関口 陽(ひなた) (4)
文字数 652文字
「その話、何度目っすか?」
私は「
この「島」で……下手したら4つの「紛物の東京」の中で、最も豊かだった町は廃墟と化していた。
逃げ遅れたらしい観光客や一般住民。
この町の「自警団」のメンバー。
理由の判らない虐殺を始めた白い
様々な死体が、あちこちに転がり……火に包まれている建物も有るが……その近くには、消防隊の死体。
いくら、この町の「自警団」の中心メンバーが「死霊使い」だからと言って、町中が死体で溢れるような事態は望んでいないだろう。
「気味悪い……」
台湾から来た女の子がそう言った。
「そうだな……ここまで
死体はゴロゴロしてるのに……「死霊」の気配が少しも感じられない。
死の気配がまるでしない死者の都に……バイオテクロノジーで作られた「一年中花を咲かせる山桜」の
やがて……もう……何者かに「食われ」て消え去った霊力の柱が有った場所……町のほぼ中心部に辿り着いた。
幕末の侍の銅像。
奥に見える2つ目の鳥居と門。
こここそが……かつて「本物の東京」の「本物の九段」に有った神社を模した場所。……「紛い物の東京」の「紛物の九段」に有る「紛物の靖國神社」だった。
そして、この神社の参道にも……また、いくつもの死体が転がっていた。