探求、それはエレガント

文字数 521文字

 社会科学を学んでいたって、しょせん世界は変えられない。特に政治学なんて、何の役に立つのやら。

 Dr. H(仮)は、南半球の某国立大学で教鞭を取る研究者だ。専門は政治学とリサーチ・メソッド(方法論)、特に定量分析。

 なんのこっちゃ……要するに、社会科学者は己れのhypothesis(仮説)を証明するために、その因果関係がどれだけ普遍的であるかってことを、数字とロジックを駆使して説明しなければならない。

 社会現象をセオリー化しようっていう、そもそもに無理が有るような気がするけれど。じゃあ、不平等な国際関係にも、政治家のすったもんだにも、日々のストレスにも解決策は有るのかっていうの。応用はセオリーのように上手くはいかない。

 けれどもDr. Hは言う。

 定理を確立する、ということは、物語をつくるようなものです。美しく(elegant)完結させる、ということです。

 己れの仮説、研究テーマを持つことが、研究者たる基盤です。学ぶことは過程であり手段ですが、そうして何を得るべきかと言えば-

 あなた自身の直感(intuition)です。

 なるほど……社会科学の論理って、小説読むみたいなものなのね? そう思ってしまった、そこからが私の大間違い。
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