高木 瀾(らん) (4)
文字数 1,343文字
自ら「肉の盾」となって重症を負った連中が立ち上がり、私にしがみ付き始めた。
『お前が攻撃しようとしたヤツが……大量の悪霊を呼び出した。その悪霊に取り憑かれたんだ』
「
「その悪霊を何とかする方法は?」
『無い。今の私じゃ……無理だ』
「悪霊を呼び出したヤツを倒せば、何とか成るのか?」
『ああ、多分な……けど……』
「けど……何だ?」
『かなり凶悪な悪霊だ……。除霊出来ても……取り憑かれた奴らは無事じゃ……』
「行けっ‼ 早く‼ 行って、お前の仲間の無事を確認しろっ‼」
『えっ⁈』
「その悪霊とやらが、お前の仲間にも取り憑いてる可能性が有るだろっ‼」
『わ……判った……』
「腕も装備も中々だが……所詮は、お行儀のいい『本土』の『正義の味方』か……」
目の前に居る「神保町」の自警団のリーダー……多分……が嘲るようにそう言った。
「この程度で、私を何とか出来ると本気で思っているのか?」
そう言ったモノの、マズいのは確かだ。
「鎧」の
「あの……
「神保町」の「自警団」員らしきヤツが、
「街頭防犯カメラは、まだ動いてるのか?」
「えっ?」
「聞かれた事に答えろ」
「ええ……ええっと……」
自分達のリーダーに、そう言われた「神保町」の「自警団」員は、
「この辺りのヤツは……壊れてるみたいです」
「なら、問題ない。その『鎧』が電池切れになるか……『鎧』の中のヤツが疲れ果てるのを、ゆっくり見物しよう」
「
「何の
私が、その言葉を唱えると、「神保町」の自警団のリーダーは、出来の悪い生徒へ教えるように告げる。
次の瞬間、銃声と血飛沫と絶叫。
私の手には拳銃が握られていた。
「鎧」の両手首には隠し武器である
私の動きを封じようとしたゾンビもどき達は、ある者は片腕が千切れ、ある者は片足を失ない……戦闘能力を半減させていた。
私が唱えたのは、もちろん呪文などでは無い。
効力が有るのは、私だけだ。
『5分後に、私の
私は、仲間に、そう無線連絡した。
『
かなり危険な手だが……これしか無いだろう……。
あと5分間……私は……大半の人間が持っている「殺人に対する本能的な禁忌感情」が抑制された状態に有る。
言うなれば、
そうだ……「英雄」になる為に、自分の妹と弟を殺した、あの底が抜けまくった阿呆と同じ……一時的・擬似的なサイコパス。
私とヤツの違いは……嫌でも正気に戻れる手を打ったか、あえて心を凍り付かせたままでいるかぐらいだ。
「撤退か……降伏を勧告する」
「ふざけるな‼」
「神保町」の自警団のリーダーの回答と同時に……次々とゾンビもどきが押し寄せてきた。
「訂正。自己暗示の解除は……3分後で十分だ」
次の瞬間……ゾンビもどきの頭が3つ宙を舞った。