第135話 円仁の旅・迫害

文字数 6,500文字

あの(くら)い道をくぐり抜ければ、きっと次の道標(みちしるべ)が見える。

松明の明かりを頼りに山道を登っていく彼の心に不思議と怖さも迷いも無かった。

頂に建つ庵の戸を夢中で叩いて寺男に通された部屋でまるで彼が来るのを待っていたかのように徳一和尚が出迎えてくれた。

「もしかしたらお前が来るんじゃないか、と思ってな。最澄の秘蔵っ子円仁よ」

師僧の長年の論敵にして法相宗を束ねる高僧を前に円仁は思い切って、

「この間のことでは、全く徳一さまの仰る通りだと思います。
…残念ながらわが師最澄は己が独善に(こだわ)り、周りの人々を大切にしないからほかの宗派から憎まれるのです。これには我々弟子たちも辟易しております」

と長い間心に秘めていて本音を口にした。
これを言わなければ今まで自分が信じていたものが全て崩れ落ちてしまいそうな位、

円仁も絶望していたのである。

それは天台宗布教のために師最澄に伴い、東国に赴いて里の人々の暮らしを視察した日のこと。

彼らが目にしたのはは飢饉に見舞われ、米はお上に徴収されて食いつなぐ雑穀もあと僅かな農民たちがやせ細った体に虚ろな目で徳一自らが指揮する粥の支給に列を成す光景だった…

徳一は最澄を一瞥すると、

「詭弁の師最澄よ、この有様を見よ!
この里では佛の有難い言葉も、信じればすべての衆生が救われるという天台の教えも、無駄だ。
今ここで必要なものは命を繋ぐ一杯の粥だけ…現状を思い知って疾く去るが良い」

と言ってその場で説法しようとする最澄を追い返した。

他の集落に回って説法しようとしても「飢えも知らない坊主の言葉で腹が膨らむかよ!」と村人に石を投げられ、或いは手持ちの食料を奪われそうになって這う這うの体で逃げだすを繰り返し、

結局、師最澄が東国で行った事は「なあに、今は救われなくともいずれが経てば受け入れられるさ」と各地に石基を建てただけ。

ああ、この御方は現世に居ながら現世を見ていない…

九歳から師事してきた師僧への尊敬が失望に変わっていきそうな出来事だった。

灯火の芯がじじじ…と音を立てて燃え、慌てて油を注ぎ足してから円仁の本音を全て受け止めた徳一は「おまえ面白いな」とまるで新しい遊びを覚えた子供のように含み笑いをすると、

「最澄の弟子の中で初めて話が出来る男に出会えた。なあ…もし自分のやってることに絶望したなら空海に会ってみないか?お前の視野を一気に広げてくれる男だ」

とあろうことに師僧の仇敵に等しい空海阿闍梨への面会を勧めるではないか。とんでもない!と首を振った円仁は

「泰範阿闍梨のように宗旨替えは出来ません!」

と丁重に断り、「あの…今言ったことは師にはご内密に」と口止めをお願いして夜が明けて最澄が目覚める前に、と辞去する彼を
「最澄には言わぬしもう会うことも無い。それだけは守る。けれどな」と読経で鍛えた張りのある声と意味深な笑顔で見送ってくれた。

徳一和尚との一回きりの対話と彼の最後の言葉、

けれどな。

の意味を円仁が知ったのはその二十四年後の開成五年(840年)冬。

辿り着いた大唐帝国首都、長安にて国寺である大興善寺の元政和尚から灌頂を受け金剛界大法を授かり、かつて空海が秘法伝授された青龍寺の住職の義真からも灌頂を受けて胎蔵界・盧遮那経大法と蘇悉地大法を授かり、大陸より持ち帰るべき三つのものの内二つ目。

長安にて密教の両部灌頂を受け、正式な阿闍梨号を授かること。

を果たした日の数日後、青龍寺を出る前日に義真が開いてくれた送別の宴で

「実は拙僧は亡き師、義操阿闍梨(恵果阿闍梨より空海と同時に両部灌頂を授かる)からひととおりの秘法は授かっていても、本当の密教後継者ではないのです」

と円仁のすぐ横で誰にも聞こえないように声を潜めて告白してくれた。

「え…それでは義操阿闍梨は正式な後継者を決めずに亡くなられたと?」

と眉を広げる円仁にはい…と済まなそうに義真は首をすぼめ、

「天竺由来の密教では正式な継承者が後継者を決める時、
出会ったその瞬間に解るからその者以外に秘法を授けるな。
という不文律があるのです。国師の寺である青龍寺の体面を保つために義操阿闍梨は『いつか出会う正統後継者』のために拙僧に全てを教えて下さいましたが…いやはやそれがあなただとは。
これで密教が滅びずに済む。と寺のもの皆安堵いたしております…」

「お、お待ちください、私が密教の正統後継者ですって!?」

と狼狽えた円仁に義真は「拙僧はあなたの後背から立ち昇る清浄なる炎を見てああ、出会えば解るというのは本当だったのだな、あなたこそ正統後継者だ。と思って全てを伝授したつもりなのですが…空海阿闍梨から何も言われてなかったのですか?」

と、唖然とした顔を向け、生前「空海阿闍梨は自覚のない本物だったよ」と褐色のお顔に苦笑を浮かべた師、義操を思い出し、

成程、自覚の無い本物がここにまた一人。

とやっぱり苦笑したのだった。

けれどな、空海阿闍梨にはお前のこと話してしまったんだよ。
甥の智泉が密教の継承者でなかった無念は解るが、宗派の壁を越えて円仁に会って来い。

もしかしたらもしかするやもしれんぞ。

と徳一和尚は空海阿闍梨に話してしまったに違いない。

そうでなければ空海阿闍梨が延暦寺に乗り込んで来た時、一目で私が円仁だとわかる訳ないではないか…

空海阿闍梨との縁はあの東国での夜、自分自身で結んでしまったのだ。

と思わざるを得ない円仁であった。

長安の絵師・王恵に代価六千文で描かせた金剛界曼荼羅が完成し、受け取ったその日の夜見た夢に生前と変わらぬ水色の帽子(もうす)を被った姿最澄が現れた。円仁が膝を付いて合掌しようとすると最澄は慌てて彼を止め、

「私には生前至らぬところが多々あり、それで弟子たちに苦労をかけました…円仁よ、貴方はよくぞ天台宗の悲願を果たしてくれました」

と目の前に広げて見せた金剛界曼荼羅を見て涙し、

「大勇金剛(日ノ本で灌頂を受けた時の法名)よ、今ではあなたが私の師である」

と円仁に膝を付いて合掌した。

そんな、お顔を上げて下さい!と言おうとした所で円仁は目覚めた。真夜中だった。

この頃の長安は政情不安のさなか賊が蔓延(はびこ)り、窃盗や放火が日常茶飯事であった。

密教の秘法と宝物を授かった円仁の噂は都中に広がっていて、空海阿闍梨に続いて

またもや倭人が国家守護の教えを掠め取るのか。…

という唐人たちの反感を一身に買った円仁の身にこの時危険が迫っていた。

じり…じり、と音を立てぬようにひとりの道士が刀を手に円仁に近づいていた。

しかし、標的が急に目覚めて床から半身を起こしたので道士は怯み、慌てて刀を振り下ろそうとした。その時、

円仁が枕元に大事に置いていた霊仙三蔵の背負い櫃がぱん!と音を立てて開き、日ノ本の庶民の格好をした若者が両手に百八の珠の数珠を掲げて円仁を庇うように道士の前に立ち塞がった。

彼の手が結ぶのは胸の前で、左手をこぶしに握って人さし指だけ立て、それを右手で握る金剛界の大日如来の結ぶ印であり無明妄想を滅ぼす智拳印。

もしや、日来根(ひきね)(霊仙の本名)さま⁉︎

と起き上がって床から降り立った円仁に若者はくすりと笑って振り返り、

(我のするようにやってみよ。お前には既にそれだけの法力がある)

と彼の心に呼びかけたので道士に向かって袖の中に隠した智拳印を組むとすぐに

「のうまく・さんまんだばざらだん・せんだ・まかろしゃだ・そわたや・うんたらた・かんまん!」

と真言を唱えながら道士に念を飛ばすと相手は放心して刀を取り落とし、仰向けに倒れた。

(意識を飛ばしただけだ。旅の終わりまで「式」としてお前を守るゆえ)

と戸口から差し込む朝焼けの中で日来根の姿は消え、代わりに見張り番をしていた新羅の男たちが

「油断して入らせてしまってすいません!」と円仁に詫びると道士の首根っこを掴んで何処かへ連れ去ってくれた。

役人に引き渡されるのかそのまま彼らに殺されるのかはもう預かり知らぬ。

ああ、大陸に来てからの私を助けてくれたのはいつも在唐の新羅人だった…
その中でも最大の恩人である新羅商船団頭目、張宝高の暗殺が知らされたのはほんの数日前のことだった。

張宝高。

彼は元は勇猛な海将であり、さらには在唐大使として最も新羅に頼られながらも、力を持ちすぎて王家を簒奪するやも。と恐れられていた男。

聞けば故国の政変で彼の元に逃げてきた文聖王に頼られ、「勝ったら娘を嫁にやる」と約束されて海戦を仕掛けて勝ち、文聖王を王座に返り咲かせたが

「賎民の出の男に娘をやる訳ないではないか」

と手のひらを返され、激怒して簒奪覚悟の海戦を仕掛けて優勢だったが、王家の放った暗殺者に刺されて息耐えたという。

「ざまあねえなあ…手下の誇りのために闘ったつもりが、油断しちまったぜ…」

が血の泡を吐きながら倒れた彼の最期の言葉だった。と彼の部下から聞かされた。

「身分身分で窮屈になった新羅を飛び出した侠客同然の俺たちに仕事と役目を与えて下さったのが張宝高のお頭だった…故国は俺たちを逆賊扱いして締め付けが厳しくなるかもしれねえ、けれど、お頭の遺言通り帰国まであんたたちを守るぜ!」

この一言で張宝高が彼らを如何に大切にしてきたかが解った。

張宝高どの。

思えばこの唐土で頼るのは貴方しか居ない。と赤山法華院であなたにお会いした時、

「俺はねえ、百年以上も前の古い型の船で外海を渡ってきた倭国使節を意地でも冊封を受けない馬鹿野郎だと思っている。

でもねえ、俺は唐国の犬になってしまった自分の故国よりも命を賭けて不跪(ふき)を選んだ馬鹿野郎の倭人ども、その中でも不法滞在を決め込んだ一番の馬鹿野郎のあんたが大好きだから何でも世話したくなったんだよ」

と講堂に集まった在唐新羅人会の重鎮たち。彼らが円仁と惟暁(ゆいぎょう)を値踏みするように厳しい目つきで見つめる中、張だけは親しい友人のようにくだけた口調で円仁に話しかけてくれた。

「俺は賤民の生まれで子供の頃親を戦で殺され、食うために武人になった。そんな何もないところから始まった俺がこうして大国唐で威張っていられるのは武人としての功と商いで成功して得た財力があるからだ。
人員、土地、官位、唐では全て金で()えるぜぇ…」

張はいきなりばっ!と両手のひらを円仁の前に広げて見せた。短くて太い指先が力強く内側に曲がりまるで目に見えない何かを掴もうとするかのように見えた。

「では、宝高どのは新羅も唐土も金で贖って、その先何を贖うおつもりなのですか?」

と円仁が問うと宝高は自分の野心を見透かした目の前の僧侶をしばらく無言で見つめたのち、ひとつ強く頷いてから、

「この世で一番大事なものは子供と若者だ。俺は大陸中に学舎を建てて身分も出身国も問わず、学問を教えて人材を育て…未来を()う!」

とこれから何百年先を見据えた自分の展望を語った宝高の眼は無垢な子供のように澄んでいた。

途端に周囲の配下たちがはっはっは!と額に手を当てて大笑いし、

「結局お頭が一番の大馬鹿野郎じゃねえか!でもそんなお頭だからこそ俺たちついてきたんだぜえ」

と一気に場が和んだ中、宝高はにたり、と笑い

「偽造だけど役人にたくさん賄賂つかませて作らせたんだから。本物よりも効力あるなんて笑っちまうよなあ」

と唐国内なら何処でも通行できる許可証を円仁に手渡したのであった。

彼は武将というよりはまるで侠(身を顧みずに弱い者を助けること)の気風を持つ、魅力あふれる男だった。

志半ばで斃れた彼だが、もし、彼が大願果たしていたらきっと大陸は今後数百年は面白いことになっていただろうと円仁は思う。

この年の初め、宦官撲滅を謀ったものの失敗に終わり幽閉されていた文宗皇帝が「朕は結局は宦官の奴隷であった」と嘆きながら三十三歳の若さで崩御し、

次に即位した皇帝、武宗は道教に傾斜して宮中に道士を入れ、道教保護の一方で教団が肥大化していた仏教や、景教などの外来宗教に対する弾圧を始めた。

元号が会昌になった翌年から起こったので、これを会昌の廃仏という。

円仁たちは長安にいる他の外国人僧らとともに捕縛されて軍衡に収容され、寺から出る事も許されず長安に留まった。

その間会昌元年夏から唐朝に帰国を百余度も願い出るが悉く拒否され、許可を待ち続けること…

実に五年。

長い監禁生活で弟子の惟暁が病に倒れ、

「…もう、私のことなんてどうでもいいのです…円仁さまと曼荼羅が海を渡り比叡山に帰る事だけを願って…おります」

と痩せ細った両腕で師僧の手を取り、うすく微笑みながら惟暁は逝った。

その間朝廷は唐土の寺を打ち壊し、仏像は解体されて金箔を剥がされ、重量を測って商人に売ってすべて貨幣に変えた。

「言っとくけど、外国人僧のあなた方の処遇はまだましな方だよ。唐人の僧は無理やり還俗させられ、奴婢として労役に駆り出されている。じつにあさましい所業だよなあ…これが天子さまのする事か?」

と見張り番の軍人が問わず語りに円仁たちに世間の有様を教えてくれた。

彼も今まで信じてきたものを物理的に悉く破壊されてどう生きたらいいか解らない、といった困惑した顔を隠せないでいた。

惟暁。私は絶対にお前を無駄死にさせたりはしない!何をどうしてでも故国に帰ってやる!

この腐れ唐国に甘やかされて乱暴狼藉を働く腐れ道士どもよ。教えを守らず平気で他者を責め苛むお前たちは本当の教えの弟子なんかではない。

お前たちがあがめる老子先生はとっくに牛に乗って唐国を見捨てて出て行ってしまったさ!

愛弟子を亡くし決意新たにした円仁が決して絶望しなかったのは、己が目にした数多の理不尽への、火山が噴火するような怒りが彼を支えていたからだった。

そしてとうとう外国人僧を還俗させて追放させよ。という勅が下り、図らずも国外追放という形で円仁は帰国の途に着く。

会昌五年(845年5月15日)

これだけは国に持ち帰るべき経典と宝物を積んだ荷車と共に真夜中の長安から出立した時も、見送ってくれた人々のほとんどは新羅人だった。

密教の継承者として堂々と旅立つのではなく、賊を恐れて闇に紛れて逃げ出すとはな…と還俗させられ髪を伸ばし、庶民の服を着せられた円仁、この時五十歳。

空海より託された使命、霊仙三蔵の御霊。青龍寺での両部灌頂。そして倭国の天台宗に欠けていた金剛界曼荼羅図を持ち帰ること。

の全てを果たした円仁はもう唐土に用は無し、と思い後はどんな手を使ってでも船に乗って帰国する事だけを目的としていた。


その後歩くこと百七日間、山東半島の新羅人の町、赤山まで歩いて戻った円仁はそこで張宝高の部下を頼ってみるも、

宝高亡き後唐での新羅人の力は弱まり、密告により新造してもらった船に乗れなかったり、円仁の消息を知った故国より金が送られるも通訳に使い込まれていたりした。

こうなったらもう誰にも頼らず自分で帰りの船を探すしかない。

と思った矢先の事である。倭国から来たという若い僧が客人として現れ、

「ああ…その一直線に近い太い眉!あなた様は円仁和尚ですね?」
と涙を流しながら彼に合掌した。

彼の名は性海(しょうかい)
円仁が生きている。という消息の文一つを頼りに
日ノ本から彼を迎えに来た比叡山の僧である。

久しぶりに聞く日ノ本の言葉の懐かしい響きに円仁は性海を抱き締め、

「あの時見習いの稚児だったあなたが、随分大きくなったもんですねえ…」

とはらはらと涙を流した。

「安心なさって下さい、拙僧は国の使節。もう円仁さまを苦しめる事はありません…今度こそ、本当に帰りましょう」

こうして二人は楚州で新羅人通訳の劉慎言を雇って帰国の便船探しを頼み(彼は新羅語・唐語・日本語を操れるトライリンガル)、

彼の見つけた新羅商人、金珍の貿易船に便乗して帰国する運びとなった。乗船直前に円仁は再出家し、新しい僧服に身を包んで船に乗り込んだ。


「商いをしながら半島を巡り、倭国に向かうから九十日の船旅になるけどいいのですかい?」

と申し訳なさそうに金珍が尋ねると、

「いいのだ、確実に帰れるのだから。結局は上手く行ったさ」

と本来の姿に戻れたので生まれ変わったようにさっぱりした円仁は笑い、船上で大陸に背中を向けると…

二度と振り返る事は無かった。

エピソード「最後の遣唐使」終






























































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登場人物紹介

空海、本名は佐伯真魚。香川県善通寺市出身の裕福な豪族のせがれ。学業優秀で長岡京の大学寮に入るが、そこで遭った悲劇が彼を仏門に向かわせる。

嵯峨天皇(神野親王)桓武天皇の第二皇子。

問題だらけの平安京に真の平安をもたらす名君。空海とは生涯の友になる。欠点、浮気性でパリピ。

橘嘉智子

嵯峨天皇に最も愛され、橘氏出身の唯一の皇后となる。仏教への傾倒は人生から逃げる術。

私は和気清麻呂。「これから起こる悪い事全部怨霊のせいにしちゃいましょう」と御霊信仰の悪知恵吹き込みました。

本音?桓武帝が起こした人災だろーが。

藤原薬子です。後に悪女呼ばわりされる私も言い分いっぱいあるんですのよー

嘉智子さまお付きの女童、明鏡です。薬子登場でなんだか不穏な予感…

空海に山岳修行教えた勤操ですぅ〜。時々奈良仏教の中間管理職としてぼやきます。桓武帝と戒明じいさんとの因縁ってなんやろな?


役行者六代子孫にして作中最もヤバいおっさんタツミ登場。わし空海のエグい修行生活のはじまりです。

新キャラ藤原葛野麻呂、空海を唐に連れて行く貴族です。私の顔は東寺の帝釈天像がモデルです。イケメンですよー。

兄貴、自分の息子の誕生祝いで不倫ばれてんじゃねーよ…って親父に対して正論で返してるし!義理の叔父、田村麻呂初登場。

by嵯峨帝

ふっふっふ。俺様は修験者の頭タツミ。真魚よ、よくぞ試練を乗り越えたな…っていつまでも妻の手握ってんじゃねえ!

若き日の坂上田村麻呂も絡む平安ミステリー、藤原種継暗殺事件の真相です。


最新話まで話を読んできた登場人物全員の心の声


「そりゃ祟られるわ!!」

実在した前の遣唐使僧、戒明です。史実上の真魚との接点は不明です。唐から偽経を持ち帰ったとして失脚してた私の名誉回復をしてくれたのは空海だから最初に出会った師として登場。

荒行の末に悟ったもの。仏性、すなわち人の心なり。善行も悪行もそれを行う人の心次第。

やっぱりわたくし、親王さまを好きになっていたのね。(浮気者だけれど)

多治比高子です。嵯峨帝側室として寵愛された理由はインテリだった設定。

あれ?「あの四重奏ドラマ」のエンディングシーンみたいなことしてない?

三行指帰現代語訳コント風、はじまりまじまり〜

何これ⁉︎空海の書いた話おもしれーじゃん!と吠えて宮女に叱られる神野。三教指帰は日本初の小説と呼ばれる。

空海、実家に帰る。真魚が一番可愛いお母さん。激烈お兄ちゃん、実家あるあるな心配するお父さん。

空海の実家をそのまま父親の名前にしたのはオヤジ、ありがとう…グスッ(泣)の気持ちやったんや。

後の法相宗のトップにして東日本に仏教を伝える男、徳一の本心。

高雄山寺プロレス回。奈良仏教の裏番長、実忠しれっと初登場。

やっと最澄登場。美坊主泰範のせいで既に不穏な比叡山寺。

ある意味最強キャラ、朝原内親王登場。

飛べない小鳥、から明鏡の出生の秘密編へ。

尚侍明信の罪は亡国の姫、明信の若き日の過ち。

「陽の下の露」冬嗣の長男、藤原長良誕生。ちなみに薬子と葛野麻呂の不倫関係は史実です。

「風が吹く」遣唐使に選ばれなかった空海に起こったありえへん奇跡。それにしても徳一口悪ぃな。

桓武帝が仏教勢力を叩いた理由は脱税摘発のため。しかし宗教法人を使った脱税って1200年経った今でもやってますなあ。

「受戒」どーもどーも、三論宗のアイドルにして空海の頭を剃った勤操ですぅー…ってじいさんどないしたー⁉︎

最初の師戒明との別れ。わし、行ってきます。

「船乗り星」朝廷も一目置く宗像氏の濃いマダム登場。

どうもー、空海を唐に送り最澄を唐から連れ帰ってながらも後世にほとんど知られていない葛野麻呂。ここでは準主役です。

徳政論争回。現実的にこれ以上の東国進出は無理だった。徳川家康の次に鷹狩り好きな歴史上の人物として有名な桓武天皇の最後の鷹狩り。

仙境天台山、思えばこのひと時が最澄の一番の幸福だったかもしれない。

「崩御と即位」皇帝陛下の崩御と新皇帝の即位に立ち会っちゃった俺って持ってる〜。からの、カネが無いから2年で逃げ帰れ命令。

「聖俗同船」帰国できなかった遣唐使もいるんですよ…葛野麻呂の最澄へのツンデレっぷりをお楽しみ下さい。

「密の罠」帰国した途端最澄に降り掛かる悪意。

平安京を開いた帝の最期。これから不穏な平城朝が始まるー

秀才、橘逸勢にトリプルの悲劇。留学生たちの寂しさを癒す楽の音。

恵果と戒明との邂逅から三十年。やっと後継者に出会えた恵果。

まるで唐密教の滅びを予測していたかのような恵果の発言。実際にそうなります。

「遍照金剛」かくして遍照金剛空海誕生。で、何で俺様がナレーション?

「柳枝の別れ」長安出立前夜に明かされる霊仙の正体。次回から日ノ本、平城朝編。

「平城朝」最後の薬子の表情は読者さんのご想像にお任せします。

「春宮神野」

宮中も 女子回なければ やってらんない

by明鏡 字余り

「天皇の侍医」官僚として、医師として苦労する弘世の人生が始まる。

「謀」とうとう粛清に向けて動きだした薬子。朝原内親王、神野に迫る毒殺の危機。

「比叡山夜話」最澄に迫る危機。平城帝の悪意。

「翡翠の数珠」空海のせいでまた逸勢がヒドい目に遭うお話。

「阿保の本音」父平城帝への不信感が募る阿保親王。後に彼と妻の伊都内親王から生まれたのが在原業平。

前半の薬子の兄、仲成が起こした暴行事件。これ史実です。後半の勤操の述懐は創作ですが。

「咎人空海」空海、やっと帰国。あの三姉妹再び登場。

「海辺のふたり」空海だけを都に帰さなかった藤原縄主の思惑とは。この時代、芋粥は極上スイーツ扱いでした。

「白雪」兄帝の危険性を思い出す神野。

「神泉苑行幸」策謀に満ちた宮中。筑紫で布教を始める空海に届いた悲報…

「藤原家の毒薬」いつの世も女の仕返しって陰湿なのよねえ。

「譲位」嵯峨天皇が即位した夜に明かされる伊予親王の死の真相。冬嗣の胸に去来するのは怒りか、諦めか。

「実ちて帰る」主人公2人がやっと初対面。次回から第3章「薬子」のはじまり。

わたくし藤原薬子が主役の章、「薬子」、開始ですわよ。空海阿闍梨、神野の坊やとの初謁見でいきなりド不敬発言。

「橘の系譜」女性天皇が女性の部下に姓を与えた女性が始祖の橘家。

明鏡、家族と再会し、そして母になる。

「背徳」性描写あり。そして、薬子は悪女になった。

「真言の灯」最澄さまの千利休感と人手不足の密教。ある事で滅多になくブチ切れる空海。

「宮女明鏡」嵯峨後宮ベビーラッシュ。身籠った明鏡がこれまでの人生を振り返る。

「阿修羅」、怒らせるとシャレにならないレベルで怖い空海のダークサイド。

「東国の勇者」アテルイ回前編。13000vs500で朝廷軍にに勝利した巢伏の戦いと田村麻呂との対話。

「王の器」アテルイと田村麻呂の物語、後編。胆沢制圧戦後のアテルイ、田村麻呂、桓武帝。

真の王の器は誰にある?

どぅもー、宮中のイケオジ葛野麻呂です。「負の遺産」、宮女同士のマウントバトルが怖ぇわ…

「征夷大将軍殿の憂鬱」田村麻呂、愛妻とのフルムーン旅→ヒリヒリするような駆け引き。

「小鳥立つ」明鏡、13年ぶりに父との対面で思い切った決断を告げる。そして運命の子は誕生した。

「火の継承」

この時代の年明けのお祭り、修二会。ググった結果検索トップがさだまさしの「修二会」だったので公式の自分がまさしに敗けて悔しい実忠。

「智泉の祈り」

嘉智子さまへのマタハラ案件、「皇子を産め」とのたまう橘家の兄君たちにブチギレる空海阿闍梨。

「豪奢なる遁甲」嵯峨天皇vs平城上皇最後の争いが万葉サーカスの歓声の中始まる。


この回から三人目の主人公、ソハヤ登場。

「私刑」

池波か!とツッコミ上等な回。法具を本来の目的(明王の武器)で使う空海。

「なるほど、これがお役所仕事か」by嵯峨天皇

「隘路」、暗殺者集団土蜘蛛vsタツミ率いる修験者たち。薬子の変クライマックス前編。

「火宅」一万字越えの大作です。嵯峨天皇vs平城上皇最後の戦い後編。


藤原薬子と語らう老婆の正体は…

「徒花散る」失脚がそのまま死に繋がる全然平安で無かった平安初期の、最後の政変。


勝ってもあまり嬉しくない戦いでしたね…


by田村麻呂

第3章「薬子」終わり。後ろ暗い取引をしてもカッコいい俺様であーる。


by修験者タツミ

第54代仁明天皇こと正良誕生でおめでたい事からはじまる弘仁元年。

「弘仁おじさん」と呼ばないで。

by藤原冬嗣

明けましておめでとうございます。嵯峨天皇の叔母にして宮中屈指の美魔女、酒人内親王です。ここぞとばかりに気合い入った命婦たちのファッションと空海vs朝原の新春disり合い回で御座います…

若い頃の実忠さまはやさぐれていたなあ。

この世でやるべきこともやったし…じゃあね!

by和気広世

嵯峨天皇の兄、良岑安世の恋人の真名井でございます。「九条にて」はさあ、これから庶民と渡来人たちが活躍する平安アンダーグラウンドな物語の幕開け。

空海in伊勢神宮。朝原内親王より託されたとんでもない密命。

エミシ最後の戦士、ソハヤの人生のはじまり。

前半、終了。

険しい高野の山道を抜けるとそこは…異文化レベルの集落だった。

「丹生一族」パツキン彫金師、ムラートです。今回は丹生一族と秦一族と高野山のお話。



奈良の大仏建立時の人に言えない過去。老いた僧ほど暗い秘密を抱えているものなのですよ。

by実忠

「集光」実は、この話で作者は話を終わらせるつもりだったのですが、取材で高野参りをし、そこの宿坊でご住職の説法を聞いた時に「物語のラストシーン」が頭に浮かびあと50話位書く事に。

「田口三千媛」今では虐待と言われる育てられ方をされたと思います。訳を聞かされて納得しても、無理に許さなくてもいいのよ。

「弘仁格式」100年ぶりの法改正にとりかかる嵯峨帝。謎の美僧、泰範の師に対する本音。

平城上皇が会いたかった東大寺の重鎮、実忠の昔語り。前編。光明皇后に仕えた日々。

「光の時代、後」実忠の過去の話。

後半は道鏡事件の真相。

遊女真名井の人生の転機。家族との再会と共に恋人との別れを覚悟する。

「軛」

丹生のシリン姫の花占い。「来る、来ない。来る、来ない…来たあー!」

「灌頂」

死んで生まれ変わりたい気持ちで空海に会いに行った泰範。

最澄はんの「泰範、行かないでくれ」

の熱烈な文が歴史的資料として残っておます。

by空海


ぐすっ、ぐすっ…生きながら生まれ変わる事って出来るんやな…


by泰範

「信源氏」日本史最初の源氏、源信です。あのね、四さいの時にお家(宮中)から出されて明鏡お母様と離されてしまったの。


信源氏物語のはじまりはじまり〜。

高野の麓、天野の里に帰ってきたムラートです。妹の結婚式がゾロアスター教通りの儀式だと⁉️


天野わっしょい物語をお楽しみに。

嵯峨帝と正妻高津内親王との離婚の真相に迫る「高津退場」後宮サスペンス回。

橘嘉智子、立后のお話。

「わたくし、覚悟を決めました」

「常の白珠」

延暦十五年四月(796年5月)、日の本初の公然セクハラ&パワハラの記録でございます。

by明信

あの時は恥ずかしい思いさせてごめんよ…まだ怒ってる?

ねえ明信、こっち向いて(焦)

by桓武帝

お二人とも、犬も喰わない痴話喧嘩を板上でやらないで下さいまし。

by葛野麻呂

「わし、とうとう最澄はんと絶交する覚悟決めました」

空海を本気でブチギレさせた最澄の言動。


そして、高野山開基に向けて動き始める弟子たち。

「高野」

私ムラート、生まれも育ちも高野山でございます。このお山の自然の洗礼に遭う実叡と泰範。

高野を舐めちゃあいけねえよ。


なぜか寅さん口調。

「時鳥」

小野篁初登場回。そして、現世での役目を果たした巫女との別れ。

「落花宴」

民を食わせるために働いた藤原、葛野麻呂の最期。日ノ本初の茶事と花見の宴の記録。



「拠り処」

天皇皇后だってもふもふふくふくで癒されたい。徳一、東国に進出宣言。

「橘秀才」

「弘法も筆の誤り、って肝心な時に大ポカをやらかすって事なんだね」

古今随一の芸術家となった逸勢、空海にツッコミを入れる。

「シリン都に行く」

はーい、私は高野山の麓天野の里に住む主婦シリン。夫に下された辞令で子供たち連れて平安京へお引越しですって⁉️ドギマギしちゃう!

…って魔法少女みたいなあらすじ紹介でいいのかしら?

「篁」

ちーっす、小野篁でーす。僕の風評「なんだかすげえ奴」みたいに言われてるけど、嵯峨帝に出会った頃は脳筋の野生児でしたよ。

「一隅を照らす」

最澄、最期のことば。戒壇認可を遅らせた嵯峨帝の真意。


そして、たそがれ空海。



「進士篁」

ちーっす!篁っす!それでは一句。


竹の子(篁)が ドラゴン桜(三教指帰)で サクラサク


物語の主人公空海阿闍梨から僕に交代っす!

白秋の章、「嵯峨野」のはじまり。淳和帝即位。遡って嵯峨帝による黄櫨染御袍プロデュース秘話。

「正子と正良」

嵯峨上皇と嘉智子お母様の息子、正良(後の仁明帝)です。十四で結婚したお嫁さんが可愛過ぎてキュートなハートにズキンドキン!です。

「祈雨(きう)」

元服した源信信です。空海阿闍梨による伝説の雨降らしの祈祷の裏に蠢く大人たちの陰謀に、

うわあああ…

皆さんお久しぶり。田村麻呂です。平安初期の貴族たちは麻呂麻呂っなくて武士武士ってたんですよ。


ごきげんよう、小野篁です。

(官吏になったのでパシリ口調はやめました)

今回は私のルーツとソハヤ、シルベに隠された秘密が明かされる回です。

「在るがまま」

平城上皇の第三王子、高岳親王です。今回は父の最期の想いと私の出家の物語。


◯ウケンシルバーのモデルになった私の人生の出発でしたねえ。

「哀しい哉」

このエピソード書くために作者、高野山にお参りに行き智泉の御廟(お墓)に手を合わせました。

「天長二年の旅立ち」

久しぶりの金髪仏師ムラートです。東寺の立体曼荼羅完成秘話。あの時の空海さんは某劇作家か!って位ダメ出しして来て参りましたよ…


そしてラスト主要人物、在原業平初登場。

「夫人たちの夏」嵯峨帝の側室、藤原緒夏です。後宮で生きる憂鬱と高子さまとの友情の回。


「頭の冬嗣」

今年の◯河はやり過ぎちまった私の愚孫どものいざこざですが一人ちゃんと遺言を守った奴がいたようです。

「心の中の明王」

篁と徳一の出会い。東国にて。

空海と最澄を支援した破天荒僧侶、勤操の最期。さよならだけが人生や。

喫茶去(きっさこ)は禅語で「ま、茶でも一服」の意味。人生最後の対面を惜しむ主人公二人。

「光明」全ての務めを終えた空海の眠り。次回から次世代編へ。

「流人篁」百人一首で有名な「わたの原」から始まる篁の反骨最骨頂行動と流人生活。


ちゃっかり現地妻作ってました。

「落日」

葛野麻呂の息子で遣唐大使、藤原常嗣サイドの最後の遣唐使節の行程。


支援者の張宝高は新羅の海将で外交官で大商人。

この回のゲストは唐代の大文人。

「円仁の旅・使命」

どうも、遣唐使団からバックれた不法滞在僧侶の円仁(最澄の弟子)です。私の9年以上に及ぶ旅はいきなりホラーな展開から始まります。

実質、最後の遣唐使である円仁の旅の後編。空海より託された三つの遺言は果たしたものの武宗による仏教弾圧を受ける苦難の復路。オカルトな場面あり。

「胡蝶」

「胡蝶の夢」になぞらえた常嗣の帰国後の辛い立場と責任を感じる篁。二人とも苦しんだんだ。

「観月」

嵯峨上皇が家族たちにそして遥か未来の子孫に向けて述べた言葉。

人生最後の観月の宴。



「草木のままに」

我が夫、嵯峨天皇の最期。お休みなさい、あなた…


あと10話で完結です。

最終章「檀林」、それはカリスマ嵯峨天皇が去るのを待っていたかのように始まった粛正の嵐。

承和の変。三筆最後の一人逸勢の退場。

「繭」政変で息子、仁明帝の行いと本心を知った皇太后嘉智子の絶望。

「反骨の種子」政変の真相を知った篁の決意と、蹂躙される政変の敗者の家族たち。

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