第18話 皇嗣

文字数 5,648文字

嘉智子が写経の最後の一文字を書き終えて手を合わせ、少し風に当たろうと立ち上がって部屋から出ようとした時、

部屋の外で夫の神野親王が「終わったか?」と廊下に座り込んだまま首だけ振り返ってこちらを覗き込んでいるのを見て嘉智子は、

親王様はいつからここで待っていらっしゃったのだろうか?

まさかわたくしが写経を始める半時(一時間)前からだろうか、と思ったと同時に、

自分のような一侍女に気を遣う夫の人柄に、ますます惹かれていく自分の気持ちに戸惑った。

所詮自分は、親王様の十人以上いるお手付きの侍女のひとりに過ぎない。

橘家の栄達のため、と後見人の藤原内麻呂さまがおっしゃていたけど親王様にはすでに正妻の皇女さまがいらっしゃるし…

本気でこの方を愛おしく想ったら後で苦しむだけだ。
と自分に言い聞かせていたのに。

神野の足元には大きな水盆が置いてあり、そこにはあらゆる夏の花が切り花のままところ狭しと縁に並べられている。

「好きな花を選べ、生けてやる」

と神野は嘉智子がためらいがちに選んだ数本の花を水盆から取って部屋に入ると奥の厨子の前の花瓶に生けてあげた。

きっと今日の鷹狩りの時に、ご自分でお選びになった花を摘ませて持って来られたに違いない。

夏の花は色合いが派手で香りがきつくて、仏花には合わないのでは?と思っていたけれど、
親王様が木の枝と組み合わせて生けた花は…まるで野から生え出でたような生命力のある美しさではないか!

この方には生まれつき、美しいものを創り出す才が備わっているのだわ。

と嘉智子はため息を洩らさずにはいられない。

だけど神野が、部屋に入ってからずっと黙って、というよりばつが悪そうな顔で自分のほうをちらちら見ている事に気づいて嘉智子はけげんな顔をした。

「その…この前は済まなかった」

と頬をかいて神野が謝った理由を思い出して、嘉智子は、

一昨日の房事のことをおっしゃっているのだ!

と恥ずかしさで顔を赤くしてしまった。

あの夜、親王様はいつもより激しくわたくしをお求めになった。それは何か、ご自分の中の昂ぶりをぶつけてくるような荒々しい抱き方だった。

自分もつとめて親王様のなさること全てを受け止めようとしたが、途中で体の奥から来るしびれでどこからどこまでが現か分からなくなり、

思わず親王様の両肩にしがみついて言葉にならない声を上げてしまった。

朝が来た時には床に親王様のお姿は無く、自分は昏倒したまま眠ってしまったのだ。

と全裸に衣を被せられたままの姿で嘉智子は目覚め、身支度をしていつもの務めに入るが、余韻で頭の芯がぼうっとしている…

目線を泳がせて衣装庫で衣服の整理をしていると、他の侍女たちがくすくす声を忍ばせて笑っている。

昨夜そんなに大声を出してしまったのか?と

嘉智子が恥ずかしさでいたたまれなくなっていると、「あれは親王様は相変わらずね、と呆れて笑っているのよ。いちいち恥ずかしがっていたらこの先もたないわよ」

と衣裳部屋を任されている侍女、貴命が気安く声をかけてくれたのだ。

「表向きの事で親王様に何かあったに違いないわ」

と神野の「最初の女」貴命は夫の癖なら何でも知っているというような口調でお喋りしながら衣装の整理を続ける。

「父も兄もそうだけど、殿方って表向きの務めで何かあるとすぐ家の女たちに当たったりするのよね。
私も母上も、何度癇癪を起した父に物を投げつけられたか分からない…
外では威厳を保っていても、殿方って実際は弱くて折れやすい生き物なのよ。親王様はお優しいからここでの暮らしに私は満足しているけれどね」

「わたくしは…三歳の時に父を亡くしたので後見人と親王様以外の殿方に会った事はありません」

と入侍して一年の嘉智子はすっかり慣れた手つきで衣を畳みながら言った。

「え?ご兄弟とは一緒に暮らしているでしょ?親類にだって殿方はいらっしゃるでしょ?」

結婚まで一度も男に会ったことがない。という嘉智子の話を貴命は何か変だ、と勘付いたのか実家での嘉智子での生い立ちをさも日常会話の延長みたいに喋り方に気を付けて聞き出すと、

「あなたはもっとひどい目に遭って育ってきていたのね。
父の遺言で兄弟にも顔を見せてはいけないと一室から出られず育ったって…」

と言って切れ長の目から涙をこぼしたのだった。

わたくし、何かいけないことを言ったのかしら?

嘉智子は訳が分からず、泣き伏す貴命の背中をさすってあげた。

その様子を見ていた親王のお世話係、明鏡は、

嘉智子さまは、世間知らず過ぎてご自分が閉じ込められて育ったことにお気づきにならないのだ!

なんという事だろう。

と胸の奥から何か口惜しさがこみ上げてくるのをどうにか自分の内に収めた。

明鏡は十三歳になり、花の蕾が日差しを受けて開いていくのを止められないように幼さが抜けて、愛らしさから時折怜悧さがのぞく美しい顔立ちをした少女に成長していた。


薄暗い小屋の中でぴーっと鳴く若い鷹が、金色の目の眼を光らせこちらを見ている。

「次の皇太子は神野、お前だ。父は伝えたからな」

昨日の夕方のことである。昼御座(ひるのおまし)から夜御殿に向かう直前、父帝が神野を呼びつけて、唐突にそう言ったのだ。
 
延暦二十一年(802年)の初夏のこと。後の嵯峨天皇が皇嗣に決まった瞬間であった。
 
その時の自分はどうしていただろうか?
 
「謹んでお受けいたします」と表に一切感情を出さずに親王の色である深紫の袍ごと体を折り曲げて隙の無い所作で深々と一礼したのを見て父上は
 
「お前も大人になったものだな」と感心なさったように言われた。でも自分は中身がまだまだ子供なのだ。

私が、天皇に。

七日後の朝議で発表されるまで誰にも口外するなと言われた「我が身に起こった事態」を、父上の御前を辞してから一歩地を踏むごとに心の中で呟いていた。
 
味を感じない夕餉を済ませた後、じわじわと肚の底からやってくる昂ぶりを抑えきれずに、
衣に香を焚き染めに部屋に入って来た嘉智子の手首を掴んで
 
そのままよしないことをしてしまった…
 
「怒っているだろうなあ…」
 
というため息交じりの後悔の言葉を隣で鷹を覗き込んでいた一つ上の幼なじみ、藤原三守が拾い聞きして
 
「どの女人を怒らせたのですか?」口の端からうふふ、と笑いを洩らして聞いてきた。
 
三守は神野自身の重た過ぎる事情など知らず、
 
三守はやあ、あの鷹は賢そうだ、とか明日はよい働きをしてくれるでしょう、とか実にお気楽な口調でぽんぽん語りかけてくる。
 
この際三守が勘違いしてくれたのは好都合である。嘉智子とのことを相談してしまおう!
 
「うむ、結婚して八か月でようやく分かった。表には出さないひとなのだが、静かに怒っているに違いない…相手はお前の義妹なのだ」
 
相手が妻の妹の嘉智子で、神野が昨夜嘉智子にしたことの仔細を知ると三守は最初は親王様の床事情を聞く破目になって戸惑い、次第に恐いくらい真顔になって、
 
「それはいけませんね。怒らせたのなら許してもらえるまできちんと謝らなければ」
 
と身分の上下構わず女人に手が早いが相手の心の機微に疎い未熟者の義弟を叱った。
 
「しかし、どうやったら嘉智子に許してもらえるだろうか?」
 
「義妹の好きな品物を贈るがいいでしょう。女人はそれで七割は許してくれます」
 
「嘉智子の趣味は、写経と、仏画だ」
 
「…」

再びぴーっと若鷹が鳴いた。
 
三守は絶句してしまった。妹は宮中に入るより尼になりたい、と言っていた変わり者だと妻の安子から聞かされてはいたが、
 
まさか、人妻になってからもそこまで仏道三昧とは。
 
「さすがは廬舎那仏(るしゃなぶつ)(奈良の大仏)建立に尽力した橘諸兄の子孫、といいますか…」
 
「かといって仏像や経典を嘉智子に贈るという訳にもいくまい。実は仏教を疎んじている父上にお叱りを受けてしまうだろう」
 
「あんなに最澄和尚を重用なさっている帝が?」
 
「分からぬか?三守。最澄も、彼の者が掲げる天台一乗の教えも、父上にとっては『道具』でしかない。
この日の本独自の仏教を作るための、な。父上はそういう御方だ」
 
大陸伝来の奈良の仏教を遷都までして冷遇し、南都六宗に真っ向から否を唱える最澄さえも道具として利用しつくす。
 
その政治のやり方は果敢とも言えるが藤原氏を始めとする貴族たちにとって帝の政策は、果敢だが性急過ぎて戸惑っている。
 
いや、ついていけなくて不満も出て来るというのが正直な想いである。
 
神野が日頃餌付けをしている若鷹が、振り向いてほしいとでも言うように翼をはためかせ、二人の若者は一時会話を中断した。
 
さすがに御所の離れの主鷹司(しゅようし)(鷹と猟犬を飼育、調教する部署)でする内容の話ではないな。
 
と思ったからだ。
 
「しかし、明日の鷹狩りが楽しみだなあ」
 
「そうですねえ」
 
とわざと話を別の方向に切り替えていると、離れたところで畏まって控えていた四十がらみの鷹戸(たかかいべ)(鷹匠)が、
 
「あのう、女人に贈って喜ばれるものは、やはり花でしょうな」
 
と自分が妻と喧嘩した時の対処法を若者たちに伝授した。
 
花か!
 
神野と三守は揃ってはた、と手を打った。
 
「いつも家や邸に籠ってばかりの女人がたです、野に咲く花を贈ってあげると気が晴れやかになると思います」
 
とそこまで言って鷹戸は、差し出がましい事を言ってしまったかな?と思ってますます畏まって身を縮めた、が…
 
「よし、鷹狩りの帰りに出来るだけ伴の者で手分けして花を集めるぞ!三守」
 
「はい、親王さま!」
 
と鷹狩りならぬ花摘みの方向に話がどんどん進んで行き…
 
「そこの鷹戸よ、お前はよい事を言った。後で褒美をつかわそう」
 
「は、ははーっ!」
 
と喜んで鷹戸は額を地面にこすりつけた。
 
「但し、お前も花摘みに参加してもらうからな」
 
自分はやはり余計な事を言ってしまったのかもしれない。と鷹戸は強くなり始めた陽射しのもと、軽く後悔しはじめた。
 
 
こうして鷹狩りに随行した三守はじめ随行の男たち総出で神野の指示で花と枝を集め、こうして水盆に生けて持って来させたのだ。
 
と嘉智子に切々と語る神野の様子と、夏の陽射しのもとで、汗を流しながら花を探す様を想像し、嘉智子はつい口元を覆って、
 
吹き出してしまった。
 
その笑顔を見て神野は、今この瞬間十六年生きて来て最上級に嬉しかった。
 
「ああ…やっと笑ってくれた。嘉智子、あなたは宮中に来て一度も笑っていない」
 
そう夫に指摘され嘉智子は不意を衝かれ、はっと目を見開いた。
 
「宮中に来て、私の妻になって倖せではないのだろうか?といつも案じていたから」
 
「わたくし、ほとんど自室の外から出してもらえずに育ったので、嬉しいとか、悲しいとかあまり解らないのです」
 
嘉智子が父の遺言で一室に籠められて育った、と昨日明鏡から聞かされたが、
 
それは、監禁されて育ったということではないのか!?
 
私の元に入侍した女たちは、ほとんどが実家の出世のために皇嗣になるかもしれない皇子か皇女を産むために送り込まれた。
 
「神野よ、各氏族の娘たちと契り、姻戚関係になって政治を盤石にするのも一つの政策なのだ。
自分の元に来た娘たちも子を産んで天皇家の血を絶やさぬための道具なのだ」
 
と父帝のように割り切ってしまえるほど、自分は冷徹になれない。
 
「嘉智子よ、嬉しいと心躍るときは素直に笑って、気持ちが沈んだらそのまま沈んだ顔をしていればよいのだぞ。
私の前では、許す。この厨子の仏像のように」
 
と神野は急に立ち上がり、嘉智子が実家のから持って来た厨子の扉を全開にした。
 
それは急に羽ばたいた鳥のような素早さで、嘉智子が止めるいとまも無かった。
 
中に安置されていたのは、くすんだ金色の垂髪の観音像だった。神野の手のひら程の高さしかない小さな仏像。
 
「随分古い像だな…だが美しい。垂髪にした姿はあなたに似ている」
 
「それは百済渡りの像で、曽祖父の代からの家宝ですの」
 
嘉智子は仏教に関する話になると、急に生き生きとした表情になる。
 
「曽祖父って…では橘諸兄の宝か!?」
 
「はい」
 
これはものすごい価値の仏像ではないのか?いけないいけない、仏の前で俗な想像をしてしまった。神野はかぶりを振った。
 
「いくら大事なものだからって、こうして閉じ込めて隠してばかりでは本来の仏像としての役目が果たせぬのではないか?
姿を見せるためにこの像は像としてここにあるのだ」
 
と言って観音像に手を合わせる神野の云わんとすることが、嘉智子には解る。
 
実家に籠められて育ったあなたは、この厨子の像と同じだ。不遇の橘家に育って辛さやひもじさを紛らわすために仏道に頼って来た。
 
でもあなたは木や銅で出来た像ではなく、人なのだ。あなたはあなたらしくしていればいいのだ。と言われた気がして、
 
急に胸を衝きあげる感情のまま、嘉智子は神野の肩に顔を埋めた。
 
「わたくし…ほんとうはずっと寂しくて、たまらなかったのです。大きくなったら宮中に入って貴いご身分の方に気に入られなさい、罪人の家と言われる橘家を盛り返すのだ。と母に言われて育ちました。
遊び相手も姉しかいなくて、ずっとお腹も心も、ひもじかった」
 
神野の肩で、嘉智子はしばらくすすり泣いた。やっと、やっと自分は人前で感情を露わにすることが出来た…
 
親王さまに背を撫でられる毎に沸き上がる、甘い疼きにも似たこの感情は何なのだろうか?
 
嘉智子がしばらくして泣き止むと神野は立ち上がり、「今宵は高子と約束があるから」と済まなそうに言って部屋を出て行ってしまった。
 
分かっている。親王さまがいらっしゃるのは三日に一度、と。今日はは多治比高子さまと閨を共にする日だ、と。
 
「どうぞいってらっしゃいまし…」
 
と妻の一人として別の女人のもとへ向かう夫を見送った時、嘉智子は、
 
ああ…わたくしは、本当に親王さまが好きなのだ!
 
と神野と結ばれて八か月めでやっと自分の、夫への愛情を自覚した。
 


 
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登場人物紹介

空海、本名は佐伯真魚。香川県善通寺市出身の裕福な豪族のせがれ。学業優秀で長岡京の大学寮に入るが、そこで遭った悲劇が彼を仏門に向かわせる。

嵯峨天皇(神野親王)桓武天皇の第二皇子。

問題だらけの平安京に真の平安をもたらす名君。空海とは生涯の友になる。欠点、浮気性でパリピ。

橘嘉智子

嵯峨天皇に最も愛され、橘氏出身の唯一の皇后となる。仏教への傾倒は人生から逃げる術。

私は和気清麻呂。「これから起こる悪い事全部怨霊のせいにしちゃいましょう」と御霊信仰の悪知恵吹き込みました。

本音?桓武帝が起こした人災だろーが。

藤原薬子です。後に悪女呼ばわりされる私も言い分いっぱいあるんですのよー

嘉智子さまお付きの女童、明鏡です。薬子登場でなんだか不穏な予感…

空海に山岳修行教えた勤操ですぅ〜。時々奈良仏教の中間管理職としてぼやきます。桓武帝と戒明じいさんとの因縁ってなんやろな?


役行者六代子孫にして作中最もヤバいおっさんタツミ登場。わし空海のエグい修行生活のはじまりです。

新キャラ藤原葛野麻呂、空海を唐に連れて行く貴族です。私の顔は東寺の帝釈天像がモデルです。イケメンですよー。

兄貴、自分の息子の誕生祝いで不倫ばれてんじゃねーよ…って親父に対して正論で返してるし!義理の叔父、田村麻呂初登場。

by嵯峨帝

ふっふっふ。俺様は修験者の頭タツミ。真魚よ、よくぞ試練を乗り越えたな…っていつまでも妻の手握ってんじゃねえ!

若き日の坂上田村麻呂も絡む平安ミステリー、藤原種継暗殺事件の真相です。


最新話まで話を読んできた登場人物全員の心の声


「そりゃ祟られるわ!!」

実在した前の遣唐使僧、戒明です。史実上の真魚との接点は不明です。唐から偽経を持ち帰ったとして失脚してた私の名誉回復をしてくれたのは空海だから最初に出会った師として登場。

荒行の末に悟ったもの。仏性、すなわち人の心なり。善行も悪行もそれを行う人の心次第。

やっぱりわたくし、親王さまを好きになっていたのね。(浮気者だけれど)

多治比高子です。嵯峨帝側室として寵愛された理由はインテリだった設定。

あれ?「あの四重奏ドラマ」のエンディングシーンみたいなことしてない?

三行指帰現代語訳コント風、はじまりまじまり〜

何これ⁉︎空海の書いた話おもしれーじゃん!と吠えて宮女に叱られる神野。三教指帰は日本初の小説と呼ばれる。

空海、実家に帰る。真魚が一番可愛いお母さん。激烈お兄ちゃん、実家あるあるな心配するお父さん。

空海の実家をそのまま父親の名前にしたのはオヤジ、ありがとう…グスッ(泣)の気持ちやったんや。

後の法相宗のトップにして東日本に仏教を伝える男、徳一の本心。

高雄山寺プロレス回。奈良仏教の裏番長、実忠しれっと初登場。

やっと最澄登場。美坊主泰範のせいで既に不穏な比叡山寺。

ある意味最強キャラ、朝原内親王登場。

飛べない小鳥、から明鏡の出生の秘密編へ。

尚侍明信の罪は亡国の姫、明信の若き日の過ち。

「陽の下の露」冬嗣の長男、藤原長良誕生。ちなみに薬子と葛野麻呂の不倫関係は史実です。

「風が吹く」遣唐使に選ばれなかった空海に起こったありえへん奇跡。それにしても徳一口悪ぃな。

桓武帝が仏教勢力を叩いた理由は脱税摘発のため。しかし宗教法人を使った脱税って1200年経った今でもやってますなあ。

「受戒」どーもどーも、三論宗のアイドルにして空海の頭を剃った勤操ですぅー…ってじいさんどないしたー⁉︎

最初の師戒明との別れ。わし、行ってきます。

「船乗り星」朝廷も一目置く宗像氏の濃いマダム登場。

どうもー、空海を唐に送り最澄を唐から連れ帰ってながらも後世にほとんど知られていない葛野麻呂。ここでは準主役です。

徳政論争回。現実的にこれ以上の東国進出は無理だった。徳川家康の次に鷹狩り好きな歴史上の人物として有名な桓武天皇の最後の鷹狩り。

仙境天台山、思えばこのひと時が最澄の一番の幸福だったかもしれない。

「崩御と即位」皇帝陛下の崩御と新皇帝の即位に立ち会っちゃった俺って持ってる〜。からの、カネが無いから2年で逃げ帰れ命令。

「聖俗同船」帰国できなかった遣唐使もいるんですよ…葛野麻呂の最澄へのツンデレっぷりをお楽しみ下さい。

「密の罠」帰国した途端最澄に降り掛かる悪意。

平安京を開いた帝の最期。これから不穏な平城朝が始まるー

秀才、橘逸勢にトリプルの悲劇。留学生たちの寂しさを癒す楽の音。

恵果と戒明との邂逅から三十年。やっと後継者に出会えた恵果。

まるで唐密教の滅びを予測していたかのような恵果の発言。実際にそうなります。

「遍照金剛」かくして遍照金剛空海誕生。で、何で俺様がナレーション?

「柳枝の別れ」長安出立前夜に明かされる霊仙の正体。次回から日ノ本、平城朝編。

「平城朝」最後の薬子の表情は読者さんのご想像にお任せします。

「春宮神野」

宮中も 女子回なければ やってらんない

by明鏡 字余り

「天皇の侍医」官僚として、医師として苦労する弘世の人生が始まる。

「謀」とうとう粛清に向けて動きだした薬子。朝原内親王、神野に迫る毒殺の危機。

「比叡山夜話」最澄に迫る危機。平城帝の悪意。

「翡翠の数珠」空海のせいでまた逸勢がヒドい目に遭うお話。

「阿保の本音」父平城帝への不信感が募る阿保親王。後に彼と妻の伊都内親王から生まれたのが在原業平。

前半の薬子の兄、仲成が起こした暴行事件。これ史実です。後半の勤操の述懐は創作ですが。

「咎人空海」空海、やっと帰国。あの三姉妹再び登場。

「海辺のふたり」空海だけを都に帰さなかった藤原縄主の思惑とは。この時代、芋粥は極上スイーツ扱いでした。

「白雪」兄帝の危険性を思い出す神野。

「神泉苑行幸」策謀に満ちた宮中。筑紫で布教を始める空海に届いた悲報…

「藤原家の毒薬」いつの世も女の仕返しって陰湿なのよねえ。

「譲位」嵯峨天皇が即位した夜に明かされる伊予親王の死の真相。冬嗣の胸に去来するのは怒りか、諦めか。

「実ちて帰る」主人公2人がやっと初対面。次回から第3章「薬子」のはじまり。

わたくし藤原薬子が主役の章、「薬子」、開始ですわよ。空海阿闍梨、神野の坊やとの初謁見でいきなりド不敬発言。

「橘の系譜」女性天皇が女性の部下に姓を与えた女性が始祖の橘家。

明鏡、家族と再会し、そして母になる。

「背徳」性描写あり。そして、薬子は悪女になった。

「真言の灯」最澄さまの千利休感と人手不足の密教。ある事で滅多になくブチ切れる空海。

「宮女明鏡」嵯峨後宮ベビーラッシュ。身籠った明鏡がこれまでの人生を振り返る。

「阿修羅」、怒らせるとシャレにならないレベルで怖い空海のダークサイド。

「東国の勇者」アテルイ回前編。13000vs500で朝廷軍にに勝利した巢伏の戦いと田村麻呂との対話。

「王の器」アテルイと田村麻呂の物語、後編。胆沢制圧戦後のアテルイ、田村麻呂、桓武帝。

真の王の器は誰にある?

どぅもー、宮中のイケオジ葛野麻呂です。「負の遺産」、宮女同士のマウントバトルが怖ぇわ…

「征夷大将軍殿の憂鬱」田村麻呂、愛妻とのフルムーン旅→ヒリヒリするような駆け引き。

「小鳥立つ」明鏡、13年ぶりに父との対面で思い切った決断を告げる。そして運命の子は誕生した。

「火の継承」

この時代の年明けのお祭り、修二会。ググった結果検索トップがさだまさしの「修二会」だったので公式の自分がまさしに敗けて悔しい実忠。

「智泉の祈り」

嘉智子さまへのマタハラ案件、「皇子を産め」とのたまう橘家の兄君たちにブチギレる空海阿闍梨。

「豪奢なる遁甲」嵯峨天皇vs平城上皇最後の争いが万葉サーカスの歓声の中始まる。


この回から三人目の主人公、ソハヤ登場。

「私刑」

池波か!とツッコミ上等な回。法具を本来の目的(明王の武器)で使う空海。

「なるほど、これがお役所仕事か」by嵯峨天皇

「隘路」、暗殺者集団土蜘蛛vsタツミ率いる修験者たち。薬子の変クライマックス前編。

「火宅」一万字越えの大作です。嵯峨天皇vs平城上皇最後の戦い後編。


藤原薬子と語らう老婆の正体は…

「徒花散る」失脚がそのまま死に繋がる全然平安で無かった平安初期の、最後の政変。


勝ってもあまり嬉しくない戦いでしたね…


by田村麻呂

第3章「薬子」終わり。後ろ暗い取引をしてもカッコいい俺様であーる。


by修験者タツミ

第54代仁明天皇こと正良誕生でおめでたい事からはじまる弘仁元年。

「弘仁おじさん」と呼ばないで。

by藤原冬嗣

明けましておめでとうございます。嵯峨天皇の叔母にして宮中屈指の美魔女、酒人内親王です。ここぞとばかりに気合い入った命婦たちのファッションと空海vs朝原の新春disり合い回で御座います…

若い頃の実忠さまはやさぐれていたなあ。

この世でやるべきこともやったし…じゃあね!

by和気広世

嵯峨天皇の兄、良岑安世の恋人の真名井でございます。「九条にて」はさあ、これから庶民と渡来人たちが活躍する平安アンダーグラウンドな物語の幕開け。

空海in伊勢神宮。朝原内親王より託されたとんでもない密命。

エミシ最後の戦士、ソハヤの人生のはじまり。

前半、終了。

険しい高野の山道を抜けるとそこは…異文化レベルの集落だった。

「丹生一族」パツキン彫金師、ムラートです。今回は丹生一族と秦一族と高野山のお話。



奈良の大仏建立時の人に言えない過去。老いた僧ほど暗い秘密を抱えているものなのですよ。

by実忠

「集光」実は、この話で作者は話を終わらせるつもりだったのですが、取材で高野参りをし、そこの宿坊でご住職の説法を聞いた時に「物語のラストシーン」が頭に浮かびあと50話位書く事に。

「田口三千媛」今では虐待と言われる育てられ方をされたと思います。訳を聞かされて納得しても、無理に許さなくてもいいのよ。

「弘仁格式」100年ぶりの法改正にとりかかる嵯峨帝。謎の美僧、泰範の師に対する本音。

平城上皇が会いたかった東大寺の重鎮、実忠の昔語り。前編。光明皇后に仕えた日々。

「光の時代、後」実忠の過去の話。

後半は道鏡事件の真相。

遊女真名井の人生の転機。家族との再会と共に恋人との別れを覚悟する。

「軛」

丹生のシリン姫の花占い。「来る、来ない。来る、来ない…来たあー!」

「灌頂」

死んで生まれ変わりたい気持ちで空海に会いに行った泰範。

最澄はんの「泰範、行かないでくれ」

の熱烈な文が歴史的資料として残っておます。

by空海


ぐすっ、ぐすっ…生きながら生まれ変わる事って出来るんやな…


by泰範

「信源氏」日本史最初の源氏、源信です。あのね、四さいの時にお家(宮中)から出されて明鏡お母様と離されてしまったの。


信源氏物語のはじまりはじまり〜。

高野の麓、天野の里に帰ってきたムラートです。妹の結婚式がゾロアスター教通りの儀式だと⁉️


天野わっしょい物語をお楽しみに。

嵯峨帝と正妻高津内親王との離婚の真相に迫る「高津退場」後宮サスペンス回。

橘嘉智子、立后のお話。

「わたくし、覚悟を決めました」

「常の白珠」

延暦十五年四月(796年5月)、日の本初の公然セクハラ&パワハラの記録でございます。

by明信

あの時は恥ずかしい思いさせてごめんよ…まだ怒ってる?

ねえ明信、こっち向いて(焦)

by桓武帝

お二人とも、犬も喰わない痴話喧嘩を板上でやらないで下さいまし。

by葛野麻呂

「わし、とうとう最澄はんと絶交する覚悟決めました」

空海を本気でブチギレさせた最澄の言動。


そして、高野山開基に向けて動き始める弟子たち。

「高野」

私ムラート、生まれも育ちも高野山でございます。このお山の自然の洗礼に遭う実叡と泰範。

高野を舐めちゃあいけねえよ。


なぜか寅さん口調。

「時鳥」

小野篁初登場回。そして、現世での役目を果たした巫女との別れ。

「落花宴」

民を食わせるために働いた藤原、葛野麻呂の最期。日ノ本初の茶事と花見の宴の記録。



「拠り処」

天皇皇后だってもふもふふくふくで癒されたい。徳一、東国に進出宣言。

「橘秀才」

「弘法も筆の誤り、って肝心な時に大ポカをやらかすって事なんだね」

古今随一の芸術家となった逸勢、空海にツッコミを入れる。

「シリン都に行く」

はーい、私は高野山の麓天野の里に住む主婦シリン。夫に下された辞令で子供たち連れて平安京へお引越しですって⁉️ドギマギしちゃう!

…って魔法少女みたいなあらすじ紹介でいいのかしら?

「篁」

ちーっす、小野篁でーす。僕の風評「なんだかすげえ奴」みたいに言われてるけど、嵯峨帝に出会った頃は脳筋の野生児でしたよ。

「一隅を照らす」

最澄、最期のことば。戒壇認可を遅らせた嵯峨帝の真意。


そして、たそがれ空海。



「進士篁」

ちーっす!篁っす!それでは一句。


竹の子(篁)が ドラゴン桜(三教指帰)で サクラサク


物語の主人公空海阿闍梨から僕に交代っす!

白秋の章、「嵯峨野」のはじまり。淳和帝即位。遡って嵯峨帝による黄櫨染御袍プロデュース秘話。

「正子と正良」

嵯峨上皇と嘉智子お母様の息子、正良(後の仁明帝)です。十四で結婚したお嫁さんが可愛過ぎてキュートなハートにズキンドキン!です。

「祈雨(きう)」

元服した源信信です。空海阿闍梨による伝説の雨降らしの祈祷の裏に蠢く大人たちの陰謀に、

うわあああ…

皆さんお久しぶり。田村麻呂です。平安初期の貴族たちは麻呂麻呂っなくて武士武士ってたんですよ。


ごきげんよう、小野篁です。

(官吏になったのでパシリ口調はやめました)

今回は私のルーツとソハヤ、シルベに隠された秘密が明かされる回です。

「在るがまま」

平城上皇の第三王子、高岳親王です。今回は父の最期の想いと私の出家の物語。


◯ウケンシルバーのモデルになった私の人生の出発でしたねえ。

「哀しい哉」

このエピソード書くために作者、高野山にお参りに行き智泉の御廟(お墓)に手を合わせました。

「天長二年の旅立ち」

久しぶりの金髪仏師ムラートです。東寺の立体曼荼羅完成秘話。あの時の空海さんは某劇作家か!って位ダメ出しして来て参りましたよ…


そしてラスト主要人物、在原業平初登場。

「夫人たちの夏」嵯峨帝の側室、藤原緒夏です。後宮で生きる憂鬱と高子さまとの友情の回。


「頭の冬嗣」

今年の◯河はやり過ぎちまった私の愚孫どものいざこざですが一人ちゃんと遺言を守った奴がいたようです。

「心の中の明王」

篁と徳一の出会い。東国にて。

空海と最澄を支援した破天荒僧侶、勤操の最期。さよならだけが人生や。

喫茶去(きっさこ)は禅語で「ま、茶でも一服」の意味。人生最後の対面を惜しむ主人公二人。

「光明」全ての務めを終えた空海の眠り。次回から次世代編へ。

「流人篁」百人一首で有名な「わたの原」から始まる篁の反骨最骨頂行動と流人生活。


ちゃっかり現地妻作ってました。

「落日」

葛野麻呂の息子で遣唐大使、藤原常嗣サイドの最後の遣唐使節の行程。


支援者の張宝高は新羅の海将で外交官で大商人。

この回のゲストは唐代の大文人。

「円仁の旅・使命」

どうも、遣唐使団からバックれた不法滞在僧侶の円仁(最澄の弟子)です。私の9年以上に及ぶ旅はいきなりホラーな展開から始まります。

実質、最後の遣唐使である円仁の旅の後編。空海より託された三つの遺言は果たしたものの武宗による仏教弾圧を受ける苦難の復路。オカルトな場面あり。

「胡蝶」

「胡蝶の夢」になぞらえた常嗣の帰国後の辛い立場と責任を感じる篁。二人とも苦しんだんだ。

「観月」

嵯峨上皇が家族たちにそして遥か未来の子孫に向けて述べた言葉。

人生最後の観月の宴。



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