第100話 わかれ途

文字数 4,954文字

もう、潮時なのかもしれない。

と真名井が思ったのは朝、化粧をするために鏡に向かい自分の前髪の生え際に二、三本の白いものを見つけた時。

無理もない、今度の正月で私はもう三十一なのだ。

ひと月前の中納言さまの別荘での宴に招ばれて楽を披露した時つくづく思った。
たとえ教養至らず舞楽が未熟でも、殿方というのは若い娘を求める生き物。

結局、男が女に求めるものは気の利いた会話よりも工夫を凝らした芸よりも、吸い付くような瑞瑞しい肌なのだ。と。

毛抜きで引き抜いた白髪の根元を見つめ真名井はふっ…と自虐的な笑みを浮かべる。

わたしもこれからどんどん容色衰え、どの貴人からも求められなくなるだろう。

そう、この方も。

と化粧を済ませ衣服を整えた真名井はまだ眠っている最愛の人、良岑安世の頬にそっと手を触れ、親指で眉間から鼻筋、唇から顎までなぞってみる。筋の通った眉目に引き締まったお肌。無理もない、この御方は私より四つも年下なのだ。

思えば十二年前、出世払いでいいから相手をしてくれないか?と私をお求めになられた時の真摯な目。

お金や食糧と引き換えに私を求めて来る殿方がとうに失ってしまった純粋さがその目に宿っていらっしゃったので私はそれに惹かれ…あなたに女体というものを教えて差し上げました。

「いかがでしたか…?」私のからだの上で汗ばむあなたはほう…と夢見るように息をつき、
「羽化登仙とはこのような心地だったか」
と言って乳房の間に顔を埋めて眠ってしまったあなたはまだ十四で私は十八。明り取りの窓から陽が照り付ける夏のことでした。

真名井の指の感触に安世はむむ、と唸りながらも二時前までの情事の余韻に浸っているのか笑みを浮かべたまま起きようとしない。

出会った頃は身分の低い母から生まれた皇子で宮中で粗略に扱われていたあなたが今や今上帝の最側近。…いつまでもこのような関係を続けてはいけない。

本当に兄さまの言う通りだ。


あれは二十年前で都が長岡京だった頃、和多利は一度だけ伝説の色子(男娼)、比羅夫(ひらふ)とすれ違った事がある。

年の頃十五、六だというのに豊かな髪を腰まで届くみづらに結い、化粧を施した桃色の直衣姿。
侠客の番人に左右を守られて日が暮れたばかりの都の通りを堂々とを闊歩していた。

どこかの貴人の男が別荘で宴を開くと家に残った妻たちは決まって比羅夫を呼び出して束の間の享楽を得る。

彼の練絹のような肌身に包まれ琴を弾くよりも繊細な指の動きで貴婦人たちは夫との閨事でも味わえない天にも昇る心地になるそうな…

男でも女でも坊主でも相手は拒まないってさ。一度は味わってみたいもんだねえ。

と比羅夫の姿に見惚れ囁き合っている群衆の中に割り込んで前列で見ていた和多利と今宵も五月蠅い物見の衆だなあ。と呆れて見ていた比羅夫の視線が一瞬だけ交差したことがある。

忘れやしねえ、薄く白粉をはたいて唇に紅まで差した比羅夫さまの笑顔は…

成程、これなら坊主でもふるいつきたくなるだろうよ。と思ったくらい美しかったが同時に、こいつはいつか大それたことをしでかす。と思う程の危うさを感じた。

真名井が結び文を受け取って十五日後の夕方、本当に僧侶は九条のこの家にやって来た。

「久しぶりだね恭仁子(くにこ)

と僧侶は老女潮目しか知らぬ本名で自分を呼んだので真名井は一瞬怯んだがそれでも和多利を間に置いて、

「本当にあなたが比羅夫兄さまなら、そうと解る証拠をお見せになって」

とつとめて硬い声で言った。

僧侶は迷わず自分の僧衣の懐から布包みを取り出し和多利に押しつける。包みを開くと椎の実やらむかごやら木の実がぎっしり詰まっている。
和多利から受け取った包みを両手に乗せた真名井は茶褐色の実を凝視する…

「皮を剥いて水に浸けて灰汁を抜くと粥に入れて食べられるんだよ」

と僧侶が言った直後、真名井は彼に抱きついて
「兄さまだ…兄さまだ。本当に兄さまだあ!」
と僧衣の胸に頬を押し付けて今までの労苦を吐き出すように嗚咽し、僧侶はそんな妹を優しく抱き留めた。

比羅夫と恭仁子。
今は最澄の弟子泰範と都随一の遊女真名井となって二十五年ぶりに再会した兄妹は天武帝直系の賜姓皇族、氷上家(ひがみけ)の生まれである。

が、祖父塩焼が藤原仲麻呂の乱で天皇に擁立されようとして殺害され、

塩焼の妻で祖母の不破内親王も称徳天皇を呪詛したとして皇親の身分を奪われており祖父母の代で既に落ちぶれていた。

兄妹の父である氷上川継は恭仁子が生まれてすぐに謀反を企んだ罪で伊豆国に流されていたので側女の子である二人は近江にある母の実家に氏素性を隠して身を寄せていた。

暮らしは貧しかったが近江は湖の方に行けば魚が採れるし山の方に行けば木の実が採れる自然豊かなところだ。

幼い比羅夫は母と妹を食べさせるために毎日籠を背負って食べられる山草や木の実や茸を取り、乳母の潮目に渡して朝晩の粥に入れてもらって腹を満たしていた。

二月に一度は父の従者だった男が衣類や炭などの物資を届けてくれた。

「苦しいでしょうけれどお父上が帰るまでの我慢ですよ」

と励ましてくれたその男が…比羅夫が十歳の時、突然押入って目の前で母を刺し殺して兄妹二人を拐って人買いに売ったのだ。

兄さま、兄さまあ!と潮目と共に人買いに連れ去られていく妹の叫び声が今でも耳から離れない。

都の唐人に売られた比羅夫は顔立ちが美しいからと貴婦人相手の色子にさせられた。女色を禁じられている僧侶も彼の上客だった。

客を飽きさせぬ程の学や伎芸を身に付けさせられ、他の色子よりいい暮らしをさせてもらえても所詮、自分は売り物。

昼は妓楼に閉じ込められ、夜は高貴な者たちの欲の捌け口となって暮らしていくのか…と虚しい心で生きていた十八の時、転機が来た。

和気広世という貴族が楼主に大金を払って比羅夫を請け出し、「人生をやり直せ」と奈良の元興寺に入れてくれたのだ。

師匠から泰範、と名を貰った比羅夫は仏道修行に打ち込み過去の事に一切口をつぐんだ。

「色を売ってきた屈辱を忘れて僧として生きるつもりだったがある夜、広世さまから『比叡山寺の最澄和尚の処へ行け』と言われてな…広世さまには恩があるので比叡山に行った。そして最澄さまの動向を逐一広世さまに報告してたさ」

氷上比羅夫(ひがみのひらふ)こと泰範は…もう十年近く妹に仕えてくれた老人、和多利だけに己が素性と過去を語った。

「驚きましたぜ…比羅夫さまが天台宗最澄和尚の愛弟子になっておられるとは」

はん!と泰範は
「とどのつまり私は偽坊主の密偵さ。今となっては主の広世さまに死なれてもうどう生きたらいいかも解らない」
と己を嘲笑った。天井を向く泰範とは正反対にうつ向いてふっふっふ…と笑う老人に、
「何がおかしい?」と問うと、

「いやね、今起こっている偶然が面白くてね…
まさか比羅夫さまも俺と同じく広世さまに飼われていた身だったとは」

と顔を上げた和多利の目は灯火に照らされて何か企んでいる輝きに満ちていた。

「何だって!?」

「俺は長岡京で木工の仕事をする筈だったが相次ぐ水害で食いつめた上に病になり、慈悲小屋で広世さまに命を救われた。
そこで広世さまに俺に貧窮に喘ぐ女。つまり遊女の世話をする役目を与えて下さった、という訳さ。
神仏を信じねえ俺だが広世さまの御霊(みたま)が俺たちに『人生をやり直せ』と仰っているに違いない。
…今しがたお二人の事情を聞いてこの和多利、姫様を今の暮らしから必ず抜けさせなくては、と決意致しましたぞ」

妹をここから救いだしたい。
だから泰範は幼い恭仁子が弾いていた(きん)の琴を弾く遊女の噂を頼りに七条から九条まで探してここまで来て、やっと恭仁子に会えたのだ。

九条の路地の家で老人と僧侶は無言でうなずき合った。

そこから二人は急に声をひそめて長いこと話し合い、夜明け近くになり師が心配するから、と泰範は投宿する寺に帰って行った。

翌朝、泣いたまま眠ってしまった真名井は起きても体調がすぐれず兄と再会して気が昂っているのか朝餉の粥を口に含んで吐き戻してしまう。

まさか…!

「三日後にはまた会いに来る、と比羅夫さま仰ってましたよ」

眠い目をこすって和多利が報告に行くと我が主が床に吐かれた粥と主の泣き腫らした顔。

それだけで老人は全てを悟った。

「どうしよう和多利さん…」
薬師(くすし)に診てもらいましょう、全てはそれからです」

すぐに和多利は真名井の一番の上客であり宴があればいつも呼び出してくれる支援者で中納言の藤原葛野麻呂の邸に向かい、家司(けいし)の多治比志摩麻呂に真名井からの結び文を渡した。

お昼過ぎには中納言が寄越した薬師が九条の家に往診に来てくれて真名井に見立てを告げると…

「そうなのですね」

と真っ直ぐな目で薬師を見て何かを決意した真名井の化粧っ気のない横顔は、和多利が見てきた中で一番美しいものだった。

薬師が帰ると老女潮目と和多利は「すぐに手筈を整えましょう」と主に進言した。
真名井はゆっくり首を振り、
「でもあさってにあの御方が泊まりにいらっしゃるの」と言うではないか。

「私の一生のお願いを聞いて!」と床に手をついて泣く主に哀願されては老人二人も聞き入れるしかなかった。


そして三日後の朝、粥の匂いで安世は目を覚ましてふああ…と欠伸をしながら上半身裸で起き上がった。

「そのままではお寒うございますよ」
背後から真名井が重ねた単衣をかけてくれ、火鉢の中の炭は真っ赤に燃えて我が身を温めてくれる。

潮目が持ってきた角盥の水で洗顔と含嗽を済ませ、真名井に髪を結い直して貰ってから朝餉を食べると、下級役人に変装したなりで世は真名井に向かって、

「では行ってくる」といつものように笑いかけた。

「それでは行ってらっしゃいませ」

真名井もどこの家の妻もしている挨拶で安世を送り出した。

最初の会瀬から十二年間続けてきた二人の、いつもの朝。いつもの挨拶。

それが最後の朝だった。

年末の宮中行事が落ち着いた頃に安世が武官に変装して九条の家を訪れた時、そこは無人になっていた。

「そこのお若いの」
呆然とする安世に声を掛けたのは気心の知れた侠客の頭だった。

「もうその家に誰が住んでいたか、何処に行ったかなんて俺たちは知らねえ」

頭はわざと安世を突き放した口調でそう言った。

「なあお若いの。最初会った時のあんたは、はぐれた子犬みたいに寂しそうだったんで俺達九条の住人が相手してやったが…今はもう貴人の中の貴人だ。二度と九条に来ちゃなんねえ。分かるな?」

太刀にすがり付いて地に両膝を付き、すでに子供のように泣きじゃくっている安世の肩をぽん、と叩いて頭はその場を後にした。

真名井。真名井。
お前ははぐれ者の皇子だった俺を初めて慈しんでくれた、まさに菩薩だった。

自ら姿を消したのは、菩薩の役目を終えたからなのか?

九条の住人たちがじろじろ見ながら通り過ぎるのも構わずに安世は気の済むまで泣き続けた。

愛しい安世さま。

思えば私はこの世の美しく豪奢な所も目を背けたくなる泥濘も見てきて、

人とは現世の有り様を見るためだけに生まれてくるものなのかもしれない。
と思うようになってきました。

真名井は元の恭仁子に戻ってあなたがくれた真に愛し愛された思い出と、

あなたがくれたこの上ない宝物。
お腹の赤さまと共に市井で生きて行きます。

この世に生きる甲斐の無い身の上である私を好いて下さって本当にありがとう。

そして生きている間も死してからも後の世がどう移り変わろうと、

あなたを愛していますよ。


翌年の弘仁三年(812年)、良岑安世は蔵人頭を経て正五位下に叙爵した。

はぐれ者の皇子だった彼がやっと貴人として光輝く途を歩き出したのだ。

そして羅城門の東にある真新しい家でとある僧の妹だと云う女人が元気な男の赤子を生んだ。

「今まで貴族の男たちに夢を見させてくれた礼だ」
と葛野麻呂が与えてくれた家に移り住んだ真名井は本名の恭仁子に戻り老人と老女だけを使用人に付けて子を育てながら穏やかに暮らし、息子はよく勉学して都の役人になった。

その家の近くには教王護国寺と言う平安京鎮護のための立派な寺があり、後に嵯峨帝により空海に下賜されたその寺はいつしか皆から、

東寺。

と呼ばれるようになった。

弘仁四年に空海の弟子になった泰範が東寺の定額僧になったのはいつの頃からかはっきり解らない。

が、彼と家族の事情を全て知った上での空海のはからいなのかもしれない。























































































































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登場人物紹介

空海、本名は佐伯真魚。香川県善通寺市出身の裕福な豪族のせがれ。学業優秀で長岡京の大学寮に入るが、そこで遭った悲劇が彼を仏門に向かわせる。

嵯峨天皇(神野親王)桓武天皇の第二皇子。

問題だらけの平安京に真の平安をもたらす名君。空海とは生涯の友になる。欠点、浮気性でパリピ。

橘嘉智子

嵯峨天皇に最も愛され、橘氏出身の唯一の皇后となる。仏教への傾倒は人生から逃げる術。

私は和気清麻呂。「これから起こる悪い事全部怨霊のせいにしちゃいましょう」と御霊信仰の悪知恵吹き込みました。

本音?桓武帝が起こした人災だろーが。

藤原薬子です。後に悪女呼ばわりされる私も言い分いっぱいあるんですのよー

嘉智子さまお付きの女童、明鏡です。薬子登場でなんだか不穏な予感…

空海に山岳修行教えた勤操ですぅ〜。時々奈良仏教の中間管理職としてぼやきます。桓武帝と戒明じいさんとの因縁ってなんやろな?


役行者六代子孫にして作中最もヤバいおっさんタツミ登場。わし空海のエグい修行生活のはじまりです。

新キャラ藤原葛野麻呂、空海を唐に連れて行く貴族です。私の顔は東寺の帝釈天像がモデルです。イケメンですよー。

兄貴、自分の息子の誕生祝いで不倫ばれてんじゃねーよ…って親父に対して正論で返してるし!義理の叔父、田村麻呂初登場。

by嵯峨帝

ふっふっふ。俺様は修験者の頭タツミ。真魚よ、よくぞ試練を乗り越えたな…っていつまでも妻の手握ってんじゃねえ!

若き日の坂上田村麻呂も絡む平安ミステリー、藤原種継暗殺事件の真相です。


最新話まで話を読んできた登場人物全員の心の声


「そりゃ祟られるわ!!」

実在した前の遣唐使僧、戒明です。史実上の真魚との接点は不明です。唐から偽経を持ち帰ったとして失脚してた私の名誉回復をしてくれたのは空海だから最初に出会った師として登場。

荒行の末に悟ったもの。仏性、すなわち人の心なり。善行も悪行もそれを行う人の心次第。

やっぱりわたくし、親王さまを好きになっていたのね。(浮気者だけれど)

多治比高子です。嵯峨帝側室として寵愛された理由はインテリだった設定。

あれ?「あの四重奏ドラマ」のエンディングシーンみたいなことしてない?

三行指帰現代語訳コント風、はじまりまじまり〜

何これ⁉︎空海の書いた話おもしれーじゃん!と吠えて宮女に叱られる神野。三教指帰は日本初の小説と呼ばれる。

空海、実家に帰る。真魚が一番可愛いお母さん。激烈お兄ちゃん、実家あるあるな心配するお父さん。

空海の実家をそのまま父親の名前にしたのはオヤジ、ありがとう…グスッ(泣)の気持ちやったんや。

後の法相宗のトップにして東日本に仏教を伝える男、徳一の本心。

高雄山寺プロレス回。奈良仏教の裏番長、実忠しれっと初登場。

やっと最澄登場。美坊主泰範のせいで既に不穏な比叡山寺。

ある意味最強キャラ、朝原内親王登場。

飛べない小鳥、から明鏡の出生の秘密編へ。

尚侍明信の罪は亡国の姫、明信の若き日の過ち。

「陽の下の露」冬嗣の長男、藤原長良誕生。ちなみに薬子と葛野麻呂の不倫関係は史実です。

「風が吹く」遣唐使に選ばれなかった空海に起こったありえへん奇跡。それにしても徳一口悪ぃな。

桓武帝が仏教勢力を叩いた理由は脱税摘発のため。しかし宗教法人を使った脱税って1200年経った今でもやってますなあ。

「受戒」どーもどーも、三論宗のアイドルにして空海の頭を剃った勤操ですぅー…ってじいさんどないしたー⁉︎

最初の師戒明との別れ。わし、行ってきます。

「船乗り星」朝廷も一目置く宗像氏の濃いマダム登場。

どうもー、空海を唐に送り最澄を唐から連れ帰ってながらも後世にほとんど知られていない葛野麻呂。ここでは準主役です。

徳政論争回。現実的にこれ以上の東国進出は無理だった。徳川家康の次に鷹狩り好きな歴史上の人物として有名な桓武天皇の最後の鷹狩り。

仙境天台山、思えばこのひと時が最澄の一番の幸福だったかもしれない。

「崩御と即位」皇帝陛下の崩御と新皇帝の即位に立ち会っちゃった俺って持ってる〜。からの、カネが無いから2年で逃げ帰れ命令。

「聖俗同船」帰国できなかった遣唐使もいるんですよ…葛野麻呂の最澄へのツンデレっぷりをお楽しみ下さい。

「密の罠」帰国した途端最澄に降り掛かる悪意。

平安京を開いた帝の最期。これから不穏な平城朝が始まるー

秀才、橘逸勢にトリプルの悲劇。留学生たちの寂しさを癒す楽の音。

恵果と戒明との邂逅から三十年。やっと後継者に出会えた恵果。

まるで唐密教の滅びを予測していたかのような恵果の発言。実際にそうなります。

「遍照金剛」かくして遍照金剛空海誕生。で、何で俺様がナレーション?

「柳枝の別れ」長安出立前夜に明かされる霊仙の正体。次回から日ノ本、平城朝編。

「平城朝」最後の薬子の表情は読者さんのご想像にお任せします。

「春宮神野」

宮中も 女子回なければ やってらんない

by明鏡 字余り

「天皇の侍医」官僚として、医師として苦労する弘世の人生が始まる。

「謀」とうとう粛清に向けて動きだした薬子。朝原内親王、神野に迫る毒殺の危機。

「比叡山夜話」最澄に迫る危機。平城帝の悪意。

「翡翠の数珠」空海のせいでまた逸勢がヒドい目に遭うお話。

「阿保の本音」父平城帝への不信感が募る阿保親王。後に彼と妻の伊都内親王から生まれたのが在原業平。

前半の薬子の兄、仲成が起こした暴行事件。これ史実です。後半の勤操の述懐は創作ですが。

「咎人空海」空海、やっと帰国。あの三姉妹再び登場。

「海辺のふたり」空海だけを都に帰さなかった藤原縄主の思惑とは。この時代、芋粥は極上スイーツ扱いでした。

「白雪」兄帝の危険性を思い出す神野。

「神泉苑行幸」策謀に満ちた宮中。筑紫で布教を始める空海に届いた悲報…

「藤原家の毒薬」いつの世も女の仕返しって陰湿なのよねえ。

「譲位」嵯峨天皇が即位した夜に明かされる伊予親王の死の真相。冬嗣の胸に去来するのは怒りか、諦めか。

「実ちて帰る」主人公2人がやっと初対面。次回から第3章「薬子」のはじまり。

わたくし藤原薬子が主役の章、「薬子」、開始ですわよ。空海阿闍梨、神野の坊やとの初謁見でいきなりド不敬発言。

「橘の系譜」女性天皇が女性の部下に姓を与えた女性が始祖の橘家。

明鏡、家族と再会し、そして母になる。

「背徳」性描写あり。そして、薬子は悪女になった。

「真言の灯」最澄さまの千利休感と人手不足の密教。ある事で滅多になくブチ切れる空海。

「宮女明鏡」嵯峨後宮ベビーラッシュ。身籠った明鏡がこれまでの人生を振り返る。

「阿修羅」、怒らせるとシャレにならないレベルで怖い空海のダークサイド。

「東国の勇者」アテルイ回前編。13000vs500で朝廷軍にに勝利した巢伏の戦いと田村麻呂との対話。

「王の器」アテルイと田村麻呂の物語、後編。胆沢制圧戦後のアテルイ、田村麻呂、桓武帝。

真の王の器は誰にある?

どぅもー、宮中のイケオジ葛野麻呂です。「負の遺産」、宮女同士のマウントバトルが怖ぇわ…

「征夷大将軍殿の憂鬱」田村麻呂、愛妻とのフルムーン旅→ヒリヒリするような駆け引き。

「小鳥立つ」明鏡、13年ぶりに父との対面で思い切った決断を告げる。そして運命の子は誕生した。

「火の継承」

この時代の年明けのお祭り、修二会。ググった結果検索トップがさだまさしの「修二会」だったので公式の自分がまさしに敗けて悔しい実忠。

「智泉の祈り」

嘉智子さまへのマタハラ案件、「皇子を産め」とのたまう橘家の兄君たちにブチギレる空海阿闍梨。

「豪奢なる遁甲」嵯峨天皇vs平城上皇最後の争いが万葉サーカスの歓声の中始まる。


この回から三人目の主人公、ソハヤ登場。

「私刑」

池波か!とツッコミ上等な回。法具を本来の目的(明王の武器)で使う空海。

「なるほど、これがお役所仕事か」by嵯峨天皇

「隘路」、暗殺者集団土蜘蛛vsタツミ率いる修験者たち。薬子の変クライマックス前編。

「火宅」一万字越えの大作です。嵯峨天皇vs平城上皇最後の戦い後編。


藤原薬子と語らう老婆の正体は…

「徒花散る」失脚がそのまま死に繋がる全然平安で無かった平安初期の、最後の政変。


勝ってもあまり嬉しくない戦いでしたね…


by田村麻呂

第3章「薬子」終わり。後ろ暗い取引をしてもカッコいい俺様であーる。


by修験者タツミ

第54代仁明天皇こと正良誕生でおめでたい事からはじまる弘仁元年。

「弘仁おじさん」と呼ばないで。

by藤原冬嗣

明けましておめでとうございます。嵯峨天皇の叔母にして宮中屈指の美魔女、酒人内親王です。ここぞとばかりに気合い入った命婦たちのファッションと空海vs朝原の新春disり合い回で御座います…

若い頃の実忠さまはやさぐれていたなあ。

この世でやるべきこともやったし…じゃあね!

by和気広世

嵯峨天皇の兄、良岑安世の恋人の真名井でございます。「九条にて」はさあ、これから庶民と渡来人たちが活躍する平安アンダーグラウンドな物語の幕開け。

空海in伊勢神宮。朝原内親王より託されたとんでもない密命。

エミシ最後の戦士、ソハヤの人生のはじまり。

前半、終了。

険しい高野の山道を抜けるとそこは…異文化レベルの集落だった。

「丹生一族」パツキン彫金師、ムラートです。今回は丹生一族と秦一族と高野山のお話。



奈良の大仏建立時の人に言えない過去。老いた僧ほど暗い秘密を抱えているものなのですよ。

by実忠

「集光」実は、この話で作者は話を終わらせるつもりだったのですが、取材で高野参りをし、そこの宿坊でご住職の説法を聞いた時に「物語のラストシーン」が頭に浮かびあと50話位書く事に。

「田口三千媛」今では虐待と言われる育てられ方をされたと思います。訳を聞かされて納得しても、無理に許さなくてもいいのよ。

「弘仁格式」100年ぶりの法改正にとりかかる嵯峨帝。謎の美僧、泰範の師に対する本音。

平城上皇が会いたかった東大寺の重鎮、実忠の昔語り。前編。光明皇后に仕えた日々。

「光の時代、後」実忠の過去の話。

後半は道鏡事件の真相。

遊女真名井の人生の転機。家族との再会と共に恋人との別れを覚悟する。

「軛」

丹生のシリン姫の花占い。「来る、来ない。来る、来ない…来たあー!」

「灌頂」

死んで生まれ変わりたい気持ちで空海に会いに行った泰範。

最澄はんの「泰範、行かないでくれ」

の熱烈な文が歴史的資料として残っておます。

by空海


ぐすっ、ぐすっ…生きながら生まれ変わる事って出来るんやな…


by泰範

「信源氏」日本史最初の源氏、源信です。あのね、四さいの時にお家(宮中)から出されて明鏡お母様と離されてしまったの。


信源氏物語のはじまりはじまり〜。

高野の麓、天野の里に帰ってきたムラートです。妹の結婚式がゾロアスター教通りの儀式だと⁉️


天野わっしょい物語をお楽しみに。

嵯峨帝と正妻高津内親王との離婚の真相に迫る「高津退場」後宮サスペンス回。

橘嘉智子、立后のお話。

「わたくし、覚悟を決めました」

「常の白珠」

延暦十五年四月(796年5月)、日の本初の公然セクハラ&パワハラの記録でございます。

by明信

あの時は恥ずかしい思いさせてごめんよ…まだ怒ってる?

ねえ明信、こっち向いて(焦)

by桓武帝

お二人とも、犬も喰わない痴話喧嘩を板上でやらないで下さいまし。

by葛野麻呂

「わし、とうとう最澄はんと絶交する覚悟決めました」

空海を本気でブチギレさせた最澄の言動。


そして、高野山開基に向けて動き始める弟子たち。

「高野」

私ムラート、生まれも育ちも高野山でございます。このお山の自然の洗礼に遭う実叡と泰範。

高野を舐めちゃあいけねえよ。


なぜか寅さん口調。

「時鳥」

小野篁初登場回。そして、現世での役目を果たした巫女との別れ。

「落花宴」

民を食わせるために働いた藤原、葛野麻呂の最期。日ノ本初の茶事と花見の宴の記録。



「拠り処」

天皇皇后だってもふもふふくふくで癒されたい。徳一、東国に進出宣言。

「橘秀才」

「弘法も筆の誤り、って肝心な時に大ポカをやらかすって事なんだね」

古今随一の芸術家となった逸勢、空海にツッコミを入れる。

「シリン都に行く」

はーい、私は高野山の麓天野の里に住む主婦シリン。夫に下された辞令で子供たち連れて平安京へお引越しですって⁉️ドギマギしちゃう!

…って魔法少女みたいなあらすじ紹介でいいのかしら?

「篁」

ちーっす、小野篁でーす。僕の風評「なんだかすげえ奴」みたいに言われてるけど、嵯峨帝に出会った頃は脳筋の野生児でしたよ。

「一隅を照らす」

最澄、最期のことば。戒壇認可を遅らせた嵯峨帝の真意。


そして、たそがれ空海。



「進士篁」

ちーっす!篁っす!それでは一句。


竹の子(篁)が ドラゴン桜(三教指帰)で サクラサク


物語の主人公空海阿闍梨から僕に交代っす!

白秋の章、「嵯峨野」のはじまり。淳和帝即位。遡って嵯峨帝による黄櫨染御袍プロデュース秘話。

「正子と正良」

嵯峨上皇と嘉智子お母様の息子、正良(後の仁明帝)です。十四で結婚したお嫁さんが可愛過ぎてキュートなハートにズキンドキン!です。

「祈雨(きう)」

元服した源信信です。空海阿闍梨による伝説の雨降らしの祈祷の裏に蠢く大人たちの陰謀に、

うわあああ…

皆さんお久しぶり。田村麻呂です。平安初期の貴族たちは麻呂麻呂っなくて武士武士ってたんですよ。


ごきげんよう、小野篁です。

(官吏になったのでパシリ口調はやめました)

今回は私のルーツとソハヤ、シルベに隠された秘密が明かされる回です。

「在るがまま」

平城上皇の第三王子、高岳親王です。今回は父の最期の想いと私の出家の物語。


◯ウケンシルバーのモデルになった私の人生の出発でしたねえ。

「哀しい哉」

このエピソード書くために作者、高野山にお参りに行き智泉の御廟(お墓)に手を合わせました。

「天長二年の旅立ち」

久しぶりの金髪仏師ムラートです。東寺の立体曼荼羅完成秘話。あの時の空海さんは某劇作家か!って位ダメ出しして来て参りましたよ…


そしてラスト主要人物、在原業平初登場。

「夫人たちの夏」嵯峨帝の側室、藤原緒夏です。後宮で生きる憂鬱と高子さまとの友情の回。


「頭の冬嗣」

今年の◯河はやり過ぎちまった私の愚孫どものいざこざですが一人ちゃんと遺言を守った奴がいたようです。

「心の中の明王」

篁と徳一の出会い。東国にて。

空海と最澄を支援した破天荒僧侶、勤操の最期。さよならだけが人生や。

喫茶去(きっさこ)は禅語で「ま、茶でも一服」の意味。人生最後の対面を惜しむ主人公二人。

「光明」全ての務めを終えた空海の眠り。次回から次世代編へ。

「流人篁」百人一首で有名な「わたの原」から始まる篁の反骨最骨頂行動と流人生活。


ちゃっかり現地妻作ってました。

「落日」

葛野麻呂の息子で遣唐大使、藤原常嗣サイドの最後の遣唐使節の行程。


支援者の張宝高は新羅の海将で外交官で大商人。

この回のゲストは唐代の大文人。

「円仁の旅・使命」

どうも、遣唐使団からバックれた不法滞在僧侶の円仁(最澄の弟子)です。私の9年以上に及ぶ旅はいきなりホラーな展開から始まります。

実質、最後の遣唐使である円仁の旅の後編。空海より託された三つの遺言は果たしたものの武宗による仏教弾圧を受ける苦難の復路。オカルトな場面あり。

「胡蝶」

「胡蝶の夢」になぞらえた常嗣の帰国後の辛い立場と責任を感じる篁。二人とも苦しんだんだ。

「観月」

嵯峨上皇が家族たちにそして遥か未来の子孫に向けて述べた言葉。

人生最後の観月の宴。



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