第35話 船乗り星

文字数 3,544文字

よつのふね、

とは四隻の船からなる遣唐使船団の別称である。

住吉大社で航海安全の祈祷を受け、難波津から出発した遣唐使船一の船の乗員たちは途中筑紫に停泊し、数日間地元豪族である宗像一族の歓待を受けた。

久しぶりに船を出てくつろいで座る空海の袖を「ちょっと」と引っ張る者が居た。

振り向くと大きな瞳が印象的な15,6才の娘であった。前髪に(かんざし)を差しているのでおそらくは宗像氏の頭領家の娘だろうか。

「あたしはタギツ、姉様(あねさま)があんたに話があるってさ」夜の事でもあったので周りの留学僧たちは皆疲れて眠ってしまっている。

まさか僧侶の自分に色の誘いはないだろう、と思い空海が磯の香りのする海風の中娘に手を引かれて行った先は、灯りの付いた一番大きな小屋だった。

姉様連れてきたよ、とタギツが空海の手を握りながら部屋の奥に座る女人二人に声を掛けた。

「あたしはタゴリ、タギツの姉」と手前の女人が言った。年は二十歳ぐらいで切れ長の眼をしている。

そして部屋の奥で古びた宝剣を抱いて座っている二十代半ばの女人が顔を上げて、

「あたしはイチキ、宗像一族の頭領さ」と自己紹介した。

空海は「えぇっ!?私たちは確かに昼、頭領どのとお会いしましたが…」とあからさまに驚いた顔で言った。

「見てみな姉様!このお坊さんはいちいち本音が顔に出て面白いよ」と三女のタギツがころころ笑って空海の肩に無邪気に抱き付く。

娘の両乳が押しつけられる感触が気になって仕方がなかった…。

「あれはあたしの夫さ。頭領家に娘ばかり生まれたから長女のあたしが婿を取った。他の氏族もやってることだ。ついでに言うとあたし達全員人妻さ」

と彫りの深い顔立ちの美人だが気性の強そうな宗像の女頭領は「ん!」と妹ににあごをしゃくると慌ててタギツは空海から離れた。

イチキの指示で空海は床に腰を下ろしたが三姉妹に囲まれる形になってどうも落ち着かない。

日頃女人に接していない僧侶にとってそれは息苦しい状況極まりなかった。いい薫りするけど、柔らかそうだけど…なんか切なくて胸苦しくなる!

「で、お話って何でっか?」さっさと話を済ませて帰りたい空海であった。


「あんたたち『よつのふね』の人たちは嵐の多い今の時期に行くなんて本当に馬鹿だよ…

田ノ浦(長崎県平戸)から外海に出たら本当に地獄だよ。乗員の中で本気で命を海に預ける覚悟があるのはあんただけのようだ、と見極めてね、直に話したいけど、

昼日中から女から坊さんに近づくのは人目をはばかる。で、暗くなるのを待ってあんたをここに連れて来た、って訳さ。あんた名前は?」

「空海」

「俗名は?」

「真魚、佐伯真魚といいます」

へえ、と言ってイチキは意味深な笑顔になると急に空海の眉間に自分の親指を押し当て、何やらまじないの言葉らしきものを唱えてから宝剣を構えて空海の顔前で宝剣の切っ先を縦、横、交互に五回ずつ斬った。

「昔から代々伝わる守護のおまじないだよ。姉様が気に入った男の乗る船は絶対沈まないのさ」

と言って初めてタゴリは白い歯を見せて笑った。

「そして船に乗って外海に出たら、必ず南無八幡大菩薩(なむはちまんだいぼさつ)、と唱えて船乗り星だけを見て進むんだよ」

「八幡様は船乗りの守り神さ、そして船乗り星は夜空の中で唯一動かない北の星」

「てんで役に立たない帆を付けた船に多すぎる荷物と人員…あんたたちのやろうとしていることはでっかい『漂流』なんだよ!とにかく北に向かえば間違いなく大陸に辿り着く」

と三姉妹が口々に言うので空海は丁寧にうなずき返し、八幡様、船乗り星、と数度復唱して空海が記憶したのを確認すると、

イチキはうむ、と満足げにうなずきやっと空海を解放してくれた。

再びタギツに案内してもらって帰った空海は熟睡している僧たちの間に入って横になり、あれは修験道や陰陽道に伝わる九字や。と確信した。

イチキさまは縦横5回ずつ斬ったから臨兵闘者 皆陣列在前に行、を足して「臨む兵、闘う者、皆 陣列べて前を行く」という最強の守護を授けて下さったのだ。と空海は思いいつの間にか熟睡していた。

翌日、宗像大社で祈祷を受けて帰って来た大使、藤原葛野麻呂を先頭に一の船の乗員たちが船に乗り込むのを、三姉妹たちは夫の横に並んで青い衣装で最上級に美しく着飾って見送った。

船が出航する直前、唐人の水夫たちに唐語で

「船乗り星を目指せ!」

とイチキが檄を飛ばすと水夫の頭は盛り上がった肩を揺すって髭面を緩ませ「あんたの檄は心強いぜ!」と唐語で返して出航の号令を掛けた。

「今回の大使様は念を入れて宗像の神に祈念した。難波津の住吉大社は男神、宗像大社の神は女神だ。陰と陽、太陽と月、男と女の両方が揃わないと加護は『完璧』にならない。解っていらっしゃるねえ」

と遠ざかる船を見ながら次女のタゴリが感心して言うを聞いて三女のタギツが

「あら姉様、あの大使様は去年ここを素通りして航海に失敗したのよ、知らなかったの?」とからかうような口調で言った。

「失敗から学んだか…にしてもいい男だったねえ」と葛野麻呂の顔を思い出してため息を付く次女に対して

「あれは悪い男だよ」

と長女のイチキが年の功で葛野麻呂の本性を見抜いて妹たちに忠告した。


田ノ浦から出航して二日目に予期していた事態は起こった。

かけ声とともに逞しい水夫たちが長い櫓を前から後ろに回転させるのを頭の男が止めさせた。

水夫たちのむんとした体臭と腋臭で顔をしかめつつ葛野麻呂は通訳に「船頭どのは何と言っているのだ?」と尋ねた。

は、と通訳は畏まり

「帆を上げろ、櫓を漕ぐ手を止めろ、もうこれから先は何をやっても無駄だ、嵐が来る、と」

やがて空が黒くなり、ぐうおぉぉぉ…伝説の海龍の唸り声のような不気味な音が船体に向けて近づいてくる。

「…来るぞ!」

と葛野麻呂が言うと間もなく床が大きく揺れて、大量の海水が窓から入り込んだ。

「各々、頭を庇って床に伏せるのだ…ここからが祈祷の者どもの力の見せ所ぞ!」

「はっ!」と航海安全の祈祷の為に乗船した神職、陰陽師、僧侶たちはそれぞれの口で祈祷の言葉を唱え、その中で空海は

南無八幡大菩薩、と唱え続けた。これが、一か月にも及ぶ漂流の始まりだった。

高い波と風がまるで巨人が平手打ちするかのように船体を翻弄する。

室戸岬での苦行とどっちが辛いだろうか?と船の揺れに合わせて後ろ受け身を取りながら空海は考えた。

あっちはあっちで何もせずに真言だけを唱え続けるという精神を削った行だったが、

こっちもこっちで海は祈祷に集中させてくれない!まずは自分の身を護ることやな、と空海は開き直り、身が転がる時は床に伏しながら呪文を唱えることにした。

途中、嵐が止むと乗員たちは干飯(ほしい)を手に取り、それを水でふやかして藻塩で味を付けて啜った。

が、それも船酔いで吐き戻す始末。10日も過ぎると喰わぬと己が命にかかわる、と悟った留学生たちは意地でも吐かぬよう歯を食いしばった。

晴れると、昼夜構わず北に向かって水夫たちが櫓を漕ぎ続けた。

北の空に船乗り星を見つけると船頭の唐人は「このひと漕ぎで確実に故郷に向かってるんだ!」と水夫たちを鼓舞した。

力尽きた水夫は休憩していた水夫と交代して休まず漕いで、嵐が来ると船内で身を丸めて眠った。

祈祷の者たちも漂流生活が長引くにつれ祈祷する気力が薄れ、飲食と休息を最優先するようになった。

空海も食うだけ食って出来るだけ休みながらも南無八幡大菩薩、と心で唱え続けた。

そして34日目の夜、不意に追い風が吹いて船の動きがやけに滑らかになった。船頭たちが外で騒ぐので空海も船室から出て空を見上げると…

満天の星が散りばめられた夜空に、船乗り星が輝いていた。

船乗り星は別名は北辰、太一星、今では北極星と呼ばれる。

そして星明かりに照らされた海の向こうに黒々とした陸地が見えた。

「陸地やー!!」と風を孕んだ帆の下で思わず空海は叫んでいた。その声に釣られて船室に居た遣唐使たちも出て来て

己が目で陸地を確認すると皆、ついに生きてここまで辿り着いたか!虚空に両手を突き上げて吼えた。

延暦23年(804年)盛夏、遣唐使船一の船は漂流35日目朝、福州長渓県赤岸鎮己南ノ海口(現在の福州市から北へ約250キロに位置する海岸)に漂着した。

じりじりと窓から夏の陽射しが入り込む船室、大使の葛野麻呂をはじめ貴族の子弟からなる留学生も、祈祷の者たちも皆気力を無くして吐瀉物がこびりついた床に突っ伏していた中で最初に橘逸勢が顔を上げて、

「南無八幡大菩薩…あ、もう着きましたな」とひとり船室の床に座している髪の伸びた僧侶に向かって初めて声を掛けた。

「僧侶どの…お前は何者なのだ?」

「へえ、ただの留学僧(るがくそう)で、船乗りの子です」

と空海はにっこり笑って答えた。

やれありがたや、宗像の三人の女神の恩恵で辿り着きましな。



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登場人物紹介

空海、本名は佐伯真魚。香川県善通寺市出身の裕福な豪族のせがれ。学業優秀で長岡京の大学寮に入るが、そこで遭った悲劇が彼を仏門に向かわせる。

嵯峨天皇(神野親王)桓武天皇の第二皇子。

問題だらけの平安京に真の平安をもたらす名君。空海とは生涯の友になる。欠点、浮気性でパリピ。

橘嘉智子

嵯峨天皇に最も愛され、橘氏出身の唯一の皇后となる。仏教への傾倒は人生から逃げる術。

私は和気清麻呂。「これから起こる悪い事全部怨霊のせいにしちゃいましょう」と御霊信仰の悪知恵吹き込みました。

本音?桓武帝が起こした人災だろーが。

藤原薬子です。後に悪女呼ばわりされる私も言い分いっぱいあるんですのよー

嘉智子さまお付きの女童、明鏡です。薬子登場でなんだか不穏な予感…

空海に山岳修行教えた勤操ですぅ〜。時々奈良仏教の中間管理職としてぼやきます。桓武帝と戒明じいさんとの因縁ってなんやろな?


役行者六代子孫にして作中最もヤバいおっさんタツミ登場。わし空海のエグい修行生活のはじまりです。

新キャラ藤原葛野麻呂、空海を唐に連れて行く貴族です。私の顔は東寺の帝釈天像がモデルです。イケメンですよー。

兄貴、自分の息子の誕生祝いで不倫ばれてんじゃねーよ…って親父に対して正論で返してるし!義理の叔父、田村麻呂初登場。

by嵯峨帝

ふっふっふ。俺様は修験者の頭タツミ。真魚よ、よくぞ試練を乗り越えたな…っていつまでも妻の手握ってんじゃねえ!

若き日の坂上田村麻呂も絡む平安ミステリー、藤原種継暗殺事件の真相です。


最新話まで話を読んできた登場人物全員の心の声


「そりゃ祟られるわ!!」

実在した前の遣唐使僧、戒明です。史実上の真魚との接点は不明です。唐から偽経を持ち帰ったとして失脚してた私の名誉回復をしてくれたのは空海だから最初に出会った師として登場。

荒行の末に悟ったもの。仏性、すなわち人の心なり。善行も悪行もそれを行う人の心次第。

やっぱりわたくし、親王さまを好きになっていたのね。(浮気者だけれど)

多治比高子です。嵯峨帝側室として寵愛された理由はインテリだった設定。

あれ?「あの四重奏ドラマ」のエンディングシーンみたいなことしてない?

三行指帰現代語訳コント風、はじまりまじまり〜

何これ⁉︎空海の書いた話おもしれーじゃん!と吠えて宮女に叱られる神野。三教指帰は日本初の小説と呼ばれる。

空海、実家に帰る。真魚が一番可愛いお母さん。激烈お兄ちゃん、実家あるあるな心配するお父さん。

空海の実家をそのまま父親の名前にしたのはオヤジ、ありがとう…グスッ(泣)の気持ちやったんや。

後の法相宗のトップにして東日本に仏教を伝える男、徳一の本心。

高雄山寺プロレス回。奈良仏教の裏番長、実忠しれっと初登場。

やっと最澄登場。美坊主泰範のせいで既に不穏な比叡山寺。

ある意味最強キャラ、朝原内親王登場。

飛べない小鳥、から明鏡の出生の秘密編へ。

尚侍明信の罪は亡国の姫、明信の若き日の過ち。

「陽の下の露」冬嗣の長男、藤原長良誕生。ちなみに薬子と葛野麻呂の不倫関係は史実です。

「風が吹く」遣唐使に選ばれなかった空海に起こったありえへん奇跡。それにしても徳一口悪ぃな。

桓武帝が仏教勢力を叩いた理由は脱税摘発のため。しかし宗教法人を使った脱税って1200年経った今でもやってますなあ。

「受戒」どーもどーも、三論宗のアイドルにして空海の頭を剃った勤操ですぅー…ってじいさんどないしたー⁉︎

最初の師戒明との別れ。わし、行ってきます。

「船乗り星」朝廷も一目置く宗像氏の濃いマダム登場。

どうもー、空海を唐に送り最澄を唐から連れ帰ってながらも後世にほとんど知られていない葛野麻呂。ここでは準主役です。

徳政論争回。現実的にこれ以上の東国進出は無理だった。徳川家康の次に鷹狩り好きな歴史上の人物として有名な桓武天皇の最後の鷹狩り。

仙境天台山、思えばこのひと時が最澄の一番の幸福だったかもしれない。

「崩御と即位」皇帝陛下の崩御と新皇帝の即位に立ち会っちゃった俺って持ってる〜。からの、カネが無いから2年で逃げ帰れ命令。

「聖俗同船」帰国できなかった遣唐使もいるんですよ…葛野麻呂の最澄へのツンデレっぷりをお楽しみ下さい。

「密の罠」帰国した途端最澄に降り掛かる悪意。

平安京を開いた帝の最期。これから不穏な平城朝が始まるー

秀才、橘逸勢にトリプルの悲劇。留学生たちの寂しさを癒す楽の音。

恵果と戒明との邂逅から三十年。やっと後継者に出会えた恵果。

まるで唐密教の滅びを予測していたかのような恵果の発言。実際にそうなります。

「遍照金剛」かくして遍照金剛空海誕生。で、何で俺様がナレーション?

「柳枝の別れ」長安出立前夜に明かされる霊仙の正体。次回から日ノ本、平城朝編。

「平城朝」最後の薬子の表情は読者さんのご想像にお任せします。

「春宮神野」

宮中も 女子回なければ やってらんない

by明鏡 字余り

「天皇の侍医」官僚として、医師として苦労する弘世の人生が始まる。

「謀」とうとう粛清に向けて動きだした薬子。朝原内親王、神野に迫る毒殺の危機。

「比叡山夜話」最澄に迫る危機。平城帝の悪意。

「翡翠の数珠」空海のせいでまた逸勢がヒドい目に遭うお話。

「阿保の本音」父平城帝への不信感が募る阿保親王。後に彼と妻の伊都内親王から生まれたのが在原業平。

前半の薬子の兄、仲成が起こした暴行事件。これ史実です。後半の勤操の述懐は創作ですが。

「咎人空海」空海、やっと帰国。あの三姉妹再び登場。

「海辺のふたり」空海だけを都に帰さなかった藤原縄主の思惑とは。この時代、芋粥は極上スイーツ扱いでした。

「白雪」兄帝の危険性を思い出す神野。

「神泉苑行幸」策謀に満ちた宮中。筑紫で布教を始める空海に届いた悲報…

「藤原家の毒薬」いつの世も女の仕返しって陰湿なのよねえ。

「譲位」嵯峨天皇が即位した夜に明かされる伊予親王の死の真相。冬嗣の胸に去来するのは怒りか、諦めか。

「実ちて帰る」主人公2人がやっと初対面。次回から第3章「薬子」のはじまり。

わたくし藤原薬子が主役の章、「薬子」、開始ですわよ。空海阿闍梨、神野の坊やとの初謁見でいきなりド不敬発言。

「橘の系譜」女性天皇が女性の部下に姓を与えた女性が始祖の橘家。

明鏡、家族と再会し、そして母になる。

「背徳」性描写あり。そして、薬子は悪女になった。

「真言の灯」最澄さまの千利休感と人手不足の密教。ある事で滅多になくブチ切れる空海。

「宮女明鏡」嵯峨後宮ベビーラッシュ。身籠った明鏡がこれまでの人生を振り返る。

「阿修羅」、怒らせるとシャレにならないレベルで怖い空海のダークサイド。

「東国の勇者」アテルイ回前編。13000vs500で朝廷軍にに勝利した巢伏の戦いと田村麻呂との対話。

「王の器」アテルイと田村麻呂の物語、後編。胆沢制圧戦後のアテルイ、田村麻呂、桓武帝。

真の王の器は誰にある?

どぅもー、宮中のイケオジ葛野麻呂です。「負の遺産」、宮女同士のマウントバトルが怖ぇわ…

「征夷大将軍殿の憂鬱」田村麻呂、愛妻とのフルムーン旅→ヒリヒリするような駆け引き。

「小鳥立つ」明鏡、13年ぶりに父との対面で思い切った決断を告げる。そして運命の子は誕生した。

「火の継承」

この時代の年明けのお祭り、修二会。ググった結果検索トップがさだまさしの「修二会」だったので公式の自分がまさしに敗けて悔しい実忠。

「智泉の祈り」

嘉智子さまへのマタハラ案件、「皇子を産め」とのたまう橘家の兄君たちにブチギレる空海阿闍梨。

「豪奢なる遁甲」嵯峨天皇vs平城上皇最後の争いが万葉サーカスの歓声の中始まる。


この回から三人目の主人公、ソハヤ登場。

「私刑」

池波か!とツッコミ上等な回。法具を本来の目的(明王の武器)で使う空海。

「なるほど、これがお役所仕事か」by嵯峨天皇

「隘路」、暗殺者集団土蜘蛛vsタツミ率いる修験者たち。薬子の変クライマックス前編。

「火宅」一万字越えの大作です。嵯峨天皇vs平城上皇最後の戦い後編。


藤原薬子と語らう老婆の正体は…

「徒花散る」失脚がそのまま死に繋がる全然平安で無かった平安初期の、最後の政変。


勝ってもあまり嬉しくない戦いでしたね…


by田村麻呂

第3章「薬子」終わり。後ろ暗い取引をしてもカッコいい俺様であーる。


by修験者タツミ

第54代仁明天皇こと正良誕生でおめでたい事からはじまる弘仁元年。

「弘仁おじさん」と呼ばないで。

by藤原冬嗣

明けましておめでとうございます。嵯峨天皇の叔母にして宮中屈指の美魔女、酒人内親王です。ここぞとばかりに気合い入った命婦たちのファッションと空海vs朝原の新春disり合い回で御座います…

若い頃の実忠さまはやさぐれていたなあ。

この世でやるべきこともやったし…じゃあね!

by和気広世

嵯峨天皇の兄、良岑安世の恋人の真名井でございます。「九条にて」はさあ、これから庶民と渡来人たちが活躍する平安アンダーグラウンドな物語の幕開け。

空海in伊勢神宮。朝原内親王より託されたとんでもない密命。

エミシ最後の戦士、ソハヤの人生のはじまり。

前半、終了。

険しい高野の山道を抜けるとそこは…異文化レベルの集落だった。

「丹生一族」パツキン彫金師、ムラートです。今回は丹生一族と秦一族と高野山のお話。



奈良の大仏建立時の人に言えない過去。老いた僧ほど暗い秘密を抱えているものなのですよ。

by実忠

「集光」実は、この話で作者は話を終わらせるつもりだったのですが、取材で高野参りをし、そこの宿坊でご住職の説法を聞いた時に「物語のラストシーン」が頭に浮かびあと50話位書く事に。

「田口三千媛」今では虐待と言われる育てられ方をされたと思います。訳を聞かされて納得しても、無理に許さなくてもいいのよ。

「弘仁格式」100年ぶりの法改正にとりかかる嵯峨帝。謎の美僧、泰範の師に対する本音。

平城上皇が会いたかった東大寺の重鎮、実忠の昔語り。前編。光明皇后に仕えた日々。

「光の時代、後」実忠の過去の話。

後半は道鏡事件の真相。

遊女真名井の人生の転機。家族との再会と共に恋人との別れを覚悟する。

「軛」

丹生のシリン姫の花占い。「来る、来ない。来る、来ない…来たあー!」

「灌頂」

死んで生まれ変わりたい気持ちで空海に会いに行った泰範。

最澄はんの「泰範、行かないでくれ」

の熱烈な文が歴史的資料として残っておます。

by空海


ぐすっ、ぐすっ…生きながら生まれ変わる事って出来るんやな…


by泰範

「信源氏」日本史最初の源氏、源信です。あのね、四さいの時にお家(宮中)から出されて明鏡お母様と離されてしまったの。


信源氏物語のはじまりはじまり〜。

高野の麓、天野の里に帰ってきたムラートです。妹の結婚式がゾロアスター教通りの儀式だと⁉️


天野わっしょい物語をお楽しみに。

嵯峨帝と正妻高津内親王との離婚の真相に迫る「高津退場」後宮サスペンス回。

橘嘉智子、立后のお話。

「わたくし、覚悟を決めました」

「常の白珠」

延暦十五年四月(796年5月)、日の本初の公然セクハラ&パワハラの記録でございます。

by明信

あの時は恥ずかしい思いさせてごめんよ…まだ怒ってる?

ねえ明信、こっち向いて(焦)

by桓武帝

お二人とも、犬も喰わない痴話喧嘩を板上でやらないで下さいまし。

by葛野麻呂

「わし、とうとう最澄はんと絶交する覚悟決めました」

空海を本気でブチギレさせた最澄の言動。


そして、高野山開基に向けて動き始める弟子たち。

「高野」

私ムラート、生まれも育ちも高野山でございます。このお山の自然の洗礼に遭う実叡と泰範。

高野を舐めちゃあいけねえよ。


なぜか寅さん口調。

「時鳥」

小野篁初登場回。そして、現世での役目を果たした巫女との別れ。

「落花宴」

民を食わせるために働いた藤原、葛野麻呂の最期。日ノ本初の茶事と花見の宴の記録。



「拠り処」

天皇皇后だってもふもふふくふくで癒されたい。徳一、東国に進出宣言。

「橘秀才」

「弘法も筆の誤り、って肝心な時に大ポカをやらかすって事なんだね」

古今随一の芸術家となった逸勢、空海にツッコミを入れる。

「シリン都に行く」

はーい、私は高野山の麓天野の里に住む主婦シリン。夫に下された辞令で子供たち連れて平安京へお引越しですって⁉️ドギマギしちゃう!

…って魔法少女みたいなあらすじ紹介でいいのかしら?

「篁」

ちーっす、小野篁でーす。僕の風評「なんだかすげえ奴」みたいに言われてるけど、嵯峨帝に出会った頃は脳筋の野生児でしたよ。

「一隅を照らす」

最澄、最期のことば。戒壇認可を遅らせた嵯峨帝の真意。


そして、たそがれ空海。



「進士篁」

ちーっす!篁っす!それでは一句。


竹の子(篁)が ドラゴン桜(三教指帰)で サクラサク


物語の主人公空海阿闍梨から僕に交代っす!

白秋の章、「嵯峨野」のはじまり。淳和帝即位。遡って嵯峨帝による黄櫨染御袍プロデュース秘話。

「正子と正良」

嵯峨上皇と嘉智子お母様の息子、正良(後の仁明帝)です。十四で結婚したお嫁さんが可愛過ぎてキュートなハートにズキンドキン!です。

「祈雨(きう)」

元服した源信信です。空海阿闍梨による伝説の雨降らしの祈祷の裏に蠢く大人たちの陰謀に、

うわあああ…

皆さんお久しぶり。田村麻呂です。平安初期の貴族たちは麻呂麻呂っなくて武士武士ってたんですよ。


ごきげんよう、小野篁です。

(官吏になったのでパシリ口調はやめました)

今回は私のルーツとソハヤ、シルベに隠された秘密が明かされる回です。

「在るがまま」

平城上皇の第三王子、高岳親王です。今回は父の最期の想いと私の出家の物語。


◯ウケンシルバーのモデルになった私の人生の出発でしたねえ。

「哀しい哉」

このエピソード書くために作者、高野山にお参りに行き智泉の御廟(お墓)に手を合わせました。

「天長二年の旅立ち」

久しぶりの金髪仏師ムラートです。東寺の立体曼荼羅完成秘話。あの時の空海さんは某劇作家か!って位ダメ出しして来て参りましたよ…


そしてラスト主要人物、在原業平初登場。

「夫人たちの夏」嵯峨帝の側室、藤原緒夏です。後宮で生きる憂鬱と高子さまとの友情の回。


「頭の冬嗣」

今年の◯河はやり過ぎちまった私の愚孫どものいざこざですが一人ちゃんと遺言を守った奴がいたようです。

「心の中の明王」

篁と徳一の出会い。東国にて。

空海と最澄を支援した破天荒僧侶、勤操の最期。さよならだけが人生や。

喫茶去(きっさこ)は禅語で「ま、茶でも一服」の意味。人生最後の対面を惜しむ主人公二人。

「光明」全ての務めを終えた空海の眠り。次回から次世代編へ。

「流人篁」百人一首で有名な「わたの原」から始まる篁の反骨最骨頂行動と流人生活。


ちゃっかり現地妻作ってました。

「落日」

葛野麻呂の息子で遣唐大使、藤原常嗣サイドの最後の遣唐使節の行程。


支援者の張宝高は新羅の海将で外交官で大商人。

この回のゲストは唐代の大文人。

「円仁の旅・使命」

どうも、遣唐使団からバックれた不法滞在僧侶の円仁(最澄の弟子)です。私の9年以上に及ぶ旅はいきなりホラーな展開から始まります。

実質、最後の遣唐使である円仁の旅の後編。空海より託された三つの遺言は果たしたものの武宗による仏教弾圧を受ける苦難の復路。オカルトな場面あり。

「胡蝶」

「胡蝶の夢」になぞらえた常嗣の帰国後の辛い立場と責任を感じる篁。二人とも苦しんだんだ。

「観月」

嵯峨上皇が家族たちにそして遥か未来の子孫に向けて述べた言葉。

人生最後の観月の宴。



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