第74話 征夷大将軍殿の憂鬱

文字数 5,250文字

開け放した庵の戸から夕焼けの光が差し込み、
紅や黄色のもみじがはら、はら、と苔むした地面に落ちていく。
その光景を
「美しいな」
「ほんに美しいですねえ…」
と互いの背にもたれ合い、しばし(うつつ)を忘れて見つめている一組の夫婦がいた。

坂上田村麻呂と三善高子夫妻は嵯峨帝より十日ばかりの休暇を頂き、ここ音羽山に建てた別荘で心和むひとときを味わっていた。

「間もなく夕餉の膳をお持ち致しますゆえ」
と火鉢を持って現れた初老の僧、名は延鎮(えんちん)という。

あれは三十年以上前だったか、高子が初めて子を身籠り
「でかした高子!精を付ける為に鹿肉を食わせてやるぞ」
と勢い込んで山の奥深くに馬を走らせに来たものの、獲物は見付からず喉が乾いて偶然滝を見付けて手で掬って水を飲もうとした時…

「もし、そこの貴人の方。ここは殺生を禁じる聖域ですよっ!」

と煤けた柿色の衣を着た僧侶に厳しく叱責された。
剃髪していなかったら修験者だか私度僧だか解らぬ彼の荒々しい風体に当時二十歳前の田村麻呂はすっかり面食らい、

「そ、それは済まなかったな…身籠った妻の為に鹿狩りに来たのだ」と正直に訳を話した。
「それはめでたいことです。が、健やかな子の誕生を願うなら殺生よりも拙僧の話を聞いていかぬか?庵はすぐそこにあるゆえ。我は法相宗の賢心」

と無精髭に覆われた顔をほころばせた中年僧は若い武官を誘った。

こいつは何か面白そうだな。

と田村麻呂はほとんど掘っ立て小屋に近い庵で賢心の夢に出てきたという十一面観音菩薩の話にすっかり魅力されてしまった。

「それにしてもあの時は驚きました…朝狩りに出ていかれた殿が夕刻帰って来られた時には『おい、寺を建てるぞ』だなんて」

と、夕餉の膳をいただきながら高子がくすっと笑った。

殺生上等。それが武官の務めさ。

と胸をそびやかしていた夫が世捨て人同然の僧侶のお話で仏教に転ぶだなんて。

「でもお陰で倅の大野が無事に生まれたではないか。その大野ももう30、坂上家の跡取りとして申し分なく育った…なあ高子、お互い年を取ったな」

「そうですわねえ」

こうして観音信仰に帰依した田村麻呂は賢心に山荘とご本尊の十一面千手観音を寄進して出来た寺を音羽山に流れる滝を見つめながら、

清水寺。

と名付け、賢心は延鎮と名を改め清水寺の開祖となる。

隣で高子の穏やかな寝息を聞きながら田村麻呂は立場も官位も忘れて安らいでいられるのは、

これが最後であろうな。と予感していた。

「年明けには上皇さまが平城宮にお移りになる。上皇側の臣である中納言、藤原葛野麻呂を調略して朕の側に付かせよ。これは中納言の幼馴染であるお前にしか出来ぬことだ」

という嵯峨帝じきじきの密命を田村麻呂は受けていた。


「どうやら尚侍どのは相当焦っておられるようだ」

と言って和気広世は空海の前に蒔絵の箱を置いた。空海、広世、逸勢、蓼が布で口を覆ってから箱を取り囲み、

「あまり息をせずに、開けたらすぐ閉じて」

という広世の言葉にうなずいてから空海が蓋を開けると中身は何の変哲もない画の道具が一式揃っているが、筆だけが薄紙に包まれ、糊で封をされた跡があるのが不自然だった。

広世の指示通りに空海は直ぐに蓋を閉めた。

「宮中には毎日山のように献上品が届けられます。直接皇族の方々のお手に渡る品は宮中で検閲をされますがその中で特に怪しい、と思われた物をこの広世めが調べることになっております…」

「成程、宮中には毒味役がいますから食べ物に毒を入れる訳にはいかない。だったら触れて効果のある毒を普段使うお道具に、という事でっか」

空海の指摘にその通り、と広世はうなずいて、
「この箱の中の筆の穂先に、丹(水銀)の粉がたっぷりと。
致死量ではありませんがこれをご懐妊中の橘の夫人様が触れでもしたら流産は免れない。最悪の場合、早産で母子ともども」

「つまり尚侍は嘉智子さまとお子を狙っているってことか…」

と怒りすぎて蒼白になった顔で逸勢が呟いた。

無理もない、橘家の従妹で最愛の女人が命を狙われたんや。

と逸勢の嘉智子への思慕をただ一人知る空海は、かっての学友の心中を慮った。

「朝原内親王さまとのことといい、伊予親王さまのことといい、もはや尚侍どのは手段も結果も考えず帝に仇なすつもりなのでしょう…次は何をするか解らない」

といま嵯峨帝と後宮に迫っている危機を痛感した広世は父の縁故を頼って吉野の修験者たちを都に呼び出した事を空海たちに告げた。

「帝のお許しひとつで我ら修験者たちは隠密裏に玉体を警護しますゆえ」

「隠密裏に、って宮中の武官たちにばれずにか?そんなことが出来るのか?無理無理!」

と、逸勢が門をくぐるたびにいちいち名前と身分を告げなきゃならない宮中の警備体制を思い出して顔をしかめ、手をひらひらさせた。

「いえ、たやすくそれが出来るのが修験者たちなのです」

と彼らと一年寝起きを共にした空海は音も無く山中を走り回り、気配ひとつ立てずに標的の背後を取る修験者たちの恐ろしさを肌身で知り尽くしていた。

夜御殿(よのおとど)に御寝なされていた嵯峨帝はおもむろに目を覚まし、

(誰ぞ、そこにおるのか?)
と枕辺の人影に語りかけた。
全身黒ずくめのその人物は頭と口元を黒い布で覆い、切れ込んだ二重瞼の眼だけが自分の顔を覗き込んでいる。

(…空海が言っていた修験者の頭だな。よくここまで来れたな。誉めて遣わす、名は?)

男は口元の布を取り、頭巾を取って垂髪をさらし、

(我が名は賀茂のタツミ)

と小声で名乗った。年の頃は四十がらみの鼻梁が高いいい顔立ちをしている。が、その目付きも片足を付いてうずくまる仕草も一分の隙もない。

実は嵯峨帝、貴族たちに内緒で修験者を雇うかどうか、空海とある賭けをしていた。

「もし誰にも気づかれずに夜中に朕の枕辺まで来れたら好きにさせてやる」と。

朕は賭けに負けたな…と嵯峨帝はわずかに枕から顔を上げ、
(よし、今よりお前ら修験者を宮中の護衛として雇う)
と宣言した。

ありたがたきしあわせ、とタツミは一礼してから、頭巾を被り直し、

(先ほどまで上皇さまの寝顔をゆっくり拝顔して参りましたよ)

とぐすり、と笑いながら言うとそれではと足元の闇の中に消えていった…

今のタツミの言葉は朕の命令ひとつで兄の生殺与奪は思いのまま、という意味か。

どうやら朕はとんでもない連中を雇ってしまったようだな。

「これで安心して眠れる」

と嵯峨帝は目を閉じてそのまま朝まで熟睡した。

葛野麻呂と田村麻呂の付き合いは元服前から遡る。

そのきっかけは葛野麻呂がいつものように格下の家の子をからかって壁に押し付けていた時、通りかかった子供に

「藤原のご子息にしては見苦しきおふるまいではありませぬか?」
と咎められ、
「何だと!?」と兄弟たち三人がかりで殴りかかった結果、

十を過ぎたばかりの子供に素手で完膚無きまでに打ち据えられた。

悔しくて父小黒麻呂にその事を言いつけると、
「その子は坂上家の次男坊であろう?馬鹿者が。因縁をつけたお前が悪いし、情けない。頭を下げて謝って鍛えて貰うんだな!」

と逆にきつく叱られた。こうして葛野麻呂は
自分より3つも年下の田村麻呂に稽古を付けて貰う間柄になった。

それから40年経ち、今や共に正三位までに出世した二人は羮(鍋物)を肴に酒を酌み交わし、
「身分低い坂上家には不釣り合いな高い官位を賜ってしまいました…」と田村麻呂がこぼすのを、

「それはお前が蝦夷征伐で手柄を上げて来たからだよ。帝の正当な評価を堂々と受けとってれいばいい」
と葛野麻呂は激励し、飲め飲め、と杯に酒を注いでやった。

「今日来ていただいたのは改めてその時のお礼をしたくて」

と田村麻呂が箱から取り出し、渡してくれた書をめくって、

間違いない、これは父上の直筆だ…と食い入るように文面に見入った。20年前に朝廷軍がアテルイ率いる蝦夷軍に大敗した時の詳細な聞き書きを担当したのは、葛野麻呂の父、藤原小黒麻呂であったのだ。

「貴方のお父上の綿密な聞き書きと状況報告が無ければ蝦夷の戦力も解らなかったし、この田村麻呂も敗死していたやもしれませぬ。さすが完璧主義と言われた小黒麻呂どのだ」

期せずして葛野麻呂は13年前に逝った父と文書を通して邂逅することになった。

父上。父上。こうして田村麻呂と友誼を持たせてくれたのもあなたでしたね…

と目頭を熱くする葛野麻呂に田村麻呂が、

「ところで尚侍とその兄の事だが、あの二人は父親の本当の仇が誰か知ってて過ぎた振る舞いをしている。としか思えないのですがね」

と急に話題を変えたので葛野麻呂は解りやすく顔色を変えた。

「やはり、わざと真相を伝えたのはあなたでしたか」
田村麻呂の目がすうっと刃のように細くなった。
なんて奴だ。情に訴えてわざとこちらの心を緩ませ、虚を突くとは…

「酒が、足りなくなりましたね」

とぽん、と手を叩いて妻の高子に酒肴の膳を用意させ、高子が下がるのを見計らって、

「安心して下さい。あなたが尚侍の父を暗殺した実行犯、大伴竹良と大伴継人の首をはねたのも、私が早良親王の子を身籠った大伴娘を暗殺したのも私達だけの秘密です」

と言い放って「もうお飲みにならぬのですか?」と杯を勧めた。

「…一体、何を望んでいる?」
父の書を膝に乗せたまま葛野麻呂がやっと口を開くと、

「なあに簡単なこと、ある宮女と一度会見していただく。それだけです」

ある宮女、と聞いてそれが帝の子を身籠って休養している我が娘、明鏡のことだと葛野麻呂はすぐに気付いた。

「…帝がお前にそれだけの信頼を寄せていたとはな!」

「私はこれでも帝の外戚ですよ」

田村麻呂は嵯峨帝の妃、高津内親王の叔父にあたり、図らずも彼は天皇の外戚になってしまった。

それにね、と田村麻呂はぐびり、と杯を干し
て心から笑顔になった。

「あなたが姫君の父だと今まで名乗らないでいてくれた事が、私には嬉しいんだ。野心家で知られる葛野麻呂様が、その姫君には本当の愛情を持っている」

「…」

本心を言い当てられた葛野麻呂は押し付けられた杯を黙って飲み干し、

「会見の申し出、受け入れた」と澄んだ目で田村麻呂を見返した。

その目を見た田村麻呂は野心も保身も振り捨てたいい顔だ。と思った。

「ねえ葛野麻呂どの。
私はせめて我が手に掛かった人達は成仏出来るように、と仏教に傾倒し、善人になろうとした中途半端な悪人で、
あなたは北家の栄達のために自ら手を汚し、式家の取り潰し工作の裏で手を引いているつもりが実は我が娘を庇っている悪人になりきれない中途半端な善人…
結局善悪どちらにも転べないのが人間の本質なんじゃないですか」

と田村麻呂と葛野麻呂は互いをいたわるようにしばらく見つめあった。
それは、己の真の心に逆らい苦しんで生きてきた者同士だけが持つ心の交流であった。

「お酒が過ぎたようですね、今夜はどうなさいますか?」

「…いささか政務続きで疲れた、泊めてもらえまいか?」

「もちろんですとも」

中納言さまが床につかれました。という高子の報告を聞いた田村麻呂は、

後は、明鏡さまと葛野麻呂どのの会見の時と場を設定しなければだが、

帝、根っからの武人である我には調略という任、いささか重うございますぞ。

さていつまでこの憂鬱が続くのか…

と溜め息をついた田村麻呂は夜着に着替えた高子を抱き寄せ、
「ま、この(おうな)を慈しんでくれますか?」互いに老境なのに、と妻に呆れられた。

「よいではないか、寒い夜だから温まろうぞ」

その年の暮れ、嵯峨帝は夕餉の後急に腹痛を訴えて倒れ、帝のご発病により正月の朝賀は中止。という事態になった。

帝のご病床に馳せ参じた和気広世がひととおり診察を済ませると人払いを頼み、空海と三守、冬嗣だけが残った室内でおもむろに手を付き、

「申し上げます、帝のご病名は…仮病でございます」

と神妙な面持ちで言うと丹田のあたりからせり上がってきたこそばゆさに耐えられず、その場で腹を抱えて笑い出した。

「いや…もう…帝の腹痛の芝居のわざとらしさにはこの広世、可笑しくて可笑しくて笑いをこらえるのに必死でした!」

広世のあまりにも遠慮ない笑いと空海たちの

「腹痛をしたことが無いお方ゆえのわざとらしさでしたね」
「芝居の下手さに却って怪しまれないかと冷や汗ものでしたよ」

という演技の酷評に、

「し、仕方ないではないかっ!経費削減の為の苦肉の策ぞ…」

と嵯峨帝は枕頭で本気で恥ずかしがった。

「しかし笑ってばかりもいられませんぞ、膳部(宮中の厨房)に潜ませておいた修験者が、帝の膳に毒を盛ろうとした料理人を捕らえたからこその大芝居ですからね」

と薬師として嵯峨帝を警護している蓼は笑い転げる貴人たちを嗜めると、

まったく宮仕えしている方々というのはこの非常時に…相当肚が据わっていなさるのかそれとも、たがが外れているのかのどっちかだ。

と呆れ果てた。

帝、ご発病。
の報を聞いた平城上皇は「これで安心して内裏から出ていける」
と呟き、愛妾である藤原薬子に
「お前もしばらく大人しくしていろ」

と最愛の女人が危険を冒して帝とその家族に毒を盛るのを止めるよう命じた。
























































































































































































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登場人物紹介

空海、本名は佐伯真魚。香川県善通寺市出身の裕福な豪族のせがれ。学業優秀で長岡京の大学寮に入るが、そこで遭った悲劇が彼を仏門に向かわせる。

嵯峨天皇(神野親王)桓武天皇の第二皇子。

問題だらけの平安京に真の平安をもたらす名君。空海とは生涯の友になる。欠点、浮気性でパリピ。

橘嘉智子

嵯峨天皇に最も愛され、橘氏出身の唯一の皇后となる。仏教への傾倒は人生から逃げる術。

私は和気清麻呂。「これから起こる悪い事全部怨霊のせいにしちゃいましょう」と御霊信仰の悪知恵吹き込みました。

本音?桓武帝が起こした人災だろーが。

藤原薬子です。後に悪女呼ばわりされる私も言い分いっぱいあるんですのよー

嘉智子さまお付きの女童、明鏡です。薬子登場でなんだか不穏な予感…

空海に山岳修行教えた勤操ですぅ〜。時々奈良仏教の中間管理職としてぼやきます。桓武帝と戒明じいさんとの因縁ってなんやろな?


役行者六代子孫にして作中最もヤバいおっさんタツミ登場。わし空海のエグい修行生活のはじまりです。

新キャラ藤原葛野麻呂、空海を唐に連れて行く貴族です。私の顔は東寺の帝釈天像がモデルです。イケメンですよー。

兄貴、自分の息子の誕生祝いで不倫ばれてんじゃねーよ…って親父に対して正論で返してるし!義理の叔父、田村麻呂初登場。

by嵯峨帝

ふっふっふ。俺様は修験者の頭タツミ。真魚よ、よくぞ試練を乗り越えたな…っていつまでも妻の手握ってんじゃねえ!

若き日の坂上田村麻呂も絡む平安ミステリー、藤原種継暗殺事件の真相です。


最新話まで話を読んできた登場人物全員の心の声


「そりゃ祟られるわ!!」

実在した前の遣唐使僧、戒明です。史実上の真魚との接点は不明です。唐から偽経を持ち帰ったとして失脚してた私の名誉回復をしてくれたのは空海だから最初に出会った師として登場。

荒行の末に悟ったもの。仏性、すなわち人の心なり。善行も悪行もそれを行う人の心次第。

やっぱりわたくし、親王さまを好きになっていたのね。(浮気者だけれど)

多治比高子です。嵯峨帝側室として寵愛された理由はインテリだった設定。

あれ?「あの四重奏ドラマ」のエンディングシーンみたいなことしてない?

三行指帰現代語訳コント風、はじまりまじまり〜

何これ⁉︎空海の書いた話おもしれーじゃん!と吠えて宮女に叱られる神野。三教指帰は日本初の小説と呼ばれる。

空海、実家に帰る。真魚が一番可愛いお母さん。激烈お兄ちゃん、実家あるあるな心配するお父さん。

空海の実家をそのまま父親の名前にしたのはオヤジ、ありがとう…グスッ(泣)の気持ちやったんや。

後の法相宗のトップにして東日本に仏教を伝える男、徳一の本心。

高雄山寺プロレス回。奈良仏教の裏番長、実忠しれっと初登場。

やっと最澄登場。美坊主泰範のせいで既に不穏な比叡山寺。

ある意味最強キャラ、朝原内親王登場。

飛べない小鳥、から明鏡の出生の秘密編へ。

尚侍明信の罪は亡国の姫、明信の若き日の過ち。

「陽の下の露」冬嗣の長男、藤原長良誕生。ちなみに薬子と葛野麻呂の不倫関係は史実です。

「風が吹く」遣唐使に選ばれなかった空海に起こったありえへん奇跡。それにしても徳一口悪ぃな。

桓武帝が仏教勢力を叩いた理由は脱税摘発のため。しかし宗教法人を使った脱税って1200年経った今でもやってますなあ。

「受戒」どーもどーも、三論宗のアイドルにして空海の頭を剃った勤操ですぅー…ってじいさんどないしたー⁉︎

最初の師戒明との別れ。わし、行ってきます。

「船乗り星」朝廷も一目置く宗像氏の濃いマダム登場。

どうもー、空海を唐に送り最澄を唐から連れ帰ってながらも後世にほとんど知られていない葛野麻呂。ここでは準主役です。

徳政論争回。現実的にこれ以上の東国進出は無理だった。徳川家康の次に鷹狩り好きな歴史上の人物として有名な桓武天皇の最後の鷹狩り。

仙境天台山、思えばこのひと時が最澄の一番の幸福だったかもしれない。

「崩御と即位」皇帝陛下の崩御と新皇帝の即位に立ち会っちゃった俺って持ってる〜。からの、カネが無いから2年で逃げ帰れ命令。

「聖俗同船」帰国できなかった遣唐使もいるんですよ…葛野麻呂の最澄へのツンデレっぷりをお楽しみ下さい。

「密の罠」帰国した途端最澄に降り掛かる悪意。

平安京を開いた帝の最期。これから不穏な平城朝が始まるー

秀才、橘逸勢にトリプルの悲劇。留学生たちの寂しさを癒す楽の音。

恵果と戒明との邂逅から三十年。やっと後継者に出会えた恵果。

まるで唐密教の滅びを予測していたかのような恵果の発言。実際にそうなります。

「遍照金剛」かくして遍照金剛空海誕生。で、何で俺様がナレーション?

「柳枝の別れ」長安出立前夜に明かされる霊仙の正体。次回から日ノ本、平城朝編。

「平城朝」最後の薬子の表情は読者さんのご想像にお任せします。

「春宮神野」

宮中も 女子回なければ やってらんない

by明鏡 字余り

「天皇の侍医」官僚として、医師として苦労する弘世の人生が始まる。

「謀」とうとう粛清に向けて動きだした薬子。朝原内親王、神野に迫る毒殺の危機。

「比叡山夜話」最澄に迫る危機。平城帝の悪意。

「翡翠の数珠」空海のせいでまた逸勢がヒドい目に遭うお話。

「阿保の本音」父平城帝への不信感が募る阿保親王。後に彼と妻の伊都内親王から生まれたのが在原業平。

前半の薬子の兄、仲成が起こした暴行事件。これ史実です。後半の勤操の述懐は創作ですが。

「咎人空海」空海、やっと帰国。あの三姉妹再び登場。

「海辺のふたり」空海だけを都に帰さなかった藤原縄主の思惑とは。この時代、芋粥は極上スイーツ扱いでした。

「白雪」兄帝の危険性を思い出す神野。

「神泉苑行幸」策謀に満ちた宮中。筑紫で布教を始める空海に届いた悲報…

「藤原家の毒薬」いつの世も女の仕返しって陰湿なのよねえ。

「譲位」嵯峨天皇が即位した夜に明かされる伊予親王の死の真相。冬嗣の胸に去来するのは怒りか、諦めか。

「実ちて帰る」主人公2人がやっと初対面。次回から第3章「薬子」のはじまり。

わたくし藤原薬子が主役の章、「薬子」、開始ですわよ。空海阿闍梨、神野の坊やとの初謁見でいきなりド不敬発言。

「橘の系譜」女性天皇が女性の部下に姓を与えた女性が始祖の橘家。

明鏡、家族と再会し、そして母になる。

「背徳」性描写あり。そして、薬子は悪女になった。

「真言の灯」最澄さまの千利休感と人手不足の密教。ある事で滅多になくブチ切れる空海。

「宮女明鏡」嵯峨後宮ベビーラッシュ。身籠った明鏡がこれまでの人生を振り返る。

「阿修羅」、怒らせるとシャレにならないレベルで怖い空海のダークサイド。

「東国の勇者」アテルイ回前編。13000vs500で朝廷軍にに勝利した巢伏の戦いと田村麻呂との対話。

「王の器」アテルイと田村麻呂の物語、後編。胆沢制圧戦後のアテルイ、田村麻呂、桓武帝。

真の王の器は誰にある?

どぅもー、宮中のイケオジ葛野麻呂です。「負の遺産」、宮女同士のマウントバトルが怖ぇわ…

「征夷大将軍殿の憂鬱」田村麻呂、愛妻とのフルムーン旅→ヒリヒリするような駆け引き。

「小鳥立つ」明鏡、13年ぶりに父との対面で思い切った決断を告げる。そして運命の子は誕生した。

「火の継承」

この時代の年明けのお祭り、修二会。ググった結果検索トップがさだまさしの「修二会」だったので公式の自分がまさしに敗けて悔しい実忠。

「智泉の祈り」

嘉智子さまへのマタハラ案件、「皇子を産め」とのたまう橘家の兄君たちにブチギレる空海阿闍梨。

「豪奢なる遁甲」嵯峨天皇vs平城上皇最後の争いが万葉サーカスの歓声の中始まる。


この回から三人目の主人公、ソハヤ登場。

「私刑」

池波か!とツッコミ上等な回。法具を本来の目的(明王の武器)で使う空海。

「なるほど、これがお役所仕事か」by嵯峨天皇

「隘路」、暗殺者集団土蜘蛛vsタツミ率いる修験者たち。薬子の変クライマックス前編。

「火宅」一万字越えの大作です。嵯峨天皇vs平城上皇最後の戦い後編。


藤原薬子と語らう老婆の正体は…

「徒花散る」失脚がそのまま死に繋がる全然平安で無かった平安初期の、最後の政変。


勝ってもあまり嬉しくない戦いでしたね…


by田村麻呂

第3章「薬子」終わり。後ろ暗い取引をしてもカッコいい俺様であーる。


by修験者タツミ

第54代仁明天皇こと正良誕生でおめでたい事からはじまる弘仁元年。

「弘仁おじさん」と呼ばないで。

by藤原冬嗣

明けましておめでとうございます。嵯峨天皇の叔母にして宮中屈指の美魔女、酒人内親王です。ここぞとばかりに気合い入った命婦たちのファッションと空海vs朝原の新春disり合い回で御座います…

若い頃の実忠さまはやさぐれていたなあ。

この世でやるべきこともやったし…じゃあね!

by和気広世

嵯峨天皇の兄、良岑安世の恋人の真名井でございます。「九条にて」はさあ、これから庶民と渡来人たちが活躍する平安アンダーグラウンドな物語の幕開け。

空海in伊勢神宮。朝原内親王より託されたとんでもない密命。

エミシ最後の戦士、ソハヤの人生のはじまり。

前半、終了。

険しい高野の山道を抜けるとそこは…異文化レベルの集落だった。

「丹生一族」パツキン彫金師、ムラートです。今回は丹生一族と秦一族と高野山のお話。



奈良の大仏建立時の人に言えない過去。老いた僧ほど暗い秘密を抱えているものなのですよ。

by実忠

「集光」実は、この話で作者は話を終わらせるつもりだったのですが、取材で高野参りをし、そこの宿坊でご住職の説法を聞いた時に「物語のラストシーン」が頭に浮かびあと50話位書く事に。

「田口三千媛」今では虐待と言われる育てられ方をされたと思います。訳を聞かされて納得しても、無理に許さなくてもいいのよ。

「弘仁格式」100年ぶりの法改正にとりかかる嵯峨帝。謎の美僧、泰範の師に対する本音。

平城上皇が会いたかった東大寺の重鎮、実忠の昔語り。前編。光明皇后に仕えた日々。

「光の時代、後」実忠の過去の話。

後半は道鏡事件の真相。

遊女真名井の人生の転機。家族との再会と共に恋人との別れを覚悟する。

「軛」

丹生のシリン姫の花占い。「来る、来ない。来る、来ない…来たあー!」

「灌頂」

死んで生まれ変わりたい気持ちで空海に会いに行った泰範。

最澄はんの「泰範、行かないでくれ」

の熱烈な文が歴史的資料として残っておます。

by空海


ぐすっ、ぐすっ…生きながら生まれ変わる事って出来るんやな…


by泰範

「信源氏」日本史最初の源氏、源信です。あのね、四さいの時にお家(宮中)から出されて明鏡お母様と離されてしまったの。


信源氏物語のはじまりはじまり〜。

高野の麓、天野の里に帰ってきたムラートです。妹の結婚式がゾロアスター教通りの儀式だと⁉️


天野わっしょい物語をお楽しみに。

嵯峨帝と正妻高津内親王との離婚の真相に迫る「高津退場」後宮サスペンス回。

橘嘉智子、立后のお話。

「わたくし、覚悟を決めました」

「常の白珠」

延暦十五年四月(796年5月)、日の本初の公然セクハラ&パワハラの記録でございます。

by明信

あの時は恥ずかしい思いさせてごめんよ…まだ怒ってる?

ねえ明信、こっち向いて(焦)

by桓武帝

お二人とも、犬も喰わない痴話喧嘩を板上でやらないで下さいまし。

by葛野麻呂

「わし、とうとう最澄はんと絶交する覚悟決めました」

空海を本気でブチギレさせた最澄の言動。


そして、高野山開基に向けて動き始める弟子たち。

「高野」

私ムラート、生まれも育ちも高野山でございます。このお山の自然の洗礼に遭う実叡と泰範。

高野を舐めちゃあいけねえよ。


なぜか寅さん口調。

「時鳥」

小野篁初登場回。そして、現世での役目を果たした巫女との別れ。

「落花宴」

民を食わせるために働いた藤原、葛野麻呂の最期。日ノ本初の茶事と花見の宴の記録。



「拠り処」

天皇皇后だってもふもふふくふくで癒されたい。徳一、東国に進出宣言。

「橘秀才」

「弘法も筆の誤り、って肝心な時に大ポカをやらかすって事なんだね」

古今随一の芸術家となった逸勢、空海にツッコミを入れる。

「シリン都に行く」

はーい、私は高野山の麓天野の里に住む主婦シリン。夫に下された辞令で子供たち連れて平安京へお引越しですって⁉️ドギマギしちゃう!

…って魔法少女みたいなあらすじ紹介でいいのかしら?

「篁」

ちーっす、小野篁でーす。僕の風評「なんだかすげえ奴」みたいに言われてるけど、嵯峨帝に出会った頃は脳筋の野生児でしたよ。

「一隅を照らす」

最澄、最期のことば。戒壇認可を遅らせた嵯峨帝の真意。


そして、たそがれ空海。



「進士篁」

ちーっす!篁っす!それでは一句。


竹の子(篁)が ドラゴン桜(三教指帰)で サクラサク


物語の主人公空海阿闍梨から僕に交代っす!

白秋の章、「嵯峨野」のはじまり。淳和帝即位。遡って嵯峨帝による黄櫨染御袍プロデュース秘話。

「正子と正良」

嵯峨上皇と嘉智子お母様の息子、正良(後の仁明帝)です。十四で結婚したお嫁さんが可愛過ぎてキュートなハートにズキンドキン!です。

「祈雨(きう)」

元服した源信信です。空海阿闍梨による伝説の雨降らしの祈祷の裏に蠢く大人たちの陰謀に、

うわあああ…

皆さんお久しぶり。田村麻呂です。平安初期の貴族たちは麻呂麻呂っなくて武士武士ってたんですよ。


ごきげんよう、小野篁です。

(官吏になったのでパシリ口調はやめました)

今回は私のルーツとソハヤ、シルベに隠された秘密が明かされる回です。

「在るがまま」

平城上皇の第三王子、高岳親王です。今回は父の最期の想いと私の出家の物語。


◯ウケンシルバーのモデルになった私の人生の出発でしたねえ。

「哀しい哉」

このエピソード書くために作者、高野山にお参りに行き智泉の御廟(お墓)に手を合わせました。

「天長二年の旅立ち」

久しぶりの金髪仏師ムラートです。東寺の立体曼荼羅完成秘話。あの時の空海さんは某劇作家か!って位ダメ出しして来て参りましたよ…


そしてラスト主要人物、在原業平初登場。

「夫人たちの夏」嵯峨帝の側室、藤原緒夏です。後宮で生きる憂鬱と高子さまとの友情の回。


「頭の冬嗣」

今年の◯河はやり過ぎちまった私の愚孫どものいざこざですが一人ちゃんと遺言を守った奴がいたようです。

「心の中の明王」

篁と徳一の出会い。東国にて。

空海と最澄を支援した破天荒僧侶、勤操の最期。さよならだけが人生や。

喫茶去(きっさこ)は禅語で「ま、茶でも一服」の意味。人生最後の対面を惜しむ主人公二人。

「光明」全ての務めを終えた空海の眠り。次回から次世代編へ。

「流人篁」百人一首で有名な「わたの原」から始まる篁の反骨最骨頂行動と流人生活。


ちゃっかり現地妻作ってました。

「落日」

葛野麻呂の息子で遣唐大使、藤原常嗣サイドの最後の遣唐使節の行程。


支援者の張宝高は新羅の海将で外交官で大商人。

この回のゲストは唐代の大文人。

「円仁の旅・使命」

どうも、遣唐使団からバックれた不法滞在僧侶の円仁(最澄の弟子)です。私の9年以上に及ぶ旅はいきなりホラーな展開から始まります。

実質、最後の遣唐使である円仁の旅の後編。空海より託された三つの遺言は果たしたものの武宗による仏教弾圧を受ける苦難の復路。オカルトな場面あり。

「胡蝶」

「胡蝶の夢」になぞらえた常嗣の帰国後の辛い立場と責任を感じる篁。二人とも苦しんだんだ。

「観月」

嵯峨上皇が家族たちにそして遥か未来の子孫に向けて述べた言葉。

人生最後の観月の宴。



「草木のままに」

我が夫、嵯峨天皇の最期。お休みなさい、あなた…


あと10話で完結です。

最終章「檀林」、それはカリスマ嵯峨天皇が去るのを待っていたかのように始まった粛正の嵐。

承和の変。三筆最後の一人逸勢の退場。

「繭」政変で息子、仁明帝の行いと本心を知った皇太后嘉智子の絶望。

「反骨の種子」政変の真相を知った篁の決意と、蹂躙される政変の敗者の家族たち。

昔男、と呼ばれたチャラいクズ。在原業平の奔放な恋の本心は…な回。

「椙山にて」この日、エミシの武人親子三代の真相が知らされ祖父の願いがシルベに託された。

「橋を架ける」

言葉を大事にして秩序を保つのも、言葉をぞんざいにしてこの世を地獄同然にするのも全て、人間の行いなのだと思います。


この国の教えの百年先を見越して禅僧を呼び寄せた国母、橘嘉智子。

「参議篁」

私の少年期から始まる篁四部作これにておしまい。良房の企みなんて知ったことかよ。

「襲撃」

日本初の警察機構である検非違使に務める下級役人、志留辺の人生の転機。

「桜」宮中編「一代限りの橘」の物語、これで終わりでございます。

この長い物語、次回の「平安時代」で完結です。



「平安時代」さてさて、ラストシーンで新しいバディが組まれ、彼らの本当の人生が始まります。


皆が知っている「平安時代」はこれから始まるのです。

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