関口 陽(ひなた) (4)
文字数 973文字
チビは、どこかにそう連絡した。
「『ガジくん』? 一〇年ぐらい前の子供向けアニメに出て来た恐竜か?」
「ああ、仲間のコードネームだ」
「あのさぁ……お前らって、昔のアメコミ・ヒーローみたいに、変なコードネームで呼び合ってるのか?」
「あんた達『魔法使い』だって、変な渾名を名乗ってるだろ」
「ああ……ウチの流派は例外だ」
「へっ?」
「『真の名の掟』ぐらいは聞いた事有るだろ。他の流派では『一般人としての名前』を『真の名』と見做して秘密にしてる所が有るみたいだけど……ウチの流派では『呪術者としての名前』を『真の名』として秘密にする事になってる」
「本当に『真の名前』とやらに何かの意味や効果は有るのか?」
「え……っと……まぁ、その……」
「何だ、無いのか? なら、どう考えても、『一般人の名前』の方を隠すのが合理的だろ。身元がバレにくくなる」
「まぁ……その……そうかな?……言われてみれば……」
「大体、その『真の名の掟』とやらも『身元を隠す』目的で始まった事が、形骸化したり迷信になっただけじゃないのか?」
何となく判った。こいつらは合理性が第二の本能になってるような連中で、中でも、このチビは更に極端に「合理的」なヤツらしい。
その時、目の前に青い
「あのアニメの主人公とは色が違うが『ガジくん』だ」
「何故、そこがツッコミ所だと思った?」
「がじっ?」
「何だ今の声は?」
「『ガジくん』の鳴声だ」
「何で、そんな機能が有る?」
「こう云うモノにも遊び心は必要だろ。何だかんだ言って殺伐とした稼業なんでな。少しは心の安らぎが必要だろ」
チビは、
「何だ、そりゃ?」
「何かの電波源が無いかを調べる」
そう言って、その誘導棒もどきを私の体の近くで振る。そうすると、時々「ピピッ」と云う音がして……。