高木 瀾(らん) (6)
文字数 846文字
2人1組で互いの死角を守り合っているのが2組。
やりすごす事も出来たが……気絶させた「国防戦機・特号機」の操縦者を搬送する邪魔になる。
さすがに破損した道路に、突っ立ている「国防戦機・特号機」が目立たない訳が無い。
ガスマスクを付けているので、「国防戦機・特号機」の操縦者に使った非致死性麻酔ガスも無効。
仕方ない。
「国防戦機・特号機」の操縦者を高架下の比較的安全な場所まで運ぶ。
だが、奴らも私に気付く。
同時に……私も何かがおかしいと気付いた。
それまでの……言わば教科書通りの行動から、全員が私の方を向き、私に銃撃しながら私に接近して来る。
私が、もし、囮だったなら……。
私に、もし、仲間が居て、近くに隠れていたなら……。
そんな事を何も考えていない行動だ。
「レコンキスタ」本部直属の精鋭部隊にしては、あまりにも……いや……何か嫌な予感がした。
「常人が特異能力者と戦う為の装備」を使っている「常人とは違うロジックで動いている人間」……そんなヤツを私は良く知っている。
他ならぬ私自身だ。
「『ガジくん』。私と敵兵士の中間の地点に煙幕弾」
私は人工知能搭載の
「鎧」のカメラを赤外線モードに切り替え、敵に接近。その内の一体の腹に掌打を撃ち込む。
残念ながら、まだ、百発百中の技じゃない以上、単なる「ちょっと強力な掌打」で終ったようだ。
しかし、それで相手の膝から、わずかに力が抜けた。
そいつの背後に回り込み、左腕を首に回し……右手のナイフで相手の腹を死なない程度に刺す。
そして、そいつの体を残り三体に向け盾代りに……悪い予想的中。
やつらもカメラを赤外線モードに切り替えて、煙幕の中でも、こちらの姿が見えるようになったらしい。……だが、それは、あくまで的中した予想の一部に過ぎない。
次の瞬間、私は、そいつの体を離し、他の三体が味方ごと私を撃とうとした銃弾を回避……とんだ「最精鋭部隊」だ……。