The Creature
文字数 1,107文字
俺は「
「何だい?」
青白い痩せた顔。
本当かどうか知らないが、安い犯罪モノの映画やドラマの「サイコパスの猟奇殺人犯」「頭のおかしい冷血漢」風に見えるような顔に、わざわざ整形した……そんな話も聞いた事が有る。
白の背広にワインレッドのYシャツに金色のネクタイ。
目がチカチカするほど派手な……複数の色に染めた髪。……いや、どう見ても
顔にはニヤニヤとした表情が浮かんでいる……いや、良く見れば、貼り付いているとしか呼べない。
普通の人間の「笑い顔」なら、1秒後には……笑い続けていたとしても、全く同じ「顔」ではなくなっている。顔の筋肉に何らかの動きが有るだろう。
しかし、こいつの顔は……1分後も5分後も、全く同じ「笑顔」だ。
知らないヤツが、こいつの顔を分単位で見続けていたなら……リアルに作られた仮面だと勘違いするだろう。
「何故、あんたが……自分の体に、この玉っころ埋め込まな……」
俺が全部言い終る前に、ヤツの背広とYシャツのボタンが飛んだ。
胸の中心には、ヤツの心拍数を測定する
俺に埋め込まれている「爆弾」もその一つだ。
だが、それ以外にも、ヤツの体には手術跡がいくつも有った。
そして、ヤツの胸に有る傷跡の中には……その傷跡の位置と形は……明らかに……俺の胸に埋め込まれているモノと……ほぼ同じ……。
「そりゃ……試してみたさ。こんな、すげぇ〜オモチャを操縦するなんて、男の子の夢だ。俺だってよう……心だけは、まだ、男の子のつもりだぜ。……まぁ、その……変なクスリをキメ過ぎた副作用で、男として肝心なモノが勃たなくなっちまったが……」
続いて……ヤツは
禿頭に有るのは……無数の縫合
「けどよ……。どうやら、おめぇの体に埋め込んだモノは……脳や心をいじられてるヤツに埋め込んでも……ウンともスンとも言わねぇらしいんだよ……」
そう言う事か……。
だから……ヤツは……俺のような「脳や心をいじられて」いない人間を、これの操縦士にするしかないのか……。
「そろろそ到着だ。しっかりやれよ……。あと……贋物の『靖国神社』が持ってる……これの予備機を間違っても壊すんじゃねぇぜ」
俺の体には……この「国防戦機・特号機」を動かすのに必要な「ある物」と共に……爆弾も埋め込まれている。
ヤツの意志で好きな時に爆破出来る……そして、ヤツが死んでも、これまた爆破する……爆弾が……。
どうすればいい?
どうすれば……この……ロクデモない「絆」を断ち切れる?