第85話 夜居の僧

文字数 6,657文字

「よくぞ朕の妻子を守り抜いた。誉めて遣わす」

と土蜘蛛襲撃の翌朝、嵯峨帝は内道場に妻子たちを匿ってくれた内供奉十禅師(ないぐぶじゅうぜんし)を呼び出して感謝のお言葉と十分すぎる褒美をお与えになり、最澄一人を残して他は皆下がらせると…

「お前が本当に欲しいものは何か朕は解っている。
最澄、お前を内供奉十禅師の任から解く。これからは好きに天台教学を広めろ」

と、父桓武帝が反奈良仏教勢力の急先鋒として常に我が傍に置きたいがために無理に内供奉十禅師の任に就け、本人の意に反して13年もの長きにわたって宮中に縛り付けていた最澄に、

自由。という彼が最も望んでいたご褒美をお与えになられた。


その日のお昼過ぎ、二人の弟子と共に比叡山に帰った最澄はまだ葉が色付く前の樹々を見上げ、

終わった…

と長年の重圧を両肩から降ろし、まずは寺を守っていてくれた弟子たちに「おーい!」と晴れやかな声で呼び掛けた。…最澄さまだ、最澄さまだ!と僧侶から稚児まで寺にいた者全てがわらわらと最澄を取り囲み、

最澄さまお帰りなさいませ!おい、わが師のお帰りだぞ!とまだ来ぬ者たちに口々に呼びかけた。

「実は、宮中での任を解かれてしまいましてね」

と帽子を取る最澄はにこやかに罷免と言う名の解放を集まってくれた弟子たちに告げた。

「お留守の間に徳一和尚からの文がこんなにも」
と師の僧衣を衣文掛けに掛ける泰範が最澄の文机にうず高く積まれている手紙の束をうんざりした顔で示して見せた。

が、最澄は「どうせ天台教学に対する文句と否定ばかりだ。しばらく放っておきなさい。それよりも」
と白衣姿で床に寝っ転がりながら泰範の袖を引いて「今日は本当に疲れた…」と愛弟子を強引に抱き寄せる。

泰範は師の白衣の胸に頬を押しつけて「お帰りなさい、最澄さま」と熱い声で囁いた。


いつもこうだ。
兄上は頼みにくい事を仰せになられる時はいつもこうして前触れもなく私の部屋をお訪ねになるのだ。

今までは兄上に押し切られてきたが…今回ばかりは、呑めぬ。

とばかりに大伴親王は帝が目の前に床座していらっしゃるというのにわざと我が子の恒世親王(つねよしんのう)氏子内親王(じしないしんのう)の遊び相手ばかりしていて嵯峨帝が二度、話しかけようとなさったが聞こえない振りをしていた。

子供好きな帝は親子水入らずの場を邪魔して悪い、とお思いになり気を削がれてしまう筈だ。と策を授けたのは幼い頃から大伴の従者として仕えて来た藤原吉野であった。

吉野の父は藤原式家の参議、藤原綱継。
母は式家の祖、藤原宇合の九男で藤原蔵下麻呂の娘の姉子で、吉野は血筋の確かな式家の貴族ということになる。

母の姉子が大伴の乳母を務めたことから大伴とは乳兄弟という間柄で、

その絆は実の兄弟よりも深い。

困ったなあ…と呟かれた嵯峨帝は問わず語りに「朕としては高岳を皇太子のままにしておきたいがそれではよくない、と周りが強く言うのでね」

平城上皇の皇子で甥の高岳親王を廃太子にする代わりに大伴、お前に皇太弟になってもらいたいのだが。

と仰せになるに決まっている。それだけは嫌だ。

皇族に生まれて窮屈な思いをして生きてきて、兄の平城上皇に臣籍降下の願い入れまでして却下された私の思いを知った上で兄上は…

次の天皇はお前だ。と私が一番嫌がる立場を押し付けようとなさっているのだ。

これは、絶対呑めぬ!

おじうえ、と恒世親王が嵯峨帝のお膝にとりついて豊かな黒髪を結い上げた角髪(みずら)を揺らしてきゃっきゃ!とはしゃいでいる。

いいぞ恒世。せめて兄上の御衣によだれでも垂らして…
どんな無礼を働いてでもいいから兄上を追い返してくれ。

「元気だな。恒世はことしで何才になる?」
と膝に乗ってきた恒世に少しもお気を悪くせずに嵯峨帝が弟に尋ねると、

「は、五才になります」
とつい大伴は答えてしまった。

しまった、大伴さまが帝との会話に乗ってしまわれた!
と廊下から部屋を覗き見ていた吉野は大いに慌てた。
大伴さま、吉野の策もここまで。後は強いご意志で固辞なさりませよ。と我が主を見守った。

「五才か…高志との間に生まれた恒世なら血筋も近いし皇統として申し分ない。ちょうど立太子させてもよい年頃だ。なあ恒世、今から一緒に東宮に行くか?」

と嵯峨帝が甥っ子を抱き上げて立ち上がろうとなさったところを父親としての本能が働いた大伴はひったくるように恒世を奪い返し、

「幼い我が子にそんな重責、とても耐えられませぬ!父の私が成り代わってでも阻止しますよ」

と口にした処で嵯峨帝はゆっくりと大伴を振り返り、

「そうか、皇太弟になる役目引き受けてくれるか」
と両目に涙を滲ませて大伴の手を握り、

「幼い頃いつも一緒に過ごした兄弟同士、これからは手を取り合って政を執り行おうではないか」

と固まって何も言い返せない大伴にそう告げると踵を返して足早に部屋から去ってしまわれた。

しばらく呆然と立っていた大伴がやがて「吉野」と従者を呼びつけ、

「…してやられた。子供を使った策を逆手に取られてしまったぞ。いつも兄上はこうだ。人を自分の思い通りに動かす知恵に長けていらっしゃる」

「まさか帝が恒世さまを連れ去ろうとなさるとはこの吉野思いもよりませなんだ」

と吉野は主に己の不策を詫びたが心の内では我が主が次の天皇に決まった事を喜んでもいた。

確かに大伴さまは帝ほどお強くはないが、帝のご兄弟の中で大伴さまほど天皇に相応しいお方はいない。

大丈夫です、大伴さま。この吉野何があっても貴方をお支え致しますから。
そう心に決めた通り吉野は大伴と生涯を共にする。

大同5年9月13日(810年10月14日)、廃太子された高岳親王の代わりに大伴親王が立太子した。後の第53代、淳和天皇(じゅんなてんのう)である。

まだ11才の幼い高岳は廃太子にされた、という自分の立場が明確には理解できずに宮中から出されて異母兄の阿保親王の邸に身柄預りになっても嘆く母や従者を尻目に元気をもて余して遊び回り、
庭園の木々に登ったりしては
「危ないからそういうことはおやめ」
と心配する兄親王や従者たちを困らせていた。

「へへーん、兄上はこんな低い柿の木が怖いのですね?大人なのに臆病だなあ、待って下さいね、いま実を取ってあげますから」

とさらに上の枝に手を伸ばそうとする高岳の目の前にふわり、と真新しい直垂姿の少年が降り立ち、
「高貴なお生まれの方がわざと木に登って周りを困らせてはいけませんよ」
と切れ込んだ二重瞼の目を細めてめっ!と叱るような目付きをしてみせる。

「空から降ってきたの?」

高岳が目をぱちくりさせて少年を見上げるとまさか!と言うと相手は高岳を抱き上げ、
「地から木の上に飛び乗るなんて造作もない事でございます」
と言うとそのまま地面に飛び降りた。
「世話をかけたな、ソハヤ」と弟を引き取った阿保親王が礼を述べると「いえ、従者として当然のことをしたまで」と表情の無い顔で素っ気ない返事。

「相手が阿保さまだったからよかったものの…あの態度は無礼だぞ。俺たち最低でも三年は都にいなきゃならないんだから少しは愛想と如才のなさを身に付けろ」

とその日の夕餉の時にスガルが弟分のソハヤを叱った。言われた途端、ソハヤは椀を置いてそっぽを向き、

「俺は誰の下にもなったつもりはないし、誰の上にもなるつもりはない。エミシの戦士として誇り高く生きる」
と傲然と言い放った。

お前の困った所はそこなんだよ…とスガルはため息を付く。

「あのなあ、都びとの間ではアテルイどのの死でエミシはとっくに従属したものと認識されてるぞ。
今さらエミシの誇りを振りかざすな。
お前、あの坂上将軍の詮議を受けてよく生きて帰れたな」

別に、と言ってからソハヤは椀の中の鶏肉を飯と一緒にかっこんで咀嚼してから「詮議というほどのものでもなく、普通に客としてもてなされた。素性は確かだから疚しいところはないよ、兄者」

ソハヤはエミシの俘囚シルベの息子である。

俘囚とは陸奥・出羽の蝦夷のうち、朝廷の支配に属するようになったもののことをいう。

彼らのの経緯は日の本の領土拡大によって俘囚となったもの、捕虜となって国内に移配されたものの二つに分けられるが、

父のシルベは戦士だったため戦場で負傷して捕らえられ、捕虜として国内移住させられた後者であった。

八才の時に病で父が死に、ひとりで父の遺体を埋めていたところを通りがかった旅人が「童、ひとりで親を弔うとは偉いぞ。手伝ってやる」と手を貸してくれた。

実は、旅人の正体は畿内の鉱山を視察に廻っていた修験者の頭タツミであり、タツミはそのまま吉野にソハヤを連れ帰って修験者の弟子として育てた。

あれから八年。吉野の山で修験者として生きる筈だった自分がなぜかお目通りの一見で帝に気に入られたようで帝はわざわざ名指しで「ソハヤとスガルの二人を三年傍に置きたい」と修験者の頭タツミに請うた。

「あの二人は我が子同然に育てた少年たちで特に素軽(すがる)は次代の修験者を統率する跡取りなんですがね」
と最初タツミは渋ったが、

「東国に鉄の鉱脈がいくつかある。が、地盤が固く掘り当てる人足が集まらなくて難儀しているところだ」

東国の鉄。
と聞いて鉱山師タツミの嗅覚が反応しない訳がなかった。強く硬い東国の鉄は加工次第で丈夫な農具、鋭き鑿、そしてより強力な甲冑や刀とその可能性は計り知れない。

これからの人びとは豊かな資源を求めて東国へ向かっていく新しき時代の予感にタツミは心躍った。

「お任せください、鉱夫も鍛冶師もとびきり優秀な人材を揃えてみせましょう。但し、採掘権を任せてもらえればの話ですがね」

「これで決まりだな」

「ただし3年きっかりであの子たちを返してくださいよ」

「約束する」

という帝とタツミとの生臭い取引の末に東国の採掘権と引き換えに期限付きで少年二人は売られたのだが…

そんなことスガルの父の蓼にも言えず「3年都に居て様々な価値観の人間たちと交わるのは大いなる学びじゃないか」と不本意そうな顔をする蓼の肩を強く叩き言い訳するタツミであった。

「蕨手刀も没収されずに帰されたなんてお前、坂上将軍に相当気に入られたんだな」

それが何故だかソハヤ自身にも解らない。確かに将軍の目の前で三男の浄野どのと棍棒で手合わせしたが本気で打ち合ってぎりぎりのところで浄野どのに肩を付かれて敗れた。

「やはりお前は短刀のほうが得意なようだな」と笑う将軍どのが見分していた蕨手刀をソハヤに手渡した時、何故か自分の手の形を食い入るように見つめ、次に顔のつくりをこと細かに見た将軍の顔色が変わった。

「お前の父シルベは死んだ時の年はいくつだった?」

「は、確か50半ばだったと」

「お前の母は?」

「ヤマトの里の娘でしたが我を産んですぐ死んだ、と父が」

そこで将軍どのはそうか、と鷹揚に頷いて「気に入った。いつでも我が家の門をくぐるがいい」と従者の見送りまでつけて坂上家の門をくぐったソハヤであったが…

「自宅で寛いでいても将軍どのには髪の毛一本ほどの隙も無かった。ご子息たちも物凄く強いし家人ひとりひとりにも躾が行き届いている。無事に出られた後で震えちまったよ」

「隙を伺うなんてまさかお前」

とスガルは眉を顰め「仇討ちなんて考え今ここで棄てるんだな。下手したらお前が消され、お頭も修験者の里も詮議を受けて潰される」と激しく膳を打ち、彼の手の下で器が真っ二つに割れた。

スガルのあまりの激昂ぶりに「分かったよ、兄者」とソハヤは肩をすくめた。

帝から仮の名前と身分が与えられるまで二人は阿保親王預かりになっている元皇太子、高岳親王の子守を仰せつかっている訳だが、

「貴人の子はもっとおっとりとしているもんだと思ってたのに…高岳さまときたら木に登るわ池の魚を取ろうとするわで元気すぎて困るぜ!里の子より手がかかる!」

と嘆息してまだ被り慣れていない烏帽子を取ってソハヤは髪をかきむしった。

「貴人どころか数日前まで皇太子だったお方だ。ある意味将来が楽しみだな」

スガルは傍で眠る高岳の夜具を掛け直してからからりと笑った。

「ねえ兄者、高岳さまはこの先どううなるんだろうな…負け組の皇族は大体殺される。って長老たちから聞いたけど」

そうだな…と顎に手をやりしばし考え込んでから「大丈夫、あの帝なら高岳さまを悪いようにはなさらない」と断言した。


この夜、嵯峨帝はなかなか寝付けなかった。
政変に伴う高岳廃太子と大伴立太子など天皇家にとって重大な決断ををここ数日でいくつも下して気が昂っているのだろう。

こういう時の嵯峨帝は夜御殿の廊下に居て天皇の無事を祈祷する役目の夜居の僧に他愛のないことを話しかけている内に自然に眠くなるのを待つ。

「今宵は湖面に映る月が美しいな」

とぶつぶつ読経を続けている僧侶の影に語りかけると影は振り向いて「ええ、ほんま吸い込まれそうな輝きで」とにっこり笑った。空海であった。

「なんだお前か」

「へえ、本当は勤行中に話し掛けられるのは邪魔なんやけど帝はそういうところがおありだから相手して差し上げるように申し送りがありまして」

日頃内供奉十禅師たちが思っている本音を空海を介して告げられた嵯峨帝は面食らったがすぐに気を取り直し、丁度よかった。と空海の傍にお座りになられた。

「高岳のことなんだがね、やはり空海、信頼してあの子を託せる人物はお前しか思い浮かばないんだ」

「夜が明けたらすぐにでも親王様を受け入れる準備を致します」

そうか、と嵯峨帝はひとつうなずくと空海と並んで恐ろしいくらい橙色に輝く月を庭園の水面越しに黙って見つめた。

「出家なさった上皇さまに平城宮に居てもらう事で奈良の僧たちは上皇さまにかりそめの仏の姿を見出しかつての誇りを取り戻すことでしょう…」

「最澄も比叡山に帰したし、これで長岡遷都以来の僧たちの不平不満が弱まってくれればいいが」

「次第にそうなりますって」

不思議だな、この男と話すと全ての事が大丈夫と思えてくる。月の光を浴びて微笑む空海を見ている内に瞼が重たくなり嵯峨帝は「もう寝る」と告げて立ち上がり寝所にお入りになった。

帝。
人は月の光を浴びすぎない方がいいんですよ。最初の師、戒明さまと出会ったのも月の光のもとでした。
わしのように月に魂を吸われた人間はやがて人ならぬ道に入ってしまうんですから…

翌日、空海に連れられて東大寺入りした高岳親王は「ねえ母上はどうしたの?」と初めて心細さを口にした。
「ここは寺ですからお母上は入って来れません」と告げると高岳は初めて唇を噛んで涙を見せた。その様子を見た空海は賢いお子やな。と感心した。

高岳は本当は自分の置かれた状況を全て解っていてわざと周りが困るくらい明るく振舞っていたのだ。

泣き出した高岳を空海が抱きあげ、
「大丈夫、これからはわしが親がわりで寺の者はみな家族ですから」と力強く励ました。


おい…これで子供たちは全員か?

まだあと二人足りないんですって。傀儡子の子供たちよ。

雑事師たちがとうに去った平城京の芝の広場で白装束の修験者が駆け回る。

くぐつ、という言葉を聞いて人形を抱いて隠れていた幼い兄弟が隠れていた草むらから顔を上げた。

いた!と兄弟を見つけて駆け寄って来た女修験者葛に「いまくぐつって言ったよね?おとうはどこ行ったの?あんたらおとうの知ってる人?」と兄の方が矢継ぎ早に質問する。

どう答えていいものか葛が困っているとタツミが兄が持っていた関羽の人形を覗き込み「黒い美髯、いい細工だ…」と呟き「お前らのおとうは?」と尋ねると兄弟は口を揃えて「タガミ」と言った。
「俺はタガミに頼まれてお前たちを探しに来たんだ」と言うと兄弟は気を許してタツミの膝に取り縋った。

これで土蜘蛛の遺児たち全員が見つかった。

彼らの親に手を掛け孤児にしてしまったこの子らを里に引き取って育てる事が修験者たちのせめてもの償い。
女帝持統の御代から里の者たちはためらいもなくそうしてきたのだ。

そこには渡来人だろうと政争で負けた咎人だろうと敵の子だろうと関係ない。

それを偽善だ、と云う者もいるかもしれないが、
偽りの善でも善をなし得なければ人は人足り得なくなるのだ。

歩ける子の手を引き、小さな子をおぶった修験者たちが出発の準備を整える。

「これ、あたしはそんなに老いちゃいないよ!」とタツミに無理矢理背負われた白専女が杖で息子の頭を小突いて周りからどっと笑いが起きた。

「何もかももういいんですよ…母上」
と言われて白専女の目に巻いた布がわずかに濡れ、老婆は息子の背にもたれた。

昔、血縁も恩讐も越えた大きな家族が故郷の里に向けて歩き出した。


「薬子」終わり。

第四章「秘密」へ続く。




































































































ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

空海、本名は佐伯真魚。香川県善通寺市出身の裕福な豪族のせがれ。学業優秀で長岡京の大学寮に入るが、そこで遭った悲劇が彼を仏門に向かわせる。

嵯峨天皇(神野親王)桓武天皇の第二皇子。

問題だらけの平安京に真の平安をもたらす名君。空海とは生涯の友になる。欠点、浮気性でパリピ。

橘嘉智子

嵯峨天皇に最も愛され、橘氏出身の唯一の皇后となる。仏教への傾倒は人生から逃げる術。

私は和気清麻呂。「これから起こる悪い事全部怨霊のせいにしちゃいましょう」と御霊信仰の悪知恵吹き込みました。

本音?桓武帝が起こした人災だろーが。

藤原薬子です。後に悪女呼ばわりされる私も言い分いっぱいあるんですのよー

嘉智子さまお付きの女童、明鏡です。薬子登場でなんだか不穏な予感…

空海に山岳修行教えた勤操ですぅ〜。時々奈良仏教の中間管理職としてぼやきます。桓武帝と戒明じいさんとの因縁ってなんやろな?


役行者六代子孫にして作中最もヤバいおっさんタツミ登場。わし空海のエグい修行生活のはじまりです。

新キャラ藤原葛野麻呂、空海を唐に連れて行く貴族です。私の顔は東寺の帝釈天像がモデルです。イケメンですよー。

兄貴、自分の息子の誕生祝いで不倫ばれてんじゃねーよ…って親父に対して正論で返してるし!義理の叔父、田村麻呂初登場。

by嵯峨帝

ふっふっふ。俺様は修験者の頭タツミ。真魚よ、よくぞ試練を乗り越えたな…っていつまでも妻の手握ってんじゃねえ!

若き日の坂上田村麻呂も絡む平安ミステリー、藤原種継暗殺事件の真相です。


最新話まで話を読んできた登場人物全員の心の声


「そりゃ祟られるわ!!」

実在した前の遣唐使僧、戒明です。史実上の真魚との接点は不明です。唐から偽経を持ち帰ったとして失脚してた私の名誉回復をしてくれたのは空海だから最初に出会った師として登場。

荒行の末に悟ったもの。仏性、すなわち人の心なり。善行も悪行もそれを行う人の心次第。

やっぱりわたくし、親王さまを好きになっていたのね。(浮気者だけれど)

多治比高子です。嵯峨帝側室として寵愛された理由はインテリだった設定。

あれ?「あの四重奏ドラマ」のエンディングシーンみたいなことしてない?

三行指帰現代語訳コント風、はじまりまじまり〜

何これ⁉︎空海の書いた話おもしれーじゃん!と吠えて宮女に叱られる神野。三教指帰は日本初の小説と呼ばれる。

空海、実家に帰る。真魚が一番可愛いお母さん。激烈お兄ちゃん、実家あるあるな心配するお父さん。

空海の実家をそのまま父親の名前にしたのはオヤジ、ありがとう…グスッ(泣)の気持ちやったんや。

後の法相宗のトップにして東日本に仏教を伝える男、徳一の本心。

高雄山寺プロレス回。奈良仏教の裏番長、実忠しれっと初登場。

やっと最澄登場。美坊主泰範のせいで既に不穏な比叡山寺。

ある意味最強キャラ、朝原内親王登場。

飛べない小鳥、から明鏡の出生の秘密編へ。

尚侍明信の罪は亡国の姫、明信の若き日の過ち。

「陽の下の露」冬嗣の長男、藤原長良誕生。ちなみに薬子と葛野麻呂の不倫関係は史実です。

「風が吹く」遣唐使に選ばれなかった空海に起こったありえへん奇跡。それにしても徳一口悪ぃな。

桓武帝が仏教勢力を叩いた理由は脱税摘発のため。しかし宗教法人を使った脱税って1200年経った今でもやってますなあ。

「受戒」どーもどーも、三論宗のアイドルにして空海の頭を剃った勤操ですぅー…ってじいさんどないしたー⁉︎

最初の師戒明との別れ。わし、行ってきます。

「船乗り星」朝廷も一目置く宗像氏の濃いマダム登場。

どうもー、空海を唐に送り最澄を唐から連れ帰ってながらも後世にほとんど知られていない葛野麻呂。ここでは準主役です。

徳政論争回。現実的にこれ以上の東国進出は無理だった。徳川家康の次に鷹狩り好きな歴史上の人物として有名な桓武天皇の最後の鷹狩り。

仙境天台山、思えばこのひと時が最澄の一番の幸福だったかもしれない。

「崩御と即位」皇帝陛下の崩御と新皇帝の即位に立ち会っちゃった俺って持ってる〜。からの、カネが無いから2年で逃げ帰れ命令。

「聖俗同船」帰国できなかった遣唐使もいるんですよ…葛野麻呂の最澄へのツンデレっぷりをお楽しみ下さい。

「密の罠」帰国した途端最澄に降り掛かる悪意。

平安京を開いた帝の最期。これから不穏な平城朝が始まるー

秀才、橘逸勢にトリプルの悲劇。留学生たちの寂しさを癒す楽の音。

恵果と戒明との邂逅から三十年。やっと後継者に出会えた恵果。

まるで唐密教の滅びを予測していたかのような恵果の発言。実際にそうなります。

「遍照金剛」かくして遍照金剛空海誕生。で、何で俺様がナレーション?

「柳枝の別れ」長安出立前夜に明かされる霊仙の正体。次回から日ノ本、平城朝編。

「平城朝」最後の薬子の表情は読者さんのご想像にお任せします。

「春宮神野」

宮中も 女子回なければ やってらんない

by明鏡 字余り

「天皇の侍医」官僚として、医師として苦労する弘世の人生が始まる。

「謀」とうとう粛清に向けて動きだした薬子。朝原内親王、神野に迫る毒殺の危機。

「比叡山夜話」最澄に迫る危機。平城帝の悪意。

「翡翠の数珠」空海のせいでまた逸勢がヒドい目に遭うお話。

「阿保の本音」父平城帝への不信感が募る阿保親王。後に彼と妻の伊都内親王から生まれたのが在原業平。

前半の薬子の兄、仲成が起こした暴行事件。これ史実です。後半の勤操の述懐は創作ですが。

「咎人空海」空海、やっと帰国。あの三姉妹再び登場。

「海辺のふたり」空海だけを都に帰さなかった藤原縄主の思惑とは。この時代、芋粥は極上スイーツ扱いでした。

「白雪」兄帝の危険性を思い出す神野。

「神泉苑行幸」策謀に満ちた宮中。筑紫で布教を始める空海に届いた悲報…

「藤原家の毒薬」いつの世も女の仕返しって陰湿なのよねえ。

「譲位」嵯峨天皇が即位した夜に明かされる伊予親王の死の真相。冬嗣の胸に去来するのは怒りか、諦めか。

「実ちて帰る」主人公2人がやっと初対面。次回から第3章「薬子」のはじまり。

わたくし藤原薬子が主役の章、「薬子」、開始ですわよ。空海阿闍梨、神野の坊やとの初謁見でいきなりド不敬発言。

「橘の系譜」女性天皇が女性の部下に姓を与えた女性が始祖の橘家。

明鏡、家族と再会し、そして母になる。

「背徳」性描写あり。そして、薬子は悪女になった。

「真言の灯」最澄さまの千利休感と人手不足の密教。ある事で滅多になくブチ切れる空海。

「宮女明鏡」嵯峨後宮ベビーラッシュ。身籠った明鏡がこれまでの人生を振り返る。

「阿修羅」、怒らせるとシャレにならないレベルで怖い空海のダークサイド。

「東国の勇者」アテルイ回前編。13000vs500で朝廷軍にに勝利した巢伏の戦いと田村麻呂との対話。

「王の器」アテルイと田村麻呂の物語、後編。胆沢制圧戦後のアテルイ、田村麻呂、桓武帝。

真の王の器は誰にある?

どぅもー、宮中のイケオジ葛野麻呂です。「負の遺産」、宮女同士のマウントバトルが怖ぇわ…

「征夷大将軍殿の憂鬱」田村麻呂、愛妻とのフルムーン旅→ヒリヒリするような駆け引き。

「小鳥立つ」明鏡、13年ぶりに父との対面で思い切った決断を告げる。そして運命の子は誕生した。

「火の継承」

この時代の年明けのお祭り、修二会。ググった結果検索トップがさだまさしの「修二会」だったので公式の自分がまさしに敗けて悔しい実忠。

「智泉の祈り」

嘉智子さまへのマタハラ案件、「皇子を産め」とのたまう橘家の兄君たちにブチギレる空海阿闍梨。

「豪奢なる遁甲」嵯峨天皇vs平城上皇最後の争いが万葉サーカスの歓声の中始まる。


この回から三人目の主人公、ソハヤ登場。

「私刑」

池波か!とツッコミ上等な回。法具を本来の目的(明王の武器)で使う空海。

「なるほど、これがお役所仕事か」by嵯峨天皇

「隘路」、暗殺者集団土蜘蛛vsタツミ率いる修験者たち。薬子の変クライマックス前編。

「火宅」一万字越えの大作です。嵯峨天皇vs平城上皇最後の戦い後編。


藤原薬子と語らう老婆の正体は…

「徒花散る」失脚がそのまま死に繋がる全然平安で無かった平安初期の、最後の政変。


勝ってもあまり嬉しくない戦いでしたね…


by田村麻呂

第3章「薬子」終わり。後ろ暗い取引をしてもカッコいい俺様であーる。


by修験者タツミ

第54代仁明天皇こと正良誕生でおめでたい事からはじまる弘仁元年。

「弘仁おじさん」と呼ばないで。

by藤原冬嗣

明けましておめでとうございます。嵯峨天皇の叔母にして宮中屈指の美魔女、酒人内親王です。ここぞとばかりに気合い入った命婦たちのファッションと空海vs朝原の新春disり合い回で御座います…

若い頃の実忠さまはやさぐれていたなあ。

この世でやるべきこともやったし…じゃあね!

by和気広世

嵯峨天皇の兄、良岑安世の恋人の真名井でございます。「九条にて」はさあ、これから庶民と渡来人たちが活躍する平安アンダーグラウンドな物語の幕開け。

空海in伊勢神宮。朝原内親王より託されたとんでもない密命。

エミシ最後の戦士、ソハヤの人生のはじまり。

前半、終了。

険しい高野の山道を抜けるとそこは…異文化レベルの集落だった。

「丹生一族」パツキン彫金師、ムラートです。今回は丹生一族と秦一族と高野山のお話。



奈良の大仏建立時の人に言えない過去。老いた僧ほど暗い秘密を抱えているものなのですよ。

by実忠

「集光」実は、この話で作者は話を終わらせるつもりだったのですが、取材で高野参りをし、そこの宿坊でご住職の説法を聞いた時に「物語のラストシーン」が頭に浮かびあと50話位書く事に。

「田口三千媛」今では虐待と言われる育てられ方をされたと思います。訳を聞かされて納得しても、無理に許さなくてもいいのよ。

「弘仁格式」100年ぶりの法改正にとりかかる嵯峨帝。謎の美僧、泰範の師に対する本音。

平城上皇が会いたかった東大寺の重鎮、実忠の昔語り。前編。光明皇后に仕えた日々。

「光の時代、後」実忠の過去の話。

後半は道鏡事件の真相。

遊女真名井の人生の転機。家族との再会と共に恋人との別れを覚悟する。

「軛」

丹生のシリン姫の花占い。「来る、来ない。来る、来ない…来たあー!」

「灌頂」

死んで生まれ変わりたい気持ちで空海に会いに行った泰範。

最澄はんの「泰範、行かないでくれ」

の熱烈な文が歴史的資料として残っておます。

by空海


ぐすっ、ぐすっ…生きながら生まれ変わる事って出来るんやな…


by泰範

「信源氏」日本史最初の源氏、源信です。あのね、四さいの時にお家(宮中)から出されて明鏡お母様と離されてしまったの。


信源氏物語のはじまりはじまり〜。

高野の麓、天野の里に帰ってきたムラートです。妹の結婚式がゾロアスター教通りの儀式だと⁉️


天野わっしょい物語をお楽しみに。

嵯峨帝と正妻高津内親王との離婚の真相に迫る「高津退場」後宮サスペンス回。

橘嘉智子、立后のお話。

「わたくし、覚悟を決めました」

「常の白珠」

延暦十五年四月(796年5月)、日の本初の公然セクハラ&パワハラの記録でございます。

by明信

あの時は恥ずかしい思いさせてごめんよ…まだ怒ってる?

ねえ明信、こっち向いて(焦)

by桓武帝

お二人とも、犬も喰わない痴話喧嘩を板上でやらないで下さいまし。

by葛野麻呂

「わし、とうとう最澄はんと絶交する覚悟決めました」

空海を本気でブチギレさせた最澄の言動。


そして、高野山開基に向けて動き始める弟子たち。

「高野」

私ムラート、生まれも育ちも高野山でございます。このお山の自然の洗礼に遭う実叡と泰範。

高野を舐めちゃあいけねえよ。


なぜか寅さん口調。

「時鳥」

小野篁初登場回。そして、現世での役目を果たした巫女との別れ。

「落花宴」

民を食わせるために働いた藤原、葛野麻呂の最期。日ノ本初の茶事と花見の宴の記録。



「拠り処」

天皇皇后だってもふもふふくふくで癒されたい。徳一、東国に進出宣言。

「橘秀才」

「弘法も筆の誤り、って肝心な時に大ポカをやらかすって事なんだね」

古今随一の芸術家となった逸勢、空海にツッコミを入れる。

「シリン都に行く」

はーい、私は高野山の麓天野の里に住む主婦シリン。夫に下された辞令で子供たち連れて平安京へお引越しですって⁉️ドギマギしちゃう!

…って魔法少女みたいなあらすじ紹介でいいのかしら?

「篁」

ちーっす、小野篁でーす。僕の風評「なんだかすげえ奴」みたいに言われてるけど、嵯峨帝に出会った頃は脳筋の野生児でしたよ。

「一隅を照らす」

最澄、最期のことば。戒壇認可を遅らせた嵯峨帝の真意。


そして、たそがれ空海。



「進士篁」

ちーっす!篁っす!それでは一句。


竹の子(篁)が ドラゴン桜(三教指帰)で サクラサク


物語の主人公空海阿闍梨から僕に交代っす!

白秋の章、「嵯峨野」のはじまり。淳和帝即位。遡って嵯峨帝による黄櫨染御袍プロデュース秘話。

「正子と正良」

嵯峨上皇と嘉智子お母様の息子、正良(後の仁明帝)です。十四で結婚したお嫁さんが可愛過ぎてキュートなハートにズキンドキン!です。

「祈雨(きう)」

元服した源信信です。空海阿闍梨による伝説の雨降らしの祈祷の裏に蠢く大人たちの陰謀に、

うわあああ…

皆さんお久しぶり。田村麻呂です。平安初期の貴族たちは麻呂麻呂っなくて武士武士ってたんですよ。


ごきげんよう、小野篁です。

(官吏になったのでパシリ口調はやめました)

今回は私のルーツとソハヤ、シルベに隠された秘密が明かされる回です。

「在るがまま」

平城上皇の第三王子、高岳親王です。今回は父の最期の想いと私の出家の物語。


◯ウケンシルバーのモデルになった私の人生の出発でしたねえ。

「哀しい哉」

このエピソード書くために作者、高野山にお参りに行き智泉の御廟(お墓)に手を合わせました。

「天長二年の旅立ち」

久しぶりの金髪仏師ムラートです。東寺の立体曼荼羅完成秘話。あの時の空海さんは某劇作家か!って位ダメ出しして来て参りましたよ…


そしてラスト主要人物、在原業平初登場。

「夫人たちの夏」嵯峨帝の側室、藤原緒夏です。後宮で生きる憂鬱と高子さまとの友情の回。


「頭の冬嗣」

今年の◯河はやり過ぎちまった私の愚孫どものいざこざですが一人ちゃんと遺言を守った奴がいたようです。

「心の中の明王」

篁と徳一の出会い。東国にて。

空海と最澄を支援した破天荒僧侶、勤操の最期。さよならだけが人生や。

喫茶去(きっさこ)は禅語で「ま、茶でも一服」の意味。人生最後の対面を惜しむ主人公二人。

「光明」全ての務めを終えた空海の眠り。次回から次世代編へ。

「流人篁」百人一首で有名な「わたの原」から始まる篁の反骨最骨頂行動と流人生活。


ちゃっかり現地妻作ってました。

「落日」

葛野麻呂の息子で遣唐大使、藤原常嗣サイドの最後の遣唐使節の行程。


支援者の張宝高は新羅の海将で外交官で大商人。

この回のゲストは唐代の大文人。

「円仁の旅・使命」

どうも、遣唐使団からバックれた不法滞在僧侶の円仁(最澄の弟子)です。私の9年以上に及ぶ旅はいきなりホラーな展開から始まります。

実質、最後の遣唐使である円仁の旅の後編。空海より託された三つの遺言は果たしたものの武宗による仏教弾圧を受ける苦難の復路。オカルトな場面あり。

「胡蝶」

「胡蝶の夢」になぞらえた常嗣の帰国後の辛い立場と責任を感じる篁。二人とも苦しんだんだ。

「観月」

嵯峨上皇が家族たちにそして遥か未来の子孫に向けて述べた言葉。

人生最後の観月の宴。



ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み