話が入った。私の家に辿り着く頃には、何人に増えてんだ? と言おうとしたが、何か口調が微妙におかしい。
「何か更にトラブルが起きたのか?」
『連れ2人が「九段」の「魔法使い」に攻撃されて……熱が出てる。片方は高熱なのに顔が真っ青。もう片方は……顔が真っ赤になって、血が混った痰が出てる』
「どんな魔法か判るか?」
『それが……連れは2人とも「魔法使い」なんだけど……「
「何か……小さい動物みたいなモノを見なかったか?」
『え……何で知ってるの?』
聞いた事は有る。多分「くだぎつね」だ……。
「あと……その2人の体のどこかに……小さい噛み傷は無いか?」
『ある……。片方は太股で、もう1人は脹脛。……あ……どっちも化膿してるみたい』
「まさか……あんたまで……短かめのスカートとかじゃないだろうな?」
『いや……
「生地は厚手か?」
『うん……結構……』
「なら……大丈夫だと思うけど……でも、気を付けろ……。あんたは無意識の内に大概の『魔法』を無効化出来るが……その『魔法』は例外の可能性が高い」
『どう言う事?』
「その『魔法』は……多分、感染症を媒介する小動物を操るモノだろう。動物は『魔法』で操ってるが、感染症は『魔法』的なモノじゃない普通の自然の病気だ。……もし、『使い魔』に噛まれたら……『神の力』の持ち主でも感染して発症する。多分、あんたが無事で済んでるのは……『使い魔』の歯や牙では、作業着の生地を貫通出来なかったからだろう」