第42話 密の罠

文字数 4,453文字

延暦24年、夏(805年7月)無事帰国した藤原葛野麻呂(ふじわらのかどのまろ)は最澄をはじめとする留学生たちと共に上洛。

桓武帝に節刀(天皇の代理の任を受けた将軍、外交使節が預かる小刀)を返上し、遣唐大使としての任を果たした。

「うむ、でかしたぞ葛野麻呂。望み通り三位をくれてやる!」と桓武帝大いに喜び、

葛野麻呂を従四位から従三位へ昇進させ、参議の列に加えた。

齢50にして海を越えてやっと参議か…

と一昨年、節刀を預かった時から葛野麻呂が背負っていた巨大な巌のような責任の重しが取れていくのを感じたのは、御所から辞して自邸へと戻り

「殿…無事大任果たされまして嬉しい限りでございます」
と並んで自分を迎えてくれた和気広子をはじめとする妻と子供たちの顔を見た時であった。

「私の美しい華たちよ、留守の間息災であったか?」と葛野麻呂は笑顔をひらめかせて妻たちに次々抱擁し、いつもの好色な葛野麻呂に戻った。

「…なあ、私のもとに嫁して後悔はしていないか?」
と不意に膝枕の上で夫が聞いてきたので和気広子は「いいえ」と答えて夫の頬を両の手のひらで包んだ。

「あの男は出世の為なら何でもする野心家だ…が、我が和気氏(わけし)も所詮今上帝の寵を受けているだけの成り上がり。
藤原北家の出世頭であるあの男と縁づくのは将来の和気氏の為になる。と父は思うのだが、いいのか?広子よ」

と、亡父の清麻呂がそう葛野麻呂を評して
断ってもいいのだぞ、と言いたそうな心配そうな表情をしたのは滅多に無い事だったので、当時はたち前だった広子は思わず吹き出してしまった。

「どこの家の殿方のもとに行こうと私は嫁ぎ先での役割を果たすまで、ご心配なさらないで父上」

「しかし、相手の男はお前より倍も年上なのだぞ」

「その葛野麻呂さまという殿方、どの殿方よりも見目麗しいのでしょう?」

「ま、まあ父の見る限りではそうなのだが…」

「私、父上や兄上たちを見てて思うんですの。殿方というのは朝起きたら外にお勤めに出て、夜になれば数日に一度お会いする人、と思えば皆同じようなものだ、と。

ならば、見目麗しく将来有望な殿方と縁づく広子は幸せ者です。父上、広子は藤原北家に嫁します」

と政治巧者と呼ばれる父親に向けて言いきったのであった。

確かに結婚相手の顔を初めて見るのは新枕の時、というこの時代。相手の容貌が良いと聞いただけでも広子は果報者だったかもしれない。

藤原北家に嫁して6年になるが、葛野麻呂は25以上も年下の自分を和気氏から来た正妻として大事に扱ってくれている。

まだ子は授かっていないが愛しい夫がこうして膝で甘えて眠ってくれるだけでも広子は幸せだった。

しかし、そんな憩いのひとときを破ったのは「殿…!」と几帳越しに声を掛ける使用人。

「何だ?」と葛野麻呂は仏頂面で広子の膝から起き上がり、報告を聞くと一際険しい顔つきをした。

「済まんが、御所に行かなくてはいけない。支度をしてくれ」と広子に命じて着替えを済ませ、刀を受け取って腰に差すと
「事が事だから数日は帰れぬと思う」と広子にだけ事情を告げて用意された牛車に乗り込んだ。
広子は内心の動揺を完全に抑えて「殿、いってらっしゃいませ…」と夫を見送るのだった。

(おほきみ)、病篤し。

と報告を受けた貴族たちが深刻な顔つきをしてひそひそ話し合っている中に父の従兄弟である藤原内麻呂の顔を見つけたので葛野麻呂は同じ北家の親族同士で顔つき合わせ

「帝のご様子はどうなのですか?」

「なんでも夕餉を吐き戻してお倒れになったと聞く。帝も御年70…もう覚悟しておいた方がよいぞ」

「高齢な上にご無理がたたったのか、それとも…」

と皆、口には出さないが長年の厄災の原因とされている早良親王の怨霊の事を思い出し、その時ばかりはひた、とお喋りを止めた。

「陰陽師たちの報告によれば、亡き廃太子、早良親王はじめ多くの怨霊が帝に憑りついて苦しめているのだそうだ…」

「やはり複数か。早良様だけではなく、井上内親王(いがみないしんのう)他戸親王(おさべしんのう)さまも当然憑いているだろうな」

と内麻呂が言い捨てると葛野麻呂は「うわさは本当でしたか。弟の早良様だけでなくご自分の継母や異母弟までも」

とそこで顔をしかめ、自分の主なのにとことん天皇に相応しくない年寄りだ!
明信と組んで我が娘明鏡をかどわかして奪った一件だけでも許し難いのに。
と心底桓武帝を軽蔑した。

「帝位につくために舅である式家、藤原百川(ふじわらのももかわ)と組んで奪った命、暗殺された種継や罪を被って死罪にされた大伴、佐伯(中央佐伯氏)の者加えると、帝を恨む者は百を下らん」

と内麻呂がここだけの秘密とばかりに打ち明けると貴族たちは

元斎王であらせられた井上内親王さまの命を奪っただなんて、これは祟りではなく神罰ではないか?
この際だから報いを受けてさっさと御隠れあそばされた方が良いのではないか?

春宮の安殿さまは至らぬところが多いがまだお若く貴族にとって扱いやすい存在だから…

と思っていた時点で葛野麻呂以外の貴族たちは安殿の能力を見くびっていた。というべきであろう。

ほどなく、「最澄和尚到着なされました」と尚侍明信が貴族たちに告げに来た。

「これから帝の病気平癒の加持祈祷をなさるそうです。最澄和尚によりますと、密教では在家は僧に依頼してそれで終わりではない。貴族の皆さまも最澄殿と心を合わせ、必死に心で祈って欲しいとのことです」

実はこうなる事を一番意望んでいなかったのは最澄自身であった。

上洛して初めて桓武帝に謁見した時、ご病状がさらに悪化している。と天皇の侍医的立場である内供分十禅師の最澄はその顔色を見て気づいた。

「最近の父は、御椅子から立ち上がるにも人手が居るほどなのだよ。そこで最澄」

と父に労わるような目を向けてから今を時めく唐帰りの僧、最澄に向き直ったのは…

皇太子安殿親王(こうたいしあてしんのう)であった。

「お前が唐の順暁阿闍梨(じゅんぎょうあじゃり)により授かったという密教の加持祈祷で父上を苦しめている怨霊を祓ってくれないか?」

と一か月漬けで密教理論を教わっただけの最澄に到底無理な注文を依頼した安殿はさらに、

「お前の祈祷で父上がが持ち直したならお前は『使える者』として望み通り天台宗を正式な仏教の宗派として認可してやる。どうだ?自信がないなら辞退してもいいのだぞ」

と出航前はお優しそうだった皇太子の、侮蔑と悪意に満ちた笑い声を受けて最澄は、これがこの方の本当の顔かと見かけに騙されていた自分を恥ずかしく思い…

「やります、やらせていただきます!」と宣言したのであった。

しかし、加持祈祷の檀づくりも、法具の並べ方、使い方も真言も全ては持ち帰って来た書物をいちいち確認しながら行う祈祷に

これでいいのか?私が唐から持ち帰りたかったのは衆生救済のための天台の教え。

現世利益的な呪術まがいの密教で帝をお救いするのがのが私のやるべき事なのか?

と迷いながら祈祷を開始した。

こうしてまるひと月間気が遠くなるほど真言を唱えてついには喉が潰れて血を吐き、最澄は失神した。

「最澄さま休んで下さい!」「あなたまで倒れてはいけませぬ」
と両肩を支えて本気で自分を気遣ってくれる弟子の義真と泰範。二人とも労苦を惜しまず自分に尽くしてくれた弟子たちである。

私は祈祷で成果を見せつけ、天台宗を立ち上げてこの弟子たちの立場を安堵させねばならぬ、ここで倒れてなるものか!

「続ける」と口元の血を拭って最澄が座り直すと

「帝に呼ばれたんじゃが、他宗派の読経でも祈りは通ずるのかな?」

と穏やかな声色で最澄に語りかけて来る老人の声がした。

「あなたは…?」

華厳宗(けごんしゅう)実忠(じっちゅう)」と名乗った老僧に付き従う貴族を見て最澄は久方ぶりに体の力を緩めて安堵したのだった。

最澄の最初の支援者、和気氏の家長で同年代の親友、和気広世(わけのひろよ)が薬箱を持って
「喉が癒えるまで休め!薬を調合してやる」と涙声で言って「助けてやれなくて…済まなかった」と詫びたのである。

「この広世はわしの医術の弟子でな、こうして連れだって帝の御診察に呼ばれた、という訳じゃ。たーっぷり時をかけて診察する故お主らは休んでよいぞ、との帝からのお許しじゃ」

こうして最澄が喉の薬を服して休んでいる間、実忠は広世と共に内密に桓武帝の診察に当たり、

「御酒を控えなされ、とあれほど文でご注意申し上げたでしょう?」と不摂生な患者を優しく叱った。

「本当ならとうに死んでもおかしくない病だ。お前の調合した薬でここまで生き永らえた、感謝する、実忠。お前の見立てでは朕はあとどれくらい生きられる?」

と肝の病ですっかり肌が黒ずんだ桓武帝は数少ない友の一人として実忠に尋ねた。

「それは、最澄の祈りを信じていないと彼の者を傷付ける事になりませんか?」
と実忠が問うと

「その逆だ、朕は最澄を救いたい。命数が少ないのなら意地でも起き上がって早く天台宗認可の勅を下さねばならぬ…貴族たちの最澄への評判が芳しくない事は解っているのだぞ。安殿の奴、小賢しい振る舞いをしおって!」と黄色く濁った白目を涙で溢れさせた。

「余命、あと半年。それ以上もったら奇跡だとお思い下され」

「解った…実忠、長年よく天皇家と仏教のために尽くしてくれた。さらばだ」

「お薬は広世を使って届けさせます故、ねえ山部王さま。わしを実務派の欲少ない僧だと誤解してもらっちゃ困りますよ」

「じゃあ働きの割に何も欲しがらなかったのは何故だ?」

「わしは、単に要職に就くのを厭うた面倒くさがりなだけです。山部王さまに対してすべての手を尽くした我々が出来る事は…もう祈る事だけじゃないんですか?」

と言い残して実忠は去った。

付け焼刃の密教の加持祈祷とやらで帝の御病気は良くならないんだ。という噂で最澄の評判を貶めている貴人たちが居た。

それは、たまたま帰りの遣唐使船の中で

「お前、青龍寺には行かなんだのか?密教で実行(じつぎょう)を授けるのは長安の青龍寺のみ。一か月足らずの講義で密教を修めたと言うは不遜じゃぞ」
「は、帰国したらみだりには言いません…」

と船内の影でうなだれる最澄と、彼を厳しく叱る永忠和尚の会話を盗み聞きしてしまった葛野麻呂の悪意から発生した、天皇の病までも利用して最澄を失脚させようとする密の教えを利用した罠であった。

「それにしても春宮さま御自ら帝の前で最澄に依頼して下さってこの葛野麻呂、助かりました」

「じきに天皇としてこの国を治める身ゆえにしたことだ。もう引きこもってはいられないからな…私にこの話をしてくれた葛野麻呂には大いに感謝する」

「たまたま話が耳に入っただけで」と葛野麻呂は畏まった。それにしても、と安殿は話を続けた。

「僧と門徒が一体になって初めて仏に祈りが通ず、というのが密教の祈祷だそうだが、私も含めて貴族たちの中にあるのが実は呪いだったら…恐ろしい結果になるのではないか?」

と安殿は引きつった笑いを浮かべて酒を口に含んだ。

は、そのようでと形式的に返事をした葛野麻呂の胸中には生半可に密教に手を出した最澄を哀れな奴、と思う気持ちがあるが、

それよりも、
帝の崩御と最澄の失脚が自分の主である安殿さまへの最大の貢ぎ物だ。
と思う葛野麻呂であった。






























































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登場人物紹介

空海、本名は佐伯真魚。香川県善通寺市出身の裕福な豪族のせがれ。学業優秀で長岡京の大学寮に入るが、そこで遭った悲劇が彼を仏門に向かわせる。

嵯峨天皇(神野親王)桓武天皇の第二皇子。

問題だらけの平安京に真の平安をもたらす名君。空海とは生涯の友になる。欠点、浮気性でパリピ。

橘嘉智子

嵯峨天皇に最も愛され、橘氏出身の唯一の皇后となる。仏教への傾倒は人生から逃げる術。

私は和気清麻呂。「これから起こる悪い事全部怨霊のせいにしちゃいましょう」と御霊信仰の悪知恵吹き込みました。

本音?桓武帝が起こした人災だろーが。

藤原薬子です。後に悪女呼ばわりされる私も言い分いっぱいあるんですのよー

嘉智子さまお付きの女童、明鏡です。薬子登場でなんだか不穏な予感…

空海に山岳修行教えた勤操ですぅ〜。時々奈良仏教の中間管理職としてぼやきます。桓武帝と戒明じいさんとの因縁ってなんやろな?


役行者六代子孫にして作中最もヤバいおっさんタツミ登場。わし空海のエグい修行生活のはじまりです。

新キャラ藤原葛野麻呂、空海を唐に連れて行く貴族です。私の顔は東寺の帝釈天像がモデルです。イケメンですよー。

兄貴、自分の息子の誕生祝いで不倫ばれてんじゃねーよ…って親父に対して正論で返してるし!義理の叔父、田村麻呂初登場。

by嵯峨帝

ふっふっふ。俺様は修験者の頭タツミ。真魚よ、よくぞ試練を乗り越えたな…っていつまでも妻の手握ってんじゃねえ!

若き日の坂上田村麻呂も絡む平安ミステリー、藤原種継暗殺事件の真相です。


最新話まで話を読んできた登場人物全員の心の声


「そりゃ祟られるわ!!」

実在した前の遣唐使僧、戒明です。史実上の真魚との接点は不明です。唐から偽経を持ち帰ったとして失脚してた私の名誉回復をしてくれたのは空海だから最初に出会った師として登場。

荒行の末に悟ったもの。仏性、すなわち人の心なり。善行も悪行もそれを行う人の心次第。

やっぱりわたくし、親王さまを好きになっていたのね。(浮気者だけれど)

多治比高子です。嵯峨帝側室として寵愛された理由はインテリだった設定。

あれ?「あの四重奏ドラマ」のエンディングシーンみたいなことしてない?

三行指帰現代語訳コント風、はじまりまじまり〜

何これ⁉︎空海の書いた話おもしれーじゃん!と吠えて宮女に叱られる神野。三教指帰は日本初の小説と呼ばれる。

空海、実家に帰る。真魚が一番可愛いお母さん。激烈お兄ちゃん、実家あるあるな心配するお父さん。

空海の実家をそのまま父親の名前にしたのはオヤジ、ありがとう…グスッ(泣)の気持ちやったんや。

後の法相宗のトップにして東日本に仏教を伝える男、徳一の本心。

高雄山寺プロレス回。奈良仏教の裏番長、実忠しれっと初登場。

やっと最澄登場。美坊主泰範のせいで既に不穏な比叡山寺。

ある意味最強キャラ、朝原内親王登場。

飛べない小鳥、から明鏡の出生の秘密編へ。

尚侍明信の罪は亡国の姫、明信の若き日の過ち。

「陽の下の露」冬嗣の長男、藤原長良誕生。ちなみに薬子と葛野麻呂の不倫関係は史実です。

「風が吹く」遣唐使に選ばれなかった空海に起こったありえへん奇跡。それにしても徳一口悪ぃな。

桓武帝が仏教勢力を叩いた理由は脱税摘発のため。しかし宗教法人を使った脱税って1200年経った今でもやってますなあ。

「受戒」どーもどーも、三論宗のアイドルにして空海の頭を剃った勤操ですぅー…ってじいさんどないしたー⁉︎

最初の師戒明との別れ。わし、行ってきます。

「船乗り星」朝廷も一目置く宗像氏の濃いマダム登場。

どうもー、空海を唐に送り最澄を唐から連れ帰ってながらも後世にほとんど知られていない葛野麻呂。ここでは準主役です。

徳政論争回。現実的にこれ以上の東国進出は無理だった。徳川家康の次に鷹狩り好きな歴史上の人物として有名な桓武天皇の最後の鷹狩り。

仙境天台山、思えばこのひと時が最澄の一番の幸福だったかもしれない。

「崩御と即位」皇帝陛下の崩御と新皇帝の即位に立ち会っちゃった俺って持ってる〜。からの、カネが無いから2年で逃げ帰れ命令。

「聖俗同船」帰国できなかった遣唐使もいるんですよ…葛野麻呂の最澄へのツンデレっぷりをお楽しみ下さい。

「密の罠」帰国した途端最澄に降り掛かる悪意。

平安京を開いた帝の最期。これから不穏な平城朝が始まるー

秀才、橘逸勢にトリプルの悲劇。留学生たちの寂しさを癒す楽の音。

恵果と戒明との邂逅から三十年。やっと後継者に出会えた恵果。

まるで唐密教の滅びを予測していたかのような恵果の発言。実際にそうなります。

「遍照金剛」かくして遍照金剛空海誕生。で、何で俺様がナレーション?

「柳枝の別れ」長安出立前夜に明かされる霊仙の正体。次回から日ノ本、平城朝編。

「平城朝」最後の薬子の表情は読者さんのご想像にお任せします。

「春宮神野」

宮中も 女子回なければ やってらんない

by明鏡 字余り

「天皇の侍医」官僚として、医師として苦労する弘世の人生が始まる。

「謀」とうとう粛清に向けて動きだした薬子。朝原内親王、神野に迫る毒殺の危機。

「比叡山夜話」最澄に迫る危機。平城帝の悪意。

「翡翠の数珠」空海のせいでまた逸勢がヒドい目に遭うお話。

「阿保の本音」父平城帝への不信感が募る阿保親王。後に彼と妻の伊都内親王から生まれたのが在原業平。

前半の薬子の兄、仲成が起こした暴行事件。これ史実です。後半の勤操の述懐は創作ですが。

「咎人空海」空海、やっと帰国。あの三姉妹再び登場。

「海辺のふたり」空海だけを都に帰さなかった藤原縄主の思惑とは。この時代、芋粥は極上スイーツ扱いでした。

「白雪」兄帝の危険性を思い出す神野。

「神泉苑行幸」策謀に満ちた宮中。筑紫で布教を始める空海に届いた悲報…

「藤原家の毒薬」いつの世も女の仕返しって陰湿なのよねえ。

「譲位」嵯峨天皇が即位した夜に明かされる伊予親王の死の真相。冬嗣の胸に去来するのは怒りか、諦めか。

「実ちて帰る」主人公2人がやっと初対面。次回から第3章「薬子」のはじまり。

わたくし藤原薬子が主役の章、「薬子」、開始ですわよ。空海阿闍梨、神野の坊やとの初謁見でいきなりド不敬発言。

「橘の系譜」女性天皇が女性の部下に姓を与えた女性が始祖の橘家。

明鏡、家族と再会し、そして母になる。

「背徳」性描写あり。そして、薬子は悪女になった。

「真言の灯」最澄さまの千利休感と人手不足の密教。ある事で滅多になくブチ切れる空海。

「宮女明鏡」嵯峨後宮ベビーラッシュ。身籠った明鏡がこれまでの人生を振り返る。

「阿修羅」、怒らせるとシャレにならないレベルで怖い空海のダークサイド。

「東国の勇者」アテルイ回前編。13000vs500で朝廷軍にに勝利した巢伏の戦いと田村麻呂との対話。

「王の器」アテルイと田村麻呂の物語、後編。胆沢制圧戦後のアテルイ、田村麻呂、桓武帝。

真の王の器は誰にある?

どぅもー、宮中のイケオジ葛野麻呂です。「負の遺産」、宮女同士のマウントバトルが怖ぇわ…

「征夷大将軍殿の憂鬱」田村麻呂、愛妻とのフルムーン旅→ヒリヒリするような駆け引き。

「小鳥立つ」明鏡、13年ぶりに父との対面で思い切った決断を告げる。そして運命の子は誕生した。

「火の継承」

この時代の年明けのお祭り、修二会。ググった結果検索トップがさだまさしの「修二会」だったので公式の自分がまさしに敗けて悔しい実忠。

「智泉の祈り」

嘉智子さまへのマタハラ案件、「皇子を産め」とのたまう橘家の兄君たちにブチギレる空海阿闍梨。

「豪奢なる遁甲」嵯峨天皇vs平城上皇最後の争いが万葉サーカスの歓声の中始まる。


この回から三人目の主人公、ソハヤ登場。

「私刑」

池波か!とツッコミ上等な回。法具を本来の目的(明王の武器)で使う空海。

「なるほど、これがお役所仕事か」by嵯峨天皇

「隘路」、暗殺者集団土蜘蛛vsタツミ率いる修験者たち。薬子の変クライマックス前編。

「火宅」一万字越えの大作です。嵯峨天皇vs平城上皇最後の戦い後編。


藤原薬子と語らう老婆の正体は…

「徒花散る」失脚がそのまま死に繋がる全然平安で無かった平安初期の、最後の政変。


勝ってもあまり嬉しくない戦いでしたね…


by田村麻呂

第3章「薬子」終わり。後ろ暗い取引をしてもカッコいい俺様であーる。


by修験者タツミ

第54代仁明天皇こと正良誕生でおめでたい事からはじまる弘仁元年。

「弘仁おじさん」と呼ばないで。

by藤原冬嗣

明けましておめでとうございます。嵯峨天皇の叔母にして宮中屈指の美魔女、酒人内親王です。ここぞとばかりに気合い入った命婦たちのファッションと空海vs朝原の新春disり合い回で御座います…

若い頃の実忠さまはやさぐれていたなあ。

この世でやるべきこともやったし…じゃあね!

by和気広世

嵯峨天皇の兄、良岑安世の恋人の真名井でございます。「九条にて」はさあ、これから庶民と渡来人たちが活躍する平安アンダーグラウンドな物語の幕開け。

空海in伊勢神宮。朝原内親王より託されたとんでもない密命。

エミシ最後の戦士、ソハヤの人生のはじまり。

前半、終了。

険しい高野の山道を抜けるとそこは…異文化レベルの集落だった。

「丹生一族」パツキン彫金師、ムラートです。今回は丹生一族と秦一族と高野山のお話。



奈良の大仏建立時の人に言えない過去。老いた僧ほど暗い秘密を抱えているものなのですよ。

by実忠

「集光」実は、この話で作者は話を終わらせるつもりだったのですが、取材で高野参りをし、そこの宿坊でご住職の説法を聞いた時に「物語のラストシーン」が頭に浮かびあと50話位書く事に。

「田口三千媛」今では虐待と言われる育てられ方をされたと思います。訳を聞かされて納得しても、無理に許さなくてもいいのよ。

「弘仁格式」100年ぶりの法改正にとりかかる嵯峨帝。謎の美僧、泰範の師に対する本音。

平城上皇が会いたかった東大寺の重鎮、実忠の昔語り。前編。光明皇后に仕えた日々。

「光の時代、後」実忠の過去の話。

後半は道鏡事件の真相。

遊女真名井の人生の転機。家族との再会と共に恋人との別れを覚悟する。

「軛」

丹生のシリン姫の花占い。「来る、来ない。来る、来ない…来たあー!」

「灌頂」

死んで生まれ変わりたい気持ちで空海に会いに行った泰範。

最澄はんの「泰範、行かないでくれ」

の熱烈な文が歴史的資料として残っておます。

by空海


ぐすっ、ぐすっ…生きながら生まれ変わる事って出来るんやな…


by泰範

「信源氏」日本史最初の源氏、源信です。あのね、四さいの時にお家(宮中)から出されて明鏡お母様と離されてしまったの。


信源氏物語のはじまりはじまり〜。

高野の麓、天野の里に帰ってきたムラートです。妹の結婚式がゾロアスター教通りの儀式だと⁉️


天野わっしょい物語をお楽しみに。

嵯峨帝と正妻高津内親王との離婚の真相に迫る「高津退場」後宮サスペンス回。

橘嘉智子、立后のお話。

「わたくし、覚悟を決めました」

「常の白珠」

延暦十五年四月(796年5月)、日の本初の公然セクハラ&パワハラの記録でございます。

by明信

あの時は恥ずかしい思いさせてごめんよ…まだ怒ってる?

ねえ明信、こっち向いて(焦)

by桓武帝

お二人とも、犬も喰わない痴話喧嘩を板上でやらないで下さいまし。

by葛野麻呂

「わし、とうとう最澄はんと絶交する覚悟決めました」

空海を本気でブチギレさせた最澄の言動。


そして、高野山開基に向けて動き始める弟子たち。

「高野」

私ムラート、生まれも育ちも高野山でございます。このお山の自然の洗礼に遭う実叡と泰範。

高野を舐めちゃあいけねえよ。


なぜか寅さん口調。

「時鳥」

小野篁初登場回。そして、現世での役目を果たした巫女との別れ。

「落花宴」

民を食わせるために働いた藤原、葛野麻呂の最期。日ノ本初の茶事と花見の宴の記録。



「拠り処」

天皇皇后だってもふもふふくふくで癒されたい。徳一、東国に進出宣言。

「橘秀才」

「弘法も筆の誤り、って肝心な時に大ポカをやらかすって事なんだね」

古今随一の芸術家となった逸勢、空海にツッコミを入れる。

「シリン都に行く」

はーい、私は高野山の麓天野の里に住む主婦シリン。夫に下された辞令で子供たち連れて平安京へお引越しですって⁉️ドギマギしちゃう!

…って魔法少女みたいなあらすじ紹介でいいのかしら?

「篁」

ちーっす、小野篁でーす。僕の風評「なんだかすげえ奴」みたいに言われてるけど、嵯峨帝に出会った頃は脳筋の野生児でしたよ。

「一隅を照らす」

最澄、最期のことば。戒壇認可を遅らせた嵯峨帝の真意。


そして、たそがれ空海。



「進士篁」

ちーっす!篁っす!それでは一句。


竹の子(篁)が ドラゴン桜(三教指帰)で サクラサク


物語の主人公空海阿闍梨から僕に交代っす!

白秋の章、「嵯峨野」のはじまり。淳和帝即位。遡って嵯峨帝による黄櫨染御袍プロデュース秘話。

「正子と正良」

嵯峨上皇と嘉智子お母様の息子、正良(後の仁明帝)です。十四で結婚したお嫁さんが可愛過ぎてキュートなハートにズキンドキン!です。

「祈雨(きう)」

元服した源信信です。空海阿闍梨による伝説の雨降らしの祈祷の裏に蠢く大人たちの陰謀に、

うわあああ…

皆さんお久しぶり。田村麻呂です。平安初期の貴族たちは麻呂麻呂っなくて武士武士ってたんですよ。


ごきげんよう、小野篁です。

(官吏になったのでパシリ口調はやめました)

今回は私のルーツとソハヤ、シルベに隠された秘密が明かされる回です。

「在るがまま」

平城上皇の第三王子、高岳親王です。今回は父の最期の想いと私の出家の物語。


◯ウケンシルバーのモデルになった私の人生の出発でしたねえ。

「哀しい哉」

このエピソード書くために作者、高野山にお参りに行き智泉の御廟(お墓)に手を合わせました。

「天長二年の旅立ち」

久しぶりの金髪仏師ムラートです。東寺の立体曼荼羅完成秘話。あの時の空海さんは某劇作家か!って位ダメ出しして来て参りましたよ…


そしてラスト主要人物、在原業平初登場。

「夫人たちの夏」嵯峨帝の側室、藤原緒夏です。後宮で生きる憂鬱と高子さまとの友情の回。


「頭の冬嗣」

今年の◯河はやり過ぎちまった私の愚孫どものいざこざですが一人ちゃんと遺言を守った奴がいたようです。

「心の中の明王」

篁と徳一の出会い。東国にて。

空海と最澄を支援した破天荒僧侶、勤操の最期。さよならだけが人生や。

喫茶去(きっさこ)は禅語で「ま、茶でも一服」の意味。人生最後の対面を惜しむ主人公二人。

「光明」全ての務めを終えた空海の眠り。次回から次世代編へ。

「流人篁」百人一首で有名な「わたの原」から始まる篁の反骨最骨頂行動と流人生活。


ちゃっかり現地妻作ってました。

「落日」

葛野麻呂の息子で遣唐大使、藤原常嗣サイドの最後の遣唐使節の行程。


支援者の張宝高は新羅の海将で外交官で大商人。

この回のゲストは唐代の大文人。

「円仁の旅・使命」

どうも、遣唐使団からバックれた不法滞在僧侶の円仁(最澄の弟子)です。私の9年以上に及ぶ旅はいきなりホラーな展開から始まります。

実質、最後の遣唐使である円仁の旅の後編。空海より託された三つの遺言は果たしたものの武宗による仏教弾圧を受ける苦難の復路。オカルトな場面あり。

「胡蝶」

「胡蝶の夢」になぞらえた常嗣の帰国後の辛い立場と責任を感じる篁。二人とも苦しんだんだ。

「観月」

嵯峨上皇が家族たちにそして遥か未来の子孫に向けて述べた言葉。

人生最後の観月の宴。



「草木のままに」

我が夫、嵯峨天皇の最期。お休みなさい、あなた…


あと10話で完結です。

最終章「檀林」、それはカリスマ嵯峨天皇が去るのを待っていたかのように始まった粛正の嵐。

承和の変。三筆最後の一人逸勢の退場。

「繭」政変で息子、仁明帝の行いと本心を知った皇太后嘉智子の絶望。

「反骨の種子」政変の真相を知った篁の決意と、蹂躙される政変の敗者の家族たち。

昔男、と呼ばれたチャラいクズ。在原業平の奔放な恋の本心は…な回。

「椙山にて」この日、エミシの武人親子三代の真相が知らされ祖父の願いがシルベに託された。

「橋を架ける」

言葉を大事にして秩序を保つのも、言葉をぞんざいにしてこの世を地獄同然にするのも全て、人間の行いなのだと思います。


この国の教えの百年先を見越して禅僧を呼び寄せた国母、橘嘉智子。

「参議篁」

私の少年期から始まる篁四部作これにておしまい。良房の企みなんて知ったことかよ。

「襲撃」

日本初の警察機構である検非違使に務める下級役人、志留辺の人生の転機。

「桜」宮中編「一代限りの橘」の物語、これで終わりでございます。

この長い物語、次回の「平安時代」で完結です。



「平安時代」さてさて、ラストシーンで新しいバディが組まれ、彼らの本当の人生が始まります。


皆が知っている「平安時代」はこれから始まるのです。

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