高木 瀾(らん) (3)
文字数 1,350文字
「入谷七福神」のメンバーの女の子……自白剤を飲まされたと思い込んでベラベラしゃべった話によると「関口
格好は、私達を港で襲った連中に似ている。
今は、何発ものゴム弾を食らって意識が朦朧としている状態だ。
「何をやってるんだ?」
「自白しやすくする為に脳をちょっとね……」
「ちょっと……って?」
「脳の一部を一時的に麻痺させるだけだ」
「あんた、そんなのが専門なのか?」
「いや、全然。そこそこは使える程度だ」
「やめてくれ。嫌な予感しかしない。2〜3ヶ月前に、精神操作が専門じゃない『魔法使い』が、その手の魔法を使って大惨事を引き起し……あっ……」
言い終えない内に、男は獣のような叫びを上げ……。
「あいたたた……何だ、こりゃあっ」
男は関口に抱き付いていた。と言ってもセクハラじゃない。要はベアハッグと言うか鯖折りと言うか……。
「やれやれ……言わんこっちゃない……」
私は、「ガジくん」の荷物入れから、警棒型スタンガンを取り出し、先端を男のうなじに当てる。
次の瞬間、男は、これまでと微妙に違う絶叫を上げて……やがて動かなくなった。
「な……なんだ、こりゃ? 何が起きた?」
「こんな『魔法』は無いか? 誰かに精神操作をされようとした場合に……こいつみたいに、突然、暴れ出して自分を『精神操作』しようとした相手を殺傷してしまうような『仕掛け』を脳に仕込んどく、ってのは?」
「いや、そりゃ……理屈の上では有るけど……かなりの腕前のヤツが、ヤバい薬物を併用した上じゃないと……多分、無理だ……。あと……そんな術は言ってみりゃ『精神操作』の『上書き』を防ぐ為のものだろ……? なら、こいつらは……
「なぁ……こっちの『自警団』の事は良く知らないんだが……新参の『自警団』が、たった2〜3ヶ月で、あんだけデカくなる事は有り得るのか?」
「そう言う事か……私らと『寛永寺僧伽』は、まだ勢力は小さいが……何しでかすか判んない……かなり
私も甘く見ていた……。馬鹿が暴走すると何が起きるかを……。
「なぁ、ところで、さっき言ってた、専門じゃないのに精神操作の魔法を使った馬鹿な『魔法使い』は何をやったんだ?」
「ああ、そいつに『精神操作』をされたヤツが、『精神操作』の『魔法』を使ったマヌケすら慌てふためくような酷い真似をしでかしたんだ」
「一体、どう云う事だ?」
「『秋葉原』の新しい『英雄』になれ、と云う暗示をかけられた結果、何を、どう勘違いしたのか判らんが……自分の妹と弟を殺した」
「待て……『秋葉原の新しい英雄』だと……? おい、まさか……」
「ああ、その自分の弟と妹を殺した馬鹿こそが『Armored Geeks』のリーダーだ。……ちなみに、その馬鹿野郎は、自分の意志で……『精神操作』の魔法にかかったままになってるらしい」