第49話 平城朝

文字数 3,665文字

昔、ある青年がかつて無いくらい清々しい朝を迎えた。

この場合、普通の青年なら「それはようございましたね」と返事して済むところなのだが

彼の場合はかなり事情が込み入りすぎた時期での爽やかな目覚めだったので、自分でも驚いていた。

青年の名は安殿(あて)
7日前、父桓武帝の崩御を見届け、事実上の皇位継承である践祚(せんそ)の儀を終えたばかりの第51代天皇、平城帝(へいぜいてい)その人なのである。

践祚(せんそ)とは、天子の位を受け継ぐことであり、それは先帝の崩御あるいは譲位によって行われる。

新帝は直ちに天皇玉璽(てんのうぎょくじ)と三種の神器を先帝より相続する剣璽承継(けんじしょうけい)の儀を行い、

これに続いて位に就いたことを内外に明らかにすることを即位という。

桓武帝の御代までは践祖そのものが即位だったので先帝崩御、践祖、その後で即位の儀と順序立てて執り行った天皇は平城帝が初めてであった。

践祖を終えた翌朝、平城帝は父桓武帝という良くも悪くも大きな存在であった方の崩御を確認した時に感じたもの、それはまるで衣を一気に三重も四重も脱ぎ捨てたかのような解放感だった。

父上は、もういない。
ああ…これで『朕』は、やりたいことが出来て、呼びたい人を呼ぶことが出来る!

自分の腹の底から活力と衝動が沸き上がった
平城帝は、すぐにそれを実行した。

朝起きた時の体調と心境を洗顔の水を入れた角盥(つのだらい)を持った女官に告げると、

「まああ、それはようございましたわねえ」
と尚侍、藤原薬子(ふじわらのくすこ)が春の陽気のような美しい笑顔でにこにこ笑い、自分の話に丁寧に受け答えしてくれている。

平城帝は幸せだった。自分は至尊の身であり、こうして唯一求めていた女人をこの手に取り戻す事が出来たのだ。

開ききった桜の花が風で散り葉桜になりゆく季節、平城帝は最愛の女人である藤原薬子を尚侍に任じ、その夫である縄主(ただぬし)大宰帥(だざいのそち)任官を命じて直ぐに太宰府に追いやった。

皇太子と妃の母、つまりは婿と姑の密通というあの醜聞発覚から6年も経ってさすがに帝も「おとな」になられて自重なさるだろう、多くの貴族たちが思っていたが…やはり、期待外れだったか。

と帝が最初に行った人事に皆鼻白んだ。そう、一人だけを除いては。

「都じゅうが先帝の喪に服す中、殿だけはなんだか生き生きしてらっしゃいますのね」

と、妻の広子が何の邪気も無く聞くので参議、藤原葛野麻呂は広子の膝枕の上でふふ、と微苦笑を浮かべた。

平城帝の即位に伴って葛野麻呂は式部省(のりのつかさ)に任ぜられる事が決定した。

式部省とは文官の人事考課、礼式、及び選叙(叙位及び任官)、行賞を司り、役人養成機関である大学寮を統括する、現代でいう文部科学大臣に相当する要職である。

先帝崩御、践祚を滞りなく終え、これからは平城帝の御代。ということを知らしめる即位の儀の準備で多忙を極める中での、夫婦水入らずのひととき。

思考から政務を完全に他所に置いていないと、この時代の貴族はやってられない。

藤原北家のこの夫婦は庭園に咲き誇る花々を縁側から眺め楽しんでいた。
「それはあなたに見惚れているからだよ」と葛野麻呂は広子の頬に手をやり、さらに顎を引き寄せて夫婦は唇を重ねた。

小柄で軽い妻のからだを抱きかかえて帳張の中に隠れ、昼日中から若く弾力のある妻の裸体の上で息を弾ませる。

広子は嬉しそうに夫の首に抱きついて小鳥のような可愛い声を断続的に上げた。

…使用人が無粋な報告をしに来たのは閨事が終わって汗ばんだ広子のからだの上でまどろんでいる時であった。

「殿、急な御用向きがあるとお忍びの客人が」
「誰からだ?」
と帳張の向こうで起き上がる主人の声は不機嫌そうである。
は…使用人はさらに身を縮めて口にするのも畏れ多い貴人の名を告げた。

「参議、藤原緒嗣(ふじわらのおつぐ)さまでございます」
「何だと!?」

とと衣の前をはだけた主人が慌てて帳の奥から出てきて、「すぐに客人をお通しするんだ!替えの衣を持て!」と命じ、菩薩の微笑で眠る広子の肩を揺すって「悪いが、客人をもてなす支度をしてくれないか」と若い正妻を急かせた。

客人で参議の藤原緒嗣は今年33才。色白だが角ばった輪郭、眉がきりりとして、謹厳実直を画に描いたような顔立ちをしている。

桓武帝の舅にあたる藤原百川の長男というだけで出世した事実はあるが、桓武帝の御前で30も年上の菅野真道を論破し、帝にこれ以上の都の造営と東国進出の中断を決意させた、

式家の人間にしては珍しく優秀な男である。と葛野麻呂はこの若い公卿を内心高く評価していた。

酌をしてくれる広子までをも人払いした上での緒嗣の報告に、葛野麻呂は「何ということだ…」と両手で頭を抱えた。

「帝をお諌めできるのは、私と、緒嗣どの。あなた以外にいないのですぞ…それでも帝は」

「は。『皇后は立てぬ』と固辞なさっておいでです…お妃の朝原内親王さまを是非皇后にお立てになるべし。皇族で元斎王であらせられる朝原さまが一番相応しい。と進言したのですが」
酒肴に手を付けず、両膝の上で拳を握ったまま緒嗣は「いくら男女の仲でなくとも」といまの時期に皇后を立てる重要性を葛野麻呂に説いた。

「皇女さまを皇后に立てて臣下を安心させるのは、過去の帝もやって来ていることではないですか!いえ、帝は民臣下の為にそうするべきなんです。徹底的に地に堕ちた自らの汚名を挽回するために…あ、失礼」

平城帝の腹心である葛野麻呂に向かって言葉が過ぎた、と緒嗣は素直に謝した。

「いや、本当のことだからよい。まさか汚名の原因になった女を宮中に呼び戻して尚侍に叙するとは私も信じられなかった…つくづく夫君の縄主(ただぬし)が哀れでならないよ」

緒嗣の前で神妙な顔をしてみせて葛野麻呂は酒を一口含んでから緒嗣を黙らせる一言を切り出した。

「だが緒嗣どの、帝は早逝なされたお妃の帯子(たらしこ)さまに追皇后という諡号を贈られた。あなたは皇后の兄、というまことに名誉あるお立場になられたのではないかね?」

痛いところをつかれた…という風に緒嗣は斜め下に目線を反らし、「やあこれは豪勢な酒肴だ」とわざと明るく振舞い、膳に手を付け酒を飲んだ。

「心配ごとは飲んで忘れるに限る。私たち藤原の者は式家も北家も無く力を合わせて帝をお助けせねばな…お互い即位式まで気の抜けぬ身、今宵は遠慮なく飲むのだ」

ここまでの帝の行動は自分の計画どおり、と内心ほくそ笑んでいた。
三から十まで閨事を仕込んだ女を尚侍にし立てて、あの孤独でお可哀想な安殿さまを慰撫するために後宮に送り込んだのだからな。

薬子には働いてもらわねば。

元々酒好きな緒嗣は、葛野麻呂の言葉に甘えて大いに飲んでこの季節は人麻呂の歌が良い、だの王維や杜甫はどうかね?など風流の話で語り明かした。


6年前、春宮だった安殿との閨の場にあの男が踏み込んで来た時も、娘ともども宮中から追放された時も薬子は、

ああ、これで全てが終わったとは思わなかったし、貴族たちの噂の種にされてみじめだとも思わなかった。

夫の縄主も官位を下げられたし、
元春宮妃の娘の素性を隠して他家に嫁に出すために仲介した者に因果を含めたためにかなり金が掛かった。
子供たちの養育のため、やり繰りに血の出るような苦労もした。

だが日頃の忠勤を認められていた夫はすぐに官位を取り戻したし、愛する安殿さまと自分を引き離したあの男、桓武帝も死んだ。

あの日の夕方、やけに赤っぽい雨が降ってすぐに止んだので不思議なこともあるもの…と薬子は思ったが、

翌朝、朝廷からの使者が自分を女官としての最高位、尚侍に叙すると伝えた時、ああ…これでこれで6年間の自分の苦労が報われた、と思った。

桓武帝は享年70。この時代の人にしてはかなりの長寿であった。

ある年寄りを邪魔だ、と思えば何もせずに10年覚悟して待てばいい。

すべからく人は死ぬのだから。
自分の目論見通り桓武帝は死に、安殿さまが天皇におなりになって、自分は尚侍として宮中に返り咲いた!

久々に額に凝った模様の花子(かし)を描いて化粧をし、正装を身に付け参内した宮中の廊下で引退したばかりの元尚侍、明信とばったり出くわした時には少し驚いた。

あの夜、桓武帝に告げ口して自分を宮中から追放したはずの女なのに薬子は明信に何の恨みも無く、目の前の老いた女の白粉でもごまかせぬ皺や首もとのたるみを見つけて、

あなた様はこれから何の生き甲斐もなく、姥として引きこもって鬱々として死んでいくのよね。

と哀れみの感情さえ抱いた。
外ではぴちち…と雀が鳴いて、蔀戸の隙間から柔らかい光が差し込んでくる。
薬子は畏まりながら自分に道を譲る明信の横を通るまでずっと上機嫌で居た。

「少しお化粧が派手でございますわね…天皇の『女』というだけでは尚侍という重責、務まらなくてよ」

と忠告めかした嫌味を明信の口から聞くまでは。

薬子は表情ひとつ変えず、少しうつむいて団扇で顔を隠してからそのまま明信の前を通り過ぎて新しい帝の御前へと歩を進めた。

全てはうららかな春の日の、人々まだ眠たき朝に起こった出来事である。

この時明信が薬子に放った一言が、酷すぎる報復となって返って来ることになるなど、

最愛の桓武帝を失って悲嘆にくれる姥桜は思ってもいなかった…







































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登場人物紹介

空海、本名は佐伯真魚。香川県善通寺市出身の裕福な豪族のせがれ。学業優秀で長岡京の大学寮に入るが、そこで遭った悲劇が彼を仏門に向かわせる。

嵯峨天皇(神野親王)桓武天皇の第二皇子。

問題だらけの平安京に真の平安をもたらす名君。空海とは生涯の友になる。欠点、浮気性でパリピ。

橘嘉智子

嵯峨天皇に最も愛され、橘氏出身の唯一の皇后となる。仏教への傾倒は人生から逃げる術。

私は和気清麻呂。「これから起こる悪い事全部怨霊のせいにしちゃいましょう」と御霊信仰の悪知恵吹き込みました。

本音?桓武帝が起こした人災だろーが。

藤原薬子です。後に悪女呼ばわりされる私も言い分いっぱいあるんですのよー

嘉智子さまお付きの女童、明鏡です。薬子登場でなんだか不穏な予感…

空海に山岳修行教えた勤操ですぅ〜。時々奈良仏教の中間管理職としてぼやきます。桓武帝と戒明じいさんとの因縁ってなんやろな?


役行者六代子孫にして作中最もヤバいおっさんタツミ登場。わし空海のエグい修行生活のはじまりです。

新キャラ藤原葛野麻呂、空海を唐に連れて行く貴族です。私の顔は東寺の帝釈天像がモデルです。イケメンですよー。

兄貴、自分の息子の誕生祝いで不倫ばれてんじゃねーよ…って親父に対して正論で返してるし!義理の叔父、田村麻呂初登場。

by嵯峨帝

ふっふっふ。俺様は修験者の頭タツミ。真魚よ、よくぞ試練を乗り越えたな…っていつまでも妻の手握ってんじゃねえ!

若き日の坂上田村麻呂も絡む平安ミステリー、藤原種継暗殺事件の真相です。


最新話まで話を読んできた登場人物全員の心の声


「そりゃ祟られるわ!!」

実在した前の遣唐使僧、戒明です。史実上の真魚との接点は不明です。唐から偽経を持ち帰ったとして失脚してた私の名誉回復をしてくれたのは空海だから最初に出会った師として登場。

荒行の末に悟ったもの。仏性、すなわち人の心なり。善行も悪行もそれを行う人の心次第。

やっぱりわたくし、親王さまを好きになっていたのね。(浮気者だけれど)

多治比高子です。嵯峨帝側室として寵愛された理由はインテリだった設定。

あれ?「あの四重奏ドラマ」のエンディングシーンみたいなことしてない?

三行指帰現代語訳コント風、はじまりまじまり〜

何これ⁉︎空海の書いた話おもしれーじゃん!と吠えて宮女に叱られる神野。三教指帰は日本初の小説と呼ばれる。

空海、実家に帰る。真魚が一番可愛いお母さん。激烈お兄ちゃん、実家あるあるな心配するお父さん。

空海の実家をそのまま父親の名前にしたのはオヤジ、ありがとう…グスッ(泣)の気持ちやったんや。

後の法相宗のトップにして東日本に仏教を伝える男、徳一の本心。

高雄山寺プロレス回。奈良仏教の裏番長、実忠しれっと初登場。

やっと最澄登場。美坊主泰範のせいで既に不穏な比叡山寺。

ある意味最強キャラ、朝原内親王登場。

飛べない小鳥、から明鏡の出生の秘密編へ。

尚侍明信の罪は亡国の姫、明信の若き日の過ち。

「陽の下の露」冬嗣の長男、藤原長良誕生。ちなみに薬子と葛野麻呂の不倫関係は史実です。

「風が吹く」遣唐使に選ばれなかった空海に起こったありえへん奇跡。それにしても徳一口悪ぃな。

桓武帝が仏教勢力を叩いた理由は脱税摘発のため。しかし宗教法人を使った脱税って1200年経った今でもやってますなあ。

「受戒」どーもどーも、三論宗のアイドルにして空海の頭を剃った勤操ですぅー…ってじいさんどないしたー⁉︎

最初の師戒明との別れ。わし、行ってきます。

「船乗り星」朝廷も一目置く宗像氏の濃いマダム登場。

どうもー、空海を唐に送り最澄を唐から連れ帰ってながらも後世にほとんど知られていない葛野麻呂。ここでは準主役です。

徳政論争回。現実的にこれ以上の東国進出は無理だった。徳川家康の次に鷹狩り好きな歴史上の人物として有名な桓武天皇の最後の鷹狩り。

仙境天台山、思えばこのひと時が最澄の一番の幸福だったかもしれない。

「崩御と即位」皇帝陛下の崩御と新皇帝の即位に立ち会っちゃった俺って持ってる〜。からの、カネが無いから2年で逃げ帰れ命令。

「聖俗同船」帰国できなかった遣唐使もいるんですよ…葛野麻呂の最澄へのツンデレっぷりをお楽しみ下さい。

「密の罠」帰国した途端最澄に降り掛かる悪意。

平安京を開いた帝の最期。これから不穏な平城朝が始まるー

秀才、橘逸勢にトリプルの悲劇。留学生たちの寂しさを癒す楽の音。

恵果と戒明との邂逅から三十年。やっと後継者に出会えた恵果。

まるで唐密教の滅びを予測していたかのような恵果の発言。実際にそうなります。

「遍照金剛」かくして遍照金剛空海誕生。で、何で俺様がナレーション?

「柳枝の別れ」長安出立前夜に明かされる霊仙の正体。次回から日ノ本、平城朝編。

「平城朝」最後の薬子の表情は読者さんのご想像にお任せします。

「春宮神野」

宮中も 女子回なければ やってらんない

by明鏡 字余り

「天皇の侍医」官僚として、医師として苦労する弘世の人生が始まる。

「謀」とうとう粛清に向けて動きだした薬子。朝原内親王、神野に迫る毒殺の危機。

「比叡山夜話」最澄に迫る危機。平城帝の悪意。

「翡翠の数珠」空海のせいでまた逸勢がヒドい目に遭うお話。

「阿保の本音」父平城帝への不信感が募る阿保親王。後に彼と妻の伊都内親王から生まれたのが在原業平。

前半の薬子の兄、仲成が起こした暴行事件。これ史実です。後半の勤操の述懐は創作ですが。

「咎人空海」空海、やっと帰国。あの三姉妹再び登場。

「海辺のふたり」空海だけを都に帰さなかった藤原縄主の思惑とは。この時代、芋粥は極上スイーツ扱いでした。

「白雪」兄帝の危険性を思い出す神野。

「神泉苑行幸」策謀に満ちた宮中。筑紫で布教を始める空海に届いた悲報…

「藤原家の毒薬」いつの世も女の仕返しって陰湿なのよねえ。

「譲位」嵯峨天皇が即位した夜に明かされる伊予親王の死の真相。冬嗣の胸に去来するのは怒りか、諦めか。

「実ちて帰る」主人公2人がやっと初対面。次回から第3章「薬子」のはじまり。

わたくし藤原薬子が主役の章、「薬子」、開始ですわよ。空海阿闍梨、神野の坊やとの初謁見でいきなりド不敬発言。

「橘の系譜」女性天皇が女性の部下に姓を与えた女性が始祖の橘家。

明鏡、家族と再会し、そして母になる。

「背徳」性描写あり。そして、薬子は悪女になった。

「真言の灯」最澄さまの千利休感と人手不足の密教。ある事で滅多になくブチ切れる空海。

「宮女明鏡」嵯峨後宮ベビーラッシュ。身籠った明鏡がこれまでの人生を振り返る。

「阿修羅」、怒らせるとシャレにならないレベルで怖い空海のダークサイド。

「東国の勇者」アテルイ回前編。13000vs500で朝廷軍にに勝利した巢伏の戦いと田村麻呂との対話。

「王の器」アテルイと田村麻呂の物語、後編。胆沢制圧戦後のアテルイ、田村麻呂、桓武帝。

真の王の器は誰にある?

どぅもー、宮中のイケオジ葛野麻呂です。「負の遺産」、宮女同士のマウントバトルが怖ぇわ…

「征夷大将軍殿の憂鬱」田村麻呂、愛妻とのフルムーン旅→ヒリヒリするような駆け引き。

「小鳥立つ」明鏡、13年ぶりに父との対面で思い切った決断を告げる。そして運命の子は誕生した。

「火の継承」

この時代の年明けのお祭り、修二会。ググった結果検索トップがさだまさしの「修二会」だったので公式の自分がまさしに敗けて悔しい実忠。

「智泉の祈り」

嘉智子さまへのマタハラ案件、「皇子を産め」とのたまう橘家の兄君たちにブチギレる空海阿闍梨。

「豪奢なる遁甲」嵯峨天皇vs平城上皇最後の争いが万葉サーカスの歓声の中始まる。


この回から三人目の主人公、ソハヤ登場。

「私刑」

池波か!とツッコミ上等な回。法具を本来の目的(明王の武器)で使う空海。

「なるほど、これがお役所仕事か」by嵯峨天皇

「隘路」、暗殺者集団土蜘蛛vsタツミ率いる修験者たち。薬子の変クライマックス前編。

「火宅」一万字越えの大作です。嵯峨天皇vs平城上皇最後の戦い後編。


藤原薬子と語らう老婆の正体は…

「徒花散る」失脚がそのまま死に繋がる全然平安で無かった平安初期の、最後の政変。


勝ってもあまり嬉しくない戦いでしたね…


by田村麻呂

第3章「薬子」終わり。後ろ暗い取引をしてもカッコいい俺様であーる。


by修験者タツミ

第54代仁明天皇こと正良誕生でおめでたい事からはじまる弘仁元年。

「弘仁おじさん」と呼ばないで。

by藤原冬嗣

明けましておめでとうございます。嵯峨天皇の叔母にして宮中屈指の美魔女、酒人内親王です。ここぞとばかりに気合い入った命婦たちのファッションと空海vs朝原の新春disり合い回で御座います…

若い頃の実忠さまはやさぐれていたなあ。

この世でやるべきこともやったし…じゃあね!

by和気広世

嵯峨天皇の兄、良岑安世の恋人の真名井でございます。「九条にて」はさあ、これから庶民と渡来人たちが活躍する平安アンダーグラウンドな物語の幕開け。

空海in伊勢神宮。朝原内親王より託されたとんでもない密命。

エミシ最後の戦士、ソハヤの人生のはじまり。

前半、終了。

険しい高野の山道を抜けるとそこは…異文化レベルの集落だった。

「丹生一族」パツキン彫金師、ムラートです。今回は丹生一族と秦一族と高野山のお話。



奈良の大仏建立時の人に言えない過去。老いた僧ほど暗い秘密を抱えているものなのですよ。

by実忠

「集光」実は、この話で作者は話を終わらせるつもりだったのですが、取材で高野参りをし、そこの宿坊でご住職の説法を聞いた時に「物語のラストシーン」が頭に浮かびあと50話位書く事に。

「田口三千媛」今では虐待と言われる育てられ方をされたと思います。訳を聞かされて納得しても、無理に許さなくてもいいのよ。

「弘仁格式」100年ぶりの法改正にとりかかる嵯峨帝。謎の美僧、泰範の師に対する本音。

平城上皇が会いたかった東大寺の重鎮、実忠の昔語り。前編。光明皇后に仕えた日々。

「光の時代、後」実忠の過去の話。

後半は道鏡事件の真相。

遊女真名井の人生の転機。家族との再会と共に恋人との別れを覚悟する。

「軛」

丹生のシリン姫の花占い。「来る、来ない。来る、来ない…来たあー!」

「灌頂」

死んで生まれ変わりたい気持ちで空海に会いに行った泰範。

最澄はんの「泰範、行かないでくれ」

の熱烈な文が歴史的資料として残っておます。

by空海


ぐすっ、ぐすっ…生きながら生まれ変わる事って出来るんやな…


by泰範

「信源氏」日本史最初の源氏、源信です。あのね、四さいの時にお家(宮中)から出されて明鏡お母様と離されてしまったの。


信源氏物語のはじまりはじまり〜。

高野の麓、天野の里に帰ってきたムラートです。妹の結婚式がゾロアスター教通りの儀式だと⁉️


天野わっしょい物語をお楽しみに。

嵯峨帝と正妻高津内親王との離婚の真相に迫る「高津退場」後宮サスペンス回。

橘嘉智子、立后のお話。

「わたくし、覚悟を決めました」

「常の白珠」

延暦十五年四月(796年5月)、日の本初の公然セクハラ&パワハラの記録でございます。

by明信

あの時は恥ずかしい思いさせてごめんよ…まだ怒ってる?

ねえ明信、こっち向いて(焦)

by桓武帝

お二人とも、犬も喰わない痴話喧嘩を板上でやらないで下さいまし。

by葛野麻呂

「わし、とうとう最澄はんと絶交する覚悟決めました」

空海を本気でブチギレさせた最澄の言動。


そして、高野山開基に向けて動き始める弟子たち。

「高野」

私ムラート、生まれも育ちも高野山でございます。このお山の自然の洗礼に遭う実叡と泰範。

高野を舐めちゃあいけねえよ。


なぜか寅さん口調。

「時鳥」

小野篁初登場回。そして、現世での役目を果たした巫女との別れ。

「落花宴」

民を食わせるために働いた藤原、葛野麻呂の最期。日ノ本初の茶事と花見の宴の記録。



「拠り処」

天皇皇后だってもふもふふくふくで癒されたい。徳一、東国に進出宣言。

「橘秀才」

「弘法も筆の誤り、って肝心な時に大ポカをやらかすって事なんだね」

古今随一の芸術家となった逸勢、空海にツッコミを入れる。

「シリン都に行く」

はーい、私は高野山の麓天野の里に住む主婦シリン。夫に下された辞令で子供たち連れて平安京へお引越しですって⁉️ドギマギしちゃう!

…って魔法少女みたいなあらすじ紹介でいいのかしら?

「篁」

ちーっす、小野篁でーす。僕の風評「なんだかすげえ奴」みたいに言われてるけど、嵯峨帝に出会った頃は脳筋の野生児でしたよ。

「一隅を照らす」

最澄、最期のことば。戒壇認可を遅らせた嵯峨帝の真意。


そして、たそがれ空海。



「進士篁」

ちーっす!篁っす!それでは一句。


竹の子(篁)が ドラゴン桜(三教指帰)で サクラサク


物語の主人公空海阿闍梨から僕に交代っす!

白秋の章、「嵯峨野」のはじまり。淳和帝即位。遡って嵯峨帝による黄櫨染御袍プロデュース秘話。

「正子と正良」

嵯峨上皇と嘉智子お母様の息子、正良(後の仁明帝)です。十四で結婚したお嫁さんが可愛過ぎてキュートなハートにズキンドキン!です。

「祈雨(きう)」

元服した源信信です。空海阿闍梨による伝説の雨降らしの祈祷の裏に蠢く大人たちの陰謀に、

うわあああ…

皆さんお久しぶり。田村麻呂です。平安初期の貴族たちは麻呂麻呂っなくて武士武士ってたんですよ。


ごきげんよう、小野篁です。

(官吏になったのでパシリ口調はやめました)

今回は私のルーツとソハヤ、シルベに隠された秘密が明かされる回です。

「在るがまま」

平城上皇の第三王子、高岳親王です。今回は父の最期の想いと私の出家の物語。


◯ウケンシルバーのモデルになった私の人生の出発でしたねえ。

「哀しい哉」

このエピソード書くために作者、高野山にお参りに行き智泉の御廟(お墓)に手を合わせました。

「天長二年の旅立ち」

久しぶりの金髪仏師ムラートです。東寺の立体曼荼羅完成秘話。あの時の空海さんは某劇作家か!って位ダメ出しして来て参りましたよ…


そしてラスト主要人物、在原業平初登場。

「夫人たちの夏」嵯峨帝の側室、藤原緒夏です。後宮で生きる憂鬱と高子さまとの友情の回。


「頭の冬嗣」

今年の◯河はやり過ぎちまった私の愚孫どものいざこざですが一人ちゃんと遺言を守った奴がいたようです。

「心の中の明王」

篁と徳一の出会い。東国にて。

空海と最澄を支援した破天荒僧侶、勤操の最期。さよならだけが人生や。

喫茶去(きっさこ)は禅語で「ま、茶でも一服」の意味。人生最後の対面を惜しむ主人公二人。

「光明」全ての務めを終えた空海の眠り。次回から次世代編へ。

「流人篁」百人一首で有名な「わたの原」から始まる篁の反骨最骨頂行動と流人生活。


ちゃっかり現地妻作ってました。

「落日」

葛野麻呂の息子で遣唐大使、藤原常嗣サイドの最後の遣唐使節の行程。


支援者の張宝高は新羅の海将で外交官で大商人。

この回のゲストは唐代の大文人。

「円仁の旅・使命」

どうも、遣唐使団からバックれた不法滞在僧侶の円仁(最澄の弟子)です。私の9年以上に及ぶ旅はいきなりホラーな展開から始まります。

実質、最後の遣唐使である円仁の旅の後編。空海より託された三つの遺言は果たしたものの武宗による仏教弾圧を受ける苦難の復路。オカルトな場面あり。

「胡蝶」

「胡蝶の夢」になぞらえた常嗣の帰国後の辛い立場と責任を感じる篁。二人とも苦しんだんだ。

「観月」

嵯峨上皇が家族たちにそして遥か未来の子孫に向けて述べた言葉。

人生最後の観月の宴。



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