関口 陽(ひなた) (3)
文字数 996文字
私に事情を
「何の話をしてる?」
「気にするな。『誰かに捕まったりして、嘘を言わされてたりしてない』『こっちが言う事は信用していい』と知らせる為の意味の無い合言葉だ」
チビは、そう説明したが……どう言う合言葉だ?
「で、事情は聞いた通りだ。そう、
「お……お前……今、何て言った?」
「良く知らないんだが……『魔法』の産物だと、そう云うモノが有ったりするのか? 経口摂取で、胃の中で溶けてない内から効き出して、相手に飲ませたが最後、他人を取調べる訓練を受けてないヤツでも正確な情報を聞き出せるような『自白剤』が……。それとも、お前は、私が思ってたより頭が良くて、全部、芝居で、あれは嘘の情報だったのか?」
「こ……この野郎ッ‼」
「後で、お前の組織の上司に『自白剤を飲まされてベラベラしゃべりました』とか報告したら、ややこしい事になってたぞ。その上司が『自白剤』がどんなモノかちゃんと知ってた場合は特にな。有益な情報を教えてやったんだから、感謝してもらいたいモノだな」
「ふ……ふざけんなッ‼」
私はチビに殴りかかったが……次の瞬間、あっさり脇固めをかけられた挙句、道路とキスをする羽目になった。
「気に食わない真似をやった相手には、まだ無事な方の腕も脱臼する危険を承知の上で、反撃するか……」
「うるせぇ……」
「仲間が同意してくれるかは、ともかく……個人的には気に入った」
「えっ?」
「人質になってる仲間が十二人。同じヤツに捕われてるのが十三人か……」
「そ……それがどうした?」
「意識の無いヤツを二十人以上運べる車。その運転手。二十人以上の人間を車まで運べるだけの人員。この『島』で調達出来る心当りは有るか?」
何をやってくれる気かは判るが……困った事に、そんな心当りなど無い。