第127話 夫人たちの夏

文字数 5,806文字

藤原冬嗣が氏寺である興福寺の南円堂に詣でたのは天長三年の春のこと。

そこに安置された胸前で二手が合掌し、二手は与願印を結び、その他の四手には、羂索や蓮華・錫杖・払子を持す。

一面三目八臂(いちめんさんもくはっぴ)(額に縦に一目を有する)の不空羂索観音を拝すると制作にあたった仏師集団椿井氏の頭であり今は出家して法眼(ほうげん)という職人の最高位である役職に就いた仏師、椿井双(つばいのならぶ)に向かって、

「空海阿闍梨が唐より持ってきた図面だけでよくぞこここまでのものを仕上げてくれたな」
と改めて感謝と労りの言葉をかけた。

冬嗣は昨年、太政官の職務を統べる議政官の首座として朝議を主催する左大臣の職に就いた。

これで冬嗣は臣下として位人臣を極めたことになる。

長男長良のお披露目の宴で桓武帝皇子の良岑安世が自分と義弟の三守の肩を抱き寄せて、

「この中で誰が先に大臣になるのか楽しみだな」

と戯れに言っていた言葉が二十五年の歳月をかけてようやく実現した訳だが、本人はこの昇進はただ一日一日の務めを果たした積み重ねの結果に過ぎない。と齢五十一にして驕ることもなく時には自分の財を貧しい庶民に分け与える等の善行を人知れず行ってきた冬嗣の生き方こそ、

特権階級が果たすべき義務(ノブリス・オブリージュ)なのかもしれない。

「ちょっと気懸かりがあって寄ってみたのだが、な…もうこれで思い残すことはない」

と言って去った左大臣の妙にすっきりとしたご様子が双には気掛かりでならなかったが、翌月左大臣冬嗣の病臥でその予感は的中する。


なるほどねえ、宮中に閉じ込められていた空海が極秘裏に描いていた図面が「ここ」なのか。

と管絃の宴に呼ばれた橘逸勢はようやく全体が完成した葛野院(かどのいん)こと嵯峨上皇の離宮を宮女明鏡に案内されて「湖面に映る月を見るために」わざわざ都の南東にあたる月が良く見える丘陵地帯を選んで作らせた大沢池沿いに

まずは避暑のための山荘、次に降雨祈願のためのお堂、と増築を繰り返しついには離宮造りの邸宅となった。

平安宮ほど広大で豪華ではないが建材にも装飾にも最高の素材を使った離宮の瀟洒な造りを確認してから逸勢は、

なるほどね、このようにこだわり尽くした離宮の構想が倹約家でお堅い冬嗣どのに知れたら

「僭越ながら私人としての遊びの度が過ぎやしませんか?」
 
と遠慮なく建築を延期、または縮小されたに違いない。

設計者である空海を宮中に軟禁してまで隠した理由がやっと解ったよ。

…と逸勢は今更ながらに思うのであった。

「橘の逸勢罷り越しました」

と到着の報告を嵯峨上皇に告げた時、当の主は庭園の一角に作らせた花園で

「その水仙を五輪ほど根元から切り取ってくれ。こらこら葉は残さないと球根が育たないだろ」  

と舎人に細かく指示して花を摘ませているところだった。

「来たか、橘秀才。花を摘んだら共に中食でも致そう」
「いいですねえ」

宮中では許されない身分差の二人がこのように遠慮のない会話が出来るのも離宮だからこその気軽さ。

「今宵は望月(満月)で楽人たちも夕刻には全員到着しますが今回の宴の趣旨は?」

と軽い中食をとりながら逸勢が尋ねると嵯峨上皇は珍しくさえない顔つきで、

「…実は、藤の夫人に色々あってな。好きな楽の宴でも開いて元気づけてやりたくて」

と寵愛する側室、藤原緒夏(ふじわらのおなつ)が兄である左大臣冬嗣の病臥に心を痛めて最近塞ぎこんでいることをそれとなく伝えると逸勢は、

「承知しました。この橘秀才、心を込めて夫人さまの気を晴らして差し上げましょう」

と真摯な態度で受諾すると上皇は「こらこら、秀才が自分で秀才って言うものではないよ」と言って逸勢が来て初めて笑った。


夫と当代随一の楽の達人の快活そうな笑い声を御簾ごしに聞いていた藤の夫人こと藤原緒夏は、

違うのよ。
そうじゃないのよ。

と反駁したかったが上皇の側室である立場上口にすることが出来ず、橘の皇后さまほど信心は無いけれど私がこうして毎日数珠を持って読経に没頭するのは…

ご病気で実家にお戻りになられた多治比妃高子(たじひのきさきたかこ)さまを思ってのことなの。

思えば緒夏が後の嵯峨上皇である春宮神野親王のもとに夫人として入内したのはまだ十歳の夏の頃だった。

緒夏は父である右大臣内麻呂がかなり年を取ってから生まれた待望の娘なので

手離したくはない。という本音が周囲にも透けて見えていながらも、

「皇家の妃となって子を成し、お世継ぎと血を後世に遺すのが藤原の娘の使命なのだから」

と形通りの口上を述べて緒夏を実家から送り出した。

後で兄冬嗣から聞かされたのだが父はその夜、「娘を捧げるのが慣例と解っていても…これだから藤原の男は辛い」とお酒に酔って泣いていらしたという。

藤原北家の威信をかけて贅を尽くした結婚道具と碁や双六の遊び道具。

そして他の側室たちよりも多い話相手の侍女たち。

後宮に居ても緒夏を飽きさせないものは全て揃っていたのに時折、緒夏の心に空虚なものが生まれるようになったのはやはり十四才になった夏の夜。

いつもなら眠る前の話し相手をして添い寝するだけだった閨で「…もう、いいだろうか?」と嵯峨帝は緒夏の肩を抱き寄せて口づけをし、結婚四年目にしてやっと本当の夫婦となった。

侍女からその事を聞かされた兄冬嗣は「これはこれはおめでとうございます、夫人さま」と端正なお顔に上品な笑みを浮かべてから、

「やはり橘の夫人が産後で宿下がり中の今頃ではないかと思っていましたよ」

…と彼らしくない余計な一言を言った。

ああそうか、夫が何年も私に手を付けなかったのは、

最も愛する女人、橘嘉智子が皇子を生むのを待っていたからなのだ。
 
と元々怜悧な性質の緒夏は兄の不用意な一言ですべてを悟った。

相手が実の妹なので冬嗣にも僅かに甘えがあったのかもしれない。

が、それは帝の側室に決して言ってはならない言葉だった。

確かに嘉智子さまはお美しい上に慎ましい人柄で自己主張というものをほとんどなさらない(それ以前に自己というものがおありなのだろうか)ので我がお強い性質の嵯峨帝にとっては一番心安らげる存在なのだ。

後宮の女人たちは橘嘉智子に嫉妬するのは無駄だ。

ととうに諦めていた。それどころか閨の度に一晩中寝かせてくれないほど賜る嵯峨帝の「過剰すぎる愛」は十日に一度くらいでいい。と内心辟易し、それを一身に引き受けて下さる嘉智子の存在を有難い、とさえ思った。

なかなか懐妊しない緒夏に兄冬嗣は心配するどころか「帝に御子が生まれすぎて朝廷としては困っている」とため息を漏らし「だから夫人さまは却って気楽だと思ってお過ご下さい」と言って妹を慰めた。

懐妊すれば懐妊したで思い悪阻(つわり)の苦しみや身が引きちぎらるようなお産の痛み、御子が生まれたら生まれたらで健やかに育つよう気を揉み、一生悩み続けることとは無縁だと思うと本当にお兄様の仰る通りだ。跡継ぎはすでに嘉智子さまがお産みまいらせた正良親王(まさらしんのう)がいらっしゃるのだし。

橘家と先祖(四代前の先祖、橘美千代と藤原不比等は夫婦)を同じくする実家は既に天皇の外戚なのだから。

と思うと緒夏は後宮で生きるのが幾分か楽になった。

しかし、女人として真の意味では夫に愛されず、藤原家の娘として御子を授かることの無い人生に何の生きがいがあるというのだろう?

後宮に入って七年目、心に生まれた虚しさが次第に大きくなり始めて遊び暮らしているだけで何も果たすべき義務がないこの人生、

自分から退場してしまった方が楽なのではないか?

と時折不穏な考えが頭をよぎり始めていた十七才の緒夏に転機が訪れたのもまた夏の宵であった。

藤の花は咲き誇る時が一番美しいのだけれど散った後は古びた蔦にしか見えなくて寂しいのよね…

藤の花見の宴が開かれた実家から戻った翌日の夜、廊下を歩く緒夏に向けて

紫藤(しとう)  雲木に (かか)
花蔓(かまん)  陽春に (よろ)
密葉(みつよう)  歌鳥を 隱し
香風  美人を 留む

と柔らかな女人の声がしたので立ち止まるとそこは多治比夫人高子の部屋の前であった。

かぐわしき紫のふじの花、やわらかき雲、尊き大木にかかっている。きれいな花は蔦のように絡まっている、万物が性に目覚める春にふさわしいことだ。

肢体は葉のように密着し合い、宮妓たちの歌声、はしゃぐ声は帳に隠れている。かぐわしい宮女たちの香りは風に乗ってくる、その中で特に美しい人を引きとどめる…

これは唐の詩人李白が楊貴妃を「まさに玄宗皇帝の御心を射止めるのに相応しい方だ」と褒め称える漢詩、

紫籐樹(しとうじゅ)


「藤の花の化身の美しい姫君、どうして暗い顔をなさっているの?」

御簾の向こうの高子の声は緒夏を心配してくれているようだ。

「唐ではそうかもしれませんがこの国では籐の花は既に散り、橘の果実に日が当たっているのです」

若さゆえか緒夏は夫嵯峨帝の橘の夫人への過剰な寵愛とほかの女人たちに対する冷酷なまでの公平さへの不満をつい口にしてしまった。

御簾の向こうで重苦しい沈黙が流れた。

「お入りなさいな、若く美しい姫君」

やがて白くふくよかな手がちらり、と御簾の脇から出てきて緒夏を手招きし、緒夏もそれに従った。

夜更けの灯火に照らされた室内で見る多治比夫人の容貌はなんというか、糸のように細い目と腫れて落ちそうなくらいふくよかな頬をなさっていてお世辞にも美人とは言い難くて。
色白で肌の肌理(きめ)が細かくて、衣の上からでも豊満な体つきをなさっているのが惜しい、と緒夏は思った。

「まあご覧の通り私が容姿で自慢できるのは首から下しか無いわ」

と今考えている事をずばり、と高子に言い当てられて緒夏はこのまま黙るのは思慮浅い娘のすることと思われるので「で、でも高子さまは漢学の造詣の深さで帝のご寵愛を集めておいでですわっ!」と咄嗟に返した。

緒夏さまは何を言われても切り返しができる教養の深さを持っている。さすがは藤家の姫君…

と高子は驚きと興奮の眼で緒夏を見つめ、

「おっしゃる通り仕える主が一番好むものを学んで主の御心を慰めるのもまた夫人のつとめ。

私の場合はそれが漢学でしたけれどね。

安心なさい、わたしたちの帝は玄宗ほど怠惰で淫猥でもなく、全てにおいて及第点以上なのだから李家よりもましな家に嫁いだのよっ!」

唐の皇帝を呼び捨てにした強烈な言葉で高子は緒夏を叱咤激励した。

そのあまりにもあけすけな口調に、緒夏は笑った。  

いったん笑い始めると止まらずそれはもうころころと笑い転げた。そして宮中に入って心から笑ったのは初めてなのだ、と緒夏は気づいた。

侍女に持って来させた冷酒の瓶子が一本、また一本と増え、二人の夫人は酔いに任せて宮中生活での鬱屈や夫への不満など口に出したくても言えないことをぽんぽん語り合えたのは一番口が堅くて信用できる宮女、明鏡を傍に置いていた安心感からなのだろう。

「…とにかく我が主は政務も遊び(この場合は楽や歌など)も狩りも色事も、過剰に取り組み過ぎるのよね~」

「ほぉんとうですよ~、御子だってもう二十人以上お生まれになっているのに(嵯峨帝は生涯で女人に子を産ませた数、五十人以上)新入りの侍女が来たらすぐ、なんですよぉ~一国の主が手あたり次第なんて信じられませーん!」

やがて二十本めの瓶子が空になり、二人の貴婦人が折り重なるように熟睡したところで夜明けにお越しになった嵯峨帝が高子の部屋に足を踏み入れると、

「うっ、酒臭っ!」

と鼻をつまんでいつもは品良く振舞っている側室たちの醜態に思わずのけぞってしまった。

「…とにかく、夫人さまがたの御心は全てこの明鏡が聞き取りましたがお二人のご名誉の為に胸に留めておきます。悪いのは全部、(おほきみ)なんですからねっ!」

矛で胸を突いてえぐるような明鏡の一言で嵯峨帝は高子と緒夏の不満を募らせる心当たりなど…数え切れない程作ってきた自分の今までの行動を省み、

「解った、今後は夫人たちを怒らせないように気を付ける」

とくか~と鼾をかいて眠る妻たちに寝具を掛けてあげた。

その頃から嵯峨帝、宮中での管絃の遊びや漢詩の宴をよく催し、楽器の音色や男たちの唱和の音声(おんじょう)を聞かせて後宮の妻たちの気晴らしになれば、と心を砕いた。

夫人たちが初めて心を開きあったその夜から十三年間、緒夏と高子の友誼は続いた。

「私は多治比という存在も忘れられたような家の娘で容姿もさえないからせめて学問でも、と四書五経を暗記させられてそれがたまたま漢詩好きの帝のお目にかなっただけのこと。
侍女を受け入れるだけの部屋も無くて、父や兄に恥をかかせたくないから多治比の実家には帰りたくても帰れないのよ」

と時折こぼしていた多治比の妃(弘仁六年に妃となる)が意を決して実家への宿下がりを上皇様にお願いなさったのはきっと病が進み、自分の命の終わりを悟ったのかもしれない。

「そのようなことを口にしたのは入侍以来初めてだね…解った、実家に帰って思う存分休みなさい」

上皇様はひとつうなずかれ、高子さまは「なるべく早く体を治して戻ってまいります」とすっかり頬のふくらみが削げ落ちたお顔を団扇で隠して拝跪なさるのもやっと、というご様子だった。

「藤の夫人さま、後はよろしくお願いしますよ」

と御車に乗る前、高子はやっと団扇を外して細くなった顔を緒夏に見せて無理に笑った。

誇り高い高子さまはきっと、病みやつれて死んでいく様を上皇さまに見せたくはない。という一心で宿下がりを願い出たのだ、と緒夏には解っていた。

「また、藤の季節が巡ってまいりますわねえ」
「実家から藤の枝を取り寄せます。また杯を交わして花見でもしましょう」

それが、後宮で女人同士の友情を育んだ二人の最後の会話となるのはお互い言わずとも解っていた。


「緒夏、もっと端近においで」
 
と嵯峨上皇は御簾の下に手を入れて緒夏の手を握り、御簾の向こうの大沢池に映る望月と、それを背景に橘逸勢をはじめとする楽の上手の貴人たちが澄み渡るような音色で奏でる楽の美しさに、緒夏は生涯の友との別れの辛さをこの間だけは忘れることが出来た。

翌月の天長三年三月二日(826年4月12日)

嵯峨上皇妃、多治比高子薨去。享年三十八才。

臣下の家の娘が内親王のみに許される妃になり、死後従一位まで追贈された高子は、それだけ嵯峨上皇に愛された女人だったのだ。

高子さま。

いま実家の庭では貴女が楽しみになされていた藤の花が満開です。
あの夜、貴女が御簾ごしに紫籐樹(しとうじゅ)を読んで下さったから…
私は今、この時を生きています。

と緒夏が垂れ下がる藤の花房の下でたそがれる季節も、

暦の上ではもう、

夏─













































































































































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登場人物紹介

空海、本名は佐伯真魚。香川県善通寺市出身の裕福な豪族のせがれ。学業優秀で長岡京の大学寮に入るが、そこで遭った悲劇が彼を仏門に向かわせる。

嵯峨天皇(神野親王)桓武天皇の第二皇子。

問題だらけの平安京に真の平安をもたらす名君。空海とは生涯の友になる。欠点、浮気性でパリピ。

橘嘉智子

嵯峨天皇に最も愛され、橘氏出身の唯一の皇后となる。仏教への傾倒は人生から逃げる術。

私は和気清麻呂。「これから起こる悪い事全部怨霊のせいにしちゃいましょう」と御霊信仰の悪知恵吹き込みました。

本音?桓武帝が起こした人災だろーが。

藤原薬子です。後に悪女呼ばわりされる私も言い分いっぱいあるんですのよー

嘉智子さまお付きの女童、明鏡です。薬子登場でなんだか不穏な予感…

空海に山岳修行教えた勤操ですぅ〜。時々奈良仏教の中間管理職としてぼやきます。桓武帝と戒明じいさんとの因縁ってなんやろな?


役行者六代子孫にして作中最もヤバいおっさんタツミ登場。わし空海のエグい修行生活のはじまりです。

新キャラ藤原葛野麻呂、空海を唐に連れて行く貴族です。私の顔は東寺の帝釈天像がモデルです。イケメンですよー。

兄貴、自分の息子の誕生祝いで不倫ばれてんじゃねーよ…って親父に対して正論で返してるし!義理の叔父、田村麻呂初登場。

by嵯峨帝

ふっふっふ。俺様は修験者の頭タツミ。真魚よ、よくぞ試練を乗り越えたな…っていつまでも妻の手握ってんじゃねえ!

若き日の坂上田村麻呂も絡む平安ミステリー、藤原種継暗殺事件の真相です。


最新話まで話を読んできた登場人物全員の心の声


「そりゃ祟られるわ!!」

実在した前の遣唐使僧、戒明です。史実上の真魚との接点は不明です。唐から偽経を持ち帰ったとして失脚してた私の名誉回復をしてくれたのは空海だから最初に出会った師として登場。

荒行の末に悟ったもの。仏性、すなわち人の心なり。善行も悪行もそれを行う人の心次第。

やっぱりわたくし、親王さまを好きになっていたのね。(浮気者だけれど)

多治比高子です。嵯峨帝側室として寵愛された理由はインテリだった設定。

あれ?「あの四重奏ドラマ」のエンディングシーンみたいなことしてない?

三行指帰現代語訳コント風、はじまりまじまり〜

何これ⁉︎空海の書いた話おもしれーじゃん!と吠えて宮女に叱られる神野。三教指帰は日本初の小説と呼ばれる。

空海、実家に帰る。真魚が一番可愛いお母さん。激烈お兄ちゃん、実家あるあるな心配するお父さん。

空海の実家をそのまま父親の名前にしたのはオヤジ、ありがとう…グスッ(泣)の気持ちやったんや。

後の法相宗のトップにして東日本に仏教を伝える男、徳一の本心。

高雄山寺プロレス回。奈良仏教の裏番長、実忠しれっと初登場。

やっと最澄登場。美坊主泰範のせいで既に不穏な比叡山寺。

ある意味最強キャラ、朝原内親王登場。

飛べない小鳥、から明鏡の出生の秘密編へ。

尚侍明信の罪は亡国の姫、明信の若き日の過ち。

「陽の下の露」冬嗣の長男、藤原長良誕生。ちなみに薬子と葛野麻呂の不倫関係は史実です。

「風が吹く」遣唐使に選ばれなかった空海に起こったありえへん奇跡。それにしても徳一口悪ぃな。

桓武帝が仏教勢力を叩いた理由は脱税摘発のため。しかし宗教法人を使った脱税って1200年経った今でもやってますなあ。

「受戒」どーもどーも、三論宗のアイドルにして空海の頭を剃った勤操ですぅー…ってじいさんどないしたー⁉︎

最初の師戒明との別れ。わし、行ってきます。

「船乗り星」朝廷も一目置く宗像氏の濃いマダム登場。

どうもー、空海を唐に送り最澄を唐から連れ帰ってながらも後世にほとんど知られていない葛野麻呂。ここでは準主役です。

徳政論争回。現実的にこれ以上の東国進出は無理だった。徳川家康の次に鷹狩り好きな歴史上の人物として有名な桓武天皇の最後の鷹狩り。

仙境天台山、思えばこのひと時が最澄の一番の幸福だったかもしれない。

「崩御と即位」皇帝陛下の崩御と新皇帝の即位に立ち会っちゃった俺って持ってる〜。からの、カネが無いから2年で逃げ帰れ命令。

「聖俗同船」帰国できなかった遣唐使もいるんですよ…葛野麻呂の最澄へのツンデレっぷりをお楽しみ下さい。

「密の罠」帰国した途端最澄に降り掛かる悪意。

平安京を開いた帝の最期。これから不穏な平城朝が始まるー

秀才、橘逸勢にトリプルの悲劇。留学生たちの寂しさを癒す楽の音。

恵果と戒明との邂逅から三十年。やっと後継者に出会えた恵果。

まるで唐密教の滅びを予測していたかのような恵果の発言。実際にそうなります。

「遍照金剛」かくして遍照金剛空海誕生。で、何で俺様がナレーション?

「柳枝の別れ」長安出立前夜に明かされる霊仙の正体。次回から日ノ本、平城朝編。

「平城朝」最後の薬子の表情は読者さんのご想像にお任せします。

「春宮神野」

宮中も 女子回なければ やってらんない

by明鏡 字余り

「天皇の侍医」官僚として、医師として苦労する弘世の人生が始まる。

「謀」とうとう粛清に向けて動きだした薬子。朝原内親王、神野に迫る毒殺の危機。

「比叡山夜話」最澄に迫る危機。平城帝の悪意。

「翡翠の数珠」空海のせいでまた逸勢がヒドい目に遭うお話。

「阿保の本音」父平城帝への不信感が募る阿保親王。後に彼と妻の伊都内親王から生まれたのが在原業平。

前半の薬子の兄、仲成が起こした暴行事件。これ史実です。後半の勤操の述懐は創作ですが。

「咎人空海」空海、やっと帰国。あの三姉妹再び登場。

「海辺のふたり」空海だけを都に帰さなかった藤原縄主の思惑とは。この時代、芋粥は極上スイーツ扱いでした。

「白雪」兄帝の危険性を思い出す神野。

「神泉苑行幸」策謀に満ちた宮中。筑紫で布教を始める空海に届いた悲報…

「藤原家の毒薬」いつの世も女の仕返しって陰湿なのよねえ。

「譲位」嵯峨天皇が即位した夜に明かされる伊予親王の死の真相。冬嗣の胸に去来するのは怒りか、諦めか。

「実ちて帰る」主人公2人がやっと初対面。次回から第3章「薬子」のはじまり。

わたくし藤原薬子が主役の章、「薬子」、開始ですわよ。空海阿闍梨、神野の坊やとの初謁見でいきなりド不敬発言。

「橘の系譜」女性天皇が女性の部下に姓を与えた女性が始祖の橘家。

明鏡、家族と再会し、そして母になる。

「背徳」性描写あり。そして、薬子は悪女になった。

「真言の灯」最澄さまの千利休感と人手不足の密教。ある事で滅多になくブチ切れる空海。

「宮女明鏡」嵯峨後宮ベビーラッシュ。身籠った明鏡がこれまでの人生を振り返る。

「阿修羅」、怒らせるとシャレにならないレベルで怖い空海のダークサイド。

「東国の勇者」アテルイ回前編。13000vs500で朝廷軍にに勝利した巢伏の戦いと田村麻呂との対話。

「王の器」アテルイと田村麻呂の物語、後編。胆沢制圧戦後のアテルイ、田村麻呂、桓武帝。

真の王の器は誰にある?

どぅもー、宮中のイケオジ葛野麻呂です。「負の遺産」、宮女同士のマウントバトルが怖ぇわ…

「征夷大将軍殿の憂鬱」田村麻呂、愛妻とのフルムーン旅→ヒリヒリするような駆け引き。

「小鳥立つ」明鏡、13年ぶりに父との対面で思い切った決断を告げる。そして運命の子は誕生した。

「火の継承」

この時代の年明けのお祭り、修二会。ググった結果検索トップがさだまさしの「修二会」だったので公式の自分がまさしに敗けて悔しい実忠。

「智泉の祈り」

嘉智子さまへのマタハラ案件、「皇子を産め」とのたまう橘家の兄君たちにブチギレる空海阿闍梨。

「豪奢なる遁甲」嵯峨天皇vs平城上皇最後の争いが万葉サーカスの歓声の中始まる。


この回から三人目の主人公、ソハヤ登場。

「私刑」

池波か!とツッコミ上等な回。法具を本来の目的(明王の武器)で使う空海。

「なるほど、これがお役所仕事か」by嵯峨天皇

「隘路」、暗殺者集団土蜘蛛vsタツミ率いる修験者たち。薬子の変クライマックス前編。

「火宅」一万字越えの大作です。嵯峨天皇vs平城上皇最後の戦い後編。


藤原薬子と語らう老婆の正体は…

「徒花散る」失脚がそのまま死に繋がる全然平安で無かった平安初期の、最後の政変。


勝ってもあまり嬉しくない戦いでしたね…


by田村麻呂

第3章「薬子」終わり。後ろ暗い取引をしてもカッコいい俺様であーる。


by修験者タツミ

第54代仁明天皇こと正良誕生でおめでたい事からはじまる弘仁元年。

「弘仁おじさん」と呼ばないで。

by藤原冬嗣

明けましておめでとうございます。嵯峨天皇の叔母にして宮中屈指の美魔女、酒人内親王です。ここぞとばかりに気合い入った命婦たちのファッションと空海vs朝原の新春disり合い回で御座います…

若い頃の実忠さまはやさぐれていたなあ。

この世でやるべきこともやったし…じゃあね!

by和気広世

嵯峨天皇の兄、良岑安世の恋人の真名井でございます。「九条にて」はさあ、これから庶民と渡来人たちが活躍する平安アンダーグラウンドな物語の幕開け。

空海in伊勢神宮。朝原内親王より託されたとんでもない密命。

エミシ最後の戦士、ソハヤの人生のはじまり。

前半、終了。

険しい高野の山道を抜けるとそこは…異文化レベルの集落だった。

「丹生一族」パツキン彫金師、ムラートです。今回は丹生一族と秦一族と高野山のお話。



奈良の大仏建立時の人に言えない過去。老いた僧ほど暗い秘密を抱えているものなのですよ。

by実忠

「集光」実は、この話で作者は話を終わらせるつもりだったのですが、取材で高野参りをし、そこの宿坊でご住職の説法を聞いた時に「物語のラストシーン」が頭に浮かびあと50話位書く事に。

「田口三千媛」今では虐待と言われる育てられ方をされたと思います。訳を聞かされて納得しても、無理に許さなくてもいいのよ。

「弘仁格式」100年ぶりの法改正にとりかかる嵯峨帝。謎の美僧、泰範の師に対する本音。

平城上皇が会いたかった東大寺の重鎮、実忠の昔語り。前編。光明皇后に仕えた日々。

「光の時代、後」実忠の過去の話。

後半は道鏡事件の真相。

遊女真名井の人生の転機。家族との再会と共に恋人との別れを覚悟する。

「軛」

丹生のシリン姫の花占い。「来る、来ない。来る、来ない…来たあー!」

「灌頂」

死んで生まれ変わりたい気持ちで空海に会いに行った泰範。

最澄はんの「泰範、行かないでくれ」

の熱烈な文が歴史的資料として残っておます。

by空海


ぐすっ、ぐすっ…生きながら生まれ変わる事って出来るんやな…


by泰範

「信源氏」日本史最初の源氏、源信です。あのね、四さいの時にお家(宮中)から出されて明鏡お母様と離されてしまったの。


信源氏物語のはじまりはじまり〜。

高野の麓、天野の里に帰ってきたムラートです。妹の結婚式がゾロアスター教通りの儀式だと⁉️


天野わっしょい物語をお楽しみに。

嵯峨帝と正妻高津内親王との離婚の真相に迫る「高津退場」後宮サスペンス回。

橘嘉智子、立后のお話。

「わたくし、覚悟を決めました」

「常の白珠」

延暦十五年四月(796年5月)、日の本初の公然セクハラ&パワハラの記録でございます。

by明信

あの時は恥ずかしい思いさせてごめんよ…まだ怒ってる?

ねえ明信、こっち向いて(焦)

by桓武帝

お二人とも、犬も喰わない痴話喧嘩を板上でやらないで下さいまし。

by葛野麻呂

「わし、とうとう最澄はんと絶交する覚悟決めました」

空海を本気でブチギレさせた最澄の言動。


そして、高野山開基に向けて動き始める弟子たち。

「高野」

私ムラート、生まれも育ちも高野山でございます。このお山の自然の洗礼に遭う実叡と泰範。

高野を舐めちゃあいけねえよ。


なぜか寅さん口調。

「時鳥」

小野篁初登場回。そして、現世での役目を果たした巫女との別れ。

「落花宴」

民を食わせるために働いた藤原、葛野麻呂の最期。日ノ本初の茶事と花見の宴の記録。



「拠り処」

天皇皇后だってもふもふふくふくで癒されたい。徳一、東国に進出宣言。

「橘秀才」

「弘法も筆の誤り、って肝心な時に大ポカをやらかすって事なんだね」

古今随一の芸術家となった逸勢、空海にツッコミを入れる。

「シリン都に行く」

はーい、私は高野山の麓天野の里に住む主婦シリン。夫に下された辞令で子供たち連れて平安京へお引越しですって⁉️ドギマギしちゃう!

…って魔法少女みたいなあらすじ紹介でいいのかしら?

「篁」

ちーっす、小野篁でーす。僕の風評「なんだかすげえ奴」みたいに言われてるけど、嵯峨帝に出会った頃は脳筋の野生児でしたよ。

「一隅を照らす」

最澄、最期のことば。戒壇認可を遅らせた嵯峨帝の真意。


そして、たそがれ空海。



「進士篁」

ちーっす!篁っす!それでは一句。


竹の子(篁)が ドラゴン桜(三教指帰)で サクラサク


物語の主人公空海阿闍梨から僕に交代っす!

白秋の章、「嵯峨野」のはじまり。淳和帝即位。遡って嵯峨帝による黄櫨染御袍プロデュース秘話。

「正子と正良」

嵯峨上皇と嘉智子お母様の息子、正良(後の仁明帝)です。十四で結婚したお嫁さんが可愛過ぎてキュートなハートにズキンドキン!です。

「祈雨(きう)」

元服した源信信です。空海阿闍梨による伝説の雨降らしの祈祷の裏に蠢く大人たちの陰謀に、

うわあああ…

皆さんお久しぶり。田村麻呂です。平安初期の貴族たちは麻呂麻呂っなくて武士武士ってたんですよ。


ごきげんよう、小野篁です。

(官吏になったのでパシリ口調はやめました)

今回は私のルーツとソハヤ、シルベに隠された秘密が明かされる回です。

「在るがまま」

平城上皇の第三王子、高岳親王です。今回は父の最期の想いと私の出家の物語。


◯ウケンシルバーのモデルになった私の人生の出発でしたねえ。

「哀しい哉」

このエピソード書くために作者、高野山にお参りに行き智泉の御廟(お墓)に手を合わせました。

「天長二年の旅立ち」

久しぶりの金髪仏師ムラートです。東寺の立体曼荼羅完成秘話。あの時の空海さんは某劇作家か!って位ダメ出しして来て参りましたよ…


そしてラスト主要人物、在原業平初登場。

「夫人たちの夏」嵯峨帝の側室、藤原緒夏です。後宮で生きる憂鬱と高子さまとの友情の回。


「頭の冬嗣」

今年の◯河はやり過ぎちまった私の愚孫どものいざこざですが一人ちゃんと遺言を守った奴がいたようです。

「心の中の明王」

篁と徳一の出会い。東国にて。

空海と最澄を支援した破天荒僧侶、勤操の最期。さよならだけが人生や。

喫茶去(きっさこ)は禅語で「ま、茶でも一服」の意味。人生最後の対面を惜しむ主人公二人。

「光明」全ての務めを終えた空海の眠り。次回から次世代編へ。

「流人篁」百人一首で有名な「わたの原」から始まる篁の反骨最骨頂行動と流人生活。


ちゃっかり現地妻作ってました。

「落日」

葛野麻呂の息子で遣唐大使、藤原常嗣サイドの最後の遣唐使節の行程。


支援者の張宝高は新羅の海将で外交官で大商人。

この回のゲストは唐代の大文人。

「円仁の旅・使命」

どうも、遣唐使団からバックれた不法滞在僧侶の円仁(最澄の弟子)です。私の9年以上に及ぶ旅はいきなりホラーな展開から始まります。

実質、最後の遣唐使である円仁の旅の後編。空海より託された三つの遺言は果たしたものの武宗による仏教弾圧を受ける苦難の復路。オカルトな場面あり。

「胡蝶」

「胡蝶の夢」になぞらえた常嗣の帰国後の辛い立場と責任を感じる篁。二人とも苦しんだんだ。

「観月」

嵯峨上皇が家族たちにそして遥か未来の子孫に向けて述べた言葉。

人生最後の観月の宴。



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