第77話 智泉の祈り

文字数 6,049文字

それは、天啓というものだったのかもしれない。

と後になって智泉は思うのだった。

高雄山寺から持って来た法具を持ち、燃え盛る炎を前に真言を唱えて加持祈祷に没入している時、ふと智泉の脳裏に、

サマンタ・バドラ

と梵語で書かれた空海による横書きの文字がまぶたの裏に現れたのだ。その事を修二会の儀式を終えて心配して奈良から駆け付けて様子を見に来てくれた空海に相談すると、

「サマンタ・バドラとは天竺での普賢菩薩(ふげんぼさつ)の呼び名。それは、普賢菩薩が夫人さまに子をお授けになるという暗示かもしれん…智泉、お前は澄んだ祈りの心で普賢菩薩の像を自ら彫り、完成させるのだ」

と助言を与えて菩薩像を彫るための良木を与えると、

「本気の加持祈祷を満行させるために大切なことはただ一つ、自分の祈りを一切疑わないことや。その為には体を損ねてはいけない。お前は集中し過ぎて寝食を忘れる悪い癖があるからな、気を付けろ」

と忠告した途端に、

しまった、若い頃のわしもそうだったやないかい。

虚空蔵求問持法(こくぞうぐもんじほう)という究極の荒行を行う自分をずうっと見ていた相手に向かって説教している自分の。

どの口が言うてんねん。

と思うと急に恥ずかしくなって甥っ子からつ、と目を反らした。

「と、とにかく心身を保ちながらなさい。わしは夫人さまのご様子を見に伺うから…」

とそそくさと立ち上がり、お堂から出て来た空海に吉清(よしきよ)氏人(うじひと)弟氏(おとうじ)氏公(うじきみ)ら嘉智子の兄である橘四兄弟はわっ!と空海を囲み、

「決して智泉阿闍梨を疑うわけではありませんが」
といきなり祈祷を依頼した相手に失礼な前置きをしてから、

「堂内に籠ってもう10日余り、何かご霊験でもありましたでしょうか?」

「本当に密教の呪術というものは効くのだろうか?」

「妹が懐妊しなかったらどうするつもりなのだね?」

と半ばすがり付くような半ば威圧するような態度と口調で尋ねてくる。

ああ、お上から棒録を貰っているだけで家で鬱々としながら暮らしている貴族の男たちとは、

こんなもんかいな。

と空海は依存心の塊になりきっている貴族の男たちに心底呆れ果てた。

ご自分で働いて家族を養っていらっしゃる逸勢さまや、帝の御近くに仕える藤原の三守さまや冬嗣さまとはえらい違いや。

いやいや、この方々も本当は機会が無いだけで宮中にお仕えするようになればそれなりに能力を発揮なさるのかもしれない。

「先ほど普賢菩薩から御子を授かる。という有難い暗示をいただきました。ついては智泉に自ら菩薩像を彫らせる事で願いを果たせましょう…」

と空海が合掌すると「但し」と顔を上げて、
智泉を橘家の男たちから離して自由に祈祷させるべし。「そうしなければ満行叶わず」と念を押して無理矢理了承させた。

密教僧のつとめとは、ただ祈ること。

初めて本格的な加持祈祷を行う智泉を、せめて橘家の男たちの妄執の念から引き離してやりたい。という親心からくるものだった。

どんな手を使ってでも己の立身出世を願う、という貴族たちの濁った望みは智泉のつとめを邪魔するだけ。

しかしまあ、
世俗には祈りと妄執を履き違えて神仏に向かう人々がぎょうさんぎょうさんいてまんなあ…

と空海は重い荷物を肩から下ろすようなため息をしてから橘家を後にした。


夜明け前にはいつも隣で泣く赤子たちのふえ、ふえぇ…と泣く声で明鏡は短い眠りから目覚める。

「…はいはい、いかがなされましたか?」

と明鏡は眠たくて閉じてしまいそうになる目をこすってまずは皇女正子と我が子である信皇子の産着の裾をめくっておむつが濡れていないのを確かると、右のお乳を正子に含ませ、次に左のお乳を信に含ませた。

橘嘉智子が空海の弟子智泉に

次に生まれてくる子は必ず皇子であるように。

と必死の子授け祈祷を依頼してからひと月近く経った日の朝のことである。

赤子の泣き声で目覚めた嘉智子は、
明鏡が夜着をはだけて大きく張った両乳房を露わにし、右のお乳で正子に、左のお乳で信にお乳を遣るその姿を見て、
「そんなに無理しなくていいのに…」と後ろめたい気持ちで言葉をかけた。

生まれた子供が皇女だったことに落胆した実家の兄たちの重圧による気苦労でお乳が止まってしまった事で嘉智子は乳母の明鏡に負担をかけている自分を不甲斐ない、と嘉智子は思っていた。

そんな主人にあはっ、と寝不足の顔で明鏡は笑いかけ、
「一度のお産で双子が生まれる事もあります。女にお乳が二つあるのはこのためかもしれませんわねっ!…乳母としての当然の務めなのですから夫人さまは少しもお気になさらないで下さい、ね?」

とあっけらかんと言い切り、赤子たちの強い吸い付きにい、痛っ!と悲鳴を上げる様は自然と嘉智子の笑みを誘った。

やがてお腹を満たした正子が乳から口を離すと我が子の小さな体を嘉智子が抱き取り、眠るまで腕の中であやし続ける。御簾の向こうでは起き出した雀たちがぴちち、と羽ばたく。
それが嘉智子の母としての一番の幸せのひとときであった。

やがて給仕の侍女たちが朝の膳を運び入れ、お椀の蓋を開けた瞬間的、粥の匂いで嘉智子は吐き気をもよおした。

「ま、まさか嘉智子さま?」

お産からこんなにも早く?と明鏡は思ったが薬師を呼んで診てもらった結果…

「嘉智子、嘉智子はいずこにおるか!?」

と朝議を終えていそいそと廊下を早歩きさなさる嵯峨帝は嘉智子の姿を見るなり駆け寄り、

「そう、そう…なのか?」
「はい…」
と笑顔で目を見合わせた。

「でかした」と嵯峨帝は嘉智子をひし、と抱き寄せた。

橘の夫人第二子懐妊の報は実家である橘家にも届き、嘉智子の兄たちは、

「やはり密教の祈祷というのは効くものだなあ。もう御子を授かったのだからいいのではないか?」

と空海を呼び寄せて智泉に祈祷を止めさせていいものか相談すると、

「いいえ、智泉は皇子さまご誕生の報を聞くまで祈祷をやめません。
密教僧とは在家の者達の祈りや罪業を肩代わりして神仏と命懸けで渡り合う役割を担っているのです」

「し、しかしご誕生まで何ヵ月も智泉の世話する身にもなってみろ、勿体ないではないか?」

と言う三男弟氏の言葉に
「何が勿体ないのですか!?」と空海は思いきりよく両眉を跳ね上げ声に弟氏に食って掛かった。

「わしら密教僧は結願成らなかったら、はどとは最初(はな)っから考えず決死の覚悟で祈り続ける者たちなのですっ!

名族橘家の皆様に失礼を承知で申し上げますが、
あなた様方がご誕生を願っていらっしゃる皇子さまとは、将来天皇になるお方のを差してのことではありまへんか?」

そ、それはそうだが…と口ごもる相手に空海はさらに語気を強めて言った。

「ならば、なぜあなた方は真剣に祈らないのか?

我ら密教僧を薬師や陰陽師の如く気安く呼び付け、妹が皇女を産んだのが気に入らないから皇子を産み直させろ。と謝礼だけ払って祈祷を代行させればそれで済む、とお思いだったのですか!?

勿体ないから祈祷をやめさせる、やて?
ならば、ご出産までの夫人さまの無事をあなた達は願わないのか?

(ぬる)い、温すぎる。

橘家から将来の天皇を出す。
という事の重要性を考えていないのは…あなた達やないですかっ!」

予想だにしなかった空海からの厳しい叱責に橘家の男達は、

没落状態だった家の再興も天皇の外戚になって出世するという自分たちの野心を、

後宮に入れた妹ひとりに託してすっかり頼りきりになってしまっていた事を…改めて空海に指摘されて初めて深く、己を恥じた。

「愚かなことを聞いて済まなかった…空海。我々実家の者たちは妹を助けるために今後どのようにすればよいのだ?」

と申し出たのは三男の氏公だった。

どうやら橘家で話が解るのはこのお方だけらしい。

と空海は見定め、それならば、と氏公に向き直って、

「智泉や夫人さまに頼りきるのではなく、橘のお家の方々総出で余計なこと考えず、ただ夫人さまの健康と皇子ご誕生を、祈るのです」

と般若心経と真言が書かれた短い在家向けのお経と百八つの珠が連なる数珠を人数分渡してから皇子誕生の結願(けちがん)まで朝晩手を合わせ勤行するよう指示すると、

今度こそほんまに心を入れ替えて欲しい…と願いながら橘家を辞した後、思うところあって興福寺の徳一和尚宛に文をしたため、「なるべく早くな」と使いの者に念を押して奈良に送らせた。

さて、ここ山城国相良郡にある報恩院の堂内では手書きの普賢菩薩の絵姿と、空海から送られてきた人の背丈以上もある丸太を前に首をひねって座り込む智泉の姿があった。

普賢菩薩は人の子を喰らう悪鬼だった鬼子母神を改心させ眷属にした唯一女人を助ける仏である。
そのお姿を彫り起こせば必ずや夫人さまのお助けになる。

という叔父空海の助言で実果阿闍梨の掛軸を元に自ら普賢菩薩像を描き起こしては見たものの…仏像を彫った事もない智泉にとってはまず何処から手を付けていいのか分からない至難の技であった。

皮を削った木肌に墨で菩薩の姿を描いて(のみ)を入れようとするものの…なかなかこれが出来ない。

「なんだなんだ、随分手こずっているようだな」

と背後から声がしたので智泉が振り返ると三十過ぎくらいの痩せて色白の男が智泉を品定めするかのようにじっ、と見つめている。

黒烏帽子に真っ白な直垂姿のその男はずかずかと堂内に入るなり智泉が描いた普賢菩薩を見て、

「ふうむ、婆羅門教の言い伝え通りの象に乗ったお姿か…これでは一本彫りは難しい。象から降りた菩薩立像でも差し支えはないか?」

といきなり専門的なことを聞くので「あ、あなたは?」と呆気に取られて名を尋ねると、

あぁ、悪い悪い。と感じのよい笑みを浮かべてから、

「我が名は椿井双(つばいのならぶ)、興福寺の仏師だ」
と名乗った。

椿井双、といえばその腕、彼に(なら)ぶ者無し、と呼ばれるこの国一番の仏師ではないか!

その椿井どのがこのような若い人だっただなんて…と驚いて何も喋れずにいると双は事情は全て心得ているとばかり両頬にえくぼを浮かべ、問われずとも語り出した。

「私はあるじの徳一和尚にあなたの手助けをするよう命じられた。大体の彫り方はお教えする、が、細かい部分は仏師にしか出来ない故な…空海阿闍梨は何から何まで手回しのよいお方よ」

と空海が選んだ丸太を見上げ、

「ふうむ、さすがは唐で工作を学んで来たお方だけある。いい木だ」と合掌瞑目してから表面を撫でさすった。

「私はねえ、智泉阿闍梨。僧みずからが衆生の祈りも業も背負って差しで神仏と向かい合う。という密教の姿勢は我々仏師と同じものだと思う。
解るかい?智泉阿闍梨。
私はあなたが気に入ったんだよ。最後の仕上げまで手伝ってやるから心置きなく祈祷に専念しな」

鎚と鑿を手にして下描きを施した木材を前に智泉は立っている。

「いいか、仏を彫る行為は覚悟と勢いでが必要だ。とにかく木の中に眠ってらっしゃる仏のお姿を現世にお出しするのだ。と思いを込めて最初の一刀を入れろ」

まずは正中から鑿を打つがよろしかろう。

と双の助言を受けた智泉が呼吸を整え、心を落ち着けて半眼になると正中の一点に鑿を突き立て、かーん!と堂内に響き渡るいい音を思立てていきり良く鎚で叩いた。

うむ、初心者にしては上出来。これならたやすく作業に没入でき、いい仏像が彫れるだろう。

と双は満足げに頷いた。

ほえぇ、ほえぇ…!と真夜中、何処かの部屋で赤子が泣きだすとその声で目覚めた別の部屋の赤子が泣き出し、つられてお乳が離れた幼子まで起きてぐずり出してしまい、

お世話する乳母たちが寝かしつけるまで一時はかかる。

そのような状況が何か月も続くと…

「もう限界でございますわ、お兄さま!」

と手に力を込めて夫の襟元に掴みかかる妃の高津内親王の寝不足でやつれた(かんばせ)を気の毒に見つめながら前に嵯峨帝は、

「い、いま貴族の妻たちに乳人(めのと)(幼い皇族の養育係)の募集を掛けているから…あと少しの辛抱だよ」

と肩に手を置いて宥める事しかできなかった。

13才の時、高津と結婚してから数多の女人と契りを交わしたが何年も子を授からなかった神野親王だった頃、

もしかして、我は子を作れぬ身なのか?
と人知れず思い悩んだこともあった。が、春宮になって間もなく次々と妻たちが懐妊し、今や嵯峨帝は15人の子の父親なのである。

「子が生まれるのはめでたい事だが…生まれすぎるのもまた悩ましいことだ」

「既に貴族や武官の妻たちに募集はかけておりますが、彼女らも己が子の子育てに忙しく、乳人の役目を果たせる余裕のある女人はとても…」

と申し訳なさそうに頭を垂れる三守に、

「いるではないか」
と嵯峨帝は仰った。

は?と怪訝な顔で帝を見上げる三守に、

「この宮中に何人の女人が仕えていると思っている?三守。
特に宮中のある部署では上役が仕事を独占するせいで己が持てる能力と経験を生かせず、(はらわた)煮え繰り返る思いで日々仕えている女たちがいるではないか…」

帝のそのお言葉で三守は、

「まさか、内侍司(ないしのつかさ)の女たちを乳人(めのと)にするおつもりで?」

そんなことは前例にない!と困惑を露にした。
内侍司の女官は天皇に近侍し、奏請と伝宣(内侍宣)、宮中の礼式等を司ったいわゆる天皇の秘書役とも言うべき重要な役職で、学問・礼法に通じた有能な女性が多く任命されていた。

帝の仰せになることは、

女人ながら政の一端を担う重要なお役を仰せつかっている。という高い矜持を持って日々仕えている女官たちから、

仕事を奪って子育てに専念してろと言っているようなものだ。

「せ、僭越ながらそれは、内侍司の強い反発を招きはしませぬか…?」

と危惧する三守を押し退けるように、

「そんなことはありませんわ」
と声を揃えて主張する女官たちが嵯峨帝の御前に立ち並んでいた。

「典侍藤原和子をはじめ内侍司の女官たち全員が後宮での乳人役を申し出たのだ。朕としては彼女たちの望み通りにさせてやりたい」

「私たち女官も次代を担う御子さまがたの養育を仰せつかって光栄に思っております」

と寸分の違いもない所作で団扇を掲げてから誇らしげに後宮に向かう10人の女官たちの背を見送りながら嵯峨帝は、

た、助かった…と御椅子の上で安堵の笑みをお浮かべになられた。

「これで乳母不足の問題は解決したようにみえますが…これは内侍司の長である尚侍の怒りを買い、新たな火種を起こすことになりはしませぬか?」

成程、これしか乳人不足の解決方法は無かっただろうが、果敢ではあるが性急すぎやしないか?

怒った上皇さまがどんな反撃に出るか解らないのに。と心配する三守に、

「違うよ、三守。火種とはわざと起こして邪魔なものを燃やし尽くした瞬間踏み潰すものなのだよ」

と決然としたお声でお答えになられた。

そうなのだ、幼い頃からお仕えしてきた神野さまの…
これが本性なのだ。

わざと獲物を興奮させて追い回した挙句、疲れて動きが止まった所を放った鷹の爪に掛ける狩りを得意としてきた嵯峨帝のやり方を思い出し、

じきに上皇さまも尚侍薬子も私にも思いもよらない早さで帝の策に嵌まり、狩られるのだろう。
と思うと、

これからは何があってもおかしくないのだ。

我々側近は帝のどんなご命令でも迅速に遂行するのみ。

と自分に言い聞かせるのだった。





























































































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登場人物紹介

空海、本名は佐伯真魚。香川県善通寺市出身の裕福な豪族のせがれ。学業優秀で長岡京の大学寮に入るが、そこで遭った悲劇が彼を仏門に向かわせる。

嵯峨天皇(神野親王)桓武天皇の第二皇子。

問題だらけの平安京に真の平安をもたらす名君。空海とは生涯の友になる。欠点、浮気性でパリピ。

橘嘉智子

嵯峨天皇に最も愛され、橘氏出身の唯一の皇后となる。仏教への傾倒は人生から逃げる術。

私は和気清麻呂。「これから起こる悪い事全部怨霊のせいにしちゃいましょう」と御霊信仰の悪知恵吹き込みました。

本音?桓武帝が起こした人災だろーが。

藤原薬子です。後に悪女呼ばわりされる私も言い分いっぱいあるんですのよー

嘉智子さまお付きの女童、明鏡です。薬子登場でなんだか不穏な予感…

空海に山岳修行教えた勤操ですぅ〜。時々奈良仏教の中間管理職としてぼやきます。桓武帝と戒明じいさんとの因縁ってなんやろな?


役行者六代子孫にして作中最もヤバいおっさんタツミ登場。わし空海のエグい修行生活のはじまりです。

新キャラ藤原葛野麻呂、空海を唐に連れて行く貴族です。私の顔は東寺の帝釈天像がモデルです。イケメンですよー。

兄貴、自分の息子の誕生祝いで不倫ばれてんじゃねーよ…って親父に対して正論で返してるし!義理の叔父、田村麻呂初登場。

by嵯峨帝

ふっふっふ。俺様は修験者の頭タツミ。真魚よ、よくぞ試練を乗り越えたな…っていつまでも妻の手握ってんじゃねえ!

若き日の坂上田村麻呂も絡む平安ミステリー、藤原種継暗殺事件の真相です。


最新話まで話を読んできた登場人物全員の心の声


「そりゃ祟られるわ!!」

実在した前の遣唐使僧、戒明です。史実上の真魚との接点は不明です。唐から偽経を持ち帰ったとして失脚してた私の名誉回復をしてくれたのは空海だから最初に出会った師として登場。

荒行の末に悟ったもの。仏性、すなわち人の心なり。善行も悪行もそれを行う人の心次第。

やっぱりわたくし、親王さまを好きになっていたのね。(浮気者だけれど)

多治比高子です。嵯峨帝側室として寵愛された理由はインテリだった設定。

あれ?「あの四重奏ドラマ」のエンディングシーンみたいなことしてない?

三行指帰現代語訳コント風、はじまりまじまり〜

何これ⁉︎空海の書いた話おもしれーじゃん!と吠えて宮女に叱られる神野。三教指帰は日本初の小説と呼ばれる。

空海、実家に帰る。真魚が一番可愛いお母さん。激烈お兄ちゃん、実家あるあるな心配するお父さん。

空海の実家をそのまま父親の名前にしたのはオヤジ、ありがとう…グスッ(泣)の気持ちやったんや。

後の法相宗のトップにして東日本に仏教を伝える男、徳一の本心。

高雄山寺プロレス回。奈良仏教の裏番長、実忠しれっと初登場。

やっと最澄登場。美坊主泰範のせいで既に不穏な比叡山寺。

ある意味最強キャラ、朝原内親王登場。

飛べない小鳥、から明鏡の出生の秘密編へ。

尚侍明信の罪は亡国の姫、明信の若き日の過ち。

「陽の下の露」冬嗣の長男、藤原長良誕生。ちなみに薬子と葛野麻呂の不倫関係は史実です。

「風が吹く」遣唐使に選ばれなかった空海に起こったありえへん奇跡。それにしても徳一口悪ぃな。

桓武帝が仏教勢力を叩いた理由は脱税摘発のため。しかし宗教法人を使った脱税って1200年経った今でもやってますなあ。

「受戒」どーもどーも、三論宗のアイドルにして空海の頭を剃った勤操ですぅー…ってじいさんどないしたー⁉︎

最初の師戒明との別れ。わし、行ってきます。

「船乗り星」朝廷も一目置く宗像氏の濃いマダム登場。

どうもー、空海を唐に送り最澄を唐から連れ帰ってながらも後世にほとんど知られていない葛野麻呂。ここでは準主役です。

徳政論争回。現実的にこれ以上の東国進出は無理だった。徳川家康の次に鷹狩り好きな歴史上の人物として有名な桓武天皇の最後の鷹狩り。

仙境天台山、思えばこのひと時が最澄の一番の幸福だったかもしれない。

「崩御と即位」皇帝陛下の崩御と新皇帝の即位に立ち会っちゃった俺って持ってる〜。からの、カネが無いから2年で逃げ帰れ命令。

「聖俗同船」帰国できなかった遣唐使もいるんですよ…葛野麻呂の最澄へのツンデレっぷりをお楽しみ下さい。

「密の罠」帰国した途端最澄に降り掛かる悪意。

平安京を開いた帝の最期。これから不穏な平城朝が始まるー

秀才、橘逸勢にトリプルの悲劇。留学生たちの寂しさを癒す楽の音。

恵果と戒明との邂逅から三十年。やっと後継者に出会えた恵果。

まるで唐密教の滅びを予測していたかのような恵果の発言。実際にそうなります。

「遍照金剛」かくして遍照金剛空海誕生。で、何で俺様がナレーション?

「柳枝の別れ」長安出立前夜に明かされる霊仙の正体。次回から日ノ本、平城朝編。

「平城朝」最後の薬子の表情は読者さんのご想像にお任せします。

「春宮神野」

宮中も 女子回なければ やってらんない

by明鏡 字余り

「天皇の侍医」官僚として、医師として苦労する弘世の人生が始まる。

「謀」とうとう粛清に向けて動きだした薬子。朝原内親王、神野に迫る毒殺の危機。

「比叡山夜話」最澄に迫る危機。平城帝の悪意。

「翡翠の数珠」空海のせいでまた逸勢がヒドい目に遭うお話。

「阿保の本音」父平城帝への不信感が募る阿保親王。後に彼と妻の伊都内親王から生まれたのが在原業平。

前半の薬子の兄、仲成が起こした暴行事件。これ史実です。後半の勤操の述懐は創作ですが。

「咎人空海」空海、やっと帰国。あの三姉妹再び登場。

「海辺のふたり」空海だけを都に帰さなかった藤原縄主の思惑とは。この時代、芋粥は極上スイーツ扱いでした。

「白雪」兄帝の危険性を思い出す神野。

「神泉苑行幸」策謀に満ちた宮中。筑紫で布教を始める空海に届いた悲報…

「藤原家の毒薬」いつの世も女の仕返しって陰湿なのよねえ。

「譲位」嵯峨天皇が即位した夜に明かされる伊予親王の死の真相。冬嗣の胸に去来するのは怒りか、諦めか。

「実ちて帰る」主人公2人がやっと初対面。次回から第3章「薬子」のはじまり。

わたくし藤原薬子が主役の章、「薬子」、開始ですわよ。空海阿闍梨、神野の坊やとの初謁見でいきなりド不敬発言。

「橘の系譜」女性天皇が女性の部下に姓を与えた女性が始祖の橘家。

明鏡、家族と再会し、そして母になる。

「背徳」性描写あり。そして、薬子は悪女になった。

「真言の灯」最澄さまの千利休感と人手不足の密教。ある事で滅多になくブチ切れる空海。

「宮女明鏡」嵯峨後宮ベビーラッシュ。身籠った明鏡がこれまでの人生を振り返る。

「阿修羅」、怒らせるとシャレにならないレベルで怖い空海のダークサイド。

「東国の勇者」アテルイ回前編。13000vs500で朝廷軍にに勝利した巢伏の戦いと田村麻呂との対話。

「王の器」アテルイと田村麻呂の物語、後編。胆沢制圧戦後のアテルイ、田村麻呂、桓武帝。

真の王の器は誰にある?

どぅもー、宮中のイケオジ葛野麻呂です。「負の遺産」、宮女同士のマウントバトルが怖ぇわ…

「征夷大将軍殿の憂鬱」田村麻呂、愛妻とのフルムーン旅→ヒリヒリするような駆け引き。

「小鳥立つ」明鏡、13年ぶりに父との対面で思い切った決断を告げる。そして運命の子は誕生した。

「火の継承」

この時代の年明けのお祭り、修二会。ググった結果検索トップがさだまさしの「修二会」だったので公式の自分がまさしに敗けて悔しい実忠。

「智泉の祈り」

嘉智子さまへのマタハラ案件、「皇子を産め」とのたまう橘家の兄君たちにブチギレる空海阿闍梨。

「豪奢なる遁甲」嵯峨天皇vs平城上皇最後の争いが万葉サーカスの歓声の中始まる。


この回から三人目の主人公、ソハヤ登場。

「私刑」

池波か!とツッコミ上等な回。法具を本来の目的(明王の武器)で使う空海。

「なるほど、これがお役所仕事か」by嵯峨天皇

「隘路」、暗殺者集団土蜘蛛vsタツミ率いる修験者たち。薬子の変クライマックス前編。

「火宅」一万字越えの大作です。嵯峨天皇vs平城上皇最後の戦い後編。


藤原薬子と語らう老婆の正体は…

「徒花散る」失脚がそのまま死に繋がる全然平安で無かった平安初期の、最後の政変。


勝ってもあまり嬉しくない戦いでしたね…


by田村麻呂

第3章「薬子」終わり。後ろ暗い取引をしてもカッコいい俺様であーる。


by修験者タツミ

第54代仁明天皇こと正良誕生でおめでたい事からはじまる弘仁元年。

「弘仁おじさん」と呼ばないで。

by藤原冬嗣

明けましておめでとうございます。嵯峨天皇の叔母にして宮中屈指の美魔女、酒人内親王です。ここぞとばかりに気合い入った命婦たちのファッションと空海vs朝原の新春disり合い回で御座います…

若い頃の実忠さまはやさぐれていたなあ。

この世でやるべきこともやったし…じゃあね!

by和気広世

嵯峨天皇の兄、良岑安世の恋人の真名井でございます。「九条にて」はさあ、これから庶民と渡来人たちが活躍する平安アンダーグラウンドな物語の幕開け。

空海in伊勢神宮。朝原内親王より託されたとんでもない密命。

エミシ最後の戦士、ソハヤの人生のはじまり。

前半、終了。

険しい高野の山道を抜けるとそこは…異文化レベルの集落だった。

「丹生一族」パツキン彫金師、ムラートです。今回は丹生一族と秦一族と高野山のお話。



奈良の大仏建立時の人に言えない過去。老いた僧ほど暗い秘密を抱えているものなのですよ。

by実忠

「集光」実は、この話で作者は話を終わらせるつもりだったのですが、取材で高野参りをし、そこの宿坊でご住職の説法を聞いた時に「物語のラストシーン」が頭に浮かびあと50話位書く事に。

「田口三千媛」今では虐待と言われる育てられ方をされたと思います。訳を聞かされて納得しても、無理に許さなくてもいいのよ。

「弘仁格式」100年ぶりの法改正にとりかかる嵯峨帝。謎の美僧、泰範の師に対する本音。

平城上皇が会いたかった東大寺の重鎮、実忠の昔語り。前編。光明皇后に仕えた日々。

「光の時代、後」実忠の過去の話。

後半は道鏡事件の真相。

遊女真名井の人生の転機。家族との再会と共に恋人との別れを覚悟する。

「軛」

丹生のシリン姫の花占い。「来る、来ない。来る、来ない…来たあー!」

「灌頂」

死んで生まれ変わりたい気持ちで空海に会いに行った泰範。

最澄はんの「泰範、行かないでくれ」

の熱烈な文が歴史的資料として残っておます。

by空海


ぐすっ、ぐすっ…生きながら生まれ変わる事って出来るんやな…


by泰範

「信源氏」日本史最初の源氏、源信です。あのね、四さいの時にお家(宮中)から出されて明鏡お母様と離されてしまったの。


信源氏物語のはじまりはじまり〜。

高野の麓、天野の里に帰ってきたムラートです。妹の結婚式がゾロアスター教通りの儀式だと⁉️


天野わっしょい物語をお楽しみに。

嵯峨帝と正妻高津内親王との離婚の真相に迫る「高津退場」後宮サスペンス回。

橘嘉智子、立后のお話。

「わたくし、覚悟を決めました」

「常の白珠」

延暦十五年四月(796年5月)、日の本初の公然セクハラ&パワハラの記録でございます。

by明信

あの時は恥ずかしい思いさせてごめんよ…まだ怒ってる?

ねえ明信、こっち向いて(焦)

by桓武帝

お二人とも、犬も喰わない痴話喧嘩を板上でやらないで下さいまし。

by葛野麻呂

「わし、とうとう最澄はんと絶交する覚悟決めました」

空海を本気でブチギレさせた最澄の言動。


そして、高野山開基に向けて動き始める弟子たち。

「高野」

私ムラート、生まれも育ちも高野山でございます。このお山の自然の洗礼に遭う実叡と泰範。

高野を舐めちゃあいけねえよ。


なぜか寅さん口調。

「時鳥」

小野篁初登場回。そして、現世での役目を果たした巫女との別れ。

「落花宴」

民を食わせるために働いた藤原、葛野麻呂の最期。日ノ本初の茶事と花見の宴の記録。



「拠り処」

天皇皇后だってもふもふふくふくで癒されたい。徳一、東国に進出宣言。

「橘秀才」

「弘法も筆の誤り、って肝心な時に大ポカをやらかすって事なんだね」

古今随一の芸術家となった逸勢、空海にツッコミを入れる。

「シリン都に行く」

はーい、私は高野山の麓天野の里に住む主婦シリン。夫に下された辞令で子供たち連れて平安京へお引越しですって⁉️ドギマギしちゃう!

…って魔法少女みたいなあらすじ紹介でいいのかしら?

「篁」

ちーっす、小野篁でーす。僕の風評「なんだかすげえ奴」みたいに言われてるけど、嵯峨帝に出会った頃は脳筋の野生児でしたよ。

「一隅を照らす」

最澄、最期のことば。戒壇認可を遅らせた嵯峨帝の真意。


そして、たそがれ空海。



「進士篁」

ちーっす!篁っす!それでは一句。


竹の子(篁)が ドラゴン桜(三教指帰)で サクラサク


物語の主人公空海阿闍梨から僕に交代っす!

白秋の章、「嵯峨野」のはじまり。淳和帝即位。遡って嵯峨帝による黄櫨染御袍プロデュース秘話。

「正子と正良」

嵯峨上皇と嘉智子お母様の息子、正良(後の仁明帝)です。十四で結婚したお嫁さんが可愛過ぎてキュートなハートにズキンドキン!です。

「祈雨(きう)」

元服した源信信です。空海阿闍梨による伝説の雨降らしの祈祷の裏に蠢く大人たちの陰謀に、

うわあああ…

皆さんお久しぶり。田村麻呂です。平安初期の貴族たちは麻呂麻呂っなくて武士武士ってたんですよ。


ごきげんよう、小野篁です。

(官吏になったのでパシリ口調はやめました)

今回は私のルーツとソハヤ、シルベに隠された秘密が明かされる回です。

「在るがまま」

平城上皇の第三王子、高岳親王です。今回は父の最期の想いと私の出家の物語。


◯ウケンシルバーのモデルになった私の人生の出発でしたねえ。

「哀しい哉」

このエピソード書くために作者、高野山にお参りに行き智泉の御廟(お墓)に手を合わせました。

「天長二年の旅立ち」

久しぶりの金髪仏師ムラートです。東寺の立体曼荼羅完成秘話。あの時の空海さんは某劇作家か!って位ダメ出しして来て参りましたよ…


そしてラスト主要人物、在原業平初登場。

「夫人たちの夏」嵯峨帝の側室、藤原緒夏です。後宮で生きる憂鬱と高子さまとの友情の回。


「頭の冬嗣」

今年の◯河はやり過ぎちまった私の愚孫どものいざこざですが一人ちゃんと遺言を守った奴がいたようです。

「心の中の明王」

篁と徳一の出会い。東国にて。

空海と最澄を支援した破天荒僧侶、勤操の最期。さよならだけが人生や。

喫茶去(きっさこ)は禅語で「ま、茶でも一服」の意味。人生最後の対面を惜しむ主人公二人。

「光明」全ての務めを終えた空海の眠り。次回から次世代編へ。

「流人篁」百人一首で有名な「わたの原」から始まる篁の反骨最骨頂行動と流人生活。


ちゃっかり現地妻作ってました。

「落日」

葛野麻呂の息子で遣唐大使、藤原常嗣サイドの最後の遣唐使節の行程。


支援者の張宝高は新羅の海将で外交官で大商人。

この回のゲストは唐代の大文人。

「円仁の旅・使命」

どうも、遣唐使団からバックれた不法滞在僧侶の円仁(最澄の弟子)です。私の9年以上に及ぶ旅はいきなりホラーな展開から始まります。

実質、最後の遣唐使である円仁の旅の後編。空海より託された三つの遺言は果たしたものの武宗による仏教弾圧を受ける苦難の復路。オカルトな場面あり。

「胡蝶」

「胡蝶の夢」になぞらえた常嗣の帰国後の辛い立場と責任を感じる篁。二人とも苦しんだんだ。

「観月」

嵯峨上皇が家族たちにそして遥か未来の子孫に向けて述べた言葉。

人生最後の観月の宴。



「草木のままに」

我が夫、嵯峨天皇の最期。お休みなさい、あなた…


あと10話で完結です。

最終章「檀林」、それはカリスマ嵯峨天皇が去るのを待っていたかのように始まった粛正の嵐。

承和の変。三筆最後の一人逸勢の退場。

「繭」政変で息子、仁明帝の行いと本心を知った皇太后嘉智子の絶望。

「反骨の種子」政変の真相を知った篁の決意と、蹂躙される政変の敗者の家族たち。

昔男、と呼ばれたチャラいクズ。在原業平の奔放な恋の本心は…な回。

「椙山にて」この日、エミシの武人親子三代の真相が知らされ祖父の願いがシルベに託された。

「橋を架ける」

言葉を大事にして秩序を保つのも、言葉をぞんざいにしてこの世を地獄同然にするのも全て、人間の行いなのだと思います。


この国の教えの百年先を見越して禅僧を呼び寄せた国母、橘嘉智子。

「参議篁」

私の少年期から始まる篁四部作これにておしまい。良房の企みなんて知ったことかよ。

「襲撃」

日本初の警察機構である検非違使に務める下級役人、志留辺の人生の転機。

「桜」宮中編「一代限りの橘」の物語、これで終わりでございます。

この長い物語、次回の「平安時代」で完結です。



「平安時代」さてさて、ラストシーンで新しいバディが組まれ、彼らの本当の人生が始まります。


皆が知っている「平安時代」はこれから始まるのです。

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