オーバリーの話③:旧通関跡

文字数 401文字

 オーバリーには、というかオーストラリアの古い地方都市にはギャラリーや資料館が多く、ローカルのアーティストや地方史について知ることができます。定年後にボランティアで働いている方々と、お喋りをするのも楽しいものです。

 さて、ギャラリー受付の親切なその女性は、マーレイ・リバーを見にいくなら、近くに昔の通関跡が有りますよ、と教えてくれました。川を渡る際に、通行料を払うところだったようです。

 川では若者たちが舟遊びをしています。音楽をかけて眩い水面を小さな舟が進み、川に飛び込んで泳ぎながら舟を追いかけています。娘は河岸の草っ原をぐるぐると駆け回り、VIC州との州境近く、林の中に放置された建物……これかしら? 本当に当時からそのまんま、何の手入れもされていなさそうです。



 どれだけの人たちが、ここを通り過ぎたのでしょうか。一人ひとりの物語を、この土地の物語を眺めながら、川はとうとうと流れていくのでした。
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