ホームシック・ミュージック

文字数 573文字

昨夜ジブリの映画音楽集を聞いていたところ、
「なんかホームシックになった気分になる」
と、娘が言います。ホームシックって……母(私)がなるなら分かるけどね、あなたここで生まれてここで育ってるじゃないの。しかも母親が隣りにいるのに。
「うーん、そうなんだけど。ホームシックみたいな気がする」

さて、子供の語彙力とは。そもそも子供に限らず、人間というものは一人ひとり、同じ単語や文章でも仮託している意味は若干違うわけですし、まだいろいろと学び途中の子供が、それぞれの単語を上手く使えなくてもしょうがない。
「自分じゃない誰かになった気がするの? それでその子がホームシックなの?」
尋ねると娘は曖昧に頷きますが、おそらく、音楽を聞いてある種の想像力が掻き立てられる。想像というのは、自分についてのこともあるし、何者かの存在を考えたり感じたりすることでもあるのだと思います。

それなら私にも分かるかも。好きな音楽を聞くと、心が空間も時間も飛び越えていくような感覚がする。まだ見たことのないもの、聞いたことのないものに、出会えるようなワクワクした気持ちになるし、帰るところを見失ったようにもなるし、何か人というものの中に巣食うやるせなさや懐かしさがこみ上げるような気がする。それが娘の言う、“ホームシック“みたいなものかな、と思った夜でした。

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