第93話 丹生一族

文字数 5,756文字

黒く分厚い雲が空を覆ったかと思えば半時も経たずに青く晴れ渡る。

まったくもって移ろいやすいのは山の天気と人の心。

高野山の頂の丹生一族の里に来て三日目、佐伯真魚は草むらに寝っ転がりながら雲が去って晴れてゆく空を眺めていた。

あれは六年前やった、人も建物も流され尽くした長岡京を高台から見下ろし、

どう努力して積み上げても都は一瞬にして崩れ、努力して学んでも人はあっけなく死ぬ。

もう何もかもが駄目だ。

と思った時から自分の心に無明の闇のような分厚い雲が棲み始め時折強く、

自分が自分であることをやめてしまいたい。

と学生真魚に思わせるまでに心の空を覆い尽くすようになった。

それは書に向かう程、先人の言の葉を頭に容れようとする程逆効果でありついには文章の一字も頭に入らなくなった。

その日の内に真魚は都から出奔した。

あの時、山中で唐語で漢詩を諳んじる戒明和尚(かいみょうおしょう)に出合わなかったら?

生きるための智恵であるという仏教の本当の意味を教えてもらわなければ?

間違いなく自分は頭を下にして崖から身を投げていたかもしれない。

いいかね真魚、と戒明和尚が折に触れて

「お前が修行を深め、ある程度道を究めた頃に世間のほうがお前を頼って来る。
その時、出家は世間からの逃げ道では無いと思い知るのだ」

と忠告してくれたが、今はまだその時ではないな。と呑気に草笛なぞ吹いている私度僧真魚を地面に這いつくばって睨み付ける少年が居た。

彼は田辺老人の孫、ファルーク。11才なのにその背丈は真魚と同じくらいで、腕力では里の誰にも負けやしない。

なんでじい様はあんな得体の知れない男を客扱いしてんだ?気に入らねえ…

ファルークは身を屈めながら草陰から走り出し、隙だらけの真魚の体に馬乗りになり、

気の済むまで殴りつけてこいつを追い出してやる!

と真魚が来た時から思っていた事を実行したが振り下ろした最初の一拳を柔らかく掴まれ、手の甲と肘の関節を同時に捻られて激痛が走る。

「降参せい」
「~~~っ…」

嫌だ。俺は今まで一度も負けた事ないんだ。参ったなんて死んでも言うもんか!

「強情やな、負けを認めるのもまた生きる途」

真魚の片方の足裏を股の付け根に当てられたファルークの体がふわっと宙を舞い、真魚の頭を飛び越えて背中から地面に叩きつけられる。

背中が痛い!身をよじろうとしたファルークの上に真魚がまたがり、両手で胸郭を地に押しつける。息が出来ない。

ファルークの心に、生まれて初めて他者への畏怖と恐怖が沸き起こった。

「言うべきことがあるやろ?」

と無表情で見下ろす真魚に向かって必死にうなずく。
相手の力が緩んでやっと息ができる。

「…ごめんなさい」
と言ってうなだれるファルークこと田辺波瑠玖、絶対この人だけには敵わない。という大人に初めて出会った。


その日の夜更け、「今日はお孫さんに手荒なことしてすんまへん」と真魚が詫びると田辺老人は笑いながら首を振り、

「いいんだよ、この子はいっぺんきつく揉んでやらんといかんと思っておった所だ。
うちの乱暴者を叱ってくれてありがとうな」
と逆に感謝の言葉をくれた。

里長の家にいる子供たちは田辺老人の孫たちで

長男波瑠玖(ファルーク)11才、
次男牟良人(ムラート)8才、
そして長女で末っ子の志厘(シリン)4才。

厚くふかふかした胡の敷物の上に身を寄せ合って眠っている。

「あの…この子たちの両親は?」と聞くと

「雷に打たれて死んだ。去年のことだ」

と老人は答えた。自分の息子と娘の死なのにどこか乾いた口調だった。

「この里にはよく雷が落ちて年に一人か二人は死者が出る。一年の半分は冬の寒さが続き、花も咲かない。人が生きて行くには厳しいところだ」

床の中央をくり抜いて作った石造りの炉に老人が炭を追加すると橙色の小さな火がぱちぱち、と音を立てて火花を散らす。

「では何故、あなた方は麓に下りず外界を避けてこの里で暮らしているのですか?」

鍋に水を入れて湯を沸かし、香りの良い草を入れて煮立てるとそれを柄杓で掬って木の器に注ぐまで老人は無言だった。

「胡人にとってもうこの国は生きづらいところになってしまった」

と答えるまでの長い沈黙は、
かつては都で毘盧遮那仏(びるしゃなぶつ)(奈良の大仏)の鋳造に携わっていたがなにがしかの理由で都を出てこの場所に安住の地を得るまでの、渡来人の異教徒の労苦を物語るようであった。

「飲みなさい」
勧められるまま薬湯を啜ると柑橘みたいな香りがして快く鼻腔をくすぐり、味もほんのり甘い。

「気鬱の病に効く薬湯だ」
老人はにやりとし、隠していた持病を見破られた真魚は空にした器に目を落とした。

すると、自分でも知らない内に張りつめていた気が緩んだのだろう。睡魔に襲われた真魚はそのまま胡人の三兄弟の横に並んで眠ってしまった…

目を覚ましたら既に朝、炉にかけられた鍋には粥が煮え立っている。横で寝ていた子供たち起きて外に出ている。我ながら随分深く眠っていたようだ。

「粥を食いなさい、今日はお前にいいものを見せてやろう」

と朝餉を終えて老人に付いて行って頂上の里から山の中腹まで降りるといくつも煙の立ち昇っている場所がある。

そこに近づく前に
「おまえさん、年はいくつかね?」と尋ねられたので「24になります」と正直に答えた。

老人はふうむ…と唸り、

「ここからは25過ぎた男しか入っちゃいけない作業場なんだがね…もう二度とここへ来ることは無さそうだから今回は特別だ」

と言ってすっぽりと口元を覆い、目だけを出した分厚い頭巾を真魚に被せた。

「絶対約束だ。蒸気を鼻と口から直接吸ってはいけない。作業場のものに素手で触ってはいけない。ここから出たら顔と手と衣服を丁寧に水で洗うこと。いいね?」

と念を押す老人の3つの忠告をしっかり頭に入れた真魚は「守ります」と固く肯いた。

「よろしい」と老人に許可されて入った広場には何やら朱い石を臼で砕く作業をしている者と、少し離れたところで砕いた粉末を鍋に入れて火にかけて煮詰めている男たちが17、8人。皆、頭巾を被って手袋を付けて作業している。

老人の現場入りに気づいた男たちはうやうやしく老人に目礼した。

「ここは丹の精錬の作業場。働いているのは麓に住む秦一族の男たちだ」

老人は高野山で採掘される辰砂(しんしゃ)を砕き、さらに別の金属を加えて質の良い丹に精錬する技術を麓の秦一族に教えるいわゆる現場監督の立場にあった。

唐では(いにしえ)から練丹術と呼ばれて精錬した丹を服すと不老不死の体に変化すると云われ、道教の書にもいくつかの丹薬の製造法と効果が記されているものがある。

そういえば秦の始皇帝も他に天下に成す事も無くなり丹薬を服していた。

…という大学寮の漢籍に書かれていた事柄を老人に話すとやれやれ、と相手は首を振った。

「か~っ…未だにそう信じて疑わない者がおるのが嘆かわしい!
いいかね?若い私度僧よ、精錬した丹は服したら即死に至る強毒なのだ。だから作業に携わる者はこうして布で身を包み毒を体に取り入れないようにしているのだ」

ここで出来た丹を見るかい?と倉庫の中の甕に詰まった完成した丹を見せられた時、

なんて鮮やかな朱の色…本当に人の生き血みたいや!
と心打ち震えたことは生涯真魚の胸に刻まれた。


「真魚さんがお山から降りて3年くらい後だったわ、吉野の鉱山師(やまし)が都の造営の為に大量の丹が要る、と言って丹生と秦の一族を総動員させた大仕事があってね…お山の辰砂は掘り尽くされてしまったの」

田辺老人と丹生一族の姫との孫、シリン姫は騒速(そはや)を連れて中腹まで下り、今は朱に染まった石臼だけが転がった作業場の跡を見せた。
鍋には硫黄がこびりつき、錆びて穴まで開いている。

「さびしいもんだな」

かつては最新技術を持った鋳造師たちが働いていた現場の残骸を見て、騒速は思うままを呟いた。

血液に似た赤い色から丹は魔よけの色として珍重され、塗料として寺社仏閣を中心に高く売れた。

山から原料である辰砂を掘り出す鉱山夫の一族が丹生で、それを大陸渡りの技術で精錬する一族が秦である。

「私が小さい頃は丹生も秦も一緒に働いて持ちつ持たれつで暮らしていたんだけれど、仕事が無くなった途端秦はお山を下りて、丹生は頂の里に引きこもってしまった。

暮らしの当てが無くなると人って本当に離れてしまうのね…」

鉱山師は十分すぎる謝礼をくれたがその取り分を争う大人たちの正体を見てしまった現場にあまり居たくない、

とでも言うように行きましょう、とシリンは騒速の腕を取った。

頂の里まで一気に駆け上がるシリンの俊敏さに、この娘の足腰は吉野の女修験者並みだ。まるで牝鹿みたいだ!

シリンの首筋から汗が滴り、騒速の顔に当たる。甘く芳しい汗に頭がくらくらする。

あれ?俺どうしちゃったんだろう。調息してして走っている筈なのに何故か鼓動が激しくなる…

この気持ちは一体何だ?

初めて沸き上がる自分の感情が何なのか解らないまま騒速はシリンと共に里に入り、何だか人だかりのする工房の前まで行くとその最前列では、

従姉で兄の妻でもある、丹生寿々香姫(にうのすずかひめ)が心配そうに3才の息子を抱き寄せて佇み、その横ではぶたれた頬を押さえた牟良人が、

「大丈夫だよ義姉上、じいさんを都から追い出した仏教徒たちには俺も反感があったけど、真魚さんだけは他の坊さんとは違う。きっと兄上を説得してくれるよ」
と義姉を励ましている。

彼らの話を聞いているとどうやら彼らの祖父の田辺老人がこの山頂に里を作ってできるだけ他者と関わらないようにして暮らしていた理由は…

拝火教徒であるが故に仏教と宗旨が合わず、大仏造りの務めを果たすともう用無しとばかりに都から追放されたからなのだな。

と大体の事情を騒速は察した。

何を崇めるか、という違いで人は簡単に別たれ排除するか殺し合う生き物なんだ。

ヤマトとエミシの争いの最中(さなか)に生まれ、敗れて従属させられたエミシの俘囚の子として育った騒速は痛いほどそれを解っている。

さて、どうすんだ?真魚さん。

工房の石造りの壁をくりぬいた窓からは午後の明かりが作業机を照らしている。

黒地に白い唐草模様の刺繍を縁に入れた帽子を波瑠玖が脱ぐと、無造作に束ねた金髪の巻き毛がばさっ!と音を立てて毛先が背中の真ん中辺りを打つ。

「ムラートが里を出て行ってからはシリンは誰との結婚をも拒むし、麓の秦一族も細工物の腕が落ちた、と言ってあまり引き取ってくれない。里の暮らしは先細るばかりだ…」

とうなだれて机にもたれる波瑠玖の背中に空海は敢えて厳しい声を掛けた。

「だからってムラートが帰って来るなり直ぐに妹と結婚させて一生この里に縛り付けるつもりかい?そこにムラートの気持ちはいっこもあらへんし、シリン姫の本心も尋ねないまま添わせるんか?」

「仕方ない、教えとはそういうものだ」

と抑揚のない声で言うといきなり手を伸ばした空海に束ねた髪を掴まれ、

「本気でそう思っているなら、なぜわしの目を見ない?」と鼻先が擦れ合う程顔を近づけた空海の目を直視させられる。

空海の目は白目が青みがかって一切の濁りが無い。

「田辺波瑠玖よ、お前が守りたいのは一体何だ?拝火教の教えか?胡人の血筋か?それともこの里の人びとか?」

教えに従っていれば幸せに生きられる。

物心ついた時からそう言い聞かされて育って来た。求め過ぎず、与えられた光明神(アフラ)からの恵みを享受して生きて笑って暮らしていればいい。そうじい様は言っていた。

しかしお山の恵みが枯渇した今はどうだ?暮らしの先には不安ばかりで麓の民とも物の遣り取りだけで心が通わない付き合い。

お宝を創り出す民、と誤解されて賊が里を狙うので番犬の数を増やした。

じい様。貴方が生きていた頃はみんな笑い合っていたのに近頃みんなあまり笑ってくれないんだ…

長である俺自身が、皆を不幸にしているっていうのかい?

両目から溢れ出た熱いものが頬を伝い、顎から滴り落ちて机に置いた陶製の首飾りを濡らす。そこには巨大な鳥の姿をした善神アフラ・マズダーにまたがる拝火教の開祖ゾロアスターの模様が焼き付けられている。

首飾りの上にぽろぽろ涙を落とす波瑠玖は「家族を、里のみんなを守りたい…」としゃくりあげながら答えた。

空海は彼を抱き寄せながら、

「よう言った。わしがこうして阿闍梨と呼ばれるようになったのも高野山の恵みのおかげ。この里の全て一切引き受けてやる」と宣言した。

真魚さんが?お山の恵みで?

一体何のことを言っているのか解らない、と涙にぬれた顔で困惑している波瑠玖に空海は、

「わしが唐留学のための資金集めに奔走していた頃、吉野の修験者が丹の商いで儲けた金を寄進して下さった。修験者の名は賀茂のタツミ」

その名を聞いて丹生一族の若き長は顔全体で驚いた。

そいつは10年前にこのお山に来て辰砂を掘り尽くさせた鉱山師(やまし)

…その丹の鉱脈は、どこにあったのですか?

空海の留学自体もいったん白紙にされて山中で気鬱の病で倒れた時に修験者タツミと蓼に助けられ、介抱されていた大安寺に十分すぎる留学資金を置いて出て行こうとする二人に尋ねた時、

振り返ったタツミは

「高野山」

と口元になんともいえない笑みを浮かべていた。

高野山の恵みの丹のおかげで今のわしがあるのだ。「それでだ、ファルーク」と身を乗り出した空海と波瑠玖は夕刻まで話し込んだ…


随分長い話だねえ、と工房の外で待ちくたびれた一族が夕餉の支度でもしよう、とその場を離れようとした時突如工房から長の波瑠玖と空海が出て来て、

「皆の衆、明日からお山を下りるぞ」
と長が確固とした意志を持ってそう告げた時、最初どよめきが起こり、しばらくして歓喜と高揚という解放された感情で男も女も手を取り合って飛び上がった。

翌朝、里の民は波瑠玖をマギ(ゾロアスター教の祭祀)役に彼らが清浄なものと崇める祭壇の炎に向かって祈りを捧げた。

仏教の僧侶である空海は彼らの背後から祭壇の炎を見させてもらい、
これや、これなんや!唐の西市の帰りに見せてもらった清浄な祈りの炎…

婆羅門教ではホーマといい、密教では護摩(ごま)と呼ばれる祈りの炎の原点が今、自分の前に再現されている!

それぞれの荷を持って高野山を降りる民を先導する空海の上空の空は薄曇りだが、祭壇の上で燃え盛る、

この世で最初に起こったであろう教えの清浄な祈りの炎を胸に留め、からりとした口調で言った。

「ああ、気が晴れた」




















































































































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登場人物紹介

空海、本名は佐伯真魚。香川県善通寺市出身の裕福な豪族のせがれ。学業優秀で長岡京の大学寮に入るが、そこで遭った悲劇が彼を仏門に向かわせる。

嵯峨天皇(神野親王)桓武天皇の第二皇子。

問題だらけの平安京に真の平安をもたらす名君。空海とは生涯の友になる。欠点、浮気性でパリピ。

橘嘉智子

嵯峨天皇に最も愛され、橘氏出身の唯一の皇后となる。仏教への傾倒は人生から逃げる術。

私は和気清麻呂。「これから起こる悪い事全部怨霊のせいにしちゃいましょう」と御霊信仰の悪知恵吹き込みました。

本音?桓武帝が起こした人災だろーが。

藤原薬子です。後に悪女呼ばわりされる私も言い分いっぱいあるんですのよー

嘉智子さまお付きの女童、明鏡です。薬子登場でなんだか不穏な予感…

空海に山岳修行教えた勤操ですぅ〜。時々奈良仏教の中間管理職としてぼやきます。桓武帝と戒明じいさんとの因縁ってなんやろな?


役行者六代子孫にして作中最もヤバいおっさんタツミ登場。わし空海のエグい修行生活のはじまりです。

新キャラ藤原葛野麻呂、空海を唐に連れて行く貴族です。私の顔は東寺の帝釈天像がモデルです。イケメンですよー。

兄貴、自分の息子の誕生祝いで不倫ばれてんじゃねーよ…って親父に対して正論で返してるし!義理の叔父、田村麻呂初登場。

by嵯峨帝

ふっふっふ。俺様は修験者の頭タツミ。真魚よ、よくぞ試練を乗り越えたな…っていつまでも妻の手握ってんじゃねえ!

若き日の坂上田村麻呂も絡む平安ミステリー、藤原種継暗殺事件の真相です。


最新話まで話を読んできた登場人物全員の心の声


「そりゃ祟られるわ!!」

実在した前の遣唐使僧、戒明です。史実上の真魚との接点は不明です。唐から偽経を持ち帰ったとして失脚してた私の名誉回復をしてくれたのは空海だから最初に出会った師として登場。

荒行の末に悟ったもの。仏性、すなわち人の心なり。善行も悪行もそれを行う人の心次第。

やっぱりわたくし、親王さまを好きになっていたのね。(浮気者だけれど)

多治比高子です。嵯峨帝側室として寵愛された理由はインテリだった設定。

あれ?「あの四重奏ドラマ」のエンディングシーンみたいなことしてない?

三行指帰現代語訳コント風、はじまりまじまり〜

何これ⁉︎空海の書いた話おもしれーじゃん!と吠えて宮女に叱られる神野。三教指帰は日本初の小説と呼ばれる。

空海、実家に帰る。真魚が一番可愛いお母さん。激烈お兄ちゃん、実家あるあるな心配するお父さん。

空海の実家をそのまま父親の名前にしたのはオヤジ、ありがとう…グスッ(泣)の気持ちやったんや。

後の法相宗のトップにして東日本に仏教を伝える男、徳一の本心。

高雄山寺プロレス回。奈良仏教の裏番長、実忠しれっと初登場。

やっと最澄登場。美坊主泰範のせいで既に不穏な比叡山寺。

ある意味最強キャラ、朝原内親王登場。

飛べない小鳥、から明鏡の出生の秘密編へ。

尚侍明信の罪は亡国の姫、明信の若き日の過ち。

「陽の下の露」冬嗣の長男、藤原長良誕生。ちなみに薬子と葛野麻呂の不倫関係は史実です。

「風が吹く」遣唐使に選ばれなかった空海に起こったありえへん奇跡。それにしても徳一口悪ぃな。

桓武帝が仏教勢力を叩いた理由は脱税摘発のため。しかし宗教法人を使った脱税って1200年経った今でもやってますなあ。

「受戒」どーもどーも、三論宗のアイドルにして空海の頭を剃った勤操ですぅー…ってじいさんどないしたー⁉︎

最初の師戒明との別れ。わし、行ってきます。

「船乗り星」朝廷も一目置く宗像氏の濃いマダム登場。

どうもー、空海を唐に送り最澄を唐から連れ帰ってながらも後世にほとんど知られていない葛野麻呂。ここでは準主役です。

徳政論争回。現実的にこれ以上の東国進出は無理だった。徳川家康の次に鷹狩り好きな歴史上の人物として有名な桓武天皇の最後の鷹狩り。

仙境天台山、思えばこのひと時が最澄の一番の幸福だったかもしれない。

「崩御と即位」皇帝陛下の崩御と新皇帝の即位に立ち会っちゃった俺って持ってる〜。からの、カネが無いから2年で逃げ帰れ命令。

「聖俗同船」帰国できなかった遣唐使もいるんですよ…葛野麻呂の最澄へのツンデレっぷりをお楽しみ下さい。

「密の罠」帰国した途端最澄に降り掛かる悪意。

平安京を開いた帝の最期。これから不穏な平城朝が始まるー

秀才、橘逸勢にトリプルの悲劇。留学生たちの寂しさを癒す楽の音。

恵果と戒明との邂逅から三十年。やっと後継者に出会えた恵果。

まるで唐密教の滅びを予測していたかのような恵果の発言。実際にそうなります。

「遍照金剛」かくして遍照金剛空海誕生。で、何で俺様がナレーション?

「柳枝の別れ」長安出立前夜に明かされる霊仙の正体。次回から日ノ本、平城朝編。

「平城朝」最後の薬子の表情は読者さんのご想像にお任せします。

「春宮神野」

宮中も 女子回なければ やってらんない

by明鏡 字余り

「天皇の侍医」官僚として、医師として苦労する弘世の人生が始まる。

「謀」とうとう粛清に向けて動きだした薬子。朝原内親王、神野に迫る毒殺の危機。

「比叡山夜話」最澄に迫る危機。平城帝の悪意。

「翡翠の数珠」空海のせいでまた逸勢がヒドい目に遭うお話。

「阿保の本音」父平城帝への不信感が募る阿保親王。後に彼と妻の伊都内親王から生まれたのが在原業平。

前半の薬子の兄、仲成が起こした暴行事件。これ史実です。後半の勤操の述懐は創作ですが。

「咎人空海」空海、やっと帰国。あの三姉妹再び登場。

「海辺のふたり」空海だけを都に帰さなかった藤原縄主の思惑とは。この時代、芋粥は極上スイーツ扱いでした。

「白雪」兄帝の危険性を思い出す神野。

「神泉苑行幸」策謀に満ちた宮中。筑紫で布教を始める空海に届いた悲報…

「藤原家の毒薬」いつの世も女の仕返しって陰湿なのよねえ。

「譲位」嵯峨天皇が即位した夜に明かされる伊予親王の死の真相。冬嗣の胸に去来するのは怒りか、諦めか。

「実ちて帰る」主人公2人がやっと初対面。次回から第3章「薬子」のはじまり。

わたくし藤原薬子が主役の章、「薬子」、開始ですわよ。空海阿闍梨、神野の坊やとの初謁見でいきなりド不敬発言。

「橘の系譜」女性天皇が女性の部下に姓を与えた女性が始祖の橘家。

明鏡、家族と再会し、そして母になる。

「背徳」性描写あり。そして、薬子は悪女になった。

「真言の灯」最澄さまの千利休感と人手不足の密教。ある事で滅多になくブチ切れる空海。

「宮女明鏡」嵯峨後宮ベビーラッシュ。身籠った明鏡がこれまでの人生を振り返る。

「阿修羅」、怒らせるとシャレにならないレベルで怖い空海のダークサイド。

「東国の勇者」アテルイ回前編。13000vs500で朝廷軍にに勝利した巢伏の戦いと田村麻呂との対話。

「王の器」アテルイと田村麻呂の物語、後編。胆沢制圧戦後のアテルイ、田村麻呂、桓武帝。

真の王の器は誰にある?

どぅもー、宮中のイケオジ葛野麻呂です。「負の遺産」、宮女同士のマウントバトルが怖ぇわ…

「征夷大将軍殿の憂鬱」田村麻呂、愛妻とのフルムーン旅→ヒリヒリするような駆け引き。

「小鳥立つ」明鏡、13年ぶりに父との対面で思い切った決断を告げる。そして運命の子は誕生した。

「火の継承」

この時代の年明けのお祭り、修二会。ググった結果検索トップがさだまさしの「修二会」だったので公式の自分がまさしに敗けて悔しい実忠。

「智泉の祈り」

嘉智子さまへのマタハラ案件、「皇子を産め」とのたまう橘家の兄君たちにブチギレる空海阿闍梨。

「豪奢なる遁甲」嵯峨天皇vs平城上皇最後の争いが万葉サーカスの歓声の中始まる。


この回から三人目の主人公、ソハヤ登場。

「私刑」

池波か!とツッコミ上等な回。法具を本来の目的(明王の武器)で使う空海。

「なるほど、これがお役所仕事か」by嵯峨天皇

「隘路」、暗殺者集団土蜘蛛vsタツミ率いる修験者たち。薬子の変クライマックス前編。

「火宅」一万字越えの大作です。嵯峨天皇vs平城上皇最後の戦い後編。


藤原薬子と語らう老婆の正体は…

「徒花散る」失脚がそのまま死に繋がる全然平安で無かった平安初期の、最後の政変。


勝ってもあまり嬉しくない戦いでしたね…


by田村麻呂

第3章「薬子」終わり。後ろ暗い取引をしてもカッコいい俺様であーる。


by修験者タツミ

第54代仁明天皇こと正良誕生でおめでたい事からはじまる弘仁元年。

「弘仁おじさん」と呼ばないで。

by藤原冬嗣

明けましておめでとうございます。嵯峨天皇の叔母にして宮中屈指の美魔女、酒人内親王です。ここぞとばかりに気合い入った命婦たちのファッションと空海vs朝原の新春disり合い回で御座います…

若い頃の実忠さまはやさぐれていたなあ。

この世でやるべきこともやったし…じゃあね!

by和気広世

嵯峨天皇の兄、良岑安世の恋人の真名井でございます。「九条にて」はさあ、これから庶民と渡来人たちが活躍する平安アンダーグラウンドな物語の幕開け。

空海in伊勢神宮。朝原内親王より託されたとんでもない密命。

エミシ最後の戦士、ソハヤの人生のはじまり。

前半、終了。

険しい高野の山道を抜けるとそこは…異文化レベルの集落だった。

「丹生一族」パツキン彫金師、ムラートです。今回は丹生一族と秦一族と高野山のお話。



奈良の大仏建立時の人に言えない過去。老いた僧ほど暗い秘密を抱えているものなのですよ。

by実忠

「集光」実は、この話で作者は話を終わらせるつもりだったのですが、取材で高野参りをし、そこの宿坊でご住職の説法を聞いた時に「物語のラストシーン」が頭に浮かびあと50話位書く事に。

「田口三千媛」今では虐待と言われる育てられ方をされたと思います。訳を聞かされて納得しても、無理に許さなくてもいいのよ。

「弘仁格式」100年ぶりの法改正にとりかかる嵯峨帝。謎の美僧、泰範の師に対する本音。

平城上皇が会いたかった東大寺の重鎮、実忠の昔語り。前編。光明皇后に仕えた日々。

「光の時代、後」実忠の過去の話。

後半は道鏡事件の真相。

遊女真名井の人生の転機。家族との再会と共に恋人との別れを覚悟する。

「軛」

丹生のシリン姫の花占い。「来る、来ない。来る、来ない…来たあー!」

「灌頂」

死んで生まれ変わりたい気持ちで空海に会いに行った泰範。

最澄はんの「泰範、行かないでくれ」

の熱烈な文が歴史的資料として残っておます。

by空海


ぐすっ、ぐすっ…生きながら生まれ変わる事って出来るんやな…


by泰範

「信源氏」日本史最初の源氏、源信です。あのね、四さいの時にお家(宮中)から出されて明鏡お母様と離されてしまったの。


信源氏物語のはじまりはじまり〜。

高野の麓、天野の里に帰ってきたムラートです。妹の結婚式がゾロアスター教通りの儀式だと⁉️


天野わっしょい物語をお楽しみに。

嵯峨帝と正妻高津内親王との離婚の真相に迫る「高津退場」後宮サスペンス回。

橘嘉智子、立后のお話。

「わたくし、覚悟を決めました」

「常の白珠」

延暦十五年四月(796年5月)、日の本初の公然セクハラ&パワハラの記録でございます。

by明信

あの時は恥ずかしい思いさせてごめんよ…まだ怒ってる?

ねえ明信、こっち向いて(焦)

by桓武帝

お二人とも、犬も喰わない痴話喧嘩を板上でやらないで下さいまし。

by葛野麻呂

「わし、とうとう最澄はんと絶交する覚悟決めました」

空海を本気でブチギレさせた最澄の言動。


そして、高野山開基に向けて動き始める弟子たち。

「高野」

私ムラート、生まれも育ちも高野山でございます。このお山の自然の洗礼に遭う実叡と泰範。

高野を舐めちゃあいけねえよ。


なぜか寅さん口調。

「時鳥」

小野篁初登場回。そして、現世での役目を果たした巫女との別れ。

「落花宴」

民を食わせるために働いた藤原、葛野麻呂の最期。日ノ本初の茶事と花見の宴の記録。



「拠り処」

天皇皇后だってもふもふふくふくで癒されたい。徳一、東国に進出宣言。

「橘秀才」

「弘法も筆の誤り、って肝心な時に大ポカをやらかすって事なんだね」

古今随一の芸術家となった逸勢、空海にツッコミを入れる。

「シリン都に行く」

はーい、私は高野山の麓天野の里に住む主婦シリン。夫に下された辞令で子供たち連れて平安京へお引越しですって⁉️ドギマギしちゃう!

…って魔法少女みたいなあらすじ紹介でいいのかしら?

「篁」

ちーっす、小野篁でーす。僕の風評「なんだかすげえ奴」みたいに言われてるけど、嵯峨帝に出会った頃は脳筋の野生児でしたよ。

「一隅を照らす」

最澄、最期のことば。戒壇認可を遅らせた嵯峨帝の真意。


そして、たそがれ空海。



「進士篁」

ちーっす!篁っす!それでは一句。


竹の子(篁)が ドラゴン桜(三教指帰)で サクラサク


物語の主人公空海阿闍梨から僕に交代っす!

白秋の章、「嵯峨野」のはじまり。淳和帝即位。遡って嵯峨帝による黄櫨染御袍プロデュース秘話。

「正子と正良」

嵯峨上皇と嘉智子お母様の息子、正良(後の仁明帝)です。十四で結婚したお嫁さんが可愛過ぎてキュートなハートにズキンドキン!です。

「祈雨(きう)」

元服した源信信です。空海阿闍梨による伝説の雨降らしの祈祷の裏に蠢く大人たちの陰謀に、

うわあああ…

皆さんお久しぶり。田村麻呂です。平安初期の貴族たちは麻呂麻呂っなくて武士武士ってたんですよ。


ごきげんよう、小野篁です。

(官吏になったのでパシリ口調はやめました)

今回は私のルーツとソハヤ、シルベに隠された秘密が明かされる回です。

「在るがまま」

平城上皇の第三王子、高岳親王です。今回は父の最期の想いと私の出家の物語。


◯ウケンシルバーのモデルになった私の人生の出発でしたねえ。

「哀しい哉」

このエピソード書くために作者、高野山にお参りに行き智泉の御廟(お墓)に手を合わせました。

「天長二年の旅立ち」

久しぶりの金髪仏師ムラートです。東寺の立体曼荼羅完成秘話。あの時の空海さんは某劇作家か!って位ダメ出しして来て参りましたよ…


そしてラスト主要人物、在原業平初登場。

「夫人たちの夏」嵯峨帝の側室、藤原緒夏です。後宮で生きる憂鬱と高子さまとの友情の回。


「頭の冬嗣」

今年の◯河はやり過ぎちまった私の愚孫どものいざこざですが一人ちゃんと遺言を守った奴がいたようです。

「心の中の明王」

篁と徳一の出会い。東国にて。

空海と最澄を支援した破天荒僧侶、勤操の最期。さよならだけが人生や。

喫茶去(きっさこ)は禅語で「ま、茶でも一服」の意味。人生最後の対面を惜しむ主人公二人。

「光明」全ての務めを終えた空海の眠り。次回から次世代編へ。

「流人篁」百人一首で有名な「わたの原」から始まる篁の反骨最骨頂行動と流人生活。


ちゃっかり現地妻作ってました。

「落日」

葛野麻呂の息子で遣唐大使、藤原常嗣サイドの最後の遣唐使節の行程。


支援者の張宝高は新羅の海将で外交官で大商人。

この回のゲストは唐代の大文人。

「円仁の旅・使命」

どうも、遣唐使団からバックれた不法滞在僧侶の円仁(最澄の弟子)です。私の9年以上に及ぶ旅はいきなりホラーな展開から始まります。

実質、最後の遣唐使である円仁の旅の後編。空海より託された三つの遺言は果たしたものの武宗による仏教弾圧を受ける苦難の復路。オカルトな場面あり。

「胡蝶」

「胡蝶の夢」になぞらえた常嗣の帰国後の辛い立場と責任を感じる篁。二人とも苦しんだんだ。

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