第47話 遍照金剛

文字数 5,874文字

密教の密は、親密の密。

真言、
それは行者と仏の間で交わされる言語。
吟遊詩人が一族の歌を伝えるように恵果は真言を唱え、空海は聴こえたままを歌うように唱えて少しでも強弱の違いがあると「それでは何の効力もない」と何度も唱和をやり直させた。

印、
それは行者と仏との間で交わされる手話。
舞いの振り付けをするように恵果は次々と手の形を変えて見せて空海に教え、空海も見たままの師の動きを印相で体現し、少しでも間違うと師自ら手を取り、「指の曲げかたが深すぎる。ここはこう結ぶだけでよいのだ」と改めさせた。

加持祈祷、
それは行者が体内に仏を呼び込み一体となって祈る儀式。恵果は法具の意味と持ち方、一つ一つの動作やどんな気持ちで向かうかを空海に伝え、それをさせて少しでも弟子に心のゆらぎを見つけた時は
「月のように清らかな心でこれに向かわなければだめだ」と穏やかな声で厳しく指摘し、納得いくまでやり直させた。

灌上(かんじょう)

それは師に認められ密教僧として認められる儀式。
目隠しをして師に認められた修行僧が曼陀羅の上に(しきみ)の葉を落とし、(投華得仏)落ちた先にある仏を自分に最も縁の深い仏を決める。この後師の前にひざまずいて頭に水を振りかけてもらい、仏の真理を伝えた事にする。

空海が青龍寺の門をくぐって道場に入った(805年5月)翌月には胎蔵界濯上、さらに翌月には金剛界灌上、さらに翌月には結縁灌上を受け、いずれも投下した樒が大日如来の上に落ちたので、阿闍梨号と遍昭金剛(この世の一切を遍く照す最上の者)という灌頂号を授けられた。

両部灌上で空海の手から離れた樒が大日如来の上に落ちた時、恵果はつい吹き出してしまった。

「大日如来の現世でのお姿は不動明王、まあそういうことだよ」

と言う師の言葉に空海は「何のことでっか?」と首を傾げたので

「ま、まさか今まで何の自覚もなかったのか!?戒明和尚に何か言われなかったか?」

「へえ、初対面の時『お前はなんで燃えているのだ?』みたいなことは言われましたが、酔っていらしたので…それにしても遍照金剛とはけばけばしい、いえ、きらびやかな名は自分には恥ずかしいですな」

と小さくはにかむ空海を前に逆に恵果自身が驚く始末。

いや…自覚が無いのが「本物」なのかもしれないな。不空さまも豪放磊落で物事を深く考えない性格だったし。

とすぐに思い直して椅子から立ち上がった。

三月(みつき)の修法によく耐え、満行したね。『空海阿闍梨』よ、さあ外に出ようではないか」

と言って杖を突きながら空海と共に道場を出て寺の敷地内にある小さな庭園の蓮池の前まで来ると、ちょうど朝の光を浴びた蓮花が紅い花弁を開かせる光景を恵果と空海と義操の3人でしばらく眺めた。

「空海よ、貴方年はいくつだったっけ?」
「31です」
ふうん、と恵果はひとつ肯いてから池のほとりにしゃがんで蓮花を愛おしそうに眺め、

「わしも師の不空様に逝かれてこの寺と密の教えを継いだのは30年前、貴方と同じ年頃で、急に大勢の弟子を導く身になった重圧と金剛頂経の教えだけでは何かが足りない、

どうすればより多くの人に密の教えが受け入れられるのか?

という焦りで自分がどうにかなりそうだった。結局自分に自信がなかったんだな…
そこで翻訳されてまだ新しい大日経の教えを訳者、善無畏(ぜんむい)さまの弟子に請い、隅々まで読み込んで自分なりに理論を考えた。

どうすればこれを図案化できるだろうか?と悩みに悩んだある日の朝、この池で蓮花が開いているのを見た瞬間、閃いたのだ。
蓮華の中に小さな仏たちを包み込む優しい仏としての胎蔵界の大日如来の図案を」

「…」

「大日如来とは太陽の光のような仏であり、幻のような仏ぞ。見よ」

恵果は懐から小さな水晶のかけらを取り出して日に透かして、もう片方の掌で輝く小さな虹を二人の弟子に見せた。

「こうして玻璃(はり)(水晶)に通して見ないと、光の正体が本当は五色と気付かないように人は皆、両のまなこで見た景色だけを見てこれが現世だ、と認識して満足しているのだ。
この庭の景色を美しい、と見て通り過ぎる人が居てもいい。
しかし、庭の中には豊かな土壌やそれに根を張る緑の草木やそれを潤す雨水、草木を育てる光の全てが揃ってこそ手入れする人がいてこそ、
庭は庭として成り立つのだ。

全ての命は火、水、木、金、土の要素が相克し合って生かされているのだ。それが胎蔵界の大日如来のはたらき、ただ見るのではなく、本質は何かと思って観るのが僧侶のものの見方ぞ
…空海」

「はい」

「もうここまで来たんだから白状しなさい。貴方最初から密教の真髄を学びに来たと。故国でいにしえの密の秘法を修得している、と」

「…恵果さまにはかないまへんなあ」

と空海は葛城山での満行以来、ずっと隠していた目的を見破られて悪戯がばれた子供のように頭を掻いて両頬にえくぼを浮かべた。

やはりそうだったか!どうりで。
と義操は空海の秘法の習得があまりにも早すぎるので過去に何処かで身に付けたのではないか?と疑っていたのだ。

空海阿闍梨は女人のような大人しい顔して、実は性格に難ありなのではないか?と少し苦い顔で義操は空海の横顔を眺めた。

「日の本の山々に、修験者と呼ばれる人を超える程の荒行をする山の民がいます。
わしの師は修験者の頭で孔雀明王(くじゃくみょうおう)の呪法を得意とするお方。
…修験者とは、大陸から伝わった密の教えの継承者たちではないかとわしは思うのです」

そうか、と恵果は遠い目をした。

「海の向こうにも密の教えは伝わっていたのか、その修験者たちはどうして山の民になったのかね?」と問うと空海は

「師の話によると150年ほど前に孔雀明王の修法を終えた遠行者(えんのぎょうしゃ)さまが修験道の開祖で、最初の頃は貧しい麓の里の者たちに雨ごいや病の平癒などの祈祷などを行って人びとを助けていた、と。

やがて、噂を聞きつけた役人や貴族たちが修験者を訪ね、より実利的な呪法を依頼してきました。
…敵対する人間を呪殺するために」

と日の本の密の来し方と暗い真実を翳りを帯びた声で伝えた。

(よこしま)な気持ちや自分の利益だけで術を使えば必ず自分に返って来る…それを知っている修験者たちは偉い奴らから逃げて、山中に結界を張って隠れ住むようになったのだ。

と30代半ばの若さでとうに涙も涸れ尽くしたような目をするタツミが、山から世間を見下ろしながら語ったその背中は、暗く重い孤独を背負っているように空海には見えた。

「どうやら日の本の密は行く先を間違えてしまったようだね。空海、貴方に唐土に行くように言ったのはその師ではないのかね?」

あ…確かに「おまえ唐に行け」と最初に仰ったのはタツミさまだったではないか。それから修験の行を終えてすぐに、久米寺で大日経に出会ったのだ。

今になって思いだすなんて…!

ぽかんと口を開けて片手でこめかみを押さえる空海の仕草が可笑しくてたまらず、恵果は晴れた空に向かってあははは!と声を上げて笑った。

「空海、日の本に正しい密の種を撒いて深く根を張るように育てる。それが貴方の役割だ。貴方が持ち帰るべきものは急いで作らせているから。
完成したらもう長安を出なさい…明日からは西明寺からここに通うように。
行ってよいぞ」

はい!と駆け出して行く後継者の後ろ姿を見送った恵果は
「少し…眠ってもいいか?」と義操の助けを借りて庭石に腰掛け、瞼を閉じるとそのまま眠りに入った。

恵果さまは空海阿闍梨に力を注がれたぶん、お体が小さくなられた気がする…と義操は木陰の下で眠る師の姿を寂しさと哀しみの入り交じった気持ちで見つめた。

恵果、その人生残り3ヶ月。

「大日の幻は消えたかね?」
と不意に宿曜経(しゅくようきょう)(天竺の占星術書、不空訳)から目を離して霊仙に尋ねた老僧の名は牟尼室利三蔵(むにしりさんぞう)

ここ醴泉寺(れいせんじ)で国家事業としての経典の翻訳に携わる般若三蔵の盟友で、学僧たちに梵語だけでなく数学、天文学、工学などの実利的な学問を教え、手相、顔相、占星術などの占術にも長けた、齢80近い天竺僧である。

「へえ、消えました。ここで大日経の解釈が終わった。と思った瞬間…不思議なことです」

「それも大日如来のお導き。あなたは仏教のために無くてはならない人物だから当然のことです」と読書を中断した師僧は茶を啜り、蓮の実をかじった。
牟尼室利さまは時々、顔相見で人の過去を当てたり、あなたはこういう運命だ、ときっぱりした口調で言い切ってしまう相当変わったところがある。

「子供の頃からの幻、というかこだわりが消えたことで気持ちはすっきりしました。でも、大日経は理解できても…わしは密教が好かんのです。
いくら青龍寺が最新の仏教を教えていても密教僧が使う修法はうさんくさくて受け入れられません」

思い切ったことを打ち明けたので霊仙は叱責を受けるかと思ったが師僧はにかっと笑って「それでいいのだよ。心が受け入れていないのだから当然だ」と言ったので霊仙は自分が心底救われたような心持ちになった。

「釈迦入滅から千年の間、天竺の人びとは仏教は有難がっても古来の信仰で生活習慣にまで浸透した婆羅門教(ばらもんきょう)(ヒンドゥー教)は捨てきれなかった。
時には仏教に婆羅門の神々や呪法を植え込み、やっぱりそれではいけない、と釈迦が生きていた頃の仏教(原始仏教)に原点回帰して何度もそれを繰り返した。

千年に渡る仏教と婆羅門教の相克の末の融和の形で生まれたのが大日如来という概念で、それを掲げるのが密教なのだよ」

「存在でなくて概念ですか…」

なるほど、師僧らしい合理的な考えだ。

自分も納得がいくまで物事を考える性質なので大日如来は存在する、と盲目的に認めるのではなく仏教も婆羅門教も結果的には天竺の中で残っているではないか。

二つの教えが共存して行けたのにはもう仏も梵天も越えたなんらかの働きがあり、それは出家前の釈迦王子の姿をした大日如来と言う概念が天竺びとの中にあるからだ。と師僧は言っているのである。

「今までの教えの中で一番腑に落ちました」と霊仙は師僧に向かって合掌すると、相手は急に険しい目つきになり、

「おまえ…密の呪法で何かひどい目に遭っていないか?」と言われると霊仙は血が凍るような感覚に襲われた。息が苦しくなり、膝を掴む手が震え出す。
耳の奥で男たちの真言が響き出す。霊仙はつい耳を塞ぎそうになり、そうしようとした時、

「牟尼室利さま!霊仙はん!」と懐かしい明るい声がした。空海が室内に飛び込んできて「密教の実行、満行致しました」と報告して深く礼をする空海に

「あんた無事だったか!?…そうか、そうか。正しい師に付いたあんたは運が良かったなあ」と霊仙は抱き締め、涙さえ浮かべた。

空海、空海か?と他の学僧たちもわらわらと集まって来たので牟尼室利は霊仙にそれ以上何も言えなかった。

それから間もなく、空海は感謝の気持ちとして青龍寺や不空三蔵ゆかりの大興善寺から500人にものぼる人々を招いて宴を開いた。招待客の中には梵語の師である般若や牟尼室利、そして故国の留学僧たち。当然その中に橘逸勢もいた。

「なあ空海、お前こんな盛大な宴を開いて大丈夫か?金はあるのか?」と本当に心配そうに逸勢が耳打ちしたので、空海は
「…あなただけにお話ししまっせ」と実際留学費用として持って来た金の額を正直に逸勢に打ち明けた。それは、他の遣唐使が持って来た留学費用の3倍以上の金額であった。

その内容は実家から援助してもらった金の他に、伊予親王からの援助(半分は大僧正の脱税の金)、修験者タツミが丹の商いで儲けた金を脱税して空海に渡した金であったので、後ろ暗くてどうして集めたのかは決して言わない空海である。

「悪人じゃない、と思ったから私は積極的にお前に声を掛けたのに…」

とあまりの内容に顔をしかめた逸勢は杯の酒を一気に飲み干すと、

「お前、本当は凄く性格悪い奴なんだな!!やっと解ったぞ。写経を手伝ってやったの一生忘れんなよ!」と叫んで空海を指さしで責めた。

橘秀才(きつしゅうさい)はどうしたのだ?」と逸勢の書の師匠、柳宗元が才能を認めた弟子の荒れっぷりに怪訝な顔をする。
「どうやら御酒が過ぎているようですな」
と鼻も顎も尖ったちょび髭の書の大家に向かって空海は微笑んで見せた。

秋が過ぎて、空海が持ち帰る経典、絵画、設計図、法具も完成して冬が訪れた。

そして空海に教えの全てを伝えきった恵果の命も終わろうとしている。

恵果の床の周りには空海、義操、義明と両部灌頂を授けた弟子の周りに4人の阿闍梨たち。

「空海、杯に全て水を注ぐように貴方に全てを注いだ。今度は日の本の民に光を注いでやりなさい」

「はい…」
師の手を握る空海は咽びあげそうになるのを喉元で必死にこらえていた。

「そして義明、後はお前に頼む」

この一言で青龍寺の住職は義明に決まった。それは最初に阿闍梨号を授けておきながら病身のため敢えて後継者にしなかった愛弟子に対する恵果の、せめてもの謝罪の遺言だった。
「承知しました」
「義操、惟上、義円、辨弘、恵日。善く義明を助けるように」
「はい!」

思えば私の人生の始まりは7歳の頃の不空さまとの出会いからだった。生来病弱だった私を不空様は我が子のように慈しんで育てて下さり全てを与えて下さった。

そして、私も人生の終わりに空海に全てを与えて世を去ろうとしている。

始まりも終わりも「空」の名のもとに。では、その間にあった我が人生とは?

不空様、私は全てをやりきったのでしょうか?と死を自覚しながらも清明な意識で問いかける恵果の眼前に、金剛界と胎蔵界、二つの曼荼羅が左右に現れてちょうど真ん中で重なり、その中央には何もない円が輝いている。その向こうから、懐かしい声が聞こえた。

おめえは本当によくやった!だから、もう何も考えずに飛び込んで来い。

不空様、今やっと解りましたぞ!

死に瀕している恵果がさもおかしそうに声を立てて笑ったので弟子たちはあわてて師の顔を覗き込んだ。

「全てのいのちの正体は、空から空へと漂う光の粒子…空に漂うその刹那にあなた達は本来の姿、役割を取り戻す。迷ったら『空』の一文字を思い出せばいい」

と眼だけを動かして弟子たちを見るとやがて微笑みを浮かべながら恵果は瞼を閉じ、その目は開かれることは無かった。

永貞元年12月15日(806年1月12日)

恵果入寂、享年六十。その魂は師の声に導かれ、空の光の中へ飛び込んで行った。

醴泉寺の庭で恵果の死の報を聞いた般若三蔵は

「唐土から光が消えました」
とその場でくず折れ、顔を覆って泣いた。彼の肩に手を掛けた牟尼室利三蔵は、宵の一番星を見上げながら言った。

「般若よ。光は受け継がれていくものなのだよ」
























 
  
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登場人物紹介

空海、本名は佐伯真魚。香川県善通寺市出身の裕福な豪族のせがれ。学業優秀で長岡京の大学寮に入るが、そこで遭った悲劇が彼を仏門に向かわせる。

嵯峨天皇(神野親王)桓武天皇の第二皇子。

問題だらけの平安京に真の平安をもたらす名君。空海とは生涯の友になる。欠点、浮気性でパリピ。

橘嘉智子

嵯峨天皇に最も愛され、橘氏出身の唯一の皇后となる。仏教への傾倒は人生から逃げる術。

私は和気清麻呂。「これから起こる悪い事全部怨霊のせいにしちゃいましょう」と御霊信仰の悪知恵吹き込みました。

本音?桓武帝が起こした人災だろーが。

藤原薬子です。後に悪女呼ばわりされる私も言い分いっぱいあるんですのよー

嘉智子さまお付きの女童、明鏡です。薬子登場でなんだか不穏な予感…

空海に山岳修行教えた勤操ですぅ〜。時々奈良仏教の中間管理職としてぼやきます。桓武帝と戒明じいさんとの因縁ってなんやろな?


役行者六代子孫にして作中最もヤバいおっさんタツミ登場。わし空海のエグい修行生活のはじまりです。

新キャラ藤原葛野麻呂、空海を唐に連れて行く貴族です。私の顔は東寺の帝釈天像がモデルです。イケメンですよー。

兄貴、自分の息子の誕生祝いで不倫ばれてんじゃねーよ…って親父に対して正論で返してるし!義理の叔父、田村麻呂初登場。

by嵯峨帝

ふっふっふ。俺様は修験者の頭タツミ。真魚よ、よくぞ試練を乗り越えたな…っていつまでも妻の手握ってんじゃねえ!

若き日の坂上田村麻呂も絡む平安ミステリー、藤原種継暗殺事件の真相です。


最新話まで話を読んできた登場人物全員の心の声


「そりゃ祟られるわ!!」

実在した前の遣唐使僧、戒明です。史実上の真魚との接点は不明です。唐から偽経を持ち帰ったとして失脚してた私の名誉回復をしてくれたのは空海だから最初に出会った師として登場。

荒行の末に悟ったもの。仏性、すなわち人の心なり。善行も悪行もそれを行う人の心次第。

やっぱりわたくし、親王さまを好きになっていたのね。(浮気者だけれど)

多治比高子です。嵯峨帝側室として寵愛された理由はインテリだった設定。

あれ?「あの四重奏ドラマ」のエンディングシーンみたいなことしてない?

三行指帰現代語訳コント風、はじまりまじまり〜

何これ⁉︎空海の書いた話おもしれーじゃん!と吠えて宮女に叱られる神野。三教指帰は日本初の小説と呼ばれる。

空海、実家に帰る。真魚が一番可愛いお母さん。激烈お兄ちゃん、実家あるあるな心配するお父さん。

空海の実家をそのまま父親の名前にしたのはオヤジ、ありがとう…グスッ(泣)の気持ちやったんや。

後の法相宗のトップにして東日本に仏教を伝える男、徳一の本心。

高雄山寺プロレス回。奈良仏教の裏番長、実忠しれっと初登場。

やっと最澄登場。美坊主泰範のせいで既に不穏な比叡山寺。

ある意味最強キャラ、朝原内親王登場。

飛べない小鳥、から明鏡の出生の秘密編へ。

尚侍明信の罪は亡国の姫、明信の若き日の過ち。

「陽の下の露」冬嗣の長男、藤原長良誕生。ちなみに薬子と葛野麻呂の不倫関係は史実です。

「風が吹く」遣唐使に選ばれなかった空海に起こったありえへん奇跡。それにしても徳一口悪ぃな。

桓武帝が仏教勢力を叩いた理由は脱税摘発のため。しかし宗教法人を使った脱税って1200年経った今でもやってますなあ。

「受戒」どーもどーも、三論宗のアイドルにして空海の頭を剃った勤操ですぅー…ってじいさんどないしたー⁉︎

最初の師戒明との別れ。わし、行ってきます。

「船乗り星」朝廷も一目置く宗像氏の濃いマダム登場。

どうもー、空海を唐に送り最澄を唐から連れ帰ってながらも後世にほとんど知られていない葛野麻呂。ここでは準主役です。

徳政論争回。現実的にこれ以上の東国進出は無理だった。徳川家康の次に鷹狩り好きな歴史上の人物として有名な桓武天皇の最後の鷹狩り。

仙境天台山、思えばこのひと時が最澄の一番の幸福だったかもしれない。

「崩御と即位」皇帝陛下の崩御と新皇帝の即位に立ち会っちゃった俺って持ってる〜。からの、カネが無いから2年で逃げ帰れ命令。

「聖俗同船」帰国できなかった遣唐使もいるんですよ…葛野麻呂の最澄へのツンデレっぷりをお楽しみ下さい。

「密の罠」帰国した途端最澄に降り掛かる悪意。

平安京を開いた帝の最期。これから不穏な平城朝が始まるー

秀才、橘逸勢にトリプルの悲劇。留学生たちの寂しさを癒す楽の音。

恵果と戒明との邂逅から三十年。やっと後継者に出会えた恵果。

まるで唐密教の滅びを予測していたかのような恵果の発言。実際にそうなります。

「遍照金剛」かくして遍照金剛空海誕生。で、何で俺様がナレーション?

「柳枝の別れ」長安出立前夜に明かされる霊仙の正体。次回から日ノ本、平城朝編。

「平城朝」最後の薬子の表情は読者さんのご想像にお任せします。

「春宮神野」

宮中も 女子回なければ やってらんない

by明鏡 字余り

「天皇の侍医」官僚として、医師として苦労する弘世の人生が始まる。

「謀」とうとう粛清に向けて動きだした薬子。朝原内親王、神野に迫る毒殺の危機。

「比叡山夜話」最澄に迫る危機。平城帝の悪意。

「翡翠の数珠」空海のせいでまた逸勢がヒドい目に遭うお話。

「阿保の本音」父平城帝への不信感が募る阿保親王。後に彼と妻の伊都内親王から生まれたのが在原業平。

前半の薬子の兄、仲成が起こした暴行事件。これ史実です。後半の勤操の述懐は創作ですが。

「咎人空海」空海、やっと帰国。あの三姉妹再び登場。

「海辺のふたり」空海だけを都に帰さなかった藤原縄主の思惑とは。この時代、芋粥は極上スイーツ扱いでした。

「白雪」兄帝の危険性を思い出す神野。

「神泉苑行幸」策謀に満ちた宮中。筑紫で布教を始める空海に届いた悲報…

「藤原家の毒薬」いつの世も女の仕返しって陰湿なのよねえ。

「譲位」嵯峨天皇が即位した夜に明かされる伊予親王の死の真相。冬嗣の胸に去来するのは怒りか、諦めか。

「実ちて帰る」主人公2人がやっと初対面。次回から第3章「薬子」のはじまり。

わたくし藤原薬子が主役の章、「薬子」、開始ですわよ。空海阿闍梨、神野の坊やとの初謁見でいきなりド不敬発言。

「橘の系譜」女性天皇が女性の部下に姓を与えた女性が始祖の橘家。

明鏡、家族と再会し、そして母になる。

「背徳」性描写あり。そして、薬子は悪女になった。

「真言の灯」最澄さまの千利休感と人手不足の密教。ある事で滅多になくブチ切れる空海。

「宮女明鏡」嵯峨後宮ベビーラッシュ。身籠った明鏡がこれまでの人生を振り返る。

「阿修羅」、怒らせるとシャレにならないレベルで怖い空海のダークサイド。

「東国の勇者」アテルイ回前編。13000vs500で朝廷軍にに勝利した巢伏の戦いと田村麻呂との対話。

「王の器」アテルイと田村麻呂の物語、後編。胆沢制圧戦後のアテルイ、田村麻呂、桓武帝。

真の王の器は誰にある?

どぅもー、宮中のイケオジ葛野麻呂です。「負の遺産」、宮女同士のマウントバトルが怖ぇわ…

「征夷大将軍殿の憂鬱」田村麻呂、愛妻とのフルムーン旅→ヒリヒリするような駆け引き。

「小鳥立つ」明鏡、13年ぶりに父との対面で思い切った決断を告げる。そして運命の子は誕生した。

「火の継承」

この時代の年明けのお祭り、修二会。ググった結果検索トップがさだまさしの「修二会」だったので公式の自分がまさしに敗けて悔しい実忠。

「智泉の祈り」

嘉智子さまへのマタハラ案件、「皇子を産め」とのたまう橘家の兄君たちにブチギレる空海阿闍梨。

「豪奢なる遁甲」嵯峨天皇vs平城上皇最後の争いが万葉サーカスの歓声の中始まる。


この回から三人目の主人公、ソハヤ登場。

「私刑」

池波か!とツッコミ上等な回。法具を本来の目的(明王の武器)で使う空海。

「なるほど、これがお役所仕事か」by嵯峨天皇

「隘路」、暗殺者集団土蜘蛛vsタツミ率いる修験者たち。薬子の変クライマックス前編。

「火宅」一万字越えの大作です。嵯峨天皇vs平城上皇最後の戦い後編。


藤原薬子と語らう老婆の正体は…

「徒花散る」失脚がそのまま死に繋がる全然平安で無かった平安初期の、最後の政変。


勝ってもあまり嬉しくない戦いでしたね…


by田村麻呂

第3章「薬子」終わり。後ろ暗い取引をしてもカッコいい俺様であーる。


by修験者タツミ

第54代仁明天皇こと正良誕生でおめでたい事からはじまる弘仁元年。

「弘仁おじさん」と呼ばないで。

by藤原冬嗣

明けましておめでとうございます。嵯峨天皇の叔母にして宮中屈指の美魔女、酒人内親王です。ここぞとばかりに気合い入った命婦たちのファッションと空海vs朝原の新春disり合い回で御座います…

若い頃の実忠さまはやさぐれていたなあ。

この世でやるべきこともやったし…じゃあね!

by和気広世

嵯峨天皇の兄、良岑安世の恋人の真名井でございます。「九条にて」はさあ、これから庶民と渡来人たちが活躍する平安アンダーグラウンドな物語の幕開け。

空海in伊勢神宮。朝原内親王より託されたとんでもない密命。

エミシ最後の戦士、ソハヤの人生のはじまり。

前半、終了。

険しい高野の山道を抜けるとそこは…異文化レベルの集落だった。

「丹生一族」パツキン彫金師、ムラートです。今回は丹生一族と秦一族と高野山のお話。



奈良の大仏建立時の人に言えない過去。老いた僧ほど暗い秘密を抱えているものなのですよ。

by実忠

「集光」実は、この話で作者は話を終わらせるつもりだったのですが、取材で高野参りをし、そこの宿坊でご住職の説法を聞いた時に「物語のラストシーン」が頭に浮かびあと50話位書く事に。

「田口三千媛」今では虐待と言われる育てられ方をされたと思います。訳を聞かされて納得しても、無理に許さなくてもいいのよ。

「弘仁格式」100年ぶりの法改正にとりかかる嵯峨帝。謎の美僧、泰範の師に対する本音。

平城上皇が会いたかった東大寺の重鎮、実忠の昔語り。前編。光明皇后に仕えた日々。

「光の時代、後」実忠の過去の話。

後半は道鏡事件の真相。

遊女真名井の人生の転機。家族との再会と共に恋人との別れを覚悟する。

「軛」

丹生のシリン姫の花占い。「来る、来ない。来る、来ない…来たあー!」

「灌頂」

死んで生まれ変わりたい気持ちで空海に会いに行った泰範。

最澄はんの「泰範、行かないでくれ」

の熱烈な文が歴史的資料として残っておます。

by空海


ぐすっ、ぐすっ…生きながら生まれ変わる事って出来るんやな…


by泰範

「信源氏」日本史最初の源氏、源信です。あのね、四さいの時にお家(宮中)から出されて明鏡お母様と離されてしまったの。


信源氏物語のはじまりはじまり〜。

高野の麓、天野の里に帰ってきたムラートです。妹の結婚式がゾロアスター教通りの儀式だと⁉️


天野わっしょい物語をお楽しみに。

嵯峨帝と正妻高津内親王との離婚の真相に迫る「高津退場」後宮サスペンス回。

橘嘉智子、立后のお話。

「わたくし、覚悟を決めました」

「常の白珠」

延暦十五年四月(796年5月)、日の本初の公然セクハラ&パワハラの記録でございます。

by明信

あの時は恥ずかしい思いさせてごめんよ…まだ怒ってる?

ねえ明信、こっち向いて(焦)

by桓武帝

お二人とも、犬も喰わない痴話喧嘩を板上でやらないで下さいまし。

by葛野麻呂

「わし、とうとう最澄はんと絶交する覚悟決めました」

空海を本気でブチギレさせた最澄の言動。


そして、高野山開基に向けて動き始める弟子たち。

「高野」

私ムラート、生まれも育ちも高野山でございます。このお山の自然の洗礼に遭う実叡と泰範。

高野を舐めちゃあいけねえよ。


なぜか寅さん口調。

「時鳥」

小野篁初登場回。そして、現世での役目を果たした巫女との別れ。

「落花宴」

民を食わせるために働いた藤原、葛野麻呂の最期。日ノ本初の茶事と花見の宴の記録。



「拠り処」

天皇皇后だってもふもふふくふくで癒されたい。徳一、東国に進出宣言。

「橘秀才」

「弘法も筆の誤り、って肝心な時に大ポカをやらかすって事なんだね」

古今随一の芸術家となった逸勢、空海にツッコミを入れる。

「シリン都に行く」

はーい、私は高野山の麓天野の里に住む主婦シリン。夫に下された辞令で子供たち連れて平安京へお引越しですって⁉️ドギマギしちゃう!

…って魔法少女みたいなあらすじ紹介でいいのかしら?

「篁」

ちーっす、小野篁でーす。僕の風評「なんだかすげえ奴」みたいに言われてるけど、嵯峨帝に出会った頃は脳筋の野生児でしたよ。

「一隅を照らす」

最澄、最期のことば。戒壇認可を遅らせた嵯峨帝の真意。


そして、たそがれ空海。



「進士篁」

ちーっす!篁っす!それでは一句。


竹の子(篁)が ドラゴン桜(三教指帰)で サクラサク


物語の主人公空海阿闍梨から僕に交代っす!

白秋の章、「嵯峨野」のはじまり。淳和帝即位。遡って嵯峨帝による黄櫨染御袍プロデュース秘話。

「正子と正良」

嵯峨上皇と嘉智子お母様の息子、正良(後の仁明帝)です。十四で結婚したお嫁さんが可愛過ぎてキュートなハートにズキンドキン!です。

「祈雨(きう)」

元服した源信信です。空海阿闍梨による伝説の雨降らしの祈祷の裏に蠢く大人たちの陰謀に、

うわあああ…

皆さんお久しぶり。田村麻呂です。平安初期の貴族たちは麻呂麻呂っなくて武士武士ってたんですよ。


ごきげんよう、小野篁です。

(官吏になったのでパシリ口調はやめました)

今回は私のルーツとソハヤ、シルベに隠された秘密が明かされる回です。

「在るがまま」

平城上皇の第三王子、高岳親王です。今回は父の最期の想いと私の出家の物語。


◯ウケンシルバーのモデルになった私の人生の出発でしたねえ。

「哀しい哉」

このエピソード書くために作者、高野山にお参りに行き智泉の御廟(お墓)に手を合わせました。

「天長二年の旅立ち」

久しぶりの金髪仏師ムラートです。東寺の立体曼荼羅完成秘話。あの時の空海さんは某劇作家か!って位ダメ出しして来て参りましたよ…


そしてラスト主要人物、在原業平初登場。

「夫人たちの夏」嵯峨帝の側室、藤原緒夏です。後宮で生きる憂鬱と高子さまとの友情の回。


「頭の冬嗣」

今年の◯河はやり過ぎちまった私の愚孫どものいざこざですが一人ちゃんと遺言を守った奴がいたようです。

「心の中の明王」

篁と徳一の出会い。東国にて。

空海と最澄を支援した破天荒僧侶、勤操の最期。さよならだけが人生や。

喫茶去(きっさこ)は禅語で「ま、茶でも一服」の意味。人生最後の対面を惜しむ主人公二人。

「光明」全ての務めを終えた空海の眠り。次回から次世代編へ。

「流人篁」百人一首で有名な「わたの原」から始まる篁の反骨最骨頂行動と流人生活。


ちゃっかり現地妻作ってました。

「落日」

葛野麻呂の息子で遣唐大使、藤原常嗣サイドの最後の遣唐使節の行程。


支援者の張宝高は新羅の海将で外交官で大商人。

この回のゲストは唐代の大文人。

「円仁の旅・使命」

どうも、遣唐使団からバックれた不法滞在僧侶の円仁(最澄の弟子)です。私の9年以上に及ぶ旅はいきなりホラーな展開から始まります。

実質、最後の遣唐使である円仁の旅の後編。空海より託された三つの遺言は果たしたものの武宗による仏教弾圧を受ける苦難の復路。オカルトな場面あり。

「胡蝶」

「胡蝶の夢」になぞらえた常嗣の帰国後の辛い立場と責任を感じる篁。二人とも苦しんだんだ。

「観月」

嵯峨上皇が家族たちにそして遥か未来の子孫に向けて述べた言葉。

人生最後の観月の宴。



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