第60話 神泉苑行幸

文字数 5,169文字

昔、日の本のはるか西の小島にある小さなお寺に、若い僧侶が訪ねて来た。

このお寺に虚空蔵菩薩像(こくぞうぼさつぞう)があると聞き、どうしても祈願したくて唐からの帰りに寄ったのです!懇願した。

さては、遣唐使僧なのですか!?

と住職は最初驚き、そのような優秀なお方がよくぞこんな古びた寺に…と感激してお堂での祈願を許した。

その晩、
のうぼうあかしゃ ぎゃらばや おんあり きゃまり ぼうそわか

という奇妙な呪文がお堂から聞こえたので住職も気になって一晩中眠れなかった。

やがて暗い空に明けの明星が輝いた時、若い僧侶は祈願を終えてお堂から出て来て

やはり初心に還るとはいいものですな…

と実に清らかな顔つきで言ったので住職は、

あなたに会えたのは瑞兆のような気がしてなりません。

是非ともこの寺に名前を付けてくれませんか?と請うと空海と名乗るその僧侶は

「そうですねえ、明星院と名付けましょう」と空を見上げながら笑った。

以来、五島列島は真言密教伝来の地と言われる。


「入京の許可が出るまで観世音寺に寄宿すること」

と朝廷から再びご沙汰が下ったのは空海が請来目録を送って半年経ってからのこと。
(807年4月29日)

はるばる唐国から貴重な品々を持ち帰り、密教奥義を極めて私度僧の身ながらよくぞこれだけの成果を果たして帰って来た。

お前は良く学んだ。褒めて遣わす。

これからは観世音寺に寄宿し、入京の許可下りるまでしばし待て。
尚、現地に供養を求めるものがいればそうしてやるがよい…

という内容の文を読み上げた太宰師、藤原縄主(ふじわらのただぬし)
「朝廷からお褒めの言葉を頂いた上に布教の自由まで許してくれたのだから大したものだ。
空海阿闍梨、これよりお前の身柄を観世音寺に移す。今まで不自由かけたな」

と髭面に満足げな笑みを浮かべて朝廷からの御沙汰を言い渡した。

布教を許すって…もうすでに色々「やってもうてる」がな、何を今さら。と空海は思った。

すでに空海は昨年、大宰府に向かう途中で宗像氏に請われて寺を二つ(宗像大社鎮護寺と呉服町東本寺)も開基し、二月前(ふたつきまえ)に副官の田中少弐に請われて彼の母の一周忌法要を執り行っていた。

要するに縄主は、帰国してからの空海の数々の布教活動を黙認し続け、今「許可が出たから積極的にどんどんやれ」と奨励しているのだ。

空海は自由に活動させてくれる縄主に感謝しつつも、
自分の罪はまだ赦されず、この地での足止めが決まっただけだ。という事実に内心歯痒い思いをしていた。

とにもかくにも、その日の内に

空海は智泉と共に観世音寺の客僧房に移り、持ち帰った経典に埋もれながら密教の復習をしつつ、弟子の智泉に灌頂を授けるまで本格的に密教を教え込む日々が始まった。

謹慎期間が延びたにしても…
これは佛が我に与えたもうた、自分の中で教えを深める機会や。
と前向きに捉える空海であった。


神泉苑は大内裏の南東に接する地に造営された禁苑(天皇所有の庭園)である。

その広さは今の神泉苑の10倍に当たる八町(南北約500メートル、東西約240メートル)に及ぶ大庭園であった。

桓武帝は平安遷都時に元々ここにあった古山城湖を中心に泉、小川、小山、森林などの自然を取り込んだ大庭園に整備し、

北側には乾臨閣を主殿とした右閣、左閣、西釣台、東釣台、滝殿、後殿などを伴う広い宮殿を作らせて桓武帝も何度か行幸し、雅宴を楽しんだ。

大同二年夏(807年5月)、平城帝は神泉苑に行幸し即位一周年の祝宴を開いた。

中央の池に龍頭鷁首(りゅうとううしゅ)の二艘の船を浮かべ、乗船した貴族や楽人が雅楽を演奏し歌を歌う。

池の周りの舞い人たちは船から聞こえる楽に合わせて舞い、

平城帝はじめ皇族や重臣はそれを北側の宮殿から、招待客たちは池の南側に設けられた宴席から見物するという雅やかな趣向の宴だった。

ちょうど平城帝の隣に座する伊予親王は本来こうした遊びは好きな方だが、この日は朝起きた時からずっと気が重かった。

というのは去年の朝議で藤原仲成に対する処遇について、
伊予が「式家の兄妹を追放すべし!」と真っ向から兄帝に異を唱えてから、

ずっと兄弟間での確執が続いている。と貴族たちの噂が耳に入って来るからである。

確執?そんなものはない。と伊予は声を上げて噂を否定したかった。

あの時兄上は、
「なるほど、それがお前らの本音か…」
と仰って伊予と朝議の場に居た貴族たちを眺めまわして、その日の朝議をお取りやめになさった。

翌日からは普段通りに接して下さり「仲成の謹慎期間を二か月伸ばした」とだけお告げになり、
今日までその事について一切何も仰らない。

本当に我が意を汲んでくださったのか?それとも…その件に関してだけ沈黙している兄が伊予には不気味でならない。

「今回の行幸で帝に品物を献上して和解し、形だけでも恭順の意を示すべきです」

と伊予に進言してくれたのは母、藤原喜子の兄で伊予にとって外伯父にあたる大納言、藤原雄友(ふじわらのおとも)だった。

伊予さまがあの時、帝をお諫めになったのは間違いではないし、そうでもしないと貴族たちの怒りは爆発していた。と雄友は雄友で思うのだが、

むしろ今の帝より伊予さまが天皇に相応しいのではないか?という不穏な噂が正月明けてから流布し始めた。

それはともすれば伊予さまを陥れかねない危険な噂。

噂の元はおそらく、伊予さまの後見である南家の貴族が次々出世するのを快く思っていない式家のあの女であろう。

主だった貴族たちが参加しているこの宴で伊予さまと帝が杯を交わし合って和解した。
その様さえ見せつければ良いのです…

伯父の進言通り伊予は兄帝に献上品を差し出し、目録を確かめた平城帝は

「ずいぶんと珍しい特産品ばかり…取り寄せるのに苦労したであろう」

といたく感心して空の杯を伊予に差し出した。
「帝の世が末永く続きますように」
と言って伊予が酌をした酒を平城帝は飲み干して、空にした杯を伊予に賜り、平城帝自ら酌をしてくれた酒を伊予が飲み干した時、

公の場で帝と伊予親王の和解が成った。

とそれを見ていた貴族たちが一斉にどよめいた。

「良かったですねえ親王様…お父上と叔父上が仲直りして。私達貴族も長い間気を揉んでいたのですよ」

と心底ほっとした声で中納言、藤原乙叡(ふじわらのたかとし)は平城帝の長男で孫娘の夫である阿保親王にささやきかけた。

「ええ、ありがとうございます舅どの」とはにかんで言う阿保の言葉尻を取って「親王さま、そこは大舅どのと呼ぶべきでは?」と指摘し、
「乙叡どの、貴方は孫婿にわざわざ舅どのと呼ばせているのか?」
と乙叡をからかうのは右近衛少将、安倍鷹野。
「親王さま、あなたの舅どのはじじいになった。という事実を認めたくないのですよ!」

と今年45才の乙叡と同年代のこの貴族は、思いやり深い人柄で評判の良い人物だった。

乙叡の孫で桓武帝の皇女、伊都内親王(いづないしんのう)との結婚を機に阿保は南家の婿となり乙叡の邸に移り住んでもうすぐ一年。
四才の伊都もなついてくれるし、その母、平子(ひらこ)さまも乙叡どのの母君、百済王明信(くだらのこにしきみょうしん)さまも自分によくして下さる。

宮中から出た、というより大嫌いな父帝から離れて心優しい南家の人々と過ごす日々は、阿保の人生の中で、短かったが最も幸せなひとときであった…と後になって阿保は懐古するのである。

やがて龍笛の響きが空を駆け昇り、龍頭船の船頭で独奏する橘逸勢の姿に宴席の人々はどよめき、わっ!と喝采を送った。

その時、伊予の視界で薄い膜が剥がれたように青々しい若葉、舞人や楽人たちの衣装や、ゆったりと進む龍頭船の輪郭がはっきりと映り、目に見えるもの全てが色鮮やかに見える。という現象が起こった。

ああ、何もかもが光を浴びてまぶしい…現世とは、かように美しかったのか…!

私は終生この宴を忘れないであろう。

(きつ)の秀才、か…逸勢の音は天から具わった才能に唐留学で磨きをかけた努力でますます研ぎ澄まされたな」

「私もそう思います」

と同意する伊予に平城帝が
(安心しろ、私も誰を粛清すべきか十分に心得ている)

と囁きかけたので伊予ははっとして兄帝のお顔を見返し、
「それを聞いて安堵致しました」と再び酌をしながらこれが兄上の本当の顔か。伊予はこの瞬間、平城帝を信用してしまった。

この日伊予の心に起こった感動は、短い人生を最後まで誠実に生きた彼に贈られた、天からの恩賜だったのかもしれない。


それから二月後(ふたつきご)、梅雨が終わり夏の陽が輝く頃、東宮に吉報が入った。

春宮神野の寵姫、交野女王(かたのにょおう)が皇女を出産したのだ。

皇女(ひめみこ)さま御誕生おめでとうございます!母子ともにご無事でございます」

と廊下を小走りに駆けて報告に来た明鏡の前で神野は胸を撫で下ろし、
明鏡の両肩に手を置いてその場にかがみこみ、「良かった、本当に良かった…」と涙声で呟いた。

出産から7日後に交野が赤子と共に東宮に戻り「ほら、お父上様ですよ」と白いおくるみに包まれた赤子を抱かせてくれた時、

子供とは、なんと小さくて柔らかくて頼りないものなのだ…!
と神野は我が子の黒目がちな瞳を見つめ、胸がの中が光で満ちるような感動を覚えた。

その夜の祝いの席で神野は皇女の名を

有智子(うちこ)

と発表した。

「嘉智子みたいに美しく淑やかな娘で有るように、と願いを込めた名付けだが何か?」

と何の邪気もない目で夫に問われた神野の寵姫、橘嘉智子は

「そ、それは有り難く光栄なのですが…交野さまがお産みになられた皇女さまの名に、わたくしの名を使うとは畏れ多くて」
と困りきった顔で夫を見上げた。

「困った顔もまた美しいね、嘉智子。だがこれは交野と話し合って決めた名付けだから問題ない。交野も喜んでいたぞ」

え?と言いたげに嘉智子と明鏡は顔を見合わせた。

「東宮入りした時から嘉智子さまの美しさと気品はわたくしの憧れでしたの…だから娘にお名前をいただけて嬉しいのです」

うふふ、と笑って19才の交野女王は見舞いに来てくれた嘉智子を喜んで迎えた。
ちょうど傍では有智子が目覚め、物珍しげにあう、ああう、と嘉智子のほうを見ている。

「抱いてみますか?」と交野に言われて嘉智子は乳母からこわごわと赤子を受け取った。腕の中の有智子は大人しく、嘉智子と目を合わせた時にこっと笑みを浮かべたので、

まあ、お可愛いらしい皇女さま…と嘉智子もつられて微笑んだ。

嘉智子の腕に抱かれる皇女有智子はこの3年後に初代の賀茂斎院に選ばれ、また優れた女性漢詩人としても名を残す。


ああ、疲れた…。この体の重さは、雨のせいでもあるのだろうか?

がらら、と音を立てて回る重い車輪の音を聞きながら牛車に揺られる伊予親王は、こうして一人になった時に背中にのしかかる疲労感に前のめりになりながらも、

他の貴族たちも同じく激務で苦労をしているのだから。とこの一年半なんとか気を保たせていた。

平城帝は即位後すぐに緊縮財政や租税の強化、官司の統廃合などを行い、先代の桓武帝のせいで傾いた財政の再建に力を入れていた。

また、畿内・七道に観察使を置いたり、地方官の監視を強化して律令制度の立て直しも行い、先帝の失政は自分で立て直す!という意気込みに溢れていらっしゃるのは解る。

解るのだが、次々と勅書を発行し、感情的に貴族を叱咤する様は、早く結果を出そうと焦ってらっしゃるとしか思えない。

結果、官職を重複させられた貴族たちは書類仕事が激増して疲労の極みに達しているし、それをお諫めする私のことも最近疎んじていらっしゃるようだ。

確かに兄上は父上より計算高く、頭が切れるお方かもしれないが…
政治を行う者としてあまりにも視野が狭い。狭すぎるのだ。

視野が狭き者が長く政を行うのは、危うい。

と伊予が兄帝を断じた時である。
急に牛車の動きが止まり、従者が何者かを叱る声が聞こえるので。

「何事か?」
と物見を開けて伊予が外を見ると、自邸の塀の前で雨に濡れそぼった男がこちらに向けて平服しているので訝しんで従者に問うと、
「親王様が相手をするほどの者ではありません」と冷たく言い放った従者が牛車を再び動かそうとするのを止めさせ、前簾を開けて伊予は
「衣の濡れ方から見ると長くここに座っていたのだろう?その方、名は?」と問うた。

名を問われた男はは…と顔を伏せたまま、「藤原宗成(ふじわらのむねなり)と申します」と陰気な音声で答えた。

聞いたことの無い名だな。と伊予は一瞬思ったが唇を紫色にして震える宗成を哀れに思い「まあ、風邪を引くからとにかくお入りよ」と持ち前の優しさから宗城を自邸に引き入れてしまった…

空海が太宰府の観世音寺に入ってから付きっ切りで智泉に秘法を伝授し、両部灌頂を授けた頃には季節は秋へと変わっていた。

「この国での密教僧がやっと二人になったな…ま、焦らずぼちぼちやっていこうやないか?」
「はい叔父上」
それからの二人は密教と南都六宗がどの部分で折り合いを付けられるか?という課題を以て経典の比較研究を進めていた大同二年冬の半ば、空海の元に

伊予親王、自殺

という報せが届いた。








































































































































































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登場人物紹介

空海、本名は佐伯真魚。香川県善通寺市出身の裕福な豪族のせがれ。学業優秀で長岡京の大学寮に入るが、そこで遭った悲劇が彼を仏門に向かわせる。

嵯峨天皇(神野親王)桓武天皇の第二皇子。

問題だらけの平安京に真の平安をもたらす名君。空海とは生涯の友になる。欠点、浮気性でパリピ。

橘嘉智子

嵯峨天皇に最も愛され、橘氏出身の唯一の皇后となる。仏教への傾倒は人生から逃げる術。

私は和気清麻呂。「これから起こる悪い事全部怨霊のせいにしちゃいましょう」と御霊信仰の悪知恵吹き込みました。

本音?桓武帝が起こした人災だろーが。

藤原薬子です。後に悪女呼ばわりされる私も言い分いっぱいあるんですのよー

嘉智子さまお付きの女童、明鏡です。薬子登場でなんだか不穏な予感…

空海に山岳修行教えた勤操ですぅ〜。時々奈良仏教の中間管理職としてぼやきます。桓武帝と戒明じいさんとの因縁ってなんやろな?


役行者六代子孫にして作中最もヤバいおっさんタツミ登場。わし空海のエグい修行生活のはじまりです。

新キャラ藤原葛野麻呂、空海を唐に連れて行く貴族です。私の顔は東寺の帝釈天像がモデルです。イケメンですよー。

兄貴、自分の息子の誕生祝いで不倫ばれてんじゃねーよ…って親父に対して正論で返してるし!義理の叔父、田村麻呂初登場。

by嵯峨帝

ふっふっふ。俺様は修験者の頭タツミ。真魚よ、よくぞ試練を乗り越えたな…っていつまでも妻の手握ってんじゃねえ!

若き日の坂上田村麻呂も絡む平安ミステリー、藤原種継暗殺事件の真相です。


最新話まで話を読んできた登場人物全員の心の声


「そりゃ祟られるわ!!」

実在した前の遣唐使僧、戒明です。史実上の真魚との接点は不明です。唐から偽経を持ち帰ったとして失脚してた私の名誉回復をしてくれたのは空海だから最初に出会った師として登場。

荒行の末に悟ったもの。仏性、すなわち人の心なり。善行も悪行もそれを行う人の心次第。

やっぱりわたくし、親王さまを好きになっていたのね。(浮気者だけれど)

多治比高子です。嵯峨帝側室として寵愛された理由はインテリだった設定。

あれ?「あの四重奏ドラマ」のエンディングシーンみたいなことしてない?

三行指帰現代語訳コント風、はじまりまじまり〜

何これ⁉︎空海の書いた話おもしれーじゃん!と吠えて宮女に叱られる神野。三教指帰は日本初の小説と呼ばれる。

空海、実家に帰る。真魚が一番可愛いお母さん。激烈お兄ちゃん、実家あるあるな心配するお父さん。

空海の実家をそのまま父親の名前にしたのはオヤジ、ありがとう…グスッ(泣)の気持ちやったんや。

後の法相宗のトップにして東日本に仏教を伝える男、徳一の本心。

高雄山寺プロレス回。奈良仏教の裏番長、実忠しれっと初登場。

やっと最澄登場。美坊主泰範のせいで既に不穏な比叡山寺。

ある意味最強キャラ、朝原内親王登場。

飛べない小鳥、から明鏡の出生の秘密編へ。

尚侍明信の罪は亡国の姫、明信の若き日の過ち。

「陽の下の露」冬嗣の長男、藤原長良誕生。ちなみに薬子と葛野麻呂の不倫関係は史実です。

「風が吹く」遣唐使に選ばれなかった空海に起こったありえへん奇跡。それにしても徳一口悪ぃな。

桓武帝が仏教勢力を叩いた理由は脱税摘発のため。しかし宗教法人を使った脱税って1200年経った今でもやってますなあ。

「受戒」どーもどーも、三論宗のアイドルにして空海の頭を剃った勤操ですぅー…ってじいさんどないしたー⁉︎

最初の師戒明との別れ。わし、行ってきます。

「船乗り星」朝廷も一目置く宗像氏の濃いマダム登場。

どうもー、空海を唐に送り最澄を唐から連れ帰ってながらも後世にほとんど知られていない葛野麻呂。ここでは準主役です。

徳政論争回。現実的にこれ以上の東国進出は無理だった。徳川家康の次に鷹狩り好きな歴史上の人物として有名な桓武天皇の最後の鷹狩り。

仙境天台山、思えばこのひと時が最澄の一番の幸福だったかもしれない。

「崩御と即位」皇帝陛下の崩御と新皇帝の即位に立ち会っちゃった俺って持ってる〜。からの、カネが無いから2年で逃げ帰れ命令。

「聖俗同船」帰国できなかった遣唐使もいるんですよ…葛野麻呂の最澄へのツンデレっぷりをお楽しみ下さい。

「密の罠」帰国した途端最澄に降り掛かる悪意。

平安京を開いた帝の最期。これから不穏な平城朝が始まるー

秀才、橘逸勢にトリプルの悲劇。留学生たちの寂しさを癒す楽の音。

恵果と戒明との邂逅から三十年。やっと後継者に出会えた恵果。

まるで唐密教の滅びを予測していたかのような恵果の発言。実際にそうなります。

「遍照金剛」かくして遍照金剛空海誕生。で、何で俺様がナレーション?

「柳枝の別れ」長安出立前夜に明かされる霊仙の正体。次回から日ノ本、平城朝編。

「平城朝」最後の薬子の表情は読者さんのご想像にお任せします。

「春宮神野」

宮中も 女子回なければ やってらんない

by明鏡 字余り

「天皇の侍医」官僚として、医師として苦労する弘世の人生が始まる。

「謀」とうとう粛清に向けて動きだした薬子。朝原内親王、神野に迫る毒殺の危機。

「比叡山夜話」最澄に迫る危機。平城帝の悪意。

「翡翠の数珠」空海のせいでまた逸勢がヒドい目に遭うお話。

「阿保の本音」父平城帝への不信感が募る阿保親王。後に彼と妻の伊都内親王から生まれたのが在原業平。

前半の薬子の兄、仲成が起こした暴行事件。これ史実です。後半の勤操の述懐は創作ですが。

「咎人空海」空海、やっと帰国。あの三姉妹再び登場。

「海辺のふたり」空海だけを都に帰さなかった藤原縄主の思惑とは。この時代、芋粥は極上スイーツ扱いでした。

「白雪」兄帝の危険性を思い出す神野。

「神泉苑行幸」策謀に満ちた宮中。筑紫で布教を始める空海に届いた悲報…

「藤原家の毒薬」いつの世も女の仕返しって陰湿なのよねえ。

「譲位」嵯峨天皇が即位した夜に明かされる伊予親王の死の真相。冬嗣の胸に去来するのは怒りか、諦めか。

「実ちて帰る」主人公2人がやっと初対面。次回から第3章「薬子」のはじまり。

わたくし藤原薬子が主役の章、「薬子」、開始ですわよ。空海阿闍梨、神野の坊やとの初謁見でいきなりド不敬発言。

「橘の系譜」女性天皇が女性の部下に姓を与えた女性が始祖の橘家。

明鏡、家族と再会し、そして母になる。

「背徳」性描写あり。そして、薬子は悪女になった。

「真言の灯」最澄さまの千利休感と人手不足の密教。ある事で滅多になくブチ切れる空海。

「宮女明鏡」嵯峨後宮ベビーラッシュ。身籠った明鏡がこれまでの人生を振り返る。

「阿修羅」、怒らせるとシャレにならないレベルで怖い空海のダークサイド。

「東国の勇者」アテルイ回前編。13000vs500で朝廷軍にに勝利した巢伏の戦いと田村麻呂との対話。

「王の器」アテルイと田村麻呂の物語、後編。胆沢制圧戦後のアテルイ、田村麻呂、桓武帝。

真の王の器は誰にある?

どぅもー、宮中のイケオジ葛野麻呂です。「負の遺産」、宮女同士のマウントバトルが怖ぇわ…

「征夷大将軍殿の憂鬱」田村麻呂、愛妻とのフルムーン旅→ヒリヒリするような駆け引き。

「小鳥立つ」明鏡、13年ぶりに父との対面で思い切った決断を告げる。そして運命の子は誕生した。

「火の継承」

この時代の年明けのお祭り、修二会。ググった結果検索トップがさだまさしの「修二会」だったので公式の自分がまさしに敗けて悔しい実忠。

「智泉の祈り」

嘉智子さまへのマタハラ案件、「皇子を産め」とのたまう橘家の兄君たちにブチギレる空海阿闍梨。

「豪奢なる遁甲」嵯峨天皇vs平城上皇最後の争いが万葉サーカスの歓声の中始まる。


この回から三人目の主人公、ソハヤ登場。

「私刑」

池波か!とツッコミ上等な回。法具を本来の目的(明王の武器)で使う空海。

「なるほど、これがお役所仕事か」by嵯峨天皇

「隘路」、暗殺者集団土蜘蛛vsタツミ率いる修験者たち。薬子の変クライマックス前編。

「火宅」一万字越えの大作です。嵯峨天皇vs平城上皇最後の戦い後編。


藤原薬子と語らう老婆の正体は…

「徒花散る」失脚がそのまま死に繋がる全然平安で無かった平安初期の、最後の政変。


勝ってもあまり嬉しくない戦いでしたね…


by田村麻呂

第3章「薬子」終わり。後ろ暗い取引をしてもカッコいい俺様であーる。


by修験者タツミ

第54代仁明天皇こと正良誕生でおめでたい事からはじまる弘仁元年。

「弘仁おじさん」と呼ばないで。

by藤原冬嗣

明けましておめでとうございます。嵯峨天皇の叔母にして宮中屈指の美魔女、酒人内親王です。ここぞとばかりに気合い入った命婦たちのファッションと空海vs朝原の新春disり合い回で御座います…

若い頃の実忠さまはやさぐれていたなあ。

この世でやるべきこともやったし…じゃあね!

by和気広世

嵯峨天皇の兄、良岑安世の恋人の真名井でございます。「九条にて」はさあ、これから庶民と渡来人たちが活躍する平安アンダーグラウンドな物語の幕開け。

空海in伊勢神宮。朝原内親王より託されたとんでもない密命。

エミシ最後の戦士、ソハヤの人生のはじまり。

前半、終了。

険しい高野の山道を抜けるとそこは…異文化レベルの集落だった。

「丹生一族」パツキン彫金師、ムラートです。今回は丹生一族と秦一族と高野山のお話。



奈良の大仏建立時の人に言えない過去。老いた僧ほど暗い秘密を抱えているものなのですよ。

by実忠

「集光」実は、この話で作者は話を終わらせるつもりだったのですが、取材で高野参りをし、そこの宿坊でご住職の説法を聞いた時に「物語のラストシーン」が頭に浮かびあと50話位書く事に。

「田口三千媛」今では虐待と言われる育てられ方をされたと思います。訳を聞かされて納得しても、無理に許さなくてもいいのよ。

「弘仁格式」100年ぶりの法改正にとりかかる嵯峨帝。謎の美僧、泰範の師に対する本音。

平城上皇が会いたかった東大寺の重鎮、実忠の昔語り。前編。光明皇后に仕えた日々。

「光の時代、後」実忠の過去の話。

後半は道鏡事件の真相。

遊女真名井の人生の転機。家族との再会と共に恋人との別れを覚悟する。

「軛」

丹生のシリン姫の花占い。「来る、来ない。来る、来ない…来たあー!」

「灌頂」

死んで生まれ変わりたい気持ちで空海に会いに行った泰範。

最澄はんの「泰範、行かないでくれ」

の熱烈な文が歴史的資料として残っておます。

by空海


ぐすっ、ぐすっ…生きながら生まれ変わる事って出来るんやな…


by泰範

「信源氏」日本史最初の源氏、源信です。あのね、四さいの時にお家(宮中)から出されて明鏡お母様と離されてしまったの。


信源氏物語のはじまりはじまり〜。

高野の麓、天野の里に帰ってきたムラートです。妹の結婚式がゾロアスター教通りの儀式だと⁉️


天野わっしょい物語をお楽しみに。

嵯峨帝と正妻高津内親王との離婚の真相に迫る「高津退場」後宮サスペンス回。

橘嘉智子、立后のお話。

「わたくし、覚悟を決めました」

「常の白珠」

延暦十五年四月(796年5月)、日の本初の公然セクハラ&パワハラの記録でございます。

by明信

あの時は恥ずかしい思いさせてごめんよ…まだ怒ってる?

ねえ明信、こっち向いて(焦)

by桓武帝

お二人とも、犬も喰わない痴話喧嘩を板上でやらないで下さいまし。

by葛野麻呂

「わし、とうとう最澄はんと絶交する覚悟決めました」

空海を本気でブチギレさせた最澄の言動。


そして、高野山開基に向けて動き始める弟子たち。

「高野」

私ムラート、生まれも育ちも高野山でございます。このお山の自然の洗礼に遭う実叡と泰範。

高野を舐めちゃあいけねえよ。


なぜか寅さん口調。

「時鳥」

小野篁初登場回。そして、現世での役目を果たした巫女との別れ。

「落花宴」

民を食わせるために働いた藤原、葛野麻呂の最期。日ノ本初の茶事と花見の宴の記録。



「拠り処」

天皇皇后だってもふもふふくふくで癒されたい。徳一、東国に進出宣言。

「橘秀才」

「弘法も筆の誤り、って肝心な時に大ポカをやらかすって事なんだね」

古今随一の芸術家となった逸勢、空海にツッコミを入れる。

「シリン都に行く」

はーい、私は高野山の麓天野の里に住む主婦シリン。夫に下された辞令で子供たち連れて平安京へお引越しですって⁉️ドギマギしちゃう!

…って魔法少女みたいなあらすじ紹介でいいのかしら?

「篁」

ちーっす、小野篁でーす。僕の風評「なんだかすげえ奴」みたいに言われてるけど、嵯峨帝に出会った頃は脳筋の野生児でしたよ。

「一隅を照らす」

最澄、最期のことば。戒壇認可を遅らせた嵯峨帝の真意。


そして、たそがれ空海。



「進士篁」

ちーっす!篁っす!それでは一句。


竹の子(篁)が ドラゴン桜(三教指帰)で サクラサク


物語の主人公空海阿闍梨から僕に交代っす!

白秋の章、「嵯峨野」のはじまり。淳和帝即位。遡って嵯峨帝による黄櫨染御袍プロデュース秘話。

「正子と正良」

嵯峨上皇と嘉智子お母様の息子、正良(後の仁明帝)です。十四で結婚したお嫁さんが可愛過ぎてキュートなハートにズキンドキン!です。

「祈雨(きう)」

元服した源信信です。空海阿闍梨による伝説の雨降らしの祈祷の裏に蠢く大人たちの陰謀に、

うわあああ…

皆さんお久しぶり。田村麻呂です。平安初期の貴族たちは麻呂麻呂っなくて武士武士ってたんですよ。


ごきげんよう、小野篁です。

(官吏になったのでパシリ口調はやめました)

今回は私のルーツとソハヤ、シルベに隠された秘密が明かされる回です。

「在るがまま」

平城上皇の第三王子、高岳親王です。今回は父の最期の想いと私の出家の物語。


◯ウケンシルバーのモデルになった私の人生の出発でしたねえ。

「哀しい哉」

このエピソード書くために作者、高野山にお参りに行き智泉の御廟(お墓)に手を合わせました。

「天長二年の旅立ち」

久しぶりの金髪仏師ムラートです。東寺の立体曼荼羅完成秘話。あの時の空海さんは某劇作家か!って位ダメ出しして来て参りましたよ…


そしてラスト主要人物、在原業平初登場。

「夫人たちの夏」嵯峨帝の側室、藤原緒夏です。後宮で生きる憂鬱と高子さまとの友情の回。


「頭の冬嗣」

今年の◯河はやり過ぎちまった私の愚孫どものいざこざですが一人ちゃんと遺言を守った奴がいたようです。

「心の中の明王」

篁と徳一の出会い。東国にて。

空海と最澄を支援した破天荒僧侶、勤操の最期。さよならだけが人生や。

喫茶去(きっさこ)は禅語で「ま、茶でも一服」の意味。人生最後の対面を惜しむ主人公二人。

「光明」全ての務めを終えた空海の眠り。次回から次世代編へ。

「流人篁」百人一首で有名な「わたの原」から始まる篁の反骨最骨頂行動と流人生活。


ちゃっかり現地妻作ってました。

「落日」

葛野麻呂の息子で遣唐大使、藤原常嗣サイドの最後の遣唐使節の行程。


支援者の張宝高は新羅の海将で外交官で大商人。

この回のゲストは唐代の大文人。

「円仁の旅・使命」

どうも、遣唐使団からバックれた不法滞在僧侶の円仁(最澄の弟子)です。私の9年以上に及ぶ旅はいきなりホラーな展開から始まります。

実質、最後の遣唐使である円仁の旅の後編。空海より託された三つの遺言は果たしたものの武宗による仏教弾圧を受ける苦難の復路。オカルトな場面あり。

「胡蝶」

「胡蝶の夢」になぞらえた常嗣の帰国後の辛い立場と責任を感じる篁。二人とも苦しんだんだ。

「観月」

嵯峨上皇が家族たちにそして遥か未来の子孫に向けて述べた言葉。

人生最後の観月の宴。



「草木のままに」

我が夫、嵯峨天皇の最期。お休みなさい、あなた…


あと10話で完結です。

最終章「檀林」、それはカリスマ嵯峨天皇が去るのを待っていたかのように始まった粛正の嵐。

承和の変。三筆最後の一人逸勢の退場。

「繭」政変で息子、仁明帝の行いと本心を知った皇太后嘉智子の絶望。

「反骨の種子」政変の真相を知った篁の決意と、蹂躙される政変の敗者の家族たち。

昔男、と呼ばれたチャラいクズ。在原業平の奔放な恋の本心は…な回。

「椙山にて」この日、エミシの武人親子三代の真相が知らされ祖父の願いがシルベに託された。

「橋を架ける」

言葉を大事にして秩序を保つのも、言葉をぞんざいにしてこの世を地獄同然にするのも全て、人間の行いなのだと思います。


この国の教えの百年先を見越して禅僧を呼び寄せた国母、橘嘉智子。

「参議篁」

私の少年期から始まる篁四部作これにておしまい。良房の企みなんて知ったことかよ。

「襲撃」

日本初の警察機構である検非違使に務める下級役人、志留辺の人生の転機。

「桜」宮中編「一代限りの橘」の物語、これで終わりでございます。

この長い物語、次回の「平安時代」で完結です。



「平安時代」さてさて、ラストシーンで新しいバディが組まれ、彼らの本当の人生が始まります。


皆が知っている「平安時代」はこれから始まるのです。

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