第54話 翡翠の数珠

文字数 5,760文字

具文珍よ。
なぜ躊躇っているのだ?
その毒の丸薬を我が口に押し込んで水を飲ませれば事は済む。
ふふふ…お前、この期に及んで畏れているのか?

また、し損じるのではないか、と。

父徳宗を毒殺したのも、毒酒を飲ませた宮女を口封じに殺したのも、即位した私に早々に毒を盛ったのも…
文珍、全部お前がやったのであろう?

そんなに私が憎いか?邪魔か?
そうだろうな。私は宦官から軍権を剝奪しようとしたのだからな。私は卒中でものがうまく言えなくなり口伝役のお前は「陛下の勅である」と言い置いて「自分の意志」を臣下たちに命じていたのだからな。

私は玉座の上でお前の傀儡を演じてやったよ。
皇帝という権威の盾の裏であるじの命を弄び、権力を(ほしいまま)にする。
宦官のやることは秦の趙高の頃から何も変わらぬな。

どうだ満足だったか?愉しかったか?

でも殺そうとするお前が脂汗を浮かべ怯え、殺されようとする私が早くやれ。と眼で合図しているだなんて…滑稽じゃないか。

具文珍よ。お前は一年もの間全ての真相を知る私に見られている事に耐えられなくなったのだろう?
逆にお前が哀れでならないよ。

さあ宦官具文珍よ、私を殺せ。

「陛下、お赦しください…」

と宦官具文珍は親指で主の口をこじ開けて毒の丸薬を押し込み、水晶の水差しで水を流し入れて主の口を塞いだ。

短い痙攣を何度かした後で彼の主がこと切れたのを確認するとその亡骸に拝跪し、天蓋から飛び出して大袈裟に泣き叫び

「上皇帝陛下ご崩御!」と触れ回った。

ああ、これでやっと自由になれる…

文珍よ。
上皇帝と宦官と立場は違えど私たちは

この肥大し切った大唐帝国の、王城の囚われびと同士だったのだ。

既に天意を失った国で生きていても何も面白くはない。さて、天意を追ってあの若き青龍の所へ行こうか…


「あーあ、暇だ暇だ。ほんと退屈で死ぬ」

と若者は呟き、手のひらで碁石を弄んで白黒の石を宙に放り投げた。彼はここ越州に滞在する日の本の留学生の中ではずば抜けて背が高く、顔の彫りが深いので、

「あなたは大陸の人の血を引いているのか?」
と唐人たちから幾度ともなく聞かれ、その度に
「倭国には帰化した渡来人が大勢いますからねえ、そうかもしれないし、そうでないかもしれない」
と深く切れ込んだ二重瞼を細めて微笑んで答えるのであった。

誰が誰の血を引いている。などとこだわっているのはその地位で飯を食う王侯貴族か、自分の心に拠り所の無い奴だけさ。
と肚の底では質問者を侮蔑しているのだが。

彼の名は伴雄堅魚(とものおかつお)
碁学生として空海と共に海を渡り、棋待詔(きたいしょう)(唐王朝公認の碁の官職)のもとで碁を修めた遣唐使である。

さて、彼が今もたれている壁の小窓から甘やかな男女の囁き声が洩れる。雄堅魚は窓からその様子を覗き込み、胡人の伎女と戯れている男の顔を見ると急にいたずら心が沸いてきて手のひらに乗せた白い碁石を指で弾き、それは見事に標的の後頭部に命中した。

「あ()っ!」という叫び声と共に男は頭を抑え、続いて哎呀(アイヤー)という伎女の呆れた声と衣擦れの音。室内はちょっとした騒ぎになっているようだ、と雄堅魚はほくそ笑んだ。

「このいたずら者が!お前のせいで女が逃げてしまったではないか!」
といたずらされた怒りと房事の最中を見られた恥ずかしさで顔を真っ赤にした橘逸勢が窓から手を伸ばして雄堅魚の胸ぐらを掴んだ。

「顔中に紅が付いていますよ」
と言われ逸勢は慌てて手の甲で顔を拭った。が、手の甲には何も付いていない。
「き・さ・ま~…」
とさらに怒りをたぎらせる逸勢に向かって雄堅魚はにやにや笑い、
「ねええ、逸勢さまもその色事の汗と女の匂いを落としに今から湯に入りに行きませんか?もちろん空海と一緒に、ね?」と温泉に誘うと「それはいいなあ」と逸勢は素直に肯いた。

時は元和元年(806年4月)、春。
唐の越州(現浙江省)は各地に温泉が湧き出ており役目を終えて長安から出立した遣唐判官・高階遠成(たかしなのとおなり)と帰りの遣唐使たち一行は越州の宿に滞在して任務と苦学の疲れを癒している。

…というのは聞こえがよいが、実際は任務から解放された遣唐使たち、

長安での任務を予定よりかなり早く切り上げた遣唐判官の滞在費用が余ったので、帰国して取り上げられる前に使ってしまおう!とその金で美酒美食、女を買って愉しみ、無料で温泉に浸かり放題という、開放的すぎる日々を送っていた。

金と暇を持て余した役人のする事は時代国籍を問わずいつも同じ。いう歴史の不文律をこの第18遣唐使団も実践していた。

そう、空いた時間があれば各寺を巡って僧たちに教えを乞い、最新の建築工学、地理学、医術などを寝る間も惜しんで学ぶ空海以外は。
唇まで湯に浸かった空海は今にもこの場で眠りこけそうな様子だった。

「まるで何者かに取り憑かれたみたいな猛勉強ぶりだな。空海は…長安では余裕の天才児だったのに
越州に来てからは定規とぶんまわし(コンパス)持って図面と睨めっこして苦学してるなんてなあ。なんかぶつぶつ言って鬼気迫った様子なんで怖くて声をかけづらかったんだぞ、空海」

「へえ、無事日の本に帰ったらさあ密教を布教しよう…といってもちゃんとした密教寺院も、曼荼羅も、八面六臂の仏像も、日の本にはあらへん。
ぜんぶぜーんぶわし一人で作り方覚えて職人たちに指図せなあかん、という事に長安を出る直前気づきましたんや…」

「へえー、それで(つち)(のみ)を持って木工職人たちに交じって見習いかい?って気づくの遅くないか!?長安じゃ今を時めく空海阿闍梨が、ねえ」

と雄堅魚が空海の頭に冷水で濡れた布を被せ、「坊主頭に似合うぞ!」と愉快そうに笑った。
「越州で全て吸収したい焦りは解るがしばしここで休んで、寝ろ。おまえこのままじゃ倒れる」
「冷たっ!でも気持ちよくて頭が冴えます…」
と岩風呂の淵にもたれて冷たい鉱泉を飲んで一息ついた空海は

「そういえば逸勢さまは胡人のおなごはんが好みだそうで」
といきなり逸勢に向き直った。

「な、なんなんだ急に!?」
「いいえ、国元に好きなおなごはんが居る。って聞いてたからてっきり逸勢さまは女買いをなさらないかと。
ふうん、へええ…」

こいつ、西明寺でのあの夜語りをいまここで言うか?
二人だけの秘密って口止めしたよな?

「何だよそのひがみっぽい口調は!お前越州に入ってから性格と口の悪さに拍車がかかったな」
別に、と空海は口をつぐんで湯でばしゃばしゃと顔を洗う。

「そうなのか?逸勢どの。ならば帰国早々その女人を娶らねばなあ」

と会話に口を挟んで来たのは遣唐判官でいちおう現時点での空海たちの上司にあたる高階遠成(たかしなのとおなり)
さっきまで妓女を左右に侍らせ、だらしなく笑って通訳におい酒持って来い!と命じていたが若者たちの話が耳に入って興味をそそられたのだ。

「…いえ、その女人は身分が高い家の姫でとても結婚なんて」
と逸勢は言葉を濁した。
まさか相手が親王様の寵姫で従妹の橘嘉智子だなんて…言える訳ないではないか!

「では、私の姪を添わせようではないか」
「は?」
「年はことし15で、気立ての良い娘である。あなたは帰国すれば橘氏を背負う身だ。そろそろ妻を持たねば、なあ?」
「そ、その前にまず無事に海を渡って帰国してからでして…あの、その…」
と口ごもる逸勢に

「い~い話じゃないですか~、逸勢どの。橘家と高階家との縁組は申し分ない」
と雄堅魚はにやけ顔で煽り、

「逸勢さま、ご婚約おめでとうございます」
と空海は満面の笑顔でとどめを差した。

「よし決まった!無事帰国したら橘家と高階家の縁組を帝にご報告申し上げよう」
と遠成がぽん!と手を打ち、話がまとまってしまった。

なんてことだ…温泉の中での会話の勢いで人生の一大事が決定してしまうなんて!

「それになあ逸勢さま」
と耳元で空海に囁かれた逸勢はつい振り返ってしまった。

「ご指摘のようにわし、憑りつかれてますねん」

と据えた目をした空海がふうっ、と学友の口の中に息を吹き付けた瞬間意識は消失し、逸勢はぶくぶくと湯の中に沈んでしまった。
「わ~、逸勢さま~!」
湯治場はしばらく騒然となった。


「湯あたりですな。気が頭に集ってのぼせてしまったのです。頭を冷やしてしばらく寝てれば治ります。ここの鉱泉は気付けにもよいからよく飲ませることです」

と言って往診の医者は帰って行った。

は、そのようにいたします。と頭を下げて見送る空海に雄堅魚は「俺は聞いてしまったぞ。憑りつかれてた、ってどういうことだ?空海、逸勢さまに何をしてくれたのだ」と詰め寄る。

「言葉の通り越州に入ってからのわしは『とある御方』に憑りつかれておりましてな…正直困っておりました。隙を見て逸勢さまの躰にその御魂を移したんでえろう体が楽になりましたわー」
と空海は清々しい顔してばきぼきっと首や肩を鳴らした。

「ならお前が身に付けた密教の秘法とやらで調伏できなかったのか?密教の後継者のくせに」
と呆れた雄堅魚に問われた空海は、
「それはいつでも出来たんやけどね、相手が調伏していいものか?ってくらい偉い御方なもんで。雄堅魚はん、いまからこの部屋に誰も入れんように戸に(かんぬき)をかけて下さりませ」

調伏するのをためらう大物って?

と訝しく思いながら雄堅魚は言われるままに扉に棒を通して閂をかけた。すでに空海は逸勢が横たわる卓の傍で香炉の炭に火を起こしその上にぱらぱらと護摩をかけて即席の修法を始めている。

空海は翡翠の数珠を握り締め、数珠の中の両手で次々と印を変え真言を唱え始める。

程なく、気を失って呼吸をしていただけの逸勢が急に苦悶の表情を浮かべてぶつぶつ言い出した。

「さあ、いい加減出て来てわしらに付いてきたわけお話になって下さい…

順宗上皇帝陛下!」

と逸勢の鼻先で空海が鋭く叫ぶと逸勢は、いや、彼の体に封じ込まれた順宗上皇帝が上半身を起こして目を見開き、

「いかにも」と朗々とした声で答えたのである。

「なぜ王城を離れ我々小国日本の遣唐使たちについていらっしゃったのです?陛下」

「もう死した身だから李誦(りしょう)と諱で呼んでくれ。空海…お前が謁見に来た時、おまえらの故国日本に行ってみたくなったから下賜した数珠に本気の魂込めをしたのだ」

「世界一偉大な大唐帝国とご子息の憲宗皇帝を捨てて?言っちゃなんですが日の本は小国でほんっと何にもない国ですよ。李誦さまを満足させるものは」

「それは違う」と順宗は空海の言葉を遮った。

「日本国には唐より優れたるものあり」

「何でっか?」

「人だよ。たった半年の修行で国師恵果から密教の全てを伝授された空海、私の御前で対局してわざと師に敗れて面子を保ったそこな碁師、伴雄堅魚、そして…いま私が入っている橘秀才の芸術的才能。
かように優れた才能を持ちながら驕らず、威張らずそれでも謙虚に学び続ける人々を育んだ日本とは何なのだ?行ってみたいと思うのが当然だろうが」

「やはり付いてくるつもりでっか…」
空海はじんわりと痛むこめかみを押さえた。

「それに、ここだけの話ではあるが」

「何でっか?」

「天意、既に唐を離れ西の小国に移れり。
とある占術師が言うた。もう20年も前の話だ…神獣鳳凰が李家を見捨てて倭国に飛び去ったのだ。
解るか?もう国土だけ肥大し切った大唐帝国は辺境にまで治世が行き届かず、地方の農民の不満の声も力で抑えつけるだけ。そんな国に未来なんかあるのか?空海。

それは宦官に毒を飲まされ殺された我が身を鑑みれば分かる事…」

「やはりそうでしたか」と生前に謁見した時の順宗上皇帝の黒ずんだお顔と結構離れた位置なのに順宗の体から漂う体臭を嗅ぎ取って…
何と言う事だ!
至尊の身であらせられる皇帝陛下が、日々の膳に毒を盛られているとは。
と既に李家を浸蝕している宦官たちの専横と、近い将来の唐王朝の滅亡を
ひしと肌身に感じたのだ。

おいたわしや李誦さま。

と空海はひとりでに熱を帯びる翡翠の数珠を握り締め、

「この世で一番不自由な御方は、国の頂に立つ高貴な御方なのですね…」

と涙を浮かべた。
「そう、その不自由な御方の事なのだが」とそこで順宗は言葉を切り、真剣な目で空海を見つめてこれからの大事を告げた。

「天意を背負った若い王が日本でお前を待っている。青龍空海よ、鳳凰を肩に乗せたその聖太子を助けるのがお前のさだめ。迎えの船が来たらとくと帰れ。そして若い王を支えよ」
と順宗は空海の肩を叩いてから笑みを浮かべ、すうっと逸勢の体から抜けて行った。

途端に逸勢の体が仰向けに倒れ、う、うーんと言う唸り声はまさしく逸勢のものだった。

「…気が付かれましたか?逸勢さま」
「ああ、ずっと雲の上を踏んでいるような心地だったよ…他人に自分の体をいいようにされるのはあまりいい気分じゃないな」
と、そこまで言った逸勢はせり上がる猛烈な吐き気に耐えきれず、大量の胃液を床にまき散らした。

「…雄堅魚どの、桶と鉱泉の入った水差しと、替えの衣を」
と頭から吐瀉物を浴びた空海はつとめて平静な口調で雄堅魚に指示した。

空海が気持ち悪いくらい穏やかな時は、怒っている時である。
と出航から二年近くの付き合いで空海の人となりが解っている雄堅魚はあ、ああ…と閂を外して外に出、湯屋に勤める唐人から桶と水差しを受け取りながらも

絶対秘密とされている密教の修法と、順宗皇帝と空海の対話だなんて…

俺はとんでもない光景を見てしまったのではないか?

と首をひねったが、
政治にも仏教にも関係のない碁師の自分に見られても空海にとっては些少ごとにもならぬか。と思い直した。

しかし、逸勢の吐いた物をまともに浴びた空海の顔ったら…

俺は溜飲が下がったぞ!

と後で誰にも見られぬところで雄堅魚は笑い転げた。

それから4ヶ月後、迎えの船の到着の報せを受け明州に渡り、いよいよ帰りの船に乗り込もうとする時、代表の高階遠成が

「ほれ、越州の温泉で逸勢が倒れたであろう?その翌朝からなんだか肩が重くてなあ、鍼療治を受けたがまだ治ってないらしい…」
と言って肩を鳴らしたので空海と逸勢と雄堅魚は、

やっぱり李誦さま付いて来る気だぞ!

とつい笑いそうになる顔を見合わせて船に乗り、故国に向けて出航した。



若い人たちよ、
これまでの国で学び取った知識と経験をこれからの国でどう活かすのか、
楽しみでならぬ、のう…

唐13代皇帝順宗より賜った翡翠の数珠を、
空海は生涯袖の中で握り締め、入滅の時まで手放すことは無かった。






















































ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

空海、本名は佐伯真魚。香川県善通寺市出身の裕福な豪族のせがれ。学業優秀で長岡京の大学寮に入るが、そこで遭った悲劇が彼を仏門に向かわせる。

嵯峨天皇(神野親王)桓武天皇の第二皇子。

問題だらけの平安京に真の平安をもたらす名君。空海とは生涯の友になる。欠点、浮気性でパリピ。

橘嘉智子

嵯峨天皇に最も愛され、橘氏出身の唯一の皇后となる。仏教への傾倒は人生から逃げる術。

私は和気清麻呂。「これから起こる悪い事全部怨霊のせいにしちゃいましょう」と御霊信仰の悪知恵吹き込みました。

本音?桓武帝が起こした人災だろーが。

藤原薬子です。後に悪女呼ばわりされる私も言い分いっぱいあるんですのよー

嘉智子さまお付きの女童、明鏡です。薬子登場でなんだか不穏な予感…

空海に山岳修行教えた勤操ですぅ〜。時々奈良仏教の中間管理職としてぼやきます。桓武帝と戒明じいさんとの因縁ってなんやろな?


役行者六代子孫にして作中最もヤバいおっさんタツミ登場。わし空海のエグい修行生活のはじまりです。

新キャラ藤原葛野麻呂、空海を唐に連れて行く貴族です。私の顔は東寺の帝釈天像がモデルです。イケメンですよー。

兄貴、自分の息子の誕生祝いで不倫ばれてんじゃねーよ…って親父に対して正論で返してるし!義理の叔父、田村麻呂初登場。

by嵯峨帝

ふっふっふ。俺様は修験者の頭タツミ。真魚よ、よくぞ試練を乗り越えたな…っていつまでも妻の手握ってんじゃねえ!

若き日の坂上田村麻呂も絡む平安ミステリー、藤原種継暗殺事件の真相です。


最新話まで話を読んできた登場人物全員の心の声


「そりゃ祟られるわ!!」

実在した前の遣唐使僧、戒明です。史実上の真魚との接点は不明です。唐から偽経を持ち帰ったとして失脚してた私の名誉回復をしてくれたのは空海だから最初に出会った師として登場。

荒行の末に悟ったもの。仏性、すなわち人の心なり。善行も悪行もそれを行う人の心次第。

やっぱりわたくし、親王さまを好きになっていたのね。(浮気者だけれど)

多治比高子です。嵯峨帝側室として寵愛された理由はインテリだった設定。

あれ?「あの四重奏ドラマ」のエンディングシーンみたいなことしてない?

三行指帰現代語訳コント風、はじまりまじまり〜

何これ⁉︎空海の書いた話おもしれーじゃん!と吠えて宮女に叱られる神野。三教指帰は日本初の小説と呼ばれる。

空海、実家に帰る。真魚が一番可愛いお母さん。激烈お兄ちゃん、実家あるあるな心配するお父さん。

空海の実家をそのまま父親の名前にしたのはオヤジ、ありがとう…グスッ(泣)の気持ちやったんや。

後の法相宗のトップにして東日本に仏教を伝える男、徳一の本心。

高雄山寺プロレス回。奈良仏教の裏番長、実忠しれっと初登場。

やっと最澄登場。美坊主泰範のせいで既に不穏な比叡山寺。

ある意味最強キャラ、朝原内親王登場。

飛べない小鳥、から明鏡の出生の秘密編へ。

尚侍明信の罪は亡国の姫、明信の若き日の過ち。

「陽の下の露」冬嗣の長男、藤原長良誕生。ちなみに薬子と葛野麻呂の不倫関係は史実です。

「風が吹く」遣唐使に選ばれなかった空海に起こったありえへん奇跡。それにしても徳一口悪ぃな。

桓武帝が仏教勢力を叩いた理由は脱税摘発のため。しかし宗教法人を使った脱税って1200年経った今でもやってますなあ。

「受戒」どーもどーも、三論宗のアイドルにして空海の頭を剃った勤操ですぅー…ってじいさんどないしたー⁉︎

最初の師戒明との別れ。わし、行ってきます。

「船乗り星」朝廷も一目置く宗像氏の濃いマダム登場。

どうもー、空海を唐に送り最澄を唐から連れ帰ってながらも後世にほとんど知られていない葛野麻呂。ここでは準主役です。

徳政論争回。現実的にこれ以上の東国進出は無理だった。徳川家康の次に鷹狩り好きな歴史上の人物として有名な桓武天皇の最後の鷹狩り。

仙境天台山、思えばこのひと時が最澄の一番の幸福だったかもしれない。

「崩御と即位」皇帝陛下の崩御と新皇帝の即位に立ち会っちゃった俺って持ってる〜。からの、カネが無いから2年で逃げ帰れ命令。

「聖俗同船」帰国できなかった遣唐使もいるんですよ…葛野麻呂の最澄へのツンデレっぷりをお楽しみ下さい。

「密の罠」帰国した途端最澄に降り掛かる悪意。

平安京を開いた帝の最期。これから不穏な平城朝が始まるー

秀才、橘逸勢にトリプルの悲劇。留学生たちの寂しさを癒す楽の音。

恵果と戒明との邂逅から三十年。やっと後継者に出会えた恵果。

まるで唐密教の滅びを予測していたかのような恵果の発言。実際にそうなります。

「遍照金剛」かくして遍照金剛空海誕生。で、何で俺様がナレーション?

「柳枝の別れ」長安出立前夜に明かされる霊仙の正体。次回から日ノ本、平城朝編。

「平城朝」最後の薬子の表情は読者さんのご想像にお任せします。

「春宮神野」

宮中も 女子回なければ やってらんない

by明鏡 字余り

「天皇の侍医」官僚として、医師として苦労する弘世の人生が始まる。

「謀」とうとう粛清に向けて動きだした薬子。朝原内親王、神野に迫る毒殺の危機。

「比叡山夜話」最澄に迫る危機。平城帝の悪意。

「翡翠の数珠」空海のせいでまた逸勢がヒドい目に遭うお話。

「阿保の本音」父平城帝への不信感が募る阿保親王。後に彼と妻の伊都内親王から生まれたのが在原業平。

前半の薬子の兄、仲成が起こした暴行事件。これ史実です。後半の勤操の述懐は創作ですが。

「咎人空海」空海、やっと帰国。あの三姉妹再び登場。

「海辺のふたり」空海だけを都に帰さなかった藤原縄主の思惑とは。この時代、芋粥は極上スイーツ扱いでした。

「白雪」兄帝の危険性を思い出す神野。

「神泉苑行幸」策謀に満ちた宮中。筑紫で布教を始める空海に届いた悲報…

「藤原家の毒薬」いつの世も女の仕返しって陰湿なのよねえ。

「譲位」嵯峨天皇が即位した夜に明かされる伊予親王の死の真相。冬嗣の胸に去来するのは怒りか、諦めか。

「実ちて帰る」主人公2人がやっと初対面。次回から第3章「薬子」のはじまり。

わたくし藤原薬子が主役の章、「薬子」、開始ですわよ。空海阿闍梨、神野の坊やとの初謁見でいきなりド不敬発言。

「橘の系譜」女性天皇が女性の部下に姓を与えた女性が始祖の橘家。

明鏡、家族と再会し、そして母になる。

「背徳」性描写あり。そして、薬子は悪女になった。

「真言の灯」最澄さまの千利休感と人手不足の密教。ある事で滅多になくブチ切れる空海。

「宮女明鏡」嵯峨後宮ベビーラッシュ。身籠った明鏡がこれまでの人生を振り返る。

「阿修羅」、怒らせるとシャレにならないレベルで怖い空海のダークサイド。

「東国の勇者」アテルイ回前編。13000vs500で朝廷軍にに勝利した巢伏の戦いと田村麻呂との対話。

「王の器」アテルイと田村麻呂の物語、後編。胆沢制圧戦後のアテルイ、田村麻呂、桓武帝。

真の王の器は誰にある?

どぅもー、宮中のイケオジ葛野麻呂です。「負の遺産」、宮女同士のマウントバトルが怖ぇわ…

「征夷大将軍殿の憂鬱」田村麻呂、愛妻とのフルムーン旅→ヒリヒリするような駆け引き。

「小鳥立つ」明鏡、13年ぶりに父との対面で思い切った決断を告げる。そして運命の子は誕生した。

「火の継承」

この時代の年明けのお祭り、修二会。ググった結果検索トップがさだまさしの「修二会」だったので公式の自分がまさしに敗けて悔しい実忠。

「智泉の祈り」

嘉智子さまへのマタハラ案件、「皇子を産め」とのたまう橘家の兄君たちにブチギレる空海阿闍梨。

「豪奢なる遁甲」嵯峨天皇vs平城上皇最後の争いが万葉サーカスの歓声の中始まる。


この回から三人目の主人公、ソハヤ登場。

「私刑」

池波か!とツッコミ上等な回。法具を本来の目的(明王の武器)で使う空海。

「なるほど、これがお役所仕事か」by嵯峨天皇

「隘路」、暗殺者集団土蜘蛛vsタツミ率いる修験者たち。薬子の変クライマックス前編。

「火宅」一万字越えの大作です。嵯峨天皇vs平城上皇最後の戦い後編。


藤原薬子と語らう老婆の正体は…

「徒花散る」失脚がそのまま死に繋がる全然平安で無かった平安初期の、最後の政変。


勝ってもあまり嬉しくない戦いでしたね…


by田村麻呂

第3章「薬子」終わり。後ろ暗い取引をしてもカッコいい俺様であーる。


by修験者タツミ

第54代仁明天皇こと正良誕生でおめでたい事からはじまる弘仁元年。

「弘仁おじさん」と呼ばないで。

by藤原冬嗣

明けましておめでとうございます。嵯峨天皇の叔母にして宮中屈指の美魔女、酒人内親王です。ここぞとばかりに気合い入った命婦たちのファッションと空海vs朝原の新春disり合い回で御座います…

若い頃の実忠さまはやさぐれていたなあ。

この世でやるべきこともやったし…じゃあね!

by和気広世

嵯峨天皇の兄、良岑安世の恋人の真名井でございます。「九条にて」はさあ、これから庶民と渡来人たちが活躍する平安アンダーグラウンドな物語の幕開け。

空海in伊勢神宮。朝原内親王より託されたとんでもない密命。

エミシ最後の戦士、ソハヤの人生のはじまり。

前半、終了。

険しい高野の山道を抜けるとそこは…異文化レベルの集落だった。

「丹生一族」パツキン彫金師、ムラートです。今回は丹生一族と秦一族と高野山のお話。



奈良の大仏建立時の人に言えない過去。老いた僧ほど暗い秘密を抱えているものなのですよ。

by実忠

「集光」実は、この話で作者は話を終わらせるつもりだったのですが、取材で高野参りをし、そこの宿坊でご住職の説法を聞いた時に「物語のラストシーン」が頭に浮かびあと50話位書く事に。

「田口三千媛」今では虐待と言われる育てられ方をされたと思います。訳を聞かされて納得しても、無理に許さなくてもいいのよ。

「弘仁格式」100年ぶりの法改正にとりかかる嵯峨帝。謎の美僧、泰範の師に対する本音。

平城上皇が会いたかった東大寺の重鎮、実忠の昔語り。前編。光明皇后に仕えた日々。

「光の時代、後」実忠の過去の話。

後半は道鏡事件の真相。

遊女真名井の人生の転機。家族との再会と共に恋人との別れを覚悟する。

「軛」

丹生のシリン姫の花占い。「来る、来ない。来る、来ない…来たあー!」

「灌頂」

死んで生まれ変わりたい気持ちで空海に会いに行った泰範。

最澄はんの「泰範、行かないでくれ」

の熱烈な文が歴史的資料として残っておます。

by空海


ぐすっ、ぐすっ…生きながら生まれ変わる事って出来るんやな…


by泰範

「信源氏」日本史最初の源氏、源信です。あのね、四さいの時にお家(宮中)から出されて明鏡お母様と離されてしまったの。


信源氏物語のはじまりはじまり〜。

高野の麓、天野の里に帰ってきたムラートです。妹の結婚式がゾロアスター教通りの儀式だと⁉️


天野わっしょい物語をお楽しみに。

嵯峨帝と正妻高津内親王との離婚の真相に迫る「高津退場」後宮サスペンス回。

橘嘉智子、立后のお話。

「わたくし、覚悟を決めました」

「常の白珠」

延暦十五年四月(796年5月)、日の本初の公然セクハラ&パワハラの記録でございます。

by明信

あの時は恥ずかしい思いさせてごめんよ…まだ怒ってる?

ねえ明信、こっち向いて(焦)

by桓武帝

お二人とも、犬も喰わない痴話喧嘩を板上でやらないで下さいまし。

by葛野麻呂

「わし、とうとう最澄はんと絶交する覚悟決めました」

空海を本気でブチギレさせた最澄の言動。


そして、高野山開基に向けて動き始める弟子たち。

「高野」

私ムラート、生まれも育ちも高野山でございます。このお山の自然の洗礼に遭う実叡と泰範。

高野を舐めちゃあいけねえよ。


なぜか寅さん口調。

「時鳥」

小野篁初登場回。そして、現世での役目を果たした巫女との別れ。

「落花宴」

民を食わせるために働いた藤原、葛野麻呂の最期。日ノ本初の茶事と花見の宴の記録。



「拠り処」

天皇皇后だってもふもふふくふくで癒されたい。徳一、東国に進出宣言。

「橘秀才」

「弘法も筆の誤り、って肝心な時に大ポカをやらかすって事なんだね」

古今随一の芸術家となった逸勢、空海にツッコミを入れる。

「シリン都に行く」

はーい、私は高野山の麓天野の里に住む主婦シリン。夫に下された辞令で子供たち連れて平安京へお引越しですって⁉️ドギマギしちゃう!

…って魔法少女みたいなあらすじ紹介でいいのかしら?

「篁」

ちーっす、小野篁でーす。僕の風評「なんだかすげえ奴」みたいに言われてるけど、嵯峨帝に出会った頃は脳筋の野生児でしたよ。

「一隅を照らす」

最澄、最期のことば。戒壇認可を遅らせた嵯峨帝の真意。


そして、たそがれ空海。



「進士篁」

ちーっす!篁っす!それでは一句。


竹の子(篁)が ドラゴン桜(三教指帰)で サクラサク


物語の主人公空海阿闍梨から僕に交代っす!

白秋の章、「嵯峨野」のはじまり。淳和帝即位。遡って嵯峨帝による黄櫨染御袍プロデュース秘話。

「正子と正良」

嵯峨上皇と嘉智子お母様の息子、正良(後の仁明帝)です。十四で結婚したお嫁さんが可愛過ぎてキュートなハートにズキンドキン!です。

「祈雨(きう)」

元服した源信信です。空海阿闍梨による伝説の雨降らしの祈祷の裏に蠢く大人たちの陰謀に、

うわあああ…

皆さんお久しぶり。田村麻呂です。平安初期の貴族たちは麻呂麻呂っなくて武士武士ってたんですよ。


ごきげんよう、小野篁です。

(官吏になったのでパシリ口調はやめました)

今回は私のルーツとソハヤ、シルベに隠された秘密が明かされる回です。

「在るがまま」

平城上皇の第三王子、高岳親王です。今回は父の最期の想いと私の出家の物語。


◯ウケンシルバーのモデルになった私の人生の出発でしたねえ。

「哀しい哉」

このエピソード書くために作者、高野山にお参りに行き智泉の御廟(お墓)に手を合わせました。

「天長二年の旅立ち」

久しぶりの金髪仏師ムラートです。東寺の立体曼荼羅完成秘話。あの時の空海さんは某劇作家か!って位ダメ出しして来て参りましたよ…


そしてラスト主要人物、在原業平初登場。

「夫人たちの夏」嵯峨帝の側室、藤原緒夏です。後宮で生きる憂鬱と高子さまとの友情の回。


「頭の冬嗣」

今年の◯河はやり過ぎちまった私の愚孫どものいざこざですが一人ちゃんと遺言を守った奴がいたようです。

「心の中の明王」

篁と徳一の出会い。東国にて。

空海と最澄を支援した破天荒僧侶、勤操の最期。さよならだけが人生や。

喫茶去(きっさこ)は禅語で「ま、茶でも一服」の意味。人生最後の対面を惜しむ主人公二人。

「光明」全ての務めを終えた空海の眠り。次回から次世代編へ。

「流人篁」百人一首で有名な「わたの原」から始まる篁の反骨最骨頂行動と流人生活。


ちゃっかり現地妻作ってました。

「落日」

葛野麻呂の息子で遣唐大使、藤原常嗣サイドの最後の遣唐使節の行程。


支援者の張宝高は新羅の海将で外交官で大商人。

この回のゲストは唐代の大文人。

「円仁の旅・使命」

どうも、遣唐使団からバックれた不法滞在僧侶の円仁(最澄の弟子)です。私の9年以上に及ぶ旅はいきなりホラーな展開から始まります。

実質、最後の遣唐使である円仁の旅の後編。空海より託された三つの遺言は果たしたものの武宗による仏教弾圧を受ける苦難の復路。オカルトな場面あり。

「胡蝶」

「胡蝶の夢」になぞらえた常嗣の帰国後の辛い立場と責任を感じる篁。二人とも苦しんだんだ。

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み