関口 陽(ひなた) (1)
文字数 1,243文字
この強化服そのものが一種の「護符」になっている。
しかし……。
「これって、防御用の魔法か呪術がかけられてますよね? でも、何か、おかしいつ〜か、面白いつ〜か……」
私は、もう1人の「
「いや……その手の事は良く知らないけど……どうやら、
いや、確かにその通りだ。しかし……。
「それって、その……」
どう考えても、「並の防御魔法では防げない霊的攻撃をしてくる相手」と遭遇する可能性が高い、と……少なくとも、こいつらの指揮官は考えているらしい。
「
「えっ?」
お……おい、何が起きようとしてるんだ、一体?
「ところで、何て呼べばいいんだ?」
その時、「チビ」改め「ニルリティ」が、そう声をかけた。
「『何』って何?」
「私がお前を本名で呼んでる所を、誰かに見られてマズい事になってもかまわないなら、本名で呼ぶけど、その後の面倒までは見る事は出来ないし、見る気もない」
「……あぁ、そう云う事か」
「まさか、私もか?」
もう1人の「
「そもそも、何で、『工房』のメンバーが
「悪いか?」
「そっちのコードネームは『工房』のメンバーとしてのモノだろ」
「急ぎだ。コードネームはいつものを使う」
「じゃあ、コードネームを確認する。『
「早太郎」
そう言ったのは銀色の狼男。
「
黒いコートに京劇の孫悟空風のペイントのフルヘルメットの男。
「北の港のカフェの副店長」
もう1人の「
「へっ?」
どうやら、その「北の港のカフェ」ってのが「工房」とやらのコードネームで、そこの№2って事なんだろう。
「残るはお前だ。早くコードネームを決めないと本名で呼ぶぞ」
どうも、インド神話系のコードネームが多いらしい……なら……。
「えっと……
「却下」
「何でだ?」
「残念だが、仏教の護世八天の名前は、ほぼ全部、こっちの中でも大物クラスのコードネームとして使われてる。一時的な呼び名でもまぎらわしい」
一応、私の守護尊は金剛蔵王権現だけど……日本でデッチ上げられた神様なんで、サンスクリット語の名前が無い。
「なら、
「よし、じゃあ、呼び名も決ったんで、行くぞ。あと、何か言われた時の返事は『ああ』『うん』とかじゃなくて、Yes/Noが判るような返事をしてくれ」
「わかった……」
「どうした? 気になる事でも有るみたいだが……」
「いや……私のコードネームについて、何か嫌味を言われるかと思ったんでな……」
「言って欲しかったのか? コードネームと実力が釣り合ってない、とか」