誰かのいつかははあなたの足元

文字数 504文字

 砂浜を歩くのって気持ちがいいですよね。オーストラリアには12000余りのビーチがあるそうで、ちょっと遠出に寄り道したら、人っ子一人いないビーチに辿り着く、なんてこともよくあります。波の音を聞きながら、柔らかな砂をさくさく踏んで、打ち上げられた漂流物を拾って歩くのも楽しいものです。

 そんな感じで夕暮れの水平線をぼんやり眺めていると、女性が2人やってきて海に入り、ぷかぷか泳ぎながらお喋りをしています。おそらく仕事終わりに落ち合って泳ぎにきた友人同士なのでしょう。生徒たちは学校帰りに泳ぎに来るし、もっと小さな子供たちはお母さんに連れられて砂遊びに来るし、老夫婦は砂浜に椅子を出してティータイムや読書、娯楽は少ないだろう地方都市ですが、毎日仕事が終わってからビーチに来られるのも贅沢だなあ、と思いました。

 砂というのは岩石や鉱物や貝や珊瑚が砕けたものなので、人間や生物が死んで土に還ったり風化したものの成れの果て、が混じっているということですよね。それが目の前に延々と伸びていて、この国の至るところに静かに横たわっていて、地球上の海を漂っているさまを想像すると、踏んだ足の感触まで愛しいような気がしてきます。




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