秋光清二 (2)
文字数 1,052文字
既に俺達の車は「九段」地区に入っていた。
高架上の島の4つの地区を繋ぐ円周状の幹線道路「昭和通り」では、光が瞬いていた。
銃撃の音は車の中にまで響いている。
「止めろ」
昭和の特撮ヒーローもどきの命令。
俺とヤツは車から降りる。
俺達が居る高架下の側道でも戦いが起きていた。
一台の大型トラックの周囲に人間サイズの遠隔操作式のロボットが二十近く群がっている。
メーカーや商品名までは知らないが、全て同じタイプ。
そのロボット達を、トラックの上に乗っている2機の別のタイプのロボットが銃撃していた。
「あ……ちょっと待って……」
「お前が来ても、役に立たんぞ」
「判っちゃいますけどね……こっちが安全そうなんで……」
「お前の安全は保証は出来かねるし、積極的にお前を守る気も無い」
「そんな冷たい事言わずに……って?」
俺達に気付いたらしいロボットが何体かこちらに向う。
ロボット達が使っている軽機関銃の弾は……昭和特撮ヒーローもどきには通じない。
昭和特撮ヒーローもどきは、そのまま駆け出して抜刀。
まず一機の上半身と下半身が永いお別れ。
続いて、二機目が唐竹割り。
しかし……。
「うわあああ……待て、待て、待て……ちょっと待て……」
俺に銃撃をしてくるヤツが居る。
「だから……言った筈だ。安全は保証出来んし、お前を積極的に守る気も無い……。ほう……中々器用な真似が出来るな……」
俺は、たった1つの「異能力」を使い、両腕を延ばして高架のガードを掴み、続いて、腕を元の長さに戻す。
「すまない。そのまま、上の様子を見て来てもらえないか?」
「無茶言わないで下さ……誰だ?」
声の主は昭和特撮ヒーローもどきでは無かった。
若い女の声。
「了解した」
声の主は……青い
その
あるものは……センサが集中している頭部を粉砕され……またあるものは……胴体を縦に切り裂かれ……。
「どうなってる? 新顔だと?……それも……小娘か?」
昭和特撮ヒーローもどきは……乱入してきた「鎧」に、そう呼び掛けた。
「護国軍鬼・零号機だな……。協力を要請する」
もう1人の「ヒーロー」は……全く噛み合っていない返事をした。