豊葦原イン・ダウンアンダー

文字数 267文字

 今回も湿地(ウェット・ランド)ウォーキングです。燕や雲雀のような小さな鳥がひゅうひゅうと晴れ渡る空を滑って、鷺がゆったりと水際を歩いています。春です。

 この辺りは葦に覆われています。葦ですか……日本が豊葦原瑞穂の国と呼ばれていた頃から、葦はきっと人にとって何よりも身近な植物だったということなのでしょう。ナイルを渡る船も葦で編まれ、歴代イスラム王朝で筆記具として用いられ、土壌改良にも有用で、『人間は考える葦である』と言われるくらいなのだから。

 その頃の世界を想い描いて風に吹かれていれば、背後からもー、と牛の鳴く声がするのでした。

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