“リアル”をつくる

文字数 720文字

  職業訓練学校、今学期の主要科目は映像編集です。本日たった二分弱の追跡(チェイス)ムービーをつくるのに、編集ソフトのタイムラインはみじん切りです。うあーどうしろと。

 今まで観客でしかなかったので、テレビ番組や映画が、こんなに細かく編集されているとは気付きませんでした。けれど習った後に見てみれば、ショット(角度やズーム、動きの連続性)が頻繁に変わる、むしろこのショットの素早い転換が緊迫感のある映像をつくる訳で、それを意識させない、スムーズに構築できる専門家の方って凄いなあ……

 日本にいた頃は小規模なラジオ局で働いていました。なので音声編集の“沼”は知っていますが、映像もかくなるかな……気付くのが遅かった。作り込み出すとキリが無いのでしょうね。

 一方ラジオの場合、トークや対談番組はあまり編集しないほうがよいのだと、当時のプロデューサーは言っていました。勿論、尺には合わせなければなりませんし、収録前に流れについて打ち合わせはしてあるのですが、話のテンポや掛け合いを損ねないようにするほうが面白い番組になるのです。

 うーむ、どういうことかしら。かたや綿密に編集したもの、かたや自然の流れを重視したもの。恐らく前者は“ストーリー”をつくるためのもので、後者は“人”となりを見る・聞く・楽しむものなのですよね。

 ラジオの話し手は、トークだけでリスナーを長時間引き付けることができます。それは個人の技能であり個性であり、リアルな人間存在の魅力です。一方、作られた物語を見せるためには、さまざまな技巧を用いて、現実以上に「本物らしく」描かなければならない、ということなのでしょうか。

 では、文章を書く場合は? ……こちらも底無し沼のようです。
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